ドラマ作品ももちろん見たいけど、登録してないから見れない……。
クリントの操縦の元、辿り着いた『安全な場所』。そこは俺とナターシャにとって見知った場所であった。
周囲が森に囲まれ、大きな農場を持つ一軒家のすぐ近くにクインジェットは着陸する。
「……?ここが安全な場所か?」
「ああ、だといいんだが」
「なるほどな、考えたなクリント」
フューリーの命令によりS.H.I.E.L.D.の記録に存在されず、一部の知る人間を除いて隠されてきた場所。
インターネット回線を全て掌握できるウルトロンですら特定できない──────クリントの家族が住む彼の家が、世界で一番安全な場所なのだ。
「あっ、パパ!おかえり!」
「おおっ、ただいま」
一夜ずっと寝込んでいたにも関わらず、未だ体調が悪いメンバーを支えつつ家の中へ入ると、長女であるライラがクリントの胸元へと飛び込んできた。
「パパだ!」
「クーパーも元気だったか?」
後から走ってきた長男のクーパーの頭を撫でていると、ドアの向こうから入ってきた女性がクリントの傍に立った。
「紹介するよ。娘のライラと息子のクーパー。それからローラだ」
「初めまして、皆さんの事は知ってるわ」
クリントの奥さんであるローラのお腹は前よりも膨らんでいるな。第三子を妊娠中であり、今度は男の子と聞いているが、そろそろ産まれるんじゃないか?
「ナターシャおばさんとスウァーノおじさんもいっしょー?」
「え、ええ……大きくなったわね、ライラ」
「まだおじさんって年齢じゃないって。お兄さん、だ!」
メンバーの中で一番精神への負担が大きいナターシャをこれ以上追い詰めない為に、俺は子供達の相手をする事にした。ライラの背後に回り、彼女を持ち上げて肩車をしたのだ。
「たっかーい!」
「僕もやって!」
「ああ、待ってな」
ライラを肩車した状態で回ると、彼女からさらに喜ぶ声が聞こえてくる。そろそろクーパーと交代してやるかと思っていると、隣から何かを踏み潰した音が聞こえてきた。
「む……」
「何してんだよ、ソー」
どうやらソーが組み立ててあったブロックを踏んでしまったらしく、足をどけるとバラバラになってしまっていた。おそらく製作者であるライラからは睨まれてしまい、ソーはまた踏まないよう足でブロックをどけていった。
「やはり……気になるな」
「ソー?どこに行くんだ、ソー!?」
何かボソッと呟いたソーは突然家の外へと出ていき、それをスティーブが追いかける。しかし少し話をした後にソーはムジョルニアを振り回し、どこかに飛んでいってしまった。
「どうしたんだ、あいつ」
「さぁ?」
知ってるわけないだろ。俺に聞かれても困る。
ソーがこの場から去った後、スタークとスティーブはローラからの頼みで薪割りを始めた。
ナターシャは何を見せられたのかは分からないが、随分と心に傷を負っているらしくバナーが互いを癒すように話をしている。
クリントは私服姿に着替え、久し振りに家に帰ってきた事からローラとの会話を楽しんでいた。仲がいい夫婦だよな、本当に。
「…………」
俺と散々遊んだライラとクーパーは二人で遊びを始め、自由になった俺はソファーに深く座り込んだ。
さっきまで考えないようにしていたが、一人になるとどうしてもあの事を思い出してしまう。
もしもあれが俺の失った記憶の一部であり、本当に両親がスターク社の兵器で殺されたんなら、つまりスタークは俺にとって両親の仇という事だ。
いや、本当に仇となるのは兵器を買い、撃ち込んだ奴だろう。スタークは方法に問題があっただけで、本気で世界平和を目指していたヒーローだ。
「……でも」
恨むべき相手がスタークじゃないのは分かってる。だがそれを理解していても、心の内に眠る感情までは抑える事が出来ない。
今まで仲間として共に戦ってきた相手が実は両親が殺した兵器を作った張本人だったのだ。そんな相手とこれまでと同じ様に接する事が出来るだろうか?
