それでは、シビル・ウォーで一番の見せ場である空港での戦い、始まります!
「待たせたな」
ライプツィヒ・ハレ空港に到着した俺とミアはスティーブ達がいる駐車場へと辿り着いた。既にここにいるメンバーとは連絡済みであり、俺達が加勢する事は知っている。
『アベンジャーズの解散』という俺の目的はミアを含め、誰も知らないが。
「君達が来てくれて本当に助かる。ありがとう」
「あたしはスウァーノについてきただけだぞ?」
「それでもだ、ミア」
スティーブが味方になってくれたミアにお礼を言い、次にそれを眺めていた俺の方へと向かってくる。
「スウァーノもありがとう」
「いいんだよ。俺もやりたい事があるからな」
「やりたい事って何だよ、スウァーノ?」
俺とスティーブの話を聞いていたサムが尋ねてきた。答えるべきか悩んだが……やめておく。スティーブ達はシベリアに行ってウィンター・ソルジャー達を目覚めさせようとしてるジモを止めに行く為であって、アベンジャーズの解散を望んでるわけじゃない。言えば、反対されるかもしれない。
「ちょっとした事だ、気にすんな。……それよりお前ら、武器はどうするんだ?」
バーンズは鋼鉄の義手という武器を持っているが、スティーブとサムは一度捕まった時にスーツや武器を取り上げられている。止めに来るスターク達と戦うには生身では危険だ。
「心配するな、その二人の装備はここにある」
バーンズがここまで乗ってきた車のトランクを開けると、そこにはスティーブとサムの装備一式が全て積まれていた。
「どうやって取り戻したんだ?」
「シャロンが僕達に届けてくれたんだ」
「シャロン?……ああ、なるほど」
シャロン、その本名はシャロン・カーター。スティーブから聞いた話だが、元恋人であるペギー・カーターの姪らしい。元S.H.I.E.L.D.のエージェントであり、今は対テロ共同対策本部に所属している事が装備一式をスティーブ達に届ける事が出来た理由だろう。
スティーブとシャロン、二人の関係についてよくは知らないが、何かしらあるんだろう。でなければわざわざそんな危険を冒すはずがない。
「スティーブ、彼女は……」
「シャロンは覚悟の上と言ってた。僕は……その行動を絶対に無駄にはさせない」
スティーブは決意を固めるように拳を握り締める。シャロンの行動は世間から見れば決して正しい事ではない。それは彼女もスティーブもよく分かってるだろう。
「おっ、来たぞ」
サムが指差す方向から一台のバンが走ってくる。スティーブ達が乗ってきた車から一台分空けた場所に停まったバンから降り立ったのは──────
「よぉ、みんな久し振りだな」
アベンジャーズの元メンバーにして元S.H.I.E.L.D.のエージェント、そして弓術の達人であるクリント・バートンである。
家族の為にチームを離れ、ヒーローとしても引退を決めたクリントが何故ここにいるのか。それは追われる身となったスティーブからの助けに駆けつけてくれたからである。
「家族とは仲良くやってるのか?」
「ああ。ただ今日は子供達と遊ぶ約束をしてたんだが……急用が出来たと言って抜けてきた」
「大丈夫か?特にピエトロとか」
「まぁ……ライラとクーパーがうまくやってくれるさ」
ピエトロ・バートン。バートン家の次男であり、ウルトロンとの戦いの後に産まれた子だ。あの戦いで命を救ってくれたピエトロ・マキシモフの名前を付けたみたいだが、そういえばワンダはまだその子とは会ってないんだっけか。
「すまないな、クリント。君はもうヒーローを引退してるのに」
「水臭い事を言うな、キャプテン。俺もたまには体を動かしたい気分なんだ。それに俺も協定には反対だからな」
クリントはそう言いつつバンの後部座席のドアへと回り、取っ手を掴むと勢いよく開けた。
「それと言われた通り連れてきたぞ。アベンジャーズと聞いてやる気満々だったんでな、苦労はしなかった」
「っ!?……え、えーっと……もう着いたの?」
バンの中にいたのは、ウトウトと眠りかけていた男性──────少し前に基地に侵入してサムと交戦し、見事勝利して逃げ延びたアントマンことスコット・ラング
である。
「うわぁっ……キャ、キャプテン・アメリカ、初めまして」
