アベンジャーズーホープ・オブ・レイー   作:白琳

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オリ主の過去の一部、そして力をどうやって手に入れたのかがようやく判明します!


レイ~オリジン・ストーリー3~
目覚める記憶


「……ねぇ、本当にいいの?」

「ああ、やってくれ」

 

俺が座る椅子の背後でワンダが両手を赤い霧で包む。これからワンダの力により、俺の失った記憶を少しでも思い出させてもらうのだ。

これに関しては既に実証済みだ。ウルトロンとの戦いの時、俺はワンダに襲われて『両親がスタークが作った兵器により殺された』という過去を思い出したのだ。

 

ちなみに────今している事を俺とワンダ以外、誰も知らない。知れば絶対に反対されるからだ。特に恋人のミアとリーダーのスティーブには。

 

「じゃあ……いくわよ」

「おう」

 

ワンダの指がゆっくりとこめかみに触れる。

 

そして俺の意識は────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────…………なぁ、先生」

「ん?どうしたの?」

 

両親をあの紛争で失った俺は他の子と同様に、孤児院へと引き取られた。そこでの生活に不満があるわけでも嫌な事があるわけでもない。

ただ──────何年経っても、あの時の事を忘れられないのだ。

 

「俺、ここを出ていく」

「……出て何をする気なの?」

 

──────そんなの決まってる。

 

「強くなって、偉くなって……いつかあいつ(トニー・スターク)に仕返ししてやりたいんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────……おい、大丈夫か?」

「だ、大丈夫に……決まって、るだろ……」

 

残っている敵の傭兵を気絶させ、後ろにいる少女へ声をかける。初めは女でありながら傭兵という事に驚いていたが、流石に力では男に勝てず、囲まれた所を助けてあげたのだ。

 

「その割には息が苦しそうだぞ?」

「う、うっさいんだよっ!」

 

持っているナイフを振り回してくるが、疲れきった体ではうまく扱えずに腕を掴まえられ、俺にナイフを奪われるという羽目となった。

 

「あっ、お前っ!返しやがれ!」

「…………」

 

殴りかかってくる少女を片手で制しつつ、状況を把握する。敵はあと僅かとなり、残っている味方だけで抑えられてるといった感じだ。

 

「おい、ここはあいつらに任せて退くぞ」

「はぁっ!?ふざけんな、あたしだってまだ戦えるんだよ!」

「今の状態で戦っても邪魔になるだけだ」

 

別にこの少女がどうなろうと構わないが、無理に突っ込んで殺される姿は見たくない。ただそれだけだ。

 

「ほら、行くぞ」

「おいこらっ!引っ張るな!担ぐな!降ろせぇぇっ!!」

 

 

 

 

 

「おい、エイナム!」

「……ん?ああ、トレスファーか」

 

とある地域の紛争に参加し、敵を薙ぎ倒していると声を掛けられた。その相手は、好戦的な少女ことミア・トレスファーであった。

 

「この前はよくもやってくれたな!勝ち逃げしやがって!」

「逃げたわけじゃない、戦いに戻っただけだ」

 

ギャーギャーとうるさいこの少女から、俺は何度も勝負を挑まれてる。出会い方に問題があった事は分かっているが、既に変える事が出来ないのでどうしようもないのだ。

 

「エイナム、あたしと勝負しろ!今度は逃げるなよ!?」

「だから逃げてないって……で、内容は?」

「どっちが相手を多く倒せるかだ。負けた方は相手の命令を一つ聞く、どうだ!?」

 

今までも似たような勝負は挑まれているが、勝った方は負けた方に一つ命令できるとか……自分の体をもっと大事にしろと言ってやりたい。

 

「断ったら?」

「お前が受けるまで何度でも言ってやる」

「……分かったよ。その勝負、受けてやる」

 

いつまでも言われてちゃしつこいったらありゃしないからな。

 

 

 

 

 

「げほっ……おい、大丈夫か……!?」

 

戦闘中、敵が用意していた装甲車から発射された砲弾が俺とトレスファーの近くに着弾し、俺達は吹き飛ばされたあげく、池へと落ちた。

互いに意識を失ってしまったが、先に目覚めた俺がどうにかトレスファーを引き上げたんだが……目を覚まさないのだ。

 

「おい……しっかりしろ……!」

 

全身がズキズキと痛むも、全部無視だ。彼女を目覚めさせようと心臓マッサージを繰り返すがまったく反応が返ってこない。

 

「……くそっ!」

 

躊躇っていたが、しょうがない。あとで何を言われるか分からないが、俺はトレスファーと直接唇を合わせて人工呼吸しながら心臓マッサージを続けた。

 

「けほっ……げほげほっ!」

 

それから数分後、トレスファーは口から水を吐きながら目覚めた。丁度俺が彼女の口から顔を離し、心臓マッサージへと移行する瞬間である。

 

「おい、大丈夫か!?」

「お、おう……だい、じょうぶ……」

 

まだ苦しそうだが、意識はハッキリとしてきたらしい。俺と目を合わせると、何かを思い出したかのように手を口へと添えた。

 

「お、お前……」

「……何だよ?」

「あ、あたしのファーストキス……奪っただろっ!?」

 

