アベンジャーズーホープ・オブ・レイー   作:白琳

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シビル・ウォー編、第2話です!
今回からいきなりですが互いのチームメンバーが映画とは異なっていきます。


賛同と拒否

「……ソコヴィア協定だと?」

 

ラゴスでのラムロウとの戦いから数日後、アベンジャーズ基地の作戦室にメンバー全員が集められた。

その理由はかつてハルクことバナーの力を軍事利用しようと考えていた元アメリカ陸軍将軍、今ではアメリカ国務長官に就くサディアス・"サンダーボルト"・ロスがとある条約を持ちかけてきたからだ。

 

「そうだ。君達アベンジャーズのような超人達を国連の管理下に置き、国連が認めた時だけ活動を許可するというもの。既に117ヵ国が賛同し、樹立している」

「……本気で言ってるのか?」

「自分達の立場を君は理解しているのか?君達は危険な集団だと思われているんだぞ」

 

一番初めに反対の意思をとった俺に対し、ロスは厳しく答えてきた。理由はおそらく自分の娘とバナーが付き合っていた事とか自分とバナーとの因縁だろうが、あいつはヒーロー達を露骨に嫌っているのだ。

 

「覚えているか?ニューヨーク、ワシントンD.C.、ソコヴィアなど……君達が敵と戦う度に各地で犠牲者が出ている。我々を守る為に戦っているんだろうが、その逆だ。君達は守るどころか壊しているのだよ」

「僕達が戦わなければ、被害はもっと大きくなっていたかもしれない」

「確かに。しかし結果は一つしかない。戦いの中で、気付かない間に君達が命を奪った可能性だってある」

 

ロスが言っている事を否定は出来ない。何十回という戦いの中で、俺達の攻撃が流れ弾となって民間人に牙を剥いた時もなくはないはずだ。

 

──────だが。

 

「俺達がやってきた事は間違いとでも言いたいのか?」

「そうは言わない。だが、そう思う人がいないわけではないだろうな」

「……そうね。確かにそういう人はいるわ」

 

ナターシャがロスの言葉に同意する。だが彼女自身も間違っているとは思っていないだろう。ただ実際にそう思われている事に落ち込んではいるだろうが。

 

「いい加減、君達は我々からの視点も考えるべきだ。君達一人一人の力が世界にとっては脅威だ。にも関わらずソーとブルース・バナー……三十七トン級の核弾頭二つが所在不明など──────」

「おい。あの二人を爆弾扱いするなよ」

 

俺は立ち上がってロスに詰め寄る。確かにあの二人はチーム内でも強大な力を持ち、現在でも居場所が分かっていない。

だがそれでもソーとバナーは俺達の大事な仲間だ。そんな二人を爆弾と言うなど、誰であろうと許さない。

 

「スウァーノ、落ち着くんだ」

「おいおい、ロスは国務長官だぞ。手荒な真似をしたらどうなるか分かってるだろ?」

 

スティーブに宥められ、ローディからも注意を受けた俺は大人しく椅子へと座る。ロスは突然の事に驚いていたが、咳払いと共に気持ちを落ち着かせていた。

 

「とにかく、だ。この協定に署名しない人物は能力、技術、武器を使用する事を一切禁止されるぞ」

「その状態で活動した場合はどうなる?」

「その人物は犯罪者として扱われる事になる。もちろんその者に接触、加担した者もな」

 

スティーブからの質問にロスは冷淡に答える。ヒーローを嫌ってる奴からしたら、このソコヴィア協定は是非とも推し進めたいものだろう。それに物理的な力ではなく、法的な力で俺達に迫れるのだから尚更いいだろう。

 

「具体的にはどうなるんだ?まさか牢屋にでも入れられるのか?」

「ウィルソン、そのまさかだ。軽ければ武器の没収や能力の制限だけだが、本格的な活動になればラフトへ収監される事になる」

 

ラフトへ収監って……それじゃ本当に犯罪者じゃないか。今までヒーローとしてみんなを守ってきたのに、署名せずに活動しただけですぐ悪者扱いか。

 

「ねぇ、ヴィジョン。ラフトって……?」

「私達が入る前からスターク氏と政府が共同して造り上げ、完成させた刑務所です。大西洋の海中にあり、私達が捕まえた犯罪者はそこに収監されているのです」

 

ヴィジョンがワンダに説明するが、知らないのもしょうがない。ラフトが完成したのはまだ最近だし、メンバー全員にまだ伝え終わっていないからだ。

 

「さて……では、よく考えたまえ。協定に署名して国連の監視の下、活動を続けるか。それとも署名に拒否して活動を終えるか。どちらでも自由にするといい」

 

