転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?   作:西園寺卓也

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第61話 謁見内容を把握しよう

「謁見の内容なのだがな・・・」

 

やたら難しい顔をして語り出すフェンベルク卿。おいおい謁見ってそんなヤバイのかよ?

 

「王に拝謁するだけだ」

 

 

ズドドッ!

 

 

俺は椅子からずり落ちる。

 

「だ、大丈夫か?ヤーベ」

 

「なんだよ、脅かすな!」

 

イリーナの手を借りて俺は椅子に座り直して文句を言う。

ちなみにローブ姿の中はデローンMr.Ⅱ+触手2本(右手左手)というい出で立ちだ。

 

「問題はその前と後だよ」

 

「前と後?」

 

「王への拝謁前には当然身体検査や、礼服の仕度など事前準備に一週間以上かかるはずだ」

 

「面倒臭ぇ! てか、身体検査?」

 

それを聞いてイリーナが俺をガン見する。

 

「そりゃそうだ。武器など持ち込んで拝謁などできんよ」

 

当たり前だが、厳しいんだな・・・。

そうなると、身体検査をどうクリアするか対策を練らないとだめだな。

どう考えてもデローンMr.Ⅱのボディで謁見がOKになると思えないからな。

 

「礼服などは王家御用達の者達が準備するから心配はない。費用もこちらで負担するので心配ない」

 

「謁見前は拝謁準備に時間がかかるという事で理解できた。それで、拝謁後は何が問題なんだ?」

 

「王より賜る御言葉にもよるが、コルーナ辺境伯家の賓客から、国王の謁見を経ると、当然ながら国家に所属してくるよういろいろな組織からの勧誘があるだろうよ。特に王国魔術師団、王国騎士団という王国直属のグループ、教会の大聖堂聖騎士団、神官団という教会グループ、その他私のような貴族に仕えるパターンだな。後考えられそうなのは、王国魔術師団とは別の魔術師ギルトが出張ってくる可能性もあるかもな」

 

「はっはっは、いつの間にこんなにモテモテになっちまったんだろうなぁ」

 

まったく溜息マシンガンが止まらねーぜ。

 

「どうやったかは知らんが、<迷宮氾濫(スタンピード)>を制圧する戦闘力と千人以上の重篤患者を一日で回復させる奇跡の技だぞ? 誰に聞いてもお前が欲しいと言うだろうよ」

 

「お断わりします」

 

「誰しもがはいそうですかと言ってくれると思うなよ? 万一無理矢理お前を引っ張ろうとする奴がいたら、俺のところにとりあえず厄介になってると言えばいい。俺の方は無理にここに留まって力を貸してくれとは言わないようにするさ」

 

「コルーナ辺境伯家の賓客というのは良い隠れ蓑になりそうですかな?」

 

「どこまで役立つかはわからんがね」

 

俺の茶化すようなセリフに、苦笑を交えて答えるフェンベルク卿。

結構腹を割って話してくれているように感じるな。

 

「王もヤーベという人物が傑物であるという認識はすでにあるだろう。だからそれだけにお前自身がどのような者なのか、どのようなことを考えているのか、王国にとって益があるのか、害になるのか、それを見極めるために呼ばれていると言っていいだろう」

 

「アンタ拝謁だけって言ったじゃないかよ!」

 

「拝謁の中身がそれだけ詰まってんだよ」

 

「ふん詰まり過ぎだろうよ!」

 

「王は聡明であらせられる。ヤーベの事は悪く思わないと思うのだがな」

 

「謁見の間で拝謁となった時に気を付けることはあるか?」

 

「うむ、通常多くの貴族が列席する中で拝謁する場合と、かなり絞って人数を少なくして拝謁する場合とがある。実はヤーベ殿がどちらになるかわからんのだ」

 

「む、そうなのか?」

 

「うむ、だからここを出発する際は私も行く。可能なら私も謁見する予定だ」

 

「それは心強いな」

 

「だが、まだわからん。実の所、ヤーベ殿の起こした奇跡はにわかに信じられぬものばかりだ。場合によっては内々での謁見になるかもしれんしな」

 

「気が重いねえ・・・」

 

「はっはっは、天下のヤーベ殿も苦手な事があるのかね」

 

快活に笑うフェンベルク卿。

 

「俺は普段は泉の畔でのんびり暮らしているのですよ? そんな堅苦しい場所、苦手に決まっているでしょ」

 

またまた盛大に溜息を吐く。

 

「知っているか?この国には王家の他に三大公爵家と四大侯爵家があるのを」

 

「ああ、ナイセー殿に聞きましたよ。ただ、家名も伺わなかったし、貴族間の関係も伺いませんでしたね」

 

フェンベルク卿がテーブルに肘を付き両手に顎を乗せて重い息を吐く。

 

「三大公爵家はリカオロスト、プレジャー、ドライセンの三つ、そして四大侯爵家はエルサーパ、フレアルト、ドルミア、キルエの四つだ。四大侯爵はエルサーパ家が水を司り、フレアルト家が炎、ドルミア家が土、キルエ家が風をそれぞれ司っている。四大侯爵家は王国の地水火風を示していると言われているのだ」

 

ヤッベー、どういう意味で司ると言っているかわからんが、俺が本当に四大精霊と契約済でーすなんて言ったらどんなトラブルが巻き起こるかわからん。最近召喚してないのに勝手に出て来くることもあるし、後でよーく言い聞かせておかねばなるまい。

 

