戦闘描写を長々と書くと流れが悪くなってしまう為、今回戦闘描写は短めです。
あとがきでこの作品の目標を発表します!
アベンジャーズタワーに戻ってからの話をしよう。結局、やはり科学者二人は人工肉体を弄っていた。どうやら記憶を捨てて生き残っていたJ.A.R.V.I.S.をアップロードさせて新たに味方を作ろうとしていたらしい。
ウルトロンの件があった為、俺とスティーブは反対したが、突然戻ってきたソーの雷撃を受けた事でそれは無駄に終わってしまった。
そして生まれたのが──────
「えっと……じゃあ、ヴィジョン?」
「はい」
「お前は俺達の味方……で合ってるんだな?」
「合っています。ウルトロンを止める為、貴方達を手伝わせてください」
どうやらウルトロンとは違うようで、俺達に敵対意識はないらしい。まぁ、ソーのムジョルニアを軽々と持ち上げた時点でほぼ確信していたんだが。
ちなみにソー曰く、ヴィジョンの額に埋まってる石はインフィニティ・ストーンと呼ばれる物らしい。それ一つで全てを破壊できると言われてるみたいだが……マジか。
「スウァーノ!」
ウルトロン、そしてナターシャが捕らえられているソコヴィアに向かう為に準備をしている途中、背後から走ってきたミアに抱き付かれた。
「大丈夫だったか!?色々あったんだろ!?」
「ああ、平気だ。ミアも元気になったのか」
「次の日にはな!」
降り立つミアが着ているのは私服でもなく、前まで着ていた自作の戦闘スーツでもない。
スタークがミアのスーツを元に、強化改造した新たな戦闘スーツであった。
「なぁ、これどうだ?凄いだろ!?飛べるんだぞ!」
ミアはそう言って、履いている反重力ブーツを起動させる。それによりミアの体が浮かび上がるがここは室内だ。興奮していたせいもあって、天井にガツンッという音が鳴り響いた。
「いった~!?」
「少し落ち着けよ、ミア……」
ミアは頭を押さえながら降りてくる。それを俺は呆れながら見届けていると、後ろから声をかけられた。
「エイナム!」
「ん?……ウィルソン、それにローズも」
歩いてきたのはウォーマシン マーク2を纏ったローズに、新たなフライトスーツを背負ったウィルソンであった。
「今度は俺達も参加させてもらうぞ?」
「程々の時がよかったんじゃないのか」
「まぁな。でもスタークからプレゼントされたこの新品を早く試したくてな」
アベンジャーズのメンバーに、マキシモフ姉弟、ヴィジョン、ミア、ウィルソン、ローズという六人のメンバーが加わった今ならば。
必ず──────
……と思っていたんだが。
「何する気なんだ、あいつ……!?」
精神操作で市民を街の外へと避難させるワンダ、避難を伝えるピエトロ、上空から安全を見守るウィルソンとローズを中心に俺達はこれから戦場となるソコヴィアから市民を逃がす事にした。
だがそれが完了する前に、地響きと共にソコヴィアが上空へと浮かび始めたのだ。
『あいつはこの街を隕石みたいに落とすつもりよ!』
「なっ!?」
どこまで上昇させるつもりなのかは分からないが……この街を本当に隕石に見立てるなら、被害は最悪なものになるぞ……!