「ああ、初めまして。スティーブ・ロジャースだ」
「お、俺はスコット・ラング……ほ、本物のキャプテン・アメリカと手を繋いでる……!あっ、俺、手繋ぎすぎ……!?」
バンから這い出てくると同時にスティーブと手を繋ぎ、かと思えば慌てて離すスコット。以前にアベンジャーズメンバーである俺と会ってるとはいえ、人気のヒーローであるスティーブ相手じゃ落ち着けないのも当然か。
「あっ……この前は、その、本当に……」
「気にするな、メンバー入りのオーディションだ。だが今度は負けないぞ?」
俺達の奥にいるサムに気付き、先日の件を謝ろうとするがそれは断られてしまう。まぁ、スコットの態度や性格、それにアベンジャーズのファンである事から何か事情があったに違いないと気付いてるんだろう。
「スコット、突然悪かったな」
「そ、そんな事ないって。俺とあんたの約束だろ?それにスーパーヒーローのあんた達と一緒に戦えるなんて思ってもみなかったし」
『基地に侵入した事を帳消しにする代わりに必要な時には力を貸してもらう』。スコットとはそう約束をしているが、ヒーローとはいえ関係ない彼をアベンジャーズの問題に巻き込むのはいい感じなどしない。
「それで?作戦とかあるのかよ?」
ミアがスティーブに尋ねる。それに対してスティーブは頷き、ここに集まった七人が一ヵ所に集まった。
「ああ。まず僕達の目的はこの空港にある航空機を奪う事だ……そして必ず、スターク達が止めに来るはず」
「あっちの戦力は分かってるのか?」
「おそらくスターク、ナターシャ、ヴィジョン。それからワンダにローディ……」
スティーブ、クリント、俺で話を纏めていく。俺がスターク側のメンバーについて考えていると、突然バーンズが手を挙げた。
「もう一人いる。あの黒い豹みたいな奴だ」
「ティ・チャラ……ワカンダの国王か。そういえばバーンズ、お前を恨んでるんだったな」
「なら可能性は大きいな」
これで六人……いや、もう一人いる。
「ティ・チャラ以外にもあっちには協力者がいる。……スパイダーマンだ」
「スパイダー……蜘蛛か?」
「そんな奴、スタークの知り合いにいたか?」
「いや、知らないな……スウァーノ、そのスパイダーマンというのは?」
名前を出すが、やはり誰も名前を知らなかった。まぁ、パーカーはスコットみたいに大事件を解決した事もなければ、俺との関係もみんなには伝えてないから知らないのも当然か。
「相手を逃がさず、捕らえる事が得意な奴だ。ニューヨークで活動してて、動画サイトにもたまに上がってる」
「ふぅん……よく知ってんだな、スウァーノ」
「……実はチームの候補メンバーとして何度か会ってるんだ」
ミアに尋ねられ、俺はそう答えた。別に隠す必要もなかったがまだ『候補の候補』でしかないし、あまりメンバーと関わりを持たせたらパーカーを調子づかせる事になるからな。
「……大丈夫なのか、スウァーノ?」
「何がだよ、スティーブ」
「僕達と一緒にいるという事は、その人とも戦うという事だ。君にはその覚悟があるのか?」
……パーカーとも、アベンジャーズのメンバーとも戦うのは嫌に決まってる。だが今更そんな事言ってもしょうがない。それにパーカーからはあいつの役割を聞いてしまってる。
その時点でもう覚悟はしていた。どんな事になろうと、どんな事を言われようと……俺はもうこのまま突き進むと決めたのだ。
「ああ、あるさ。だから心配するな」
「……そうか、分かった」
……『痩せ我慢をしてる』なんて、分かってるんだろうな。何年も一緒に戦ってきた仲間だし。
それにスティーブは今まで苦しい決断を何度もしてきたんだ。だからそういう事には敏感なんだろう。
「よし、とにかく作戦を決めようぜ。スティーブ、何か考えは?」
「ここに来るまでに大体は立ててきた。だが協力者二人がどう動いてくるか……」
「少なくともスパイダーマンの動きは分かるぞ」
ティ・チャラはそもそも対面した事すらないから何も分からないが。
「どうやって知った?」
「電話で尋ねたら答えてくれたんだ」
「随分と素直な奴だな、おい」
確かにパーカーは人を簡単には疑わないだろうし、裏切ったりもしないだろう。
そんないい奴に、俺は──────
