前編、後編に分けて投稿する予定です。
前編
ニューヨークでのアベンジャーズとチタウリとの戦いは、アベンジャーズの勝利に終わった。世界安全保障委員会の奴らの命令で核ミサイルを撃ち込まれた時は焦ったが、スタークの機転によりそれはワームホールの中へと持ち込まれてチタウリの母艦を破壊、ナターシャによってワームホールも消滅した。
その後はハルクにボロボロにされたロキを全員で囲って拘束した。ソーとロキ、兄弟って言ってたから似てると思ってたのに、実際は全然似てなかった。その後に義兄弟って聞いて納得したけど。
それから数日後、ソーとロキは今回の発端となったキューブを持って、故郷のアスガルドという神の国へと帰った。
ロジャースはバイクに乗ってどこかへと去り、スタークとバナーも共に車に乗ってどこかへ。ナターシャとクリントも俺に別れを告げた後、S.H.I.E.L.D.に戻った。
破壊されたニューヨークもスタークが政府と共に設立したダメージ・コントロール局により、復興の兆しが見えてきた。
そして俺はどうしたかと言うと…………。
「えっと……本当にいいのか、スターク?」
「ああ。ここを好きに使っていいぞ」
ニューヨークでの戦いから三週間後。再びホテル暮らしを始めていると、突然現れたスタークに捕まった俺はスタークタワーへと連れてこられた。そしてタワー内の住居スペースを使っていいと言われたのが今。
何故こんな事を?とスタークに聞いてみると。
「記憶喪失だと知った時の気分はどうだった?」
「何で今、その話を?」
アベンジャーズの面々は俺の記憶喪失について全員知っている。俺から直接話さなくてもいいと思ったが、どうせいずれはバレるだろうと思って話したのだ。
「君はいきなりだったとはいえ、共に戦った仲間だ。なら仲間の手助けを少ししようかなと」
「手助けって?」
「君の記憶を思い出させる装置を作ろうと思ったんだ」
記憶を思い出させる装置……そんなのが作れると思ってるのかと言いたい所だが、相手はあの天才を自称する発明家だ。 無理だと言われても作ってしまうかもしれない。
「でもその為には情報が足りない。記憶というのは非常にデリケートなものだ。もしも失敗すれば何が起こるか分からない」
「……俺にモルモットになれとでも?」
「何故そうなる。私は人体実験なんて好きじゃないぞ。ただ君に関するデータを取りたいだけだ」
スタークの言いたい事は分かる。記憶は何かの拍子に思い出す事がある。しかしそれを装置を使って無理矢理思い出させるとなると、色々と危険が付き物になってくるんだろう。だからまずは俺のデータを使って、可能な限り検証とかをしたいんだ。
「エイナム、何ならスタークが暴走しないよう僕が見張っていようか?」
「それは助かるな、バナー」
俺達の話を聞いていたバナーがソファーから立ち上がり、混ざってきた。アベンジャーズに入るまではインドのカルカッタに隠れながら医者として活動していたみたいだが、住む場所を失った今ではこのタワーで研究を手伝う代わりに生活させてもらっているらしい。
「おい、待て。それは僕が信じられないという事か?」
「そうじゃないが、あんたはやり過ぎる事があるだろ。ヘリキャリアにウイルスを仕掛けたこと、忘れた訳じゃないよな?」
「あれはS.H.I.E.L.Dがキューブを異常に欲しがっていたからだ。それにあの隠し事ばかりのフューリーが話すとは思えなかったからな」
方法はともかく、キューブを利用した兵器を開発する極秘計画、P.E.G.A.S.U.S.計画を暴露してくれたスタークには感謝している。もちろん試作品の兵器を見つけてくれたロジャースにも。
しかしフューリーが秘密主義なのは知っていたが、俺を含めた一部のS.H.I.E.L.D.職員にすらその計画を黙っていた事には失望した。前にフューリーからS.H.I.E.L.D.に戻る事を提案されたが、躊躇いなく断ってやったのもそれが理由だ。そもそもS.H.I.E.L.Dが秘密をいくつ隠しているのか分からない以上、戻る気はない。
「それは分かってる。あんたとロジャースが動かなければ分からなかった事だし」
「ならこの話は終わりだ。バナーをつける必要もないだろ?」
「いや、悪いがそれは譲れない」
「何故だ!?」
その後、数時間の説得でバナーの監視の下、俺のデータを取る事や装置を造る事に納得してくれた。バナーには悪いが、いずれ何か恩返しをしよう。
「俺のエネルギーの名称?」
スタークタワー内の広いスペースを借り、立てた的の中心に正確に攻撃を当てるという特訓をしていると、バナーから質問をされた。
その内容は俺が復唱した通り、エネルギーの名称について。
最後の的をエネルギーの槍で貫き、俺は新たにエネルギーを放出して様々な形へと変えつつ考えた。
「S.H.I.E.L.D.に入る事になった時、これについて調べもらったんだよ。でも結果はどれも『まったく分からない』だったんだ」
「でも調べたんなら、何かしら出るんじゃないか?」
「このエネルギーって一定のものじゃないみたいでさ。数値とか何もかもメチャクチャで、似たような物質もなし。でも名前だけは付けてもらったんだが……」
何だっけか?口に出して言う事もなかったから覚える気がなかったんだよな……ええっと……。
「エイナム、ここにいたか!」
「スターク?どうしたんだい、そんなに慌てて」
ドアを勢いよく開け、入ってきたスタークは大股歩きで俺に近寄ってきた。何なんだ、と思っていると持っていた紙を突きつけてきた。
これは……結果表?あ、そういえばスタークが頼んできたからエネルギーを調べさせていたんだった。
「この結果を見ろ、何も分からなかった!一体この力は何なんだ!?」
「スタークにも調べてもらっていたのか。でも分からないとなると、もはや今の科学の領域じゃ無理なんじゃないか?」
領域、無理、エネルギー……領域外……エナジー……領域外のエナジー……?
「そうだ、思い出した!」
「うおっ!?急に大声を出すな、びっくりするだろ」
「ごめん、スターク。でもやっと思い出したんだ」
「S.H.I.E.L.D.が名付けたエネルギーの名称をかい?」
スタークが驚いて後ずさると、バナーが問いかけてくる。スタークとしては何なのか分かっていなかったようだが、エネルギーの名称と聞いて興味が湧いたようで「何だと!?」と急かしてくる。
「こいつは……