『街を浮かべてる装置は教会にあるぞ。だがその前に──────』
『ああ、市民の安全を確保しないと』
どうやら装置の場所は既に分かっているようだ。それを壊せばこの街の浮上は止められるだろうが、同時に落下する事となる。
どうにかして市民全員をこの街から脱出させないと……。
『おい、わんさか来たぞ!』
空中を飛ぶローズから連絡が入る。それと同時に周囲の地面から這い出るように、ウルトロン似のロボットが次々に現れてきた。
『皆様……ウルトロンは現在、ネットワークから切り離されています』
「つまり?」
『今いるロボットを全て倒せば、ウルトロンを完全に倒せるという事だ』
ヴィジョンからの報告、そしてスタークの言葉に全員の士気が上がる。今まではいくら倒しても新たなボディと共に復活されたが、それが出来ない今が唯一のチャンスだろう。
『……みんな、聞こえるかしら?』
『っ、ナターシャ!無事だったか!?』
『ええ、ありがとクリント。今、ハルクと一緒にソコヴィアに飛び移った所よ』
これでアベンジャーズ全員集合だな。ハルクが市民を巻き込まないか心配だが、うまく逃げてくれる事を願おう。
「スウァーノ、なにボサッとしてるんだ!あたし達も戦うぞ!」
「ああ、分かってるよ」
反重力ブーツで空を飛び、取り出した多節棍でロボット達を薙ぎ倒していくミアを追うように俺も飛び出していった。
次々に襲いかかってくるウルトロンに似た奴の手下、名付けるならばウルトロン・セントリーだろうか。その数は多いが、これ以上増える事はない。それはいいんだが──────
「あぶないっ!」
奴らが人質にとろうとした家族を守るように、俺は彼らの前へと降り立つ。そしてハイ・エナジーレイを撃って奴らを遠くへ吹き飛ばした。
「早くここから逃げろ」
「は、はいっ!で、でもどこに逃げれば……?」
それなんだよな……ここが空中である以上、逃げられる場所がない。市民を守りながら戦わないといけない以上、それが一番の問題なのだ。
「スウァーノ!あっちに怪我人が……助けないとまずいぞ!」
手首から放った複数のワイヤーをウルトロン・セントリーに撃ち込み、高圧電流を流し込んでショートさせていくミア。
その先には瓦礫に埋もれた怪我人を助けようとする人達が見えた。
「スティーブ、避難できなかった市民が多い。このままじゃ……」
『ああ……だが今は手段がない。スタークが色々と模索してくれているが……』
空を飛べるメンバーで何人かずつ地上に降ろしていく?いや、それだと時間がいくらかかるか……。
『困ってるみたいだな。懐かしのものを持ってきたぞ』
突然無線に割り込んできたのはフューリーの声。一体どこから、と思っていると浮かぶソコヴィアの隣に旧式のヘリキャリアが現れた。
アベンジャーズ結成時にS.H.I.E.L.D.の拠点となっていたものである。
「フューリー!!」
『市民をヘリキャリアに誘導しろ。ライフボードで救助する』
そう言ったと同時にヘリキャリアからは複数の救助挺がソコヴィアに隣接するように浮かび始めていた。
『ローズ、君はライフボードと市民の安全を頼む。サムは怪我人の救助に回ってくれ』
『了解』
『こっちは任せろ、キャプテン』
これで市民の安全は確保できたな。
「となれば、あとはあいつだけか」
ウルトロン・セントリーを撃破しつつ俺達は教会にある装置へと向かう。ソコヴィアはかなりの高さまで上昇し、ここで落とされたら間違いなく地球そのものがもたないかもしれない。
「全員、来たみたいだな」
市民の救助に回っているローズとサムを除いたメンバーが教会に集まった。ピエトロはどうやら警察官からの誤射で怪我したらしく、出血していた。
「大丈夫か?」
「ああ。これくらい、なんともない」
「……来たぞ」
ソーの一言により全員が教会の外へと目を向ける。そこには一段と大きくなったウルトロンがいた。
『一ヶ所に集まってくれて嬉しいぞ。これで纏めて倒せる』
「お前一人でか?貴様の仲間は全員倒したぞ!」
『これを見てもそれが言えるか?』
ウルトロンが手を上げる。すると一斉にあちこちからウルトロン・セントリーの大軍が教会の周りへと押し寄せてきた。
「……まだこんなにいるなんてね」
「あいつを怒らせたぞ」
しかしまだこんなにも残っていたとは。全然片付かないと思っていたが、まさしくその通りである。
『これが私の全力だ。お前達全員と私全員……果たしてどちらが勝つだろうな?』
ウルトロンはそう言って俺達を指差し、攻撃命令を出す。この街を落とす為に俺達を倒し、装置を動かせと。
「みんな、絶対に装置に触れさせるな」
「ああ、分かってる」
『装置を丸になって囲むぞ、いいな?』
スタークの指示により、俺達は装置を取り囲む。四方八方から迫ってくるウルトロン・セントリーから守る為に。
相棒の盾を投げつけるキャプテン・アメリカ。
サイコキネシスを放つワンダ・マキシモフ。
弓数本を同時に放つホークアイ。