「スウァーノ、やっぱり……」
「……覚悟はあるって言ってるだろ、スティーブ」
そう言って心配してくれてるスティーブを黙らせる。後悔するのは後でいい。今は仲間を守る為にやるべき事をするんだ。
──────と、暗くなる気持ちを奮い立たせていると、空港の様々な所でアナウンスが始まった。
「……空港から避難しろだって」
「スタークだな。もう嗅ぎ付けたか」
バーンズの言葉に続き、俺がその指示を出したスタークの名前を口にする。となると、いつまでもここに固まってるのはまずいな。
「時間がない、それぞれの配置場所と役割を決めよう。まずは──────」
アーマーとスーツを纏った俺とスティーブは駐車場を離れ、飛行場へと出た。目の前にヘリコプターが見え、シベリアを目指す為にアレを確保するのも手だが……どうやらそれは無理なようだ。
『……まさか君までスティーブといるなんてな』
待機していた上空から降下し、着地したスタークとローディ。さらには背後にナターシャが退路を塞ぐように現れ、俺達は挟み撃ちされる形となった。
さらにコンテナの上を飛び越えてきたブラックパンサーことティ・チャラ。バーンズの言う通り、確かにあれは黒豹だな。
『スウァーノ!お前、自分が何したか分かってるか?ヴィジョンとワンダと戦って、しかも基地を破壊するとか……このままじゃキャプテン以上の犯罪者だぞ!』
「分かってる。それに協定に逆らってる以上、犯罪者になるのは確定だろ」
ローディが忠告してくるが、そんなのはもう遅い。そもそも犯罪者になる事など覚悟していた事だ。
『スティーブ、大人しく投降してくれ。今ならバーンズを引き渡せばどうにかなる。スウァーノも……最悪の事態になっても僕達が守ってみせる』
「スターク、
スターク、スティーブがそれぞれの言い分を主張する。スタークは俺達をここで止める為、スティーブはここを突破して進む為。
『それより?あのな、僕はこれ以上アベンジャーズを引き裂きたくない。仲間の君達も守りたい。それを『それより』とはどういう事だ!?』
「聞け!彼と同じ超人兵士が五人、シベリアにいる。あの医者が接触するのを止めないと」
スティーブとスタークが互いを睨みながら話す。だが残念ながら両者の気持ちは通じ合わない。それはもちろん俺もだ。
「スウァーノ、お願い。スティーブを止めて。貴方なら彼を止める事が出来るはずよ」
「……悪いな、ナターシャ。それは聞けない」
スティーブがスターク、ローディと向かい合うように俺もティ・チャラとナターシャと向き合う。相手がいつ動いてもすぐに対処できるようにだ。
『はぁ……そろそろ我慢も限界だ。レオタードくん!』
くるっ!俺がそう警戒し、アウトエナジーを放出するも──────想定と違って誰も現れず、何も起こらなかった。
「……なに?」
「スウァーノ、どういう事だ?君の言う通りなら……」
『おい、どうした?何をしてる!?』
どうやら困惑してるのは俺達だけじゃなく、あちらもらしい。という事はパーカーに何かがあったという事か。
『……なに?スウァーノがいるから?いいから教えた通りにやってみろ!僕に恥をかかすな!!』
……なるほど、そういう事か。パーカーにとって、スティーブはともかく俺までいるのは予想外だったんだろう。だからスタークに呼ばれてもすぐに動けなかったに違いない。
「もうっ、どうなっても知らないよ!」
そんな掛け声と共に後ろから俺達を飛び越えるように現れたパーカーが
「っ……だから言ったじゃないですか!エイナムさんがいるからまずいって!」
スタークに向かって怒るパーカーのスーツは今までの手作りスーツではない。おそらくスタークが新しく作ってやった物に違いない。
「残念だったな、スターク。せっかく考えた演出が台無しになって」
『まさか……知ってたのか?』
「ああ、その通りだ。あいつ、スパイダーマンとは知り合いでな。事前に何をするか聞いておいたんだ」
俺の言葉を聞き、スタークはパーカーに視線を向ける。その表情は戸惑いや怒りなど色々な感情が入り交じったものであった。
『……スウァーノが言っている事は本当か?』
「は、はい……」
『っ……だったら何でその事を僕に伝えなかった!?』