どうやら目覚める寸前にしていた人工呼吸の事には気付いていたらしい。ややこしくなるからバレなきゃいいなと思っていたが……どうやらそううまくはいかないらしい。

 

「しょうがないだろ、あんな状況じゃ」

「うるさいっ!せ、責任とれ!あたしのファーストを奪った事の!」

「責任って……」

 

そう言われてもな……どう責任をとれと言うのだ。

 

「あ、あたしのっ…………()()になれ!」

「……は?」

「い、いいだろ!勝負はあたしの方が勝ってたんだから!」

 

まぁ、それは間違ってないが……しかし彼女ね。今までも色々な人から作れ、作れと言われてきた言葉だな。

 

「じゃあ……よろしく頼むな」

「……えっ?」

「ん?」

「あっ、え、えっと……よ、よろしくお願い……します……」

 

どうしてそこで敬語になる……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……スウァーノ・エイナムだな?」

「誰だ、あんたは」

 

誰かにつけられてる事に気付き、俺は裏通りへと入った。そこでようやく声を掛けてきた相手はフードにサングラスなど、自身の正体を完全に隠した人物であった。声からして唯一、男性だという事は分かるが。

 

「お前に頼み事があるんだ」

「頼み事?」

「そう、しかもとっても簡単な事だ。こいつに触れてくれるだけでいい」

 

手を入れ、探っていたポケットから取り出したのは──────オレンジ色に輝く不思議な石であった。

 

「……そいつは?」

「多くは言えないな。名前が()()()()()()()という事以外は」

「……ソウル・ストーン?」

 

何だ、それは?言い換えれば『魂の石』だが……そもそも俺がそれに触れた所で一体どうなるって言うんだ?

 

「頼む。お前がこれを触れるか触れないかで……変わるかもしれないんだ……────が」

「おい、何が変わるって……」

「……すまん!」

 

素早く俺の右手を握った男は、俺が抗えない程の信じられない力で引っ張った。まるで切羽詰まった人間のような気迫で。

 

 

そして──────俺の手はソウル・ストーンへと押し付けられた。

その瞬間に俺の中で何かが生まれると同時に、大事な何かが消えた感じがしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────…………これは。

 

「目覚めたわね。そこで貴方が忘れていた記憶は終わりのはずよ」

 

過去を夢として見ていた俺が起き上がると、ワンダがそう告げてくる。

しっかり見えた過去の他にも、うっすらと見えた過去などがあるが……一番知りたかった過去は見る事が出来た。

 

「ソウル・ストーン……」

 

それが俺を記憶喪失にしたと同時に……代わりに万能光術(エナジー・アーツ)を与えた代物であったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく思い出したんだな、スウァーノッ!!遅すぎるんだよぉっ!」

「悪かったな、ミア」

 

子供のように泣きじゃくりながら抱き付いてきたミアを俺も抱き締める。落ち着くまでこのままでいようと考えていると、ワンダから記憶の目覚めさせ方について尋ねていたスティーブが、怒った表情で近付いてきた。

 

「スウァーノ、君が記憶を取り戻した事は嬉しく思ってる。でも……やり方が問題だ。せめて僕達に相談してくれれば……」

「いいじゃんか、ロジャース。こうして記憶は戻ったんだからさ」

「キャプテンはそういう事を言ってるんじゃない、ミア……やり方が危なすぎるって言ってるんだ」

 

俺に抱き付いたままスティーブに反論するミアだが、それに対してローディが間に入ってくる。

 

「スウァーノはチームにとって大事なメンバーなんだぞ。もしも何かがあって……目覚める事がなかったらどうするつもりだったんだ、ワンダ?」

「えっ……?」

 

ローディがワンダの方へ振り向き、質問を投げ掛ける。確かに俺に何かがあったら、手を掛けたワンダに責任が押し付けられるだろう……だが。

 

「待てよ、ローディ。俺はワンダなら出来ると信じて、頼んだんだ。何があっても、それは俺の自業自得だ」

「ああ、お前はそうかもな。でも周りはそうは思わないんだよ」

「わ、私……その……」

 

「────……ワンダ」

 

ローディに詰め寄られるワンダの前にヴィジョンが降り立つ。

 

「落ち着いてください、大丈夫です。エイナムは記憶を取り戻した、つまり貴女が責任を負う必要はありません」

「……そうね。仮に何かあっても、ワンダ一人が抱え込む事はないわ」

 

ヴィジョンがワンダを安堵させ、ナターシャもそれに同意する。何度も言うが、ワンダは俺に頼まれてやってくれたのだ。何が起ころうと責任は俺にある。

 

「スウァーノ、体に何か異常はないか?それと思い出した事で何か問題は?」

「いや、特にない……ただ」

「ただ?」

 

 

──────スタークとどう接すればいいか分からないんだ──────

 

 

そのたった一言が言い出せなかった。




ソウル・ストーンを持っていた人物に関してはまたいずれ出てきます。

この章はこの話のみですので、次回からようやくシビル・ウォー編に突入していきたいと思います!














ちなみにそれぞれのチームのメンバーが一部変わります!
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