転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!? 作:西園寺卓也
ソレナリーニの町トップクラスのホテルだけあって非常においしい夕食だった。
ここでも、イリーナやサリーナとは別の部屋だ。
・・・寂しくなんてないんだからね!
それよりも、一人ならば都合がいい。情報を整理しよう。
一人部屋の窓を開ける。
「ヒヨコ隊長、報告を頼む」
一言呟くだけで瞬時にヒヨコ隊長と部下が部屋に集まってくる。
ヒヨコ隊長以下、ヒヨコ十将軍の連中だ。合計で十一羽のヒヨコたちが部屋に揃う。
今度十将軍を紹介してもらおう・・・なんかチュウニビョウな匂いが漂って来るから、聞くのも微妙な気がするが。
『はっ!それでは部下より報告させて頂きます!』
ヒヨコ隊長の一言に部下がビシッとさらに整列する。
『ヒヨコ十将軍序列一位レオパルド!序列二位クルセーダー!』
『『はっ!』』
『報告せよ!』
「ちょっ、ちょっと待て!」
『ボス、どうしました?』
「いやいやいや、ツッコミどころ満載なんだが! そもそも、ヒヨコ十将軍ってなに!?」
『実はヒヨコ軍団も細分化し、私の下に直属の十羽を選び出し、さらにその下にグループとしてまとめさせております』
「そうなんだ」
『ボスに勝手に組織を造り上げた事、誠に申し訳ありません。お気にいらなければ即座に解体し・・・』
「いや、別に大丈夫だ。ヒヨコ隊長に任せる」
『ははっ!ありがたき幸せ!』
しかし、良いのかな? 十将軍選び出してるけど、そのトップが隊長なんだが・・・、まあいいか。
『では報告せよ!』
『はっ!我々はソレナリーニの町周辺を探ってまいりました』
『ソレナリーニの町周辺はトラブルも無く、異変も確認できませんでした』
『迷宮ダンジョンも
「ふむ、この町はテロ事件以降落ち着きを取り戻しているのだな」
『『ははっ!』』
『次!序列第三位クロムウェル!第四位センチュリオン!』
『『ははっ!』』
いや、むっちゃ名前カッコイイんですけど!? どうやってつけてんの?
『我々は城塞都市フェルベーンでの調査を担当致しました』
『フェルベーンではボスの到着をコルーナ辺境伯が今か今かと待ち受けており、到着後すぐパレードが行われる予定となっております』
「何してくれちゃってるのかな!?あの御方は!」
『パレード後は大々的な表彰式が行われ、ボスの偉業を讃える会が開かれる予定です。夜は晩餐会でダンスパーティも兼ねるらしいです』
「明日速攻でナイセーに相談だな」
『後、ボスをコルーナ辺境伯家の賓客として持て成す用意がされております。そして賓客として王家より王都への招待を受けたと発表する予定です。コルーナ辺境伯家の賓客が王様に呼ばれたという箔をつけたいと言う事でしょうか』
「どこまでも俺を利用したいようだな・・・」
『ボスの威光ともなればそれも致し方なき事かと』
「俺はそんなイイモンじゃないと思うがね」
『次!序列第五位ヴィッカーズ!第六位カーデン』
『『ははっ!』』
『我々は城塞都市フェルベーンからタルバリ領までの間で調査してきました』
『各村はそれぞれが良く発展しており、治安も良く問題は見当たりませんでした』
『ただ、タルバリ領境辺りの山間部には蛮族が住み着いているという情報もあり、山間部への魔物狩りや薪回収のための作業に些か影響が出ているとか。素材や薪の価格が高騰気味とのことです』
「ふむ、街道まで出て来なければとりあえず今回の移動には影響はなさそうだが・・・」
『次!序列第七位カラール!第八位キュラシーア!』
『『ははっ!』』
『我々はタルバリ領最大の町タルバーンを調査してまいりました』
『この町は領主でもあるガイルナイト・フォン・タルバリ伯爵の治める地となっております』
『ガイルナイト・フォン・タルバリ伯爵はかなりの筋肉質な人物で、ソレナリーニの町冒険者ギルドマスターのゾリア殿と旧知の仲のようです』
「あ、そうなの?ゾリアはそんな伯爵と知り合いだったんだ」
『なんでも元々同じパーティで冒険者をやっていたとか』
「伯爵何してんの!?」
『このタルバーンの町の北に「悪魔の塔」と呼ばれる塔が立っているとのことです』
「悪魔の塔?」
『はい、噂では「悪魔王ガルアード」を封じた塔だと言われております。現在は迷宮ダンジョンと同じ扱いで、塔内の魔物を倒して素材を回収する冒険者が通っているようです』
「うん、ヤバイ塔だってことはわかった。近づかない様にしよう」
『その他タルバリ領タルバーンでは鉄鋼の精製が盛んです』
「鉄か~、武器や防具の新調ってあんまり関係ないんだよな。イリーナは戦闘出来ないし、俺はローブ着てるしな」
『武器防具以外にも鉄鋼製品が多く出回っております。お店を覗いて見るのも一興かと』
「なるほど、わかった」
『次!序列第九位ティーガー!第十位センチネル!』
『『ははっ!』』
『我々はカソの村及び泉の畔周りの確認をしてまいりました』
「あ、そうなんだ」
『はい、カソの村はいつも通り平和です。ローガ殿達の魔物狩りで村の周りには大幅に魔物が減っており、安心して生活できる状況が確保できています』
『泉の周りも平穏無事です。神殿も二名の守り手に、清掃担当の女性が二名来ておりました』
「あ、そうなんだ・・・」
ヒヨコ達にも神殿呼ばわり・・・
まあ、平和ならいいか。
俺はとりあえず城塞都市フェルベーンでの死ぬほど面倒くさいフラグを叩き折るべく作戦を練らないとな・・・
今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!