転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!? 作:西園寺卓也
「久々の畔だぜ~」
俺様は両手(?)を上に伸ばし、背筋(?)をピンとする。
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・・・まあ、ここに帰ってくるっていう言い方もどうかと思うけどな!
「ほわ~、気持ちいい」
泉の畔でバシャバシャ顔を洗っていたイリーナ。
君、伯爵令嬢だったんだよね? でもイリーナだし、まあいいか。
ローガ達も長旅だったのか疲れて寝ている。
まあほとんどローガに乗って走って来たからな。
ソレナリーニの町で買い込んだ屋台飯を振る舞って慰労しよう。
ヒヨコたちもずっと飛んできたからな。
今はゆっくり休んでいる。
ヒヨコたちにも好物の串焼きを用意しよう。
ヒヨコがアースバードの焼き鳥・・・まあいいか。
帰り道、ソレナリーニの町の代官ナイセーだけには挨拶に寄った。
城塞都市フェルベーンのトラブルについて報告、対応済みと連絡しておいた。その時にコルーナ辺境伯家によってルシーナちゃんの治療もしたこと、フェンベルク卿の囲い込みがあって脱出してきたことなども包み隠さず伝えた。ナイセーは頭を抱えていた。先日の<
まあ、それはナイセーに全部お任せだ。
さて、俺様はマイホーム建築を考えよう。
今、俺たちに建てられそうな家といえば・・・えっ!? イエとイエば・・・ぷぷっ!
オヤジギャク!
・・・自分だけで完結する、ちょっと寂しい。
真面目に家を考える・・・まあ、普通に考えてログハウスだよな。
木を切り倒して、組み上げる・・・。
素人の俺には無理だな。
「ちょっとカソの村の村長に家の建て方を相談するかな・・・」
「おはよう、ヤーベ。やっと普段の生活に戻ったな」
イリーナがニコニコしながら朝の挨拶をしてくる。
「やあ、イリーナおはよう」
だがイリーナにとってこの畔でのテント生活が普通の生活ってどうなんだ?
大丈夫か?
「そう言えばイリーナはルーベンゲルグ伯爵家の娘さんだっけか?」
「え、ああ・・・そうだな。どうした?急に」
「いや・・・、泉の畔にテント生活って辛くないのかなって・・・」
「何を言う。前にも言ったではないか、今はヤーベのそばにいることが私の全てなのだ」
・・・ジーン。イリーナ、エエ娘や。
「よし!ここに丸太でおウチを作ろう! イリーナがゆっくり生活できるように」
「ええっ!? 私のためなのか・・・?」
「うん、俺はまあ外でもいいんだけど。イリーナは体が休まるベッドとか、暖かいお風呂とかあった方がいいだろ? 寒くなるとテントでは風邪を引いちゃうかもしれないし」
「ヤーベ・・・!」
そう言っていきなり抱きついてくるイリーナ。
顔を洗うのも、体を拭くのも泉の水を使っているせいか、イリーナはすごく綺麗なんだよな。
「嬉しいけど、私はテントでも大丈夫だぞ? ただ、もし可能ならお願いしたいことが・・・」
モジモジしながら俺の方を見てくるイリーナ。
「クッオカ以外なら何でも聞くよ」
「ヤーベは体の大きさを変えられるから、ちょっと大きくなってもらってその上に寝てみたいのだが・・・」
「・・・スライムベッドか?」
「そんな感じだろうか」
イリーナがやって欲しいんだから、要望には応えよう。
ローブを脱いで久々のデローンMr.Ⅱをさらけ出す。
一回り大きくしてさらにデローン化を進める。
イメージはゆりかごだ。
「さあ、いいぞイリーナ、おいで」
「すごいな、ヤーベありがとう!」
早速ポヨンッて勢いで俺に座ってくるイリーナ。まるでハンモックみたいに全身を預けてくる。
「わああっ!ヤーベすごいぞ!ポヨンポヨンだ!とっても気持ちがいいぞ!すごいすごい!」
俺の上でぽよぽよと体を揺らすイリーナ。
「ヤーベはひんやりするんだな。ホントに気持ちいいぞ!」
嬉しそうに言うイリーナ。喜んでもらえて何よりだ。
というか、俺はひんやり冷たかったんだな。自分は寒暖耐性があるから自分の温度はよくわからんのだよな。冬場は嫌われないようにぐるぐるエネルギーで湯たんぽ化することも検討せねば!