「俺は……どうしたらいいんだ」
時間が幾分か経ち、昼を過ぎた頃に残っているメンバー全員がスタークに倉庫へと呼ばれた。何だろうかと思いつつ向かうと、久し振りに会う人物がそこにいた。
「……フューリー、何であんたがここに?」
「決まってるだろ。お前達を助けに来たんだ」
その後、フューリーからの情報でウルトロンの行方が分かった。奴は今まで何度も核ミサイルを奪おうとしていたようだが、何者かがアクセスされる度に発射コードを書き換え、守っていたらしい。この人物の正体を突き止める為に、スタークがノルウェーにあるインターネットの世界的中枢施設の『ネクサス』に向かう事となった。
そして現在。ウルトロンはソウルにある研究所でヘレン・チョを襲い、彼女が開発したクレードル、奪ったヴィブラニウム、そして杖の先端にある宝石を組み合わせて最強の人工肉体を生み出そうとしているようだ。
「とにかくウルトロンを止めよう。僕とナターシャ、スウァーノとクリントで向かう」
「ええっと……キャプテン、僕はどうすればいいかな?」
俺達がクインジェットに乗り込もうとした所で、一人残されているバナーがスティーブに問い掛けてきた。
「バナー博士はフューリーの車でタワーに向かってほしい。そこで出番を待っている
俺達がソウルの研究所に辿り着いた時点で、クレードルはウルトロンに奪われてしまっていた。ヘレン・チョは怪我を負っていたものの命に別状はなく、彼女曰く奴はまだ新たなボディにアップグレードできていないらしい。
ならここからの作戦は簡単だ。研究所からクレードルを乗せて出てきたトラックに飛び移り、ウルトロンを倒してクレードルを奪う。たったそれだけの話だ。
『キャプテン、スウァーノ。奴を乗せたトラックが下を通るぞ』
「ああ、分かった。……スウァーノ、行くぞ」
「いつでもこっちはいいぜ」
アーマーに搭載されている武器を全て起動させ、そう答える。そして俺達がいる橋の上をトラックが通り過ぎようした瞬間、俺達は互いにコンテナの上へと飛び降りた──────が。
『っ、スウァーノ!?』
スティーブの声が無線から聞こえてくる。本来なら直接言葉を交わせるはずなのに、何故無線から?と思うだろう。
その理由は俺だけがコンテナに乗れず、それどころかトラックから凄い勢いで離されているからだ。
『二人も相手するには分が悪いからな。一対一とフェアにいこうじゃないか』
「ウルトロンッ……!」
どうやら奴のボディはスタークに壊されたものとクレードルを守っているものに加え、もう一つあったらしい。
飛んだ瞬間に横から体当たりされると同時に捕まえられた時は一瞬だが驚いた。
「ぐぁっ!?」
俺の首を絞める手と片腕を掴む手からの拘束から逃れようとしている間に壁へと叩きつけられた。それも何回もである。
「こ……のっ!」
『うおっ!?』
アウトエナジーをバリアのように展開し、奴を弾き飛ばす。続けてブーストラルを用いてハイ・エナジーレイを撃つも隙が大きかった為に、片手を消し飛ばすだけに終わった。
『やったな!』
奴が残っている手から光弾を連続で撃ってくる。それを俺は全て吸収し、一気に放出すると共に融合させて大きな光弾へと変えた。
「ほらよ、返すぞ!」
それをウルトロン目掛けて投げつける。避けようとしていたが、間に合わず真っ正面から受ける事となった。
だが流石というべきか、大きな傷は負っておらず表面が黒く焦げただけであった。
『ふん、自分の攻撃に対策がされていないわけがないだろう』
「だったらこれでも食らっとけ!」
両肩から姿を現した追尾型のミサイルを発射する。ウルトロンの攻撃により片方は潰されたが、もう一つは奴の顔を直撃した。
『むぅっ!?』
爆煙で視界を遮り、その間に奴の背後へと回り込む。気付かれない内にハイ・エナジーレイを撃ち、今度こそ直撃させた。
『卑怯な手をっ……!』
「お前には言われたくないっ!」
背中を大きく抉られ、片手を失っていた腕も消えたウルトロンがそう言ってくるが、レギオンを操ったり精神操作が出来る女を仲間に引き入れて悪夢を見せてくるお前も十分卑怯だろ。
「これで……!」
『なら、こういうのはどうだ?』
下に見える道路へと手を伸ばすウルトロン。するとそこを走っていた車の何台かが吸い寄せられるように空中へと浮かび始めた。
「お前、何を……!?」
『磁力を操っているんだ。だから……こういう事も出来る』
手元まで浮かんできた車を奴は磁力を反発させたらしく、俺に向かって勢いよく飛ばしてきた。
さっきまで走っていた車の中には当然人が乗っている。車体を受け止めて勢いを殺すと、アウトエナジーを纏わせて操り、道路へと降ろしてあげた。
『ほら、どんどんいくぞ!』
「……っ!?」
空中へと引き寄せた車を次々に俺へと飛ばしてきた。あれら全てを受け止める事は出来ない。少々荒っぽいが、飛んでくる時点でアウトエナジーを纏わせて動きを止めてみせた。おそらく車内にいる人達は急に止まった衝撃で怪我をしてしまってるかもしれないが。
「なかなか……キツいな……!」
