アベンジャーズーホープ・オブ・レイー   作:白琳

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ウィンター・ソルジャー編、開始です!


ウィンター・ソルジャー
前編


ニューヨークでの戦いより2年半前──────

 

「いやぁ、ここの庭園は素晴らしい!君もそう思わんかね?」

「そうだな」

「だろ?なんたって、この庭園は私が設計したからな!はっはっは!!」

「……はぁ」

 

俺は現在、S.H.I.E.L.D.の任務でとある国の要人を彼のボディーガードと共に護衛中である。ただこいつ、自慢ばかりしてくるからうざい。自分が設計したという庭園を散歩しながら自慢されても、俺は別にどうでもいい。

まぁ、S.H.I.E.L.D.の為に活動資金を集めてくれたりと悪い奴じゃないんだけどな。

 

「ところでそろそろ車の中に戻った方がいいんじゃないか?」

「ん?ああ、私が暗殺者に狙われてるからか……あんなの嘘に決まってるだろ。何故私が狙われないといけない?それに仮に狙われていたとしても、この庭園には誰一人入れないよう言ってある」

 

いや、暗殺者なら普通に殺して入ってくると思うんだが。しかし自分は狙われてないとまだ言うのか。S.H.I.E.L.D.からの護衛をつけるのも渋々といった感じみたいだったし、意識が足りなさすぎるだろ。

 

「さらにはS.H.I.E.L.D.の君がいるんだ。大丈夫に決まっているだろう」

「いや、だが……」

「さぁ、次はあっちを回るぞ!」

 

逆にこんな俺達以外、誰もいない場所だからこそ狙われる確率が高い。だからさっさと車の中に戻ってほしいんだが何で言う事を聞いてくれないんだ、こいつは。

 

「どうするかな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ター……──『ギンッ!』──……ン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ……」

 

撃たれた。発砲と共にエネルギーによるバリアで要人とボディーガードを囲ったが、間一髪だったようだ。バリアが形成した際に迫ってきていた銃弾にぶつかった事で、方向がずれて頬を掠めるだけとなったらしい。

 

しかし誰が?おそらく暗殺者だ。どこから?遠くからスナイパーライフルで撃ってきたと思われる。被害は?要人の頬を銃弾が掠めたのみ。次の行動は?今すぐここから離れ、安全な場所へ。

 

「あっ、あれ!」

「なに?」

 

ボディーガードが後ろを指差し、振り向くとバリアに何かがぶつかった。何かと思えばそれは拳。しかし人間の皮膚とは思えない銀色で、よく見れば鋼鉄の腕であった。その特徴とバリア越しに見える顔を確認して俺はすぐに暗殺者の正体が分かった。

 

……ウィンター・ソルジャー。諜報の世界で伝説とされ、過去50年間に20件以上の暗殺任務を遂行しつつもその素性、経歴が一切不明で消息を掴めないことから『幽霊』とも称されている暗殺者だ。

そして今から半年前、つまり俺がS.H.I.E.L.D.に所属した頃にロマノフが任務中に襲われたという奴だ。

 

こいつは……一筋縄じゃいかないな。

 

再び鋼鉄の拳が叩きつけられるもバリアはビクともしない。しかしずっとこのままでいるわけにはいかず、故に俺はボディーガード達に小声で話し始めた。

 

「今からバリアを解く。そしたら俺が奴を引き付けてる間に安全な場所まで逃げろ。いいな?」

「は、はい!」

 

ボディーガードからの返事を聞いた俺はバリアをエネルギーへと戻し、右手へと纏った。そして強く握り締め、勢いよくウィンター・ソルジャーを殴ったのである。

 

「……っ!」

 

空中を回り、地面に叩きつけられた奴はすぐに起き上がった。結構丈夫だな、と思いつつ隙を見せずに光弾を撃ったが素早い動きで避けられてしまった。

もう一度撃つもやはり避けられてしまい、奴の接近を許してしまう。

 

「マジ、かっ!」

 

急所を狙ってくる拳や蹴り、間接を極めようと掴みかかってくる指をどうにか防ぎつつ、俺は反撃できる隙を見つけようとした。

しかしそれが見つからない。S.H.I.E.L.D.に入って様々な国の武術は習ったものの、今のレベルでは奴の動きについていくのがやっとである。

 

「おらっ!」

「っ!?」

 

しかしいつまでも防戦一方でいるわけにはいかない。エネルギーを足に纏って蹴り上げ、強引に隙を作る。そして反対の足で回し蹴りを放つがかわされ、鳩尾を鋼鉄の拳で殴られてしまった。

 

「ごふぅ……!」

 

後ろに吹き飛び、地面を転がった俺は鳩尾を押さえる。容赦なく殴られたおかげで凄まじく痛かった。しかしそれで崩れ落ちる程、やわな特訓は受けていない。

 