最後にそう告げ、ロスは作戦室を出ていった。残ったのは俺達アベンジャーズのメンバーのみ。

ロスの言う通り、協定に署名するか拒否するか考えなくてはならない。とりあえずここは一旦分かれてそれぞれで考えてみて──────

 

「ふざけんなよっ、あのジジイ!!」

 

バンッ!と机を叩いてミアが立ち上がった。鼻息を荒くし、完全に頭に血が上っている。

ずっと静かだからどうしたんだと思っていたが、怒りで黙っていたのか。

 

「何が国連だ、協定だ!ただあたし達が怖いだけだろ!!ずっと守ってやってたのに、手の平返しやがって!」

「ミア、落ち着けって」

「これが落ち着いてられるかよ!」

 

再びミアが机を叩く。それもさっきより強く。協定に署名しないどころか、敵意剥き出しだな。

 

「でも署名しないと活動を禁止されるわよ。それとも犯罪者になるつもりかしら?」

「ぐっ……うぅっ……くそっ!」

 

ナターシャに反論する言葉が見つからず、椅子を蹴り倒したミアはドアを力強く開けて出ていってしまった。

あの様子じゃロスを襲いかねないと思ったのだろう。ナターシャも俺達に一言、「言い過ぎたわ、落ち着かせてくる」と言って出ていった。

 

「……スティーブ、どうする?」

「どうするも何も決まってるだろ?117ヵ国が賛同してるんだ、はいと言うしかないだろ」

 

スティーブに問いかけると、それよりも先にローディが答えてくる。今でこそアベンジャーズのメンバーだが、元軍人としては多くの国が賛同している事に反対するつもりはないんだろう。

 

「俺は反対だね、組織に任せて良かった事なんて一つもない。それにこれに同意したら、政府が俺達を犯罪者みたいに監視するって事だろ」

「組織は組織でも国連だぞ。S.H.I.E.L.D.でも安全保障委員会でも、ヒドラでもない。国連の決定に逆らうのか?」

「あんたは一体どっちの味方なんだよ!」

 

互いに意見が異なるローディとサムが言い争いに発展する中、スティーブは考え込んでおり、ワンダもどちらを選ぶか迷っている。唯一、ヴィジョンが周囲の観察をしているがそれは既に答えが決まっているからなのかは分からない。

 

と、その時。

 

「電話……?」

 

突然鳴り出した携帯をポケットから取り出してみると、そこに映っていた名前は──────『トニー・スターク』であった。

本人にはまだ気付かれていないものの、俺は以前よりもスタークとの間に距離を空けている。

両親を殺した兵器を開発したスターク……開発した事に責任があっても、両親が殺されたのはスタークが原因ではない。それは分かっている。

だが……例えそうでも、心の中ではスタークを許す事が出来ていないのだ。

 

「……どうした、スターク?」

『ロスから協定の話は聞いたか?もちろん僕はもう聞いた。今、そっちに向かってるんだが』

「何の用だ?今こっちはこっちで、協定のせいでうるさいぞ」

 

 

『うるさくて結構。僕もその話をするんだからな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ怒り心頭なミアを除き、ラウンジに集められた俺達はスタークからとある青年の話をされた。その青年とはチャールズ・スペンサー。コンピューターエンジニアリングの学位を取得し、座りっぱなしの仕事が始まる前に、夏休みをボランティア活動に費やす事にしたらしい──────()()()()()で。

 

時期が悪かったなどと言えない。俺達が救えず、ビルの下敷きにしてしまったのだから。

 

「ここには意思決定の方法論がない。監査を受けるべきだ、僕は受け入れる覚悟が出来てる」

「自分のせいで誰かが死んだからって、怖じ気づくのか?」

「怖じ気づいてなんかない」

「自分の行動に責任を持たなくなるって事だろ?責任を転嫁するだけだ」

 

……スタークとスティーブ、互いの意見は正しいだろう。だが今の状況ではどっちにしてもリスクを伴う事になる。

だが──────

 

「スティーブ、俺はお前に賛成するぞ」

「おい、ちょっと待て。スウァーノ、何を言ってる?」

「言い方は悪かったけどな、スターク?協定に賛同すれば、国連が俺達よりも上の立場になるわけだ。そうなれば俺達が例えミスをしても、その責任は国連が背負う事になるんだぞ」

「そうだ。戦う僕達が責任を負わずに関係のない人達が責任を負う必要はないはすだ」

 

ソコヴィア協定に国連の全員が賛同しているのかは分からない。もしもしていなかった場合、そいつらは嫌々ながら仕方なく責任を負う事になるだろう。

それに戦う力がある俺達が負う責任を、代わりに誰かが負うなど正しいとは思えない。

 

「悪いがスティーブ、スウァーノ……その言い方は間違ってる。国連だってそんな事は分かってるはずだ。そうならないように俺達を管理下に置くんだろ」

「分かってなかったらどうするんだ?」

 

戦う度に各地で被害を出してしまっているのは、今までの俺達の行動で分かっているはずだ。それなのに国連は誰にも責任を負わせないようする?