「四大侯爵家は実際の所、本当に国を支える四本柱と言っても過言ではない。あまり不穏な噂も無い。そのうちキルエ侯爵家は現在女流当主が務められている」

 

「ふーん、そうなんだ」

 

「あまり大きな声では言えんが、三大公爵家は一癖も二癖もある。何せ王家に何かあれば公爵家が出張ってくるようになるわけだしな」

 

「関わりたくない感じがビンビンするよ」

 

「特に野心家と言われているのがリカオロスト公爵家だ。実は今の王には長男と長女、そして次女の三名しかおられない。そのうち長女のコーデリア様は隣国のガーデンバール王国の王子に嫁がれておられるので王国にはいない。王太子であられるカルセル様と、王女であられるカッシーナ様のお二人しかいない状況なのだ」

 

「その二人に何かあれば・・・」

 

「不遜な物言いだが、可能性が無いわけではない話なのだ。さらに、カッシーナ王女は五歳の時に宮廷魔術師の私室で起きた事故により、顔を含めた半身に大やけどを負われてしまったのだ。大神官を含めた神官たちの回復呪文によって命だけは取り留めたとのことなのだが、それ以降全く国民はおろか、王城内でもその姿を見ることはほとんどない。一年に一度の新年を祝う式典のみ、顔が半分隠れる仮面をお付けになって国王の挨拶の横に立たれる。だが声を発することも無く王の挨拶の後、会場をすぐ後にされてしまう」

 

「ふーむ、それではカッシーナ王女はほとんど表舞台に出て来ないと言う事なんだな。これでは長男のカシオリ殿の両肩には相当な重荷がかかっているなぁ」

 

「誰がカシオリか!土産じゃねーんだよ!カルセル王太子様だぞ!お前冗談でも当人の前でそんな間違いするなよ!?打ち首間違いないぞ!?」

 

しみじみと呟いたのだが、名前を間違ったせいで滅茶苦茶怒られた。

まあ確かに王太子本人の前でカシオリとか言ったらぶっ殺されること間違いないな。気を付けよう。

 

「話が逸れたな。リカオロスト公爵は王家との繋がりを強くしようと躍起になっている節がある」

 

ビクリとしてイリーナが体を震わせ、俺の手を握ってくる。どした?

 

「王家との繋がりって、王太子に娘でも送り込もうとしてるのか?」

 

「いや、リカオロスト公爵家は長男次男の二人なんだが、それぞれカッシーナ王女に求婚をしつこく続けているようだ。なにせ体の半身を火傷で損傷しているのだから、リカオロスト公爵家からの求婚以外来ていないのも事実なんだが」

 

「明らかに権力だけを見ているのか? カッシーナ王女当人を気に入っているとか、ないのか?」

 

「カッシーナ王女は誰とも会わないんだ。会ってもいないんだから、カッシーナ王女自身の事なんでどうでもいいんだろうさ」

 

「ずいぶんとむかつくヤローだな。火傷の傷もひっくるめて面倒見てやる!くらいの男気見せろってんだ」

 

「はっは、ヤーベ殿は漢気があるな」

 

そう言って笑うふぇんべだが、すぐに顔に険しい表情を浮かべ話を続ける。

 

「それにリカオロスト公爵家は厄介だ。ルーベンゲルグ伯爵令嬢であるイリーナ嬢はよくわかっているだろうが」

 

「どういうことだ?」

 

俺はイリーナを見ながら問う。

 

「リカオロスト公爵家は王家とは別にルーベンゲルグ伯爵家にもイリーナ嬢との結婚を迫っている。それもかなり強引にな。実は今イリーナ嬢が失踪という形でいないことになっているから少し落ち着いているが、ルーベンゲルグ伯爵領への圧力をかけてイリーナ嬢の輿入れを強行させようとしていたんだ」

 

「ヤーベ、それが怖くて私は王都を逃げ出したのだ。父も母も逃げろとは言わなかったが、その気持ちは汲み取れた。兄から最低限の荷物とお金だけもらって王都を脱出したんだ」

 

「そうだったのか・・・」

 

それにしてもあまりに急だし、危険だろう。現にイリーナは俺が助けなければ殺されていた可能性が高い。脱出させるにしても護衛なり何なり必要だったはずだが・・・。

 

「そうなると、王都に着いた際にルーベンゲルグ伯爵家に挨拶に行くのはまずいのか?」

 

「難しいな。俺はもちろん喋るつもりはないがヤーベと共に一緒に居る女性がルーベンゲルグ伯爵令嬢だとバレないという考え方はないだろうな。王都で一緒に行動すれば必ずバレるだろう」

 

「そうか・・・ならば、やるべきことは一つだな」

 

「ど、どうするのだ?」

 

「もちろん、君の両親にご挨拶するのだ」

 

「ほわっ!? つ、つ、ついにヤーベが・・・ウン、おウチかえりゅ」

 

「おっ?ついに年貢を納めるのか、ヤーベ?」

 

「何が?」

 

「ルーベンゲルグ伯爵家に挨拶に行くんだろう?」

 

「そうだ、イリーナの師匠・・・・・・・としてな!」

 

「し、師匠・・・?」

 

イリーナがポカーンとした顔で俺を見る。

 

「おいおいどうした、ソレナリーニの町でもそう言う設定で話をしただろう?」

 

「せ、設定・・・?」

 

なんだか顔を赤くしてプルプルしているイリーナ。

 

「お前・・・それはないだろう・・・」

 

フェンベルク卿も俺に呆れた表情を向ける。

 

あれ?俺何か間違えた!?

 




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