数台の車を一度に、それも慎重に操るというのはなかなかに難しい。集中力を切らしてしまえば、アウトエナジーが消えて全ての車が真っ逆さまに落ちてしまうだろう。
『隙ありだ!』
「がっ!?」
なんて思っていると、目の前まで飛んで来たウルトロンに勢いよく殴られて壁に激突した。そのせいで気が散ってしまい、危惧していた通りに車が落下を始めてしまった。
「くそっ!」
こうなった以上、仕方ない。俺は車を次々に弾き、道路へと飛ばしていった。そして最後の車は地面へと正面からぶつかる寸前で止め、ゆっくりと降ろしてあげる。
「ふぅ……ウルトロン!!」
俺は飛び上がり、浮かんでいるウルトロンに突っ込む。しかし奴が俺を避ける事はなく、アウトエナジーを纏った拳が顔半分を吹き飛ばしても反撃すらしてこなかった。
『お遊びは終わりだ、エイナム。時間稼ぎはこれで十分だ』
「なに……っ!?」
咄嗟に危険を感じ、バリアを張る。ウルトロンの胸元が光ったと思うと自爆を引き起こし、衝撃で吹き飛ばされた俺は停車中の車へと叩きつけられた。
「ぐっ……時間稼ぎ?一対どういう事だ?」
脳みそが揺れるような感覚に陥り、頭を振って意識をハッキリさせる。そうしていると、クリントから通信が入ってきた。
「どうした?クレードルは?」
『クレードルは回収したが……ナターシャがウルトロンに連れ去られた』
「はぁっ!?」
『俺は……タワーに戻る。スウァーノ、キャプテンの方を頼んだ。何やら大変な事になってやがる』
そう言ってクリントは通信を切った。だが長年の付き合いにより、あの二人は互いになくてはならない関係となっている。となると、ナターシャが無理矢理にでもタワーに行くよう命じたに違いない。
ナターシャはもちろん心配だが……『何やら大変な事になってる』らしいスティーブも心配だ。一刻も早く向かおう。
「って言っても、絶対
俺が飛んで向かうのは凄まじい勢いで脱線し、街中の道路を走っている電車である。しかも運転席の窓が割られている所を見るに、運転士のミスといったわけじゃないだろうな。
「スティーブ、こっちは片付いた!今、脱線してる電車の中にいたりするか!?」
『いる!電車を止めるぞ!君は前から電車を押してくれ!』
「分かった!」
電車の正面へと飛んでいく途中にアウトエナジーで全身を覆い、形を変えていく。イメージするならハルクバスターみたいな巨体だ。
「あれは……?」
車輪が見覚えのある赤い霧状のものに包まれて止まり、地面に押さえつけられて摩擦を起こしている。さらには前方で
「…………」
何故あの二人がここにいるのかは知らないが、どうやらこの電車を止める為に頑張ってくれているらしい。なら俺も頑張らないと格好がつかないだろう。
「ふん……ぬっ!」
電車の前に着地し、アウトエナジーで構成した巨大な両手で受け止める。その衝撃は凄まじく、直接受け止めているわけでもない俺を痺れるような感覚を襲ってきた。
同じく巨大な両足で踏ん張るも、電車は止まる事なく地面を抉りながら俺は押されていく。
「だったらこれも!」
アーマーの足裏、背部に搭載されているスラスターも起動させてジェット噴射を開始する。
しばらくすると電車の速度が落ち、突き当たりに見える建物に激突する寸前でようやく止める事が出来た。
「止まったか……」
覆っていたアウトエナジーを消し、スラスターも止める。地面に着地すると、電車の中からはスティーブと少し前までウルトロンと一緒にいた兄妹の片割れ、ワンダが乗客と共に出てきた。
「ワンダ!」
「ピエトロ……大丈夫?頑張ったわね」
彼女の隣に突然現れた片割れの兄、ピエトロは妹であるワンダを心配するが彼女も兄の事を心配していたようだった。昨日戦った相手だが、いい姉弟だな。
「スティーブ、ウルトロンは?」
「……すまない、逃げられた。クレードルは回収できたが……」
「ナターシャが拐われた、か」
どうしてウルトロンはナターシャを?まさか洗脳とかなんかして仲間に引き入れようとしてるわけじゃないよな……?
「それと君達……逃がしてやりたいが、一緒に来てもらうぞ」
「ええ……いいわよ」
まぁ、確かにこの二人は戦力として申し分ないしな。戦わないにしても、出来る事はたくさんあるだろうし。
ワンダから返事をもらったスティーブはスタークに連絡をするが……出ないようだ。それどころか誰も。
「……もしかして」
「何か心当たりが?」
「今、クレードル……というかウルトロンが作った人工肉体はタワーにあるだろ?」
「あの中に入ってるのは悪魔だわ!」
途中、ワンダが話に割り込んでくる。どこか怯えた様子だったが、ピエトロに抱き寄せられて落ち着いたらしい。
何にせよ、あの中に入ってる人工肉体は非常に危険って事だろう。
「スウァーノ、それで?」
「……そいつにあの好奇心旺盛な科学組が手を出さないと思うか?」
まだ予想の範囲を出ないが……確認する為にも早くタワーに戻った方がいいな。
予定では次で終わりますが……終わるかな?
あと、エイジ・オブ・ウルトロン終了後にこの作品の最終的な目標を発表したいと思います。