「だ、だって……!」
スタークに反論しようとするパーカーだが、言葉がうまく出てこないらしい。次第に怒るのも馬鹿らしくなってきたのか、息を吐いて落ち着いたスタークがこちらに振り向いた。
「もういい……バーンズを引き渡して僕達と一緒に来るんだ!特殊コマンド部隊はこんな丁重に接してくれないぞ!」
「だろうな。だがこっちもそういうわけにはいかないんだよ」
するとその時、俺とスティーブの無線機にサムから通信が入った。スターク達が乗ってきたクインジェットは第五格納庫にあるらしい。
……なら、時間稼ぎはここで終わりだな。
「……ミア、そっちは?」
『完了だ、いつでも出来るぞ』
「なら始めてくれ」
『おう。派手にやるからな、驚くなよ?』
スターク達に聞こえないよう小声でミアに指示を出す。ミアにはクリントと共に駐車場に待機してもらっている。その理由はあちらのメンバーを少しでも分断する為だ。
そして──────
『っ!?なに!?』
遠くでこちらからでも爆炎が見える程の大爆発が起こった。スタークがその音と衝撃に驚き、他のメンバーも唖然としている。
ミアが爆発したのは燃料が入ったタンク、そして仕掛けたのはスターク製の強力な設置型爆弾だ。
『スターク、ワンダから通信が入ったぞ!駐車場でミアを発見した!』
『……ターミナルでも発見した。ウィルソンとバーンズだ』
よし、うまくいった。これで後はあっちが分かれようとしてくれれば成功だ。
『ローディ、キャプテンを頼む!僕はトレスファーを──────』
「ラング、やれ!」
スタークが飛び立とうとした瞬間、スティーブが叫ぶ。その瞬間、浮かび上がったスタークは足裏のリパルサーが切れて地面へと着地した。
『おいおい、何してるんだトニー!?』
『分からない……F.R.I.D.A.Y.、原因を突き止めろ。ローディ、代わりに君がミアの元へ行ってくれ!』
あっちの指揮をとっているスタークをここに縛り付け、俺達で相手をする。その為にスコットには小さくなってアーマーの内部へと入ってもらい、システムを誤作動させてもらっているのだ。
「バーンズは私がっ!」
「行かせるか!」
走り出すティ・チャラに光弾を撃ち込み、妨害する。その間に追い付いたスティーブが盾を用いたタックルを浴びせ、戦闘へと突入した。
「ス、スタークさん!僕は何を……?」
『言っただろ、距離をとって糸を投げつけろ!』
スタークに指示を仰いだパーカーはすぐに動き出した。おそらくバーンズ達の所へ行くつもりだろう。
「待てっ、お前の相手は────っ!」
パーカーを追い掛けようとするが、迫ってきた光弾に気付いてバリアで防いだ。撃ってきたのはこちらに両手を向けてるスタークである。
『待つのは君だ、スウァーノ。あの子にとっては名誉挽回の機会なんだ』
「……あいつはまだ子供だぞ。危なくなったらどうするつもりだ」
『僕が守る。だからこんな茶番は終わりにしてもらうぞ』
茶番?まさかスコットの存在に気付いたのか?そう考えていると、ラングから突然通信が入った。
『ちょっ……まずい、まずいって!冷却装置が作動して────うわぁぁああっ!?』
そんな悲鳴と共にアーマーの隙間から排出された冷気と一緒に、元の大きさへと戻ったスコットが転がり出てきた。
『こいつは驚いたな、小さくなる技術か』
「あんたには真似できない技術さ」
『そいつはどうかな?』
スタークが片手をスコットへ向ける。あのままじゃ危ないと思い、ハイ・エナジーレイを放とうとするが、飛んできた何かが腕に仕掛けられた。
「何が……っ!?」
その物体から放出された強力な電流がブーストラルを襲い、機能停止させられてしまった。片方だけではあるが、こんな事を仕掛けるのはあいつしかいない。
「ナターシャ……!」
「悪いわね、スウァーノ」
両手にバトンを持ち、襲いかかってくるナターシャを相手にしつつスタークとラングへと視線を向ける。あのままじゃスコットが……と考えていると、横を通っていった盾がスタークの手首を弾いた。
「ラング、盾を拾え!」
どうやらティ・チャラの隙を見つけ、その間に盾を投げたらしい。だが武器を失ってしまえば相手に追い込まれるのは時間の問題となる。
「よ、よし……うおりゃあっ!」
