アベンジャーズーホープ・オブ・レイー   作:白琳

29 / 47
MCUには今後、アベンジャーズのようなチームが出てくると言われてますがどんなチーム名、構成メンバーなのか今から楽しみですね!

それでは後編をどうぞ!


エアポート・バトル 後編

「はぁっ!」

 

両手から光線を放つが、突っ込んでくるヴィジョンにはバリアで防がれてしまう。反撃の光線を放ってくるが俺はそれを吸収、すぐにそのまま撃ち返してヴィジョンにぶつけた。

 

「ぐっ……」

 

全力ではないとはいえ、やはりヴィジョンの光線を吸収するのはかなりキツい。今のだって手が痺れ、熱くなったから咄嗟に撃ってしまった事が原因だ。

 

『スウァーノ!ちょっと手を貸してくれるか!?』

 

無線で呼び掛けてきたサムを探すと、ローディからの攻撃に追われていた。初めこそ錯乱していたが、どうやらそれも効かなくなってきたらしい。

 

「待ってろ、今い────!?」

 

飛び立とうとした瞬間、何かが足に張り付いた。視線を向けてみれば、それは白いネバネバとした塊。こんなのを使える奴はこの場に一人しかいない。

 

「……スパイダーマン」

「エイナムさん……!」

 

正体を隠してる以上、パーカーの名前は出せない。ヒーロー名を呟くと、目の前に着地したあいつは俺を睨んできていた。

 

「何でっ……僕は貴方が何も知らないと思って、伝えただけなのに……」

「勉強になっただろ?いつだって誰もが味方だとは思うな」

「思えるわけないよ!僕はエイナムさんの事を信じてるし、尊敬だってしてるんだよ!?」

 

そんな事は態度を見ればすぐに分かる。尊敬してるのはアベンジャーズのメンバー全員かもしれないが、信頼関係で言えばパーカーの事を知ってるのは俺とスタークだけだしな。

 

「作戦の事を聞いたのも、見せ場を潰した事も悪いと思ってる。けどスタークの思い通りに話を進めるわけにはいかないんだ」

 

そう言ってアウトエナジーを衝撃波にして放ち、強引にウェブの塊を弾き飛ばす。自由になったのも束の間、またパーカーがウェブを撃ってくるがそれらは全てバリアで防いだ。

 

「エイナムさん、僕は貴方と戦いたくないよ。だって僕をアベンジャーズの候補……の候補に選んでくれたし。僕の話だっていつも聞いてくれてた。だから────」

「俺だってお前とは戦いたくない。だが戦わなきゃどうなるかなんて分かってるだろ?」

 

俺は両手にアウトエナジーを集める。パーカーと戦う事は今になっても心苦しいが、捕まるわけにはいかない。相手が挑んでくるなら嫌でも戦うしかないのだ。

 

「だったら僕がエイナムさんを止めてみせる……!」

 

そう言って近くにある小さなコンテナにウェブを糸状にして付着させると、俺に向かって勢いよく投げつけてきた。

 

「……っ!」

 

咄嗟にコンテナを光弾で破壊し、俺は飛び下がる。するとパーカーがウェブを駆使し、空中を移動しながらこちらに向かってくる姿が見えた。

俺を止めてみせると言ったが──────経験の浅いお前に止められる程、俺は甘くない。

 

「ふっ!」

 

アウトエナジーを鋭い刃にして放ち、ウェブを切断する。突然の事にバランスを崩し、落下してくるパーカーだったが直前で受け身をとって着地。

 

「……あ」

「もっと周りを見て動いた方がいいぞ」

 

そして目の前にいる俺から威力を抑えた光弾を撃ち込まれ、吹き飛んでいった。しかしパーカーもヒーローの端くれだ、この程度じゃしばらく動きを封じるだけだろう。

 

「……ごめんな、パーカー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は他のメンバーを援護しつつ、戦いを進めていく。ナターシャに接近戦で苦戦してるクリントやワンダに逃げ道を塞がれていたミアなどと協力して窮地を脱し、互角の戦いへと持ち込んでいったのだ。

 

「バーンズ、平気か?」

「まだいける。お前は?」

「そっちと同じだ」

 

ティ・チャラに蹴り飛ばされたバーンズの隣に着地し、安否を確認する。小さな傷はいくつかあるが、目立った傷は見当たらない。まだまだいけるのは本当だろう。

 

「邪魔をするな、レイ……いや、スウァーノ・エイナム」

「悪いが仲間なんでな。邪魔させてもらうぞ、王子様?」

 