それはつまり──────俺達に『戦うな』と言うようなもんじゃないのか?

 

「そもそも国連が俺達を監督したからって、必ずしも被害が少なくなるかは分からないだろ」

「それはもしかしたら被害の量が変わらない、もしくは逆に多くなるかもしれないという事か?」

「……ああ、そうだ」

 

途中からスタークが割り込み、言葉を返してくる。俺はスタークから視線を外しながらも自分の発言に肯定した。

 

「スウァーノ、それは可能性の低い話です」

「どういう事だよ、ヴィジョン」

「私が調べた限りでは、スターク氏が自らがアイアンマンと公表してから八年……超人と呼ばれる者は急激に増加しました。その間に世界を滅ぼしかねない事件も同等の割合で増えています」

「……我々のせいだと?」

「因果関係はあると思います、ロジャース」

 

確かにそれはあるだろう。ヒーローが現れれば敵も現れる。そして戦い、同じヒーロー達と出会って共闘を始めると……さらに大きな敵が目の前に現れる。

 

「……私は、賛成するわ」

「ワンダ?」

 

ワンダがポツリと漏らした声にヴィジョンが反応する。他のメンバーもワンダへと視線を移すと、彼女は俺達を見回した後にゆっくりと口を開いた。

 

「私はこの力を授かるのと一緒に普通である事を捨てて……ピエトロも失ったわ。私にとって、ここは唯一の居場所なのよ。だから……出ていきたくないの。ごめんなさい、スウァーノ。それにスティーブも」

「いや、俺達の事は気にすんなって」

 

ただでさえ拒否する人数が少ないのに自分も賛成する側に付いたからだろう。だがワンダを責めるような事はしない。彼女にとっての言い分は当然だろうしな。

 

「いいか?今、サインに応じなければ後で強要されるんだ、結局はな。それよりマシだろ?」

「トニーの言う通りかもしれないわ。ハンドルさえ手離さなければ車は運転できるのよ」

 

確かにスタークとナターシャが言ってる事は分かる。全員が協定に賛成さえすれば、今後もヒーローチームとして変わりなく活動を続けていく事が出来るのだ。ただしそれには国連の命令に従うという義務が付いてくる。

 

スターク、ローディ、ナターシャ、ヴィジョン、ワンダは賛成。

 

スティーブ、俺、サム、ミアは拒否。

 

これではナターシャの言っている事とは逆だ。互いに意見が割れ、ハンドルを掴んで運転など出来るはずがない。

 

「!……そんな」

「スティーブ、どうし……?」

 

いつの間にか携帯を開いていたスティーブだが、どうやらメールが来ているらしい。驚きと悲しみで顔を歪めているスティーブが気になり、画面を覗き込むとそこには文章が短く書いてあった。

 

──────()()は逝ってしまった。

 

「スティーブ、彼女って……」

「……行かないと」

 

協定について討議中にも関わらず、スティーブは出ていってしまった。だがその理由を俺は知ってる。

 

前に言っていたのだ。彼女──────ペギー・カーターの寿命はもう長くない、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、署名に反対する俺達の意思は変わらないまま、ソコヴィア協定の署名式がウィーンで執り行われた。

だが……その最中に何者かによる爆破テロが起きた。演説中だったワカンダの国王であるティ・チャカを始めとする十二人が死亡し、さらには七十人もの出席者が負傷した。

 

世界を変えるこの署名式を襲った犯人は近くにある監視カメラに映っていた。それによりそいつは国際指名手配を受ける事となる。

当然だろう、反対している俺達にとってはいいことではないが世間的には今後の世界をより良くする為の協定なのだから。

 

 

しかしその犯人が問題だった。俺達が知らない相手じゃない。それどころかスティーブにとってはよく知る相手だ。

 

スティーブの昔からの親友にして相棒……バッキー・バーンズが爆破テロの犯人として指名手配されたのだ。




映画ではキャプテン側だったワンダはここではスターク側です。理由としては、

・オリ主の活躍によりワンダが一般市民の犠牲を出していない。
・オリ主との特訓により自分の居場所を見つける事が出来た。
・オリヒロインがいる為、チームのメンバーを調整したため(メタな理由)

などです!
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