転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第31話 開村祭の準備をしよう

さてさて、本日はカソ村の開村祭当日。

準備もあるから、朝早くから村に出かけることにしよう。

 

「みんな~、出かけるよ~」

 

俺はメンバーに声を掛ける。

 

「うむっ!準備できているぞ!」

 

大きなリュックを背負ったイリーナ嬢。リュック持って行くのね。

でもテントは立てたままなんだな。

そう言えば、イリーナはここに来てからずっとテント暮らしだな。

大丈夫か?

 

『ヒヨコ隊長以下200羽準備できております!』

 

『『『ぴよぴよ~』』』

 

ズラリと整列するヒヨコ軍団。精悍だね。

 

『狼牙族、全61匹揃っております』

 

ズラリと整列する狼牙族。精悍だね・・・61匹? 増えてない?

 

「ローガよ、以前お前たちは全員で60匹ではなかったか?」

 

「はい、先日北の大滝を見回りに行った際に、はぐれを1匹見つけまして。ボスの話をしたところ、ぜひ参加に加わりたいということで連れてまいりました。紹介する前にボスの様子を見たいとのことで、正式にまだ紹介させて頂いておりません。おい、ガルボ!」

 

『なんでやんす?リーダー』

 

よく見ると、毛が少しバサついた、ちょっと大柄の狼牙族の1匹がやって来た。右目がケガでつぶれてしまったのか、片目だな。

 

『もういいだろう、ガルボ。ボスに挨拶しろ』

 

ガルボと呼ばれた元はぐれは佇まいを正すと正式に俺に頭を下げた。

 

『初めやして、ご挨拶させて頂きやす。あっしはガルボってケチな狼牙でやんす。親からもらった名なんで、似合ってなくてもご容赦願いやす。こちらのローガ殿に声を掛けて頂き、素晴らしいボスに仕えているってんで、ぜひあっしもお目にかかれる機会を頂きたくてやってまいりやした』

 

・・・えっと、とにもかくにも、仲間になってくれたってことで。

 

「ああ、よろしく頼むよ」

 

『寛大なご対応ありがとうございやす!』

 

ぺこりと頭を下げるガルボ。

謎の狼牙が気になっていたけど、やっと誰かわかったよ。ちょっと落ち着いた。

 

「というわけで、全員でカソの村に行くからな~」

 

『『『おおー!』』』

 

俺はローガにまたがり、イリーナを前に乗せて出発した。

 

 

 

 

 

「おおっ!精霊様!」

 

 

満面の笑みで走ってくるカソの村の村長。

 

「精霊ではないんだが・・・」

 

「まあまあ。それより、皆さま総出でお越しくださったのですかな?」

 

狼牙軍団とヒヨコ軍団を見て村長は嬉しそうに聞いてくる。

 

「そうだよ。ワイルドボアの大物が獲れているから、丸焼きを振る舞うよ。それに、アースバードがたくさん狩れている。俺特製の「唐揚げ」という料理をご馳走しよう。早速準備を始めようか」

 

「おおっ!精霊様からの差し入れとは、ありがたい限りですな!」

 

「いや、だから精霊ではないのだけど・・・」

 

「ヤーベ!」

「スライムさん!」

 

おおっ!この声はカンタとチコちゃんだな。

ならば俺もかわいくなろう。デローンMr.Ⅱからティアドロップへ変身だ。

 

 

ぽよんぽよん。

 

 

「やあ二人とも!元気にしてたか?」

 

ぽよぽよボディになった俺に二人が抱きついてくる。

 

「やっと来てくれたじゃねーか!」

「会いたかったよー!」

 

二人とも元気そうで何よりだよ。

 

「ヤーベにお礼を言いたかったんだ」

 

「ん?お礼?」

 

「本当にありがとうございました、精霊様」

 

顔を上げると、そこには綺麗な大人の女性が。

 

「かーちゃん、こんなに元気になったんだ!」

「スライムさんのお水のおかげだよ!」

 

ああ、カンタとチコの母親か。元気になってよかった。

ちなみに精霊じゃないけどね。

 

「やあ、お母さん。元気になってよかった」

 