凄まじい跳躍で俺達との距離を一気に詰め、銀色の爪を振り降ろしてくるティ・チャラ。しかし周囲に張ったバリアには勝てず、その攻撃が俺達に届く事はなかった。

 

「っ、なら!」

 

するとバリアを蹴り、ティ・チャラが俺達の頭上を越えて背後へと着地した。接近を阻止しようとハイ・エナジーレイを撃つが、身軽な動きでかわされてしまう。

 

「俺に任せろ!」

 

バーンズが横から掴みかかり、共に転げ回った後にティ・チャラの顔を鋼鉄のアームで殴り飛ばした。しかしどうやら勢いを殺したようで、すぐに攻撃へと転じてくる。

 

「させるか!バーンズ、離れろ!」

 

俺はアウトエナジーで槍を構成し、勢いよく投げつける。しかしバーンズが寸前まで影となっていたにも関わらず、ティ・チャラは槍を両手で押さえ込んだ。

 

「ふんっ……小細工など通用するものか」

「なるほどな。なら、これはどうだ?」

 

俺はティ・チャラが握っているアウトエナジーの槍を操り、勢いよく爆発させた。もちろん持っていたティ・チャラは無事に済ま─────っ!?

 

「……言っただろう。小細工など通用しない、と」

 

爆風の中に立つティ・チャラは微動だにしておらず、全く効いていない事は明らかだった。

 

「ヴィブラニウム……か」

「そうだ。キャプテンの盾を私は全身に纏ってるという事だ」

 

ワカンダで産出され、スティーブの盾にも使われている地球最強の金属、ヴィブラニウム。ソーのムジョルニアの一撃にも耐えられる事を考えれば、あの爆発で無傷なのも納得できる。

 

「それがどうした?俺は負ける気なんてしないぞ」

「……奇遇だな、私も同じだ」

 

俺とティ・チャラ、そしてバーンズが睨み合ってるとコンテナの向かい側で巨大な()()が現れた。それはローディを掴まえており、逃げ出そうとするあいつを遠くへと投げ飛ばしてしまった。

 

「ハッハッハッハッハ!!」

 

「スコット……?」

「どういう事だ?あの男、小さくなるだけじゃなかったのか?」

 

確かそのはずなんだが……もしかして巨大化する能力を隠し持ってたのか?それはそれで嬉しい誤算だが……なんというか凄まじいな、人が一瞬にして大きくなるとか。

 

「俺はぁ……ジャイアントマンだぁっ!!」

 

コンテナを蹴り飛ばし、もぎ取った飛行機の翼を武器に暴れ回るスコット。小さくなるだけでも驚きなのに、巨人にまでなれる事を知ったスターク側は大慌てである。困惑し、襲いかかるスコットに防戦一方であった。

 

しかし──────

 

「ヴィジョン、彼を止めて!」

「分かりました」

 

「う、わぁっと!?」

 

ワンダがサイコキネシスでスコットの足を止め、バランスを崩した所にヴィジョンの体当たりがお見舞いされた。飛行機数機が倒れるスコットに押し潰され、飛び散る破片が多くのメンバーを襲っていく。

 

「っ、ミア!!」

「スウァーノ……!」

 

「ボーッと突っ立ってると危ないぞ?」

「……悪い、助かった」

 

「う、うわぁっ!?」

『安心しろ、君は僕が守ってやる』

 

潰されそうになっていたミアを俺が、バーンズをサムが救いだす。多数の破片が迫ってきていたパーカーは怯え、動けずにいたがスタークが向かった事から心配はないだろう。

 

『キャプテン!このままバーンズをあんたの所に連れてく!そしたら倉庫まで突っ走れ!』

『っ!?君達はどうするつもりだ!?』

『作戦変更だ、キャプテン。あんたとバーンズだけでもシベリアに向かわせる。こいつらの相手は俺達に任せておけ』

「……クリントの言う通りだ、スティーブ。これは勝敗を決める戦いなんかじゃないだろ」

 

一番重要なのは『倉庫に辿り着き』、『クインジェットを盗んで』『シベリアに向かう事』だ。そしてそれを担うのはスティーブとバーンズ、今回の事件と因縁のある二人が一番のはずだ。

 

『でも僕達が向かえば!』

『キャプテン・アメリカ、俺達が必ず突破口を開いてみせるから』

『新人にばかりいい格好は見せられないな。任せとけ、キャプテン』

 

