アベンジャーズーホープ・オブ・レイー   作:白琳

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ケツ.ゲ.イイジャナイ12世さん、便所飯さん、評価ありがとうございます!
そしてついに評価バーに色が付きました!

今回は映画『ウィンター・ソルジャー』の裏側で起きていたような物語です。


中編

「どうしたんだよ、こんな所に呼び出して」

 

ある日、俺はトリスケリオンを訪れた後に突然フューリーに呼び出された。近くにあった喫茶店へと連れ込まれ、店員が注文を聞きに来るものの「いらない」と答えて返してしまった。

俺、コーヒー飲みたかったんだが……。

 

「これをお前に託す」

 

フューリーがいつもの強面の表情で小さな紙袋を渡してきた。中を見てみると、入っていたのは一つのUSBメモリであった。

 

「……これは?」

「このまま帰れ。そして誰にも気付かれずに中身を確認しろ」

「は?どういう事だよ」

「あとは任せたぞ」

 

立ち上がり、俺の肩にポンッと手を乗せるとフューリーは喫茶店から出ていってしまった。手元に残されたのはUSBメモリが入ったこの紙袋のみ。

 

「なんなんだよ、一体……?」

 

 

 

タワーに戻ってきた俺は自室にてパソコンを起動した。そしてネットを切る。誰にも気付かれずに、という事だったのでJ.A.R.V.I.S.からも見られないようにしたのだ。それに万が一、何が起きるか分からないし。

 

「さて、それじゃ……」

『スウァーノ様』

 

USBメモリを挿そうとすると、J.A.R.V.I.S.の声が自室に響いた。やはりネットを切った事には気付かれたか。

 

『ネットをお切りになされましたが、何をするおつもりですか?』

「このメモリのデータを見るだけだよ」

『それでしたらネットを切る必要はないと思われますが』

「……個人的な調べものがしたいんだよ。だから誰にも見られないようにな」

『それでしたらトニー様特製のファイアウォールを……』

「いや、いいから」

 

J.A.R.V.I.S.からの申し出を断り、俺はUSBメモリをパソコンに挿し込んで読み込みを始めた。一体何が出てくるのかな、と思っていると画面に現れたのはS.H.I.E.L.D.のマーク。その次に現れたのは様々な情報が収められたファイルの大群であった。

 

「これは……インサイト計画に関連したデータか」

 

ファイルを一つずつ開き、内容を読んでいくと全てインサイト計画に関わるものだという事が分かる。

 

インサイト計画──────船から打ち上げられたスパイ衛星がアルゴリズムを用いて『将来的に“世界平和を乱す危険性”を持つ人物』を捉え、新型ヘリキャリア三機で先制攻撃をし、犯罪を起こす前に排除するというプロジェクト。

S.H.I.E.L.D.の上層部がこの計画を生み出し、世界平和を求めるフューリーも賛成していた。

 

だがこの計画に俺やスティーブは反対している。スタークはこの計画に賛成しており、開発したリパルサー・エンジンを新型ヘリキャリアに提供してしまっているが。

だが反対するのは当然だ。アルゴリズムが敵を捉えても、そいつが本当に"世界平和を乱す危険性"を持っているとは限らない。もし違っていれば、S.H.I.E.L.D.は無関係の人物を殺害したという事になるだろう。

 

それにこの計画がもしも敵に利用されてしまったら。その時、インサイト計画は『世界平和』の為ではなく、『大量虐殺』の為のものとなるだろう。

 

「……ん?」

 

ファイルを読み進め、最後のファイルを開こうとしたが何故か開かなかった。何故かと思い、様々な手段を用いるも開かない。それどころか『解析不能』という文字まで出てきてしまった。

 

「……なるほどな」

 

おそらくフューリーはこの『解析不能』のファイルを開いてもらう為にUSBメモリを託したんだろう。

だが俺では分野が違う。これを得意とするのは、ここの家主と執事である。

 

 

 

 

「こいつは時間がかかりそうだな」

 

スタークがUSBメモリ内の『解析不能』のファイルのみを取り出し、3Dホログラムにして調べているとそう呟いてきた。

 

「そんなに頑丈なのか?」

「いや、面倒な上に壁が多いだけだ。ファイルの中身を無理矢理奥に押し込めた感じだな、これは」

 

つまり時間の問題という事か。とりあえずこれでファイルの中身が何なのか判明する事が確定したな。

 

「しかし何でインサイト計画のファイルと一緒にこんなのが?」

「何か秘密があったりするんじゃないか?」

 

フューリーも知らないS.H.I.E.L.D.の秘密が。そんな冗談を頭の中で思っていると、携帯が鳴り始めた。誰だ?と思いながら画面を見ると、スティーブからであった。

 

「もしもし?どうした、スティーブ。こんな夜遅くに」

『……フューリーが』

「フューリーが、何だ?」

 

途端に俺は身を引き締めて問い掛けた。あのフューリーに何かが起きたという事になると、極めて重大な事態である事に間違いはないだろう。

 

『フューリーが……亡くなった』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スティーブの話をまとめると、こうだ。フューリーはウィンター・ソルジャーに襲われたらしい。そしてスティーブの住むアパートに逃げ込み、『S.H.I.E.L.D.が危険だ』と警告すると同時に俺とは別のUSBメモリを渡したそうだ。

その後、再び現れたウィンター・ソルジャーに狙撃され、運ばれた病院で手術中に死亡が確認されたとのこと。

フューリーの死をS.H.I.E.L.D.の副長官であるマリア・ヒルとナターシャは悲しみ、スティーブも現実を認められない様子だった。俺もみんなと同じ気持ちである。キューブの力を利用し、秘密裏に破壊兵器を開発しようとしていたわけだが俺をS.H.I.E.L.D.に誘ってくれた恩人でもあるのだ。