盾をキャッチしたスコットはスティーブを真似てか、スタークにタックルを仕掛ける。だがあの攻撃は超人兵士であるスティーブだからこそ出来るのであって、誰でも出来るというわけではない。
『っと……?』
「いっだぁぁあああっ!?」
案の定、スタークよりも攻撃を仕掛けたスコットの方が大ダメージを受けていた。当然だ、相手が生身ならともかくアーマーならその痛みは何倍もある。
「無茶な事するからだ……っと!」
「くっ!?」
ナターシャの足下に光弾を撃ち込んで距離をとらせる。その隙に俺はアウトエナジーを全身に纏い、その状態でスタークにタックルを仕掛けた。
『がっ……!?』
横からの突然の攻撃に反応できず、吹き飛とんでいくスターク。こうなれば、俺がスタークの相手をするしかないだろう。
「スコット、あんたはスティーブの援護をしてくれ」
「あ、ああ。悪い、助かった!」
盾を持ってスティーブの元へと走り出すスコット。それを見送った俺は立ち上がるスタークへと視線を向けた。
『……やってくれたな、スウァーノ』
「やらなきゃスコットが危なかったしな」
『戦うからには手加減はしないぞ。あまり僕を怒らせるなよ』
どうやらシステムを復活させたらしく、空中に浮かぶスターク。その位置から俺を狙って光弾を撃ってくるが俺はそれらを全てバリアで防いでいった。
「手加減しないのは……こっちも同じだ」
俺が片手でのハイ・エナジーレイを撃つと同時に、スタークも胸からユニ・ビームを撃ってきた。
中心でぶつかり合うが、威力は俺の方が高い。故に押し込めると思ったが──────その前に俺とスタークを巻き込み、大爆発が引き起こされた。
「うおっ!?」
『ぐっ!?』
互いに吹き飛び、俺は壁へと激突する。崩れた瓦礫をどかしつつどうにか立ち上がるが、どうやら被害は周りにも出たらしい。横転した車やコンテナが目につき、炎も燃え盛ってる。そんな中をスティーブがスコッと共に走ってきていた。
「大丈夫か、スウァーノ!?」
「ああ、なんとか……スターク達は?」
「分からない。俺達と戦ってたブラック・ウィドウとあのブラックなんとかも」
まぁ、とりあえずこれで一旦はスターク達から姿は隠せただろう。しかしいつまでもここにいるわけにはいかない。各地点で戦ってるメンバーと合流し、格納庫に向かわかないと。
「スティーブ、みんなと合流するぞ」
「ああ、今ならバレないはずだ。ラング、いくぞ」
「あ、ああ!」
全速力で走る俺達の後にミアやサム、バーンズ達が横から現れてついてくる。どうやら無事に相手を突破できたらしい。このまま全員で格納庫に向かう事が出来れば大成功なんだが……。
「っ、止まれ!」
スティーブの一声で俺達は止まる。すると目の前の足下にどこからか放たれた光線が横に長い線を引いていった。
「……これは」
「止まれって言う意味だろ。なぁ、ヴィジョン」
俺に声を掛けられたヴィジョンは上空にいた。おそらくここで待ち伏せをしていたんだろう。無言のまま、降り立つヴィジョンの周りには相手の全員が既に集まっていた。
「…………」
『…………』
スティーブとスターク、互いが相手を睨む。スタークは俺の事も見てるかもしれないが。
「スティーブ、一応聞くが……どうする?」
「……戦う」
俺達が前進を始めると、相手も前進を始めた。どちらも止まる気はなく、やがて歩く事から走る事へと変わっていく。
距離が段々と縮まっていき──────そして俺達は激突した。
アイアンマンの拳を盾で防ぐキャプテン・アメリカ。
ブラック・パンサーの攻撃を避け、一撃をお見舞いするウィンター・ソルジャー。
機関銃を起動させ、狙いを定めるウォーマシンを錯乱するように飛び回るファルコン。
スパイダーマンが放ったウェブを小さくなってかわすアントマン。
ワンダが操るコンテナから逃げ回り、隙を見ては攻撃を仕掛けるミア。
ブラック・ウィドウを狙うが、接近戦を強いられるホークアイ。
ヴィジョンの光線を同じく放った光線で相殺する
ついに始まった
ワンダは今後のMCUではどうか分かりませんが、映画でもスカーレット・ウィッチとは呼ばれてなかった為、本名のままですがミアにはヒーロー名をつけた方がいいですかね?