起き上がったスコットはコンテナを持ってスターク、ローディに殴りかかっていく。クリントも弓をロッド状に変形させ、ティ・チャラに勝負を挑んでいった。

 

『みんな…………分かった。サム、バッキーをこっちに!』

『ああ、待ってろキャプテン!』

 

「スウァーノ、あたし達もやるぞ!とことん暴れ回ってやる!!」

「ああ、それじゃあ──────やるか」

 

掴まるバーンズと共に飛んでいくサムを肉眼でも確認し、俺とミアもスコット、クリントと共に再び戦いの場へと戻っていったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果──────スティーブとバーンズはクインジェットの強奪及び離陸に成功した。ヴィジョンが管制塔を崩落させて道を塞ごうとした事もあったが、ワンダが危機一髪でサイコキネシスで止めた事で無事に倉庫へ侵入できたのだ。

 

もしもワンダが止めてくれなければ……道を塞ぐどころか、スティーブとバーンズを崩落に()()()()()()()かもしれない。

 

「おい……スウァーノ、()()……まずくないか?」

 

しかし飛び立ったはいいものの、クインジェットをスタークとローディが追い掛け、その後をさらにサムが追い掛けた。そんな中、ヴィジョンが二人を妨害するサムを撃ち落とそうと光線を放ったが──────狙いは外れ、代わりにローディを直撃したのである。

 

「やばいぞ、あのままだと!?」

「っっ……!!」

 

俺は隣で慌てるミアの言葉で落下するローディの"死"を予感した。アウトエナジーを一気に放出して飛び立ち、空港の壁を越えて広い平原の上を飛んでいく。

あの場にいるメンバーはほとんど疲労で動けないし、そもそも飛べなければ意味がない。ヴィジョンはいたが、ワンダに付き添ってたせいで咄嗟の判断が出来なかったんだろう。

 

「間に合うか……!?」

 

煙を上げながら落ちてくるローディをスタークとサムが助けようと追ってるが、あれでは先に地面に激突する。つまりローディを助けられるのは俺一人になったという事だ。

 

「ぐっ……!?」

 

放出するアウトエナジーが今まで以上に膨大な為か、熱を帯びたアーマーが耐えられなくなって壊れる寸前な事に俺は勘づいた。

しかし止まるわけにはいかない。仲間を救う為なら、こんな所で止まっていいはずがない。

 

「うぉぉぉおおおおっ!!」

 

墜落ギリギリという間一髪で、俺はローディに追い付いて彼を抱き止めた。そして空中で数回転した後に地面へと激突、共に激しく転がっていった。

 

「が、はっ……」

 

ローディを手離し、仰向けに倒れた俺は全身の痛みに襲われた。どこかの骨が折れたかもしれないが、この位慣れっこである。

 

『ローディ!スウァーノ!……大丈夫か!?』

 

着地したスタークが慌てた様子でヘルメットを外し、こちらに駆け寄ってくる。俺が手を上げて『無事』である事を伝えると、動かないローディのマスクを取り外しにかかった。

 

「ローディ!!F.R.I.D.A.Y.、すぐに────」

げほっ……あ、まり大声を、出すなって……

 

小声ながらも声が聞こえてきた。どうやらローディも生きてるようだ。その事に安心していると、遅れて来たサムが走ってきた。

 

「スウァーノ、無事か!?」

「ああ……でもアーマーはもう駄目だな。機能が完全に停止してる」

 

アウトエナジーによるダメージに加え、地面に激突した事もあって使い物にならなくなってしまった。仕方ない為、サムに手伝ってもらいつつ手作業でアーマーを脱いでいく。

 

「……スウァーノ」

 

その途中、ローディを介抱していたスタークが声を掛けてきた。何だと思うが、この状況でも戦いを続ける事はない……と思うが。

 

「ありがとう、ローディを助けてくれて。僕じゃ絶対に無理だった」

「……仲間なんだから当たり前だろ」

 

互いに傷つけ合い、最悪死者すら出しかねない戦いだったが、それでもアベンジャーズのメンバーが大切な仲間である事に変わりはないからな。

 

「なら……一つ教えてくれないか?君はどうして僕と一緒に戦いたくないなんて言った?我々は……仲間なんじゃないのか?」

「…………」

 

確かにスタークもアベンジャーズのメンバーであり、何度も共に戦ってきた。だから仲間ではある。しかし両親が死んだ原因がスタークにある事を知ってる今は、心から仲間であると言い張る事は出来ない。