「げほっ……やってくれたな、あんた」

「……」

「少しは話そうぜ、な?」

「……断る」

 

まぁ、だろうな。そう思いながら俺は両足にエネルギーを纏う。そのまま走り出して地面を勢いよく蹴ると、跳躍して奴を蹴り飛ばした。

転がっていくウィンター・ソルジャーに対し、すぐに両手から光線を撃つ。起きた瞬間に受けた事で防御する事も出来ず、そのまま光線に押されていって木の幹を折った所で止まった。

 

「ぐっ……ちっ」

 

苛立ちからか舌打ちが聞こえ、ウィンター・ソルジャーは携帯しているナイフを取り出す。逆手に持ち、走ってきた奴がナイフを振ってきた瞬間にバリアを作り、ぶつかる直前で防いだ。

刃は通らない。その事を悟った奴は跳躍し、バリアを飛び越えてきた。

 

「なんっ!?」

 

今度は真上にバリアを作ると、奴は飛び乗ると同時に横に転がって俺のすぐ隣へと着地した。

 

「……死ね」

「やだよっ!」

 

俺の顔に向かって凪ぎ払われるナイフをエネルギーで纏った両手で取り押さえる。まさか刃に掴みかかるとは思っていなかったのか、少し目を見開く奴の腹に蹴りをお見舞いしてやった。

 

「吹っ飛べ!」

 

纏っていたエネルギーをそのまま光弾に変えて撃つ。今度はうまく直撃し、吹き飛んでいくウィンター・ソルジャーは木々にぶつかり、最後は地面へと倒れた。

だがそれでもまだ立ち上がれるだけの余力は残っているようだった。

 

「……お前、一体何者なんだ?50年前から暗殺者やってるのに、老けてないってどういう事だ?」

「……」

「まぁ、ここで答えなくても独房の中でじっくりと……」

 

そこで俺の携帯が鳴り響いた。ウィンター・ソルジャーの動きに気を付けつつも画面を見てみると、ボディーガードからの連絡であった。

 

「どうした?」

『ハ、ハウロ様が……殺されました』

「なっ!?」

 

ヘルロー・ハウロ。俺がさっきまで護衛していた要人の名前だ。そいつが殺された?そんな馬鹿な、あいつを狙っていたウィンター・ソルジャーは俺が今ここで足止めをして……っ!?

 

「まさかお前、仲間がいっ!?」

 

一瞬、ボディーガードからの連絡に目をそらしてしまったのが駄目だった。その僅かな隙に奴はハンドガンを取り出して俺の胸を撃ったのである。

 

「がっ……!?」

「……任務完了。帰還する」

 

どこかへ連絡をとるウィンター・ソルジャーだったが、倒れてうつ伏せとなってしまった俺には相手が誰なのか問い詰める余裕などなかった。心臓はどうにか免れたようだが、出血が止まらない。

 

「くそっ……ま……て……」

 

どうにか声を絞り出して呼び掛けるものの、意識を保っている事に限界が来たようで、俺は気を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニューヨークで起きたアベンジャーズとチタウリとの戦いからもう二年が過ぎた。

この二年間で俺はヒーロー活動をほとんど行っていない。いや、行ってはいたんだがスティーブやS.H.I.E.L.D.の精鋭部隊であるS.T.R.I.K.E(ストライク)の活躍によりする必要がなかったのだ。

さらにはスタークもアーマー開発に手をつけるようになり、ソーもいる。ヒーローが何人もいれば、それだけ個々の活動が減るのは当然である。

 

それで、そんな俺が今何をしているのかと言うと……。

 

 

 

「左、失礼!」

「はいはい、左ね!どうぞー!」

「し、失礼っ」

「え、ああ、どうぞ」

 

スティーブが日課としているランニングを一緒にしている最中である。とりあえずスティーブが抜いた人を俺も抜き、どうにか追い付こうとするが流石は超人兵士(スーパーソルジャー)。いくら走ってもなかなか距離を縮められないし、そもそも相手は体力に限界があるのか分からない男である。

 

「スウァーノ、遅いぞ!」

「当たり、前だろ」

 

前から声をかけられるが、どうにかついていってるのが現状だ。日頃から体は鍛えているものの、生身のままで超人にはまだまだ程遠い。

 

「くそぉ……!」

 

体力もほぼ限界に達し、気合いと根性だけでスティーブを追いかけているとさっき追い抜いた人が見えてきた。どうやらまた一周走って追い付いたようだ。たぶん、これで三回目か?