多節棍を叩きつけるミア・トレスファー。
自慢の怪力で叩き伏せるハルク。
スティックを操るブラック・ウィドウ。
超人的速度で駆け出すピエトロ・マキシモフ。
両手からハイ・エナジーレイを放つ
ムジョルニアを凪ぎ払うソー。
マインド・ストーンから光線を放つヴィジョン。
空中からリパルサーを放つアイアンマン。
それぞれが目の前の敵と戦い、時には隙をついて抜けてきた相手を倒す。
互いが互いを支えながら、俺達はウルトロン・セントリーを倒していく。
そして──────
「……終わったか」
「ああ、ようやくな」
俺達はライフボードに乗り込み、隣にいるスティーブにそう声を掛ける。
ワンダがウルトロンのコアを抜き取る事で機能停止させ、スタークのソーの協力によりソコヴィアは墜落する前に粉砕された。
市民もローズとウィルソンの協力により無事に救出され、ヘリキャリアに乗り込む事が出来た。
だが……何もかもがうまくいったわけじゃない。
「ピエトロ……お願いよ。目を開けて……」
クリントと子供を助ける為、ピエトロはその犠牲となってしまった。ワンダがずっと声を掛けるが、彼が動く様子はない。
「……ロマノフ、大丈夫か?」
「ええ……大丈夫よ。ごめんなさい、心配かけて」
ミアは座り込んだまま落ち込んでいるナターシャに声を掛けるが、それは当然だろう。
想いを寄せていたバナーはハルクの姿になったまま、クインジェットに乗り込んで姿を消してしまったのだ。しかも唯一心が通じ合っていたナターシャの通信にも応えずに。
「…………」
俺達は戦いには勝った。だが失ったものも多くあったのだ。
「……もう、いくのか?」
「ああ、これから忙しくなるからな」
車を呼び寄せ、乗り込むスタークを俺は呼び止めた。ウルトロンを作り、今回の事件の元凶となった償いをする為にアベンジャーズを脱退するのだ。
その他にもインフィニティ・ストーンを調べる為にソー、家族を守る為にクリントもアベンジャーズから去ってしまった。
「……なぁ、スターク」
「何だ?」
「前に、あんたに襲いかかった事があるだろ?あれ、実は……」
「ああ、そんなこと分かってるさ」
夢で見た事を話そうとした所で話を遮られてしまった。分かってるって……えっ、どういう事だ?
「僕の知らない所で誰かに迷惑をかけてしまってるのはよく知ってる。まさか君にまでかけてしまってるとは思わなかったが」
「いや、それはそうだけど……そうじゃなくて」
「……すまなかった」
スタークから一方的に謝られてしまった。別に俺はそれを望んでいるわけじゃないんだが……。
「それじゃ……僕は行く。また、暇になったらこっちにも寄るからな」
「あ、ああ……」
そう言ってスタークはエンジンを吹かし、走り去ってしまった。
「…………」
このスタークに対するモヤモヤとした気持ちは……どうすれば晴れるんだろうか?
「スウァーノ、早く来いよっ!キャプテンが呼んでるぞ!」
「ちょっ……行くから待てって、ミア!」
チームから主力となっていた四人が脱退し、新たに五人が加わる事となった。
今回の戦いでも活躍してくれたミア、ワンダ、ウィルソン、ローズ、ヴィジョンである。
さらには基地をタワーからスターク社の倉庫を改装した施設へと移し、元S.H.I.E.L.D.のスタッフやヒーローと親交がある人達がサポーターとして加わる事となった。
色々とやらなければいけない事はあるが……まずは新メンバー達のトレーニングからだな。
地球より遥か遠い場所にて────────
…………私は、自身のみが入る事を許した部屋へと向かっている。そこに今まで大切に保管してきた物を手に取る為に。
「────様、ついに始めるおつもりですか?」
「ああ、そうだ」
後ろに控える優秀な配下からの質問に答える。今までも計画を練り、動き始めてはいたがどれも失敗してきた。
復讐心に駆られたアスガルド人を利用したはずが、マインド・ストーンもスペース・ストーンも手放す結果となった。
同じく仇敵を憎むクリー人を使い、パワー・ストーンを手に入れようとしたが、ストーンはノバ軍に奪われ、奴は消滅した。
だからこそ私が動き出す。わざわざ私が出向く必要はないと考えていたが、確実に手に入れるにはそれしかないだろう。
「エボニー・マウよ、全軍に伝えよ。インフィニティ・ストーンの捜索を始めろと」
「はっ!」
この場から消え去る配下から視線を外し、辿り着いた部屋へと入る。その奥に見える扉…………私のみに反応する厳重なロックが解かれていく。
そして何重もの壁が開いた果てに、台座の上に置かれた物へと左手を伸ばす。
「さぁ……この
"インフィニティ・ガントレット"を嵌めた左手を掲げ、私はそう宣言したのだ。
最後ので分かると思いますが、最終的な目標はサノスが登場するインフィニティ・ウォー、そしてエンドゲームです!
オリ主、第三者以外で初めての別視点であるサノス視点なのはちょっとした練習です。サノスって、こんな感じでいいですか?