「・・・でもイリーナは俺が怖くないのか?」
「怖い?ヤーベが?何故だ?」
「<
俺の質問に、イリーナはコテン、首を傾げ、その後急に笑い出した。
「はっはっは、何を言っているんだヤーベ」
実におかしいと言った感じで急に反対を向き、俯せになる。
俺を体全体で抱き包むように両手を広げるイリーナ。
まあ、それでも俺のスライムボディーの方が大きいけど。
「私は最初に出会った時にヤーベに命を助けられたんだぞ? その後の<
ニコ~っと微笑むイリーナ。俯せに寝転がって俺様のぽよぽよボディを抱きしめているので、イリーナの笑顔を俺もはっきりと見ることが出来た。
「イ、イリーナ・・・」
ヤベッ!感動して涙が出そう!
・・・俺の目がどこにあるかは別として。
そんな嬉しい事を言ってくれるイリーナにちょっとサービスだ!
トプンッ!
「ほわわっ!?」
頭だけ残してイリーナの体を包み込む。
その後、立ち上がるようにすると顔だけ出したイリーナが、
「ふわわっ! ぽよぽよしているぞ」
そのままティアドロップ型でぽよぽよと飛び跳ねて泉の畔の周りを移動する。
「わああ~、楽しいぞヤーベ!」
「はっはっは!イリーナ専用のボディだぞ!」
「わ、私専用なのか・・・くっ」
「まあまあ、それはいいからいいから」
そう言ってぽよぽよ飛び跳ねる。
二人でワーワーと楽しんでいると、ローガ達やヒヨコたちが生暖かい目で俺たちを見ていた。
『春でやんすね~』
おいガルボ。お前この前も春だって言ってたぞ。ここはずっと春なのか?
『うむうむ、ボスもこれでイリーナ嬢を娶れば安泰だな』
『ローガ殿は知らないかもしれませんが、ボスにはルシーナ嬢という二人目の奥さんもいるんですよ』
『なんだと!そのような情報どこで手に入れた!』
『ローガ殿達が庭で待機していたコルーナ辺境伯家のお嬢さんですよ。ボスが命を助けてあげた縁で、ルシーナ嬢がすっかりボスの魅力にまいってしまいまして』
『なんと!ボスも罪作りなものよ』
『いやいや、ボスともなればハーレムも当たり前というもの』
『『『確かに』』』
四天王よ、そんなにそろって頷かなくてもいいぞ。
後ヒヨコ隊長。自分のハーレムを正当化するために俺にハーレムを押し付けるのはやめろ。
そんなこんなでみんなで盛り上がっていると、泉の畔に来客があった。
「これはこれは精霊様方、なにやら盛り上がっておられますな」
やって来たのは、カソの村の村長と若い衆だった。
「やあ村長。元気にしているか?」
「それはもちろん、精霊様のご加護で前よりも健康ですよ」
マッスルポーズで元気をアピールする村長。ホントに元気だな。
後ろの若い衆は樽を抱えている。もしかして奇跡の水を汲みに来てるのかな。
「こうして若い衆に精霊様の加護を受けた水を頂いております。おかげで作物も元気に育っており、村の若い衆に水を担がせて運んでおります」
「村長自ら出向いているんだ?」
「もちろんでございます。奇跡の泉の水を分けて頂くので感謝のために自ら出向いております」
「わ~~~、殊勝な心掛けだねっ!」
飛び出る水の精霊ウィンティア。呼んでなくても、もう自分たちで出ちゃうようになったね! 別にいいですけどね!
「私も泉の周りに加護を授けてますから~、とてもいい水になってると思いますよ~」
土の精霊ベルヒアねーさんも登場ですか。しかも加護あったんですね!
「いいな~、風は加護を与えにくいから・・・」
風の精霊シルフィーが残念そうに登場する。
「ヤーベは俺の加護で燃やしてやろうか?」
一人意味不明なヤツがいるのでスルーします。
「ところで村長、ここにマイホームを建てたいのだが、ログハウスとか建てられる職人がいたら紹介して欲しいんだけど」
「おおっ! ここに精霊様の神殿を!」
「いや、マイホームです」
「ログハウス風の神殿ですな! 自然に溶け込む素晴らしいものを造り上げましょうぞ!」
「いやマイホームです」
「お前達!精霊様の神殿製作だ!村を上げて全力で造り上げるぞ!」
「「「「「おおおーーーーー!!」」」」」
「いや、だからマイホームですって・・・」
俺は天を仰いだ。
今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!