 

だから……悲しいに決まってるだろ。

 

 

 

 

 

 

「スウァーノ、これを見ろ!」

 

後日、フューリーを殺したウィンター・ソルジャーの情報を集め、それらを整理していた俺の元にスタークが走り込んできた。そして持っていたタブレットをテーブルの上に置く。

 

「もしかして、ようやくファイルが開けたのか?」

「ああ、そうだ!どんなサプライスが待っているのかと思ったら出てきたのは何だと思う?これだ!」

 

スタークに急かされ、タブレットを手に持って電源を入れる。すぐにあのファイルに入っていたデータと思われる文章やら画像やらが映し出され、俺はそれを最後まで一気に読んでいった。

 

「……おい、本当かこれ」

「ああ。信じられないが、本当だ」

 

資料に書かれていた事を読み、俺は唖然とした。インサイト計画に関連したデータである事に変わりはないのだが、それよりもさらに重大な事が書かれていたのだ。

 

インサイト計画の要素の一つであるアルゴリズム。あれは『将来的に“世界平和を乱す危険性”を持つ人物』を捉えるはず。しかしここには『将来、"計画の邪魔になる恐れ"がある人物』を捉えると書かれている。

計画とは何か?誰が考えた計画なのか?インサイト計画とは本当は一体何なのか?

 

それらの疑問に答えるように文章の最後には、とある言葉が書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────『ハイルヒドラ(ヒドラ万歳)』と。

 

 

 

 

ヒドラ……かつて第二次世界大戦中にヨハン・シュミットが率いていた秘密結社だ。戦時中は世界の中でも特に優れた科学技術を有し、最先端の兵器を数多く生み出してきたとして知られている。

元々はナチスの極秘科学部門だったみたいだが、シュミットがキューブを手に入れ、新兵器を完成させるとナチスから独立して世界征服を目論むようになったらしい。

最後はスティーブによってシュミットが倒されて壊滅したと聞いていたんだが……まさかS.H.I.E.L.D.の中に潜んでいたとは。

 

 

 

「とにかくこの事をスティーブに!」

 

ヒドラがまだ存在しているとなれば、必ずスティーブを狙うはず。手遅れになる前にヒドラがS.H.I.E.L.D.内に潜んでいる事を伝えなければならない。

 

『お待ち下さい、スウァーノ様』

「J.A.R.V.I.S.?」

『トニー様、S.H.I.E.L.D.の内部にアクセスする事が出来ました』

「よくやった、J.A.R.V.I.S.!」

 

S.H.I.E.L.D.の内部にアクセス?えっ、あんたヘリキャリアに続いて、またJ.A.R.V.I.S.にそんな事させていたのか。

 

「それでどうだった?」

『現在、S.H.I.E.L.D.は嘘の情報を流しています。スティーブ様に罪を被せ、数日前から逃亡犯として追跡しているようです。また、ナターシャ様も共に行動しています』

「はぁ!?何だそれ!」

 

スティーブとナターシャを捕まえようとしてるだと?おそらくヒドラの仕業だろうが、何でそんな事を……いや、待てよ。確かスティーブってフューリーから……。

 

「そうか……USBメモリだ」

「何?」

「スティーブはフューリーからUSBメモリを受け取ったって言ってた。おそらくそれにヒドラにとってまずい何かが入ってるんだ」

 

きっとナターシャはスティーブを助ける為に一緒にいるんだろう。そして今もS.H.I.E.L.D.の追跡から逃げ切ろうとしているに違いない。

 

「J.A.R.V.I.S.、スティーブとナターシャは今どこに?」

『現在、二人共に車に乗って移動中しています。ワシントンD.C.に向かっているようです』

 

わざわざトリスケリオンがある場所へ行くという事は、インサイト計画の正体について知っている可能性が高い。そしてヒドラの事も。

 

「スターク、俺は今からスティーブ達の所に行ってくる。二人を助けてやらないと」

「なら僕も行こう」

 

ヒドラが相手となれば、仲間が必要だ。スティーブも戦時中にはハウリング・コマンドーズというチームと共にヒドラと戦っていたようだし。

俺が身支度を整えようとすると、スタークは準備万端と言いたげにマーク43を飛来させてきた。

 

「いや、スタークはバナーと一緒にここに残っていてくれ。もしも計画が発動してしまった時、ニューヨークを守れるヒーローがいないと」

「……確かにそれは一理あるな。分かった、こっちは任せておけ」

 

よし、それじゃあ飛んでスティーブ達と合流を……と思った所で携帯が鳴った。こんな時に誰だと画面を見ると、掛けてきたのはマリアだった。

 

「もしもし?」

『スウァーノ、今から指示する場所に来てちょうだい。そこでスティーブ達と合流してもらうわ』

「えっ、マリア?お前、何言って……」

『長官がそろそろ気付いた頃だろうと言ったのよ』

 

フューリーが『言ってた』じゃなくて『言ったから』?いやいや、何で現在進行形?フューリーはもう死んでこの世にはいないだろ?

 

『とにかく場所を指示するわよ』

「お、おう……」

 

どういう事なんだ?一つ、疑問が解けたと思ったら次は別の疑問が出てくるとか勘弁してくれ。




次回からまたスティーブ達が出てきます。あと、映画では出てこなかった敵も登場する予定です!

ちなみにオリ主のスティーブへの呼び名が前回からロジャース→スティーブに変わっているんですが、気付いているでしょうか?
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