にっこりスマイルスライム。

 

「これもヤーベ様のおかげです。体も治って家の仕事も出来るようになりました」

 

「これもカンタとチコちゃんが頑張って泉まで来てくれたおかげですよ。褒めてやってください」

 

「まあまあ、本当にありがとうございます」

 

お母さんも嬉しそうだ。カンタとチコもお母さんに抱きつく。

 

「よしっ!準備を始めよう。ヒヨコ隊長、ワイルドボアの丸焼きのための木組みとアースバードの毛を毟る作業を頼む」

 

『了解です!』

『『『ぴよ~~~ぴ!』』』

 

元気に散らばって行くヒヨコたち。

ちなみにワイルドボアは巨大なイノシシみたいな奴だ。

アースバードは鶏のでっかい奴だ、うん。

 

「ローガ、ワイルドボアの解体を頼む。毛皮は村に進呈するから、綺麗に頼むぞ」

 

『了解!』

『『『わふっ!』』』

 

ローガ達も作業にかかる。ヒヨコたちがアースバードの毛を嘴で突いて毟りまくっている。すぐに丸ハゲになるアースバード。

 

「ローガ、アースバードも解体よろしく」

 

『ラジャ!』

 

ピィ!と口笛を吹くと三匹の狼牙が揃う。

 

『アースバードを解体せよ』

 

『『『ははっ!』』』

 

言うが早いか、毛を毟られたアースバードを爪の斬撃でばらばらに解体して行く。

メッチャ優秀だね、君たち。

 

「ヤーベ殿、我も何か手伝いたいのだが・・・」

 

イリーナがおずおずと尋ねてくる。

 

「もちろんイリーナにやってもらいたいことはたくさんあるぞ。手伝ってくれるか?」

 

「もちろんだ!」

 

俺の問いかけにイリーナはパアッと顔を明るくさせ元気に返答してくれる。

 

「この大鍋に、この油を半分くらい入れてくれ。そしたら火をつけて油を温めよう」

 

「わかった!」

 

てきぱきと準備を進めて行くイリーナ。ぽんこつイリーナとは思えない手際だな。

 

「ローガ達がぶつ切りにしてくれたアースバードにこの粉を塗してくれ」

 

どんどん異空間圧縮収納からポンポンと必要なものを取り出す。

ソレナリーニの町で屋台の料理を買い占めた後、カソの村の開村祭で料理を振る舞おうと計画していた俺は食材だけでなく、調味料や料理に必要なものを探して回っていたんだ。

そこで思い出したのが「唐揚げ」。何とかでっかい鉄鍋に小麦粉っぽい粉と、揚げ物に使用できそうな質のいい油を手に入れることが出来た。

・・・みんな屋台の親父に聞いた情報で手に入れたんだけどね。買い占めのお礼かな?いい情報ばかりもらえたからいいものをたくさん買えたよ。

 

ヒヨコ隊長たちはワイルドボアを太い棒で串刺しにして、木組みにセットして行く。

 

『『『ぴよぴよぴよ~!!』』』

 

またも火炎魔法だ。アッと言う間に焚火に火がついた。ヒヨコたち、本当に優秀だよな。

そしてワイルドボアを貫いた太い棒をクランクでつないでヒヨコたちがゆっくり回していく。

 

油を入れた鍋もいい温度に上がってきたようだ。

 

「さあイリーナ、粉まみれにしたアースバードのぶつ切り肉を油の中に投入するのだ!」

 

「わ、わかった」

 

イリーナはそーっと粉まみれの肉を油に投入していく。

 

じゅわわわわ~

 

「おおっ!すごいぞヤーベ殿!油の中でバチバチいっているぞ!」

 

俺は泉の畔でシコシコ作った木の箸を取り出す。

尤もイリーナが箸を使えると思えないので、木を削って作った串も出す。

 

「イリーナ、この串を使って油の中の肉を転がしたりしてくれ。色が茶色くなったら突き刺して皿に取り出してくれ」

 

「任せろっ!」

 

やたら気合入ってますね。イリーナさん、味見希望かな?

唐揚げ驚くかな~。振る舞うのが楽しみだ。

 





今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

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