 

「おい、おい!言うなよ!絶対に言うなよ!?」

「左、失礼!」

「くっそぉっ!」

 

何度も抜かれている事に悔しさを感じたらしいが、抜かれた上にまたもや声を掛けられた。そしてスティーブに追い付こうとするものの、既に遥か彼方まで行ってしまっている。

 

「はぁっ、はぁっ……!」

「あー……大丈夫か?」

「だ、だい、じょうぶ、だ……!」

「俺にはそう見えないが」

 

走る、というか小走りになっている男に合わせて走るが、俺以上に限界がきているらしい。小走りから歩きへ、そして立ち止まって近くの木陰へと座り込んでしまった。

 

「はぁ、ひぃ……あんたも、凄いな。あの体力馬鹿に、ついていけるなんて」

「まぁ、最近はよく付き合ってるからな」

 

その間、一度も抜く事は出来なかったが。

 

「そこの君、衛生兵を呼んだ方がいいか?」

「それよりも、肺を取り替えてくれよ」

 

また一周して走ってきたスティーブが冗談混じりに声を掛けるが、男も冗談で返す。まぁ、本当に肺を取り替えた所でこの体力馬鹿になれるとは思えないが。

 

「あんた達、二十キロをたったの三十分で走ってたな」

「そうか、遅すぎるな」

「いや、十分速いだろ?」

 

一マイル(一・六キロ)を一分以下で走れるスティーブとしては遅いのかもしれないが、俺としてはそこまで速く走れていたとは思わなかったんだぞ。

 

「所属はどこだ?」

「第五十八落下傘部隊、今は退役軍人省にいる。サム・ウィルソンだ」

「僕はスティーブ・ロジャース」

「だろうと思った。あんたは?」

 

スティーブと握手し、起き上がらせてもらったウィルソンは俺の名前を尋ねてきた。スティーブはキャプテン・アメリカとして教科書にも載っているから正体が明かされているが、俺は一般に名前を明かしていない。まぁ、する機会がないだけなんだが。

 

「スウァーノ・エイナム。レイって言った方が分かるか?」

「レイ?……えっ、あのレイか!?アベンジャーズの!」

「ああ、そのレイで間違いない」

 

故に名前を明かすと驚かれるのは当然である。

 

「驚いたな。まさかキャプテン・アメリカだけじゃなく、レイにまで会えるなんて」

「たまにこの辺はうろついてるから会ってるかも知れないぞ?」

「そいつは惜しい事をしてたな」

 

実際にここ、ワシントンD.C.にはたまに来ている。その主な理由はS.H.I.E.L.D.の本部施設であるトリスケリオンに用事があるからだ。組織を抜けたとはいえ、出入りはフューリーから許可されている。だから情報を集める為の場所として利用させてもらっているのだ。

 

「スウァーノ、サム。僕はそろそろ行くよ」

「何だ、用事でもあるのか?」

「ああ。任務が入った」

 

スティーブはそう言って通信機を見せてくる。そこには確かに任務を通知する文字が表示されていた。

 

「おつかれ、サム。あれで走ったならな」

「おいおい……それはないだろ?」

「本当の事だ。スウァーノも、おつかれ」

「ああ、おつかれさん。また付き合わせてくれよ」

 

俺がそう言い、スティーブとハイタッチをしていると目の前に一台の車が停まった。その運転席にいるのはアベンジャーズのメンバーであり、S.H.I.E.L.D.のエージェントでもあるナターシャだ。

 

「よっ、ナターシャ。久し振り」

「ええ、久し振りね。男三人でランニングでもしてたの?」

「ああ。ウィルソンは走ってないみたいだが」

「いやいや、走ってただろ!?」

 

助手席に移動し、スティーブと運転席を替わるナターシャは髪型を変えたらしく、セミロングになっていた。

 

「似合ってるな、その髪型」

「ありがと」

「クリントはどうしてる?本部でも見かけないが」

「今は休暇中よ。家族の元に帰ってるわ」

 

なるほど、だから全然見ないのか。一言伝えてくれればいいのにな、そしたら家に遊びに行っていたのに。

 

「またな、スウァーノ」

「ああ。しくじんないようにな」

 

まぁ、あのキャプテン・アメリカがそんな事をするとは思えないけど。スティーブが運転する車が走り去っていき、俺も帰るかと思っているとウィルソンに肩を叩かれた。

 

「今の女の人って、もしかして彼女だったりするか?」

「ナターシャか?いや、そんなんじゃない。よく知ってる仲間なだけだ」

 

それに……彼女ならもういるしな。




前半、書いてる時に「あれ?これだとレイ〉キャプテン・アメリカになるんじゃない?」と思いましたが、単純な強さだけならレイの方が勝ってるんじゃないかな?
戦法や戦略の立案はキャプテンの方が勝ってるだろうけど。

皆さんはキャラの強さを比べる時にどんな事で比べますか?
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