 

「あんたが昔、発明してた兵器はテロリストとかの手にも渡ってた……そうだな?」

「どうした突然……いや。ああ、その通りだ。だから僕は奴らと戦う為に──────」

「……そのせいで俺の両親は死んだ。住んでた町があんたの兵器で襲撃されて、瓦礫の下敷きにされたんだよ」

 

今まで誰にも教えなかった俺の過去を伝えると、スタークの目が見開いた。聞いてたローディやサムも驚き、口を開けて唖然としている。

 

「それは……本当なのか?」

「ああ、本当だ。だがあんたは兵器を開発しただけで、実際に使った奴らが悪い……心もそれで納得できれば良かったんだけどな」

 

頭で理解できていても、心はそうはいかない……その結果がスタークとの共闘の拒絶、そして仕返しをする事を決めたのだ。

 

「……悪かった。謝っても許されない事は分かってるが、謝らせてくれ。本当に……すまない」

「……謝ったって、どうにもならないだろ」

 

両親が帰ってくるわけでもないし、スタークへのモヤモヤが消えるわけでもない。

 

「それだけですか?」

「……ヴィジョン」

 

飛んできていたヴィジョンが降り立ち、俺にそう問い掛けてきた。

 

「……すみませんでした、ローズ。私のせいで貴方を危険な目に遭わせてしまった」

いや……気にしないでくれ、ヴィジョン……

 

その途中に倒れてるローディに謝る事も忘れずに。

 

「ヴィジョン、今の質問はどういう事だ?」

「言葉の通りです、スターク。貴方に対する敵対心だけでエイナムはロジャース達を援護したのか、という事です」

 

……どうやらヴィジョンはこの場にいる誰よりも頭が切れるらしい。俺がスティーブ側についた理由が他にもあるはず、と気付いてる。

 

「……ヴィジョンの言う通りだ。俺があんた達と戦ったのは、スタークだけが理由じゃない──────アベンジャーズを解散させる事だ」

「……っ!?」

 

俺の言葉にスタークはまたも驚き、サムやローディも同様だった。表情の変化が少ないヴィジョンでさえ、固まってしまってる。

 

「どういう……ことだ?」

「ソコヴィア協定がある限り、俺達は元のチームには戻れない。それに、日常でも能力が使える俺やヴィジョン、ワンダが何もされずに済むと思うか?」

「それは……あくまで可能性の話です」

 

ヴィジョンはそう言うが、視線を逸らした事のは否定できないからだろう。つまり、"ありえる話"なのだ。

 

「チームになれないなら、それぞれで自分を守るしかない。解散して隠れれば政府に見つかる危険も少なくなるだろ」

「それが……正しいと思ってるのか?」

「あんただって、自分が正しいと言い切れるのか?」

 

スタークは俺の言葉に言い淀む。俺だって自分のしてる事が正しいかなんて分からない。分かる奴がいるなら、教えてもらいたいものだ。

 

「……もう、好きにするといい」

「なに?」

「僕も君も自分が正しいのか分からないなら、分かるまで突き進めばいいだけだ。だから僕らは君達の事を見逃す」

 

そう言い、スタークはローディを支えながら立たせる。その間、ずっと見続けてる俺とサムの視線に気付くと、スタークはシッシッと手を払ってきた。

 

「早くいけ。僕の気分が変わらない内にな」

「スターク、いいのですか?」

「いいんだよ。ロスには……そうだな、不意をつかれて逃げられたと報告しよう」

「それで納得するとは思えませんが……」

 

どうやらロスには嘘の報告をする気らしい。俺達の事を見逃すというのは本当のようだ。

 

「……スターク」

「まだいたのか、何だ?」

「あんたとは……まだ正直、無理だ。でも……」

 

 

──────ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺とサムは空港に急いで戻ってミア達と合流した。クリントやスコットも一緒に逃げると思っていたが、『逃亡者となって家族を危険な目に遭わせるにはいかない』という理由で自ら捕まる事を望んでいた。

仕方なく俺とサム、ミアだけで空港から逃げる事になったが──────俺達に向けられていたワンダとパーカーの悲しそうな顔が、いつまでも頭から離れなかった。




シビル・ウォー編は次回にて完結となります!

映画との大きな違いは、ワンダがキャップ側につかなかったこと・ローディが墜落で怪我をしなかったことですね。結局、仲間の危機からワンダはキャップ達を助けていますが……。


お気に入り登録や評価、感想などお待ちしてます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。