それではインフィニティ・ウォー編、スタートです!
サノスの独白
惑星タイタン──────その星は我が故郷にして宇宙全体でも数少ない、発達した文明と自然が広がる惑星であった。そしてタイタン人は美しい見た目を持つ種族として自らの容姿に絶対的な自信を持っていた。
しかし私はそうではなかった。どのタイタン人よりも醜い姿で産まれたのだ。自分が望んだわけでないにも関わらず、『タイタン人の恥だ』と私は家族や他のタイタン人から数えきれない程の理不尽な虐待を受けながら生きてきた。
しかし──────成人した頃には、私の我慢は限界を超えていた。殺しにかかってきた母親を私は返り討ちにして殺し、自分が産まれ育った町を焼き払って立ち去った。
この醜い姿が私は嫌いだが、それ故か他のタイタン人にはない強さがあった。圧倒的な筋力、どんな怪我も治る回復力、滅多な事では傷付かない耐久力など私の肉体は戦いに特化してると言っていい程、強い。
故に、私はタイタンを旅している際に誰かから襲われようと一度も負けた事はなかった。
そして──────故郷を捨て、国を出た私はタイタンが抱えている問題を知った。それはどの国も人口の増加により食糧難に追われ、頻繁に戦争を起こしているというものだった。
このままではいずれ、タイタンが滅びの運命を辿る事は容易に想像できた。それを防ぐ為にはどうしたらいいか?何をすればいいか?
……簡単な事だ。人口が多いなら、減らせばいいだけの話。タイタンの絶滅を防ぐにはその方法しかない、と私は考えた。
人を殺す事に躊躇いなど、故郷を焼き払った時に捨てた。だから私は同胞であるタイタン人の半分を容赦なく切り捨てる事が出来たのだ。
しかし──────結果は失敗に終わった。絶滅寸前まで追い詰められていたタイタンは、既に生物が生きていける環境ではなくなっていたのだ。残っていたタイタン人の半分は死に絶え、私はこの星から脱出した。
──────タイタンを絶滅から救う事が出来なかった。もちろん後悔はしたが、逆に私はそれが嬉しくもあった。私を見た目の醜さから批判し、同じタイタン人だと認めなかった奴らに"死"をもたらす事が出来たのだから。
それにタイタンのような星は他にもあるはず。ならその星を見つけ、人口を半分へと減らし、救ってやればいい。それが出来るのは、私一人しかいないだろう。
それから私は宇宙を飛び回り、多くの生命体がいる星を見つけてはその数を減らし、いつか来るであろう滅びの運命から救っていった。
そんな私に付き従ってくれる部下が現れ、私は自身が率いる軍団を作り出す。
私の忠実な部下達……その名も"ブラック・オーダー"。自分達を"サノスの子"とも名乗る彼らとは、実際には家族という関係ではないが私は少なからず嬉しかった。
私の知る家族とは、実の息子を殺そうとするようなものだからな。
かつて文明一つを研究の為だけに滅ぼした科学者にして闇魔術の使い手、エボニー・マウ。
私を賞金首として狙った末にエボニー・マウにより、改造が施された元賞金稼ぎにして用心棒、カル・オブシディアン。
とある惑星の闘技場で"最強の女戦士"として名を広め、私との決闘の末に服従を誓ったプロキシマ・ミッドナイト。
私が壊滅させた巨大組織のリーダーであったが、残っていた仲間を裏切って部下となったコーヴァス・グレイブ。
各々が様々な過去を持ってるが、私の部下になる為にそんなものは関係ない。強く、優秀である事が肝心なのだ。
もしも裏切れば、誰であろうと容赦はしないが。
私はブラック・オーダーを中心に、大勢の部下と共に宇宙を巡っていく。そんな中で、私の目的は変わりつつあった。
かつては『滅びたタイタンの代わりに他の星を救おう』というものだったが、今は違う。
生命体が増えていく事で、『生き延びる為の戦争』が増えてるのだ。それではタイタンと同じ運命を辿る星がいくつも現れ、いずれ宇宙の
それを回避する為、私は誰もが思い至らなかった考えを成し遂げる事を目的にした。
──────『全宇宙の生命体の半分を消し去り、均衡を保つ』。
しかしそれは容易に出来る事ではない。宇宙は広いのだ。それに私の目的を知った者は必ず邪魔をしてくるに違いない。
しかしそれらの問題を解決できる術を私は見つけた。一瞬にして生命体の半分を消し、自身を圧倒的なまでに強くする方法を。
それは"インフィニティ・ストーン"──────六つある強大なエネルギーの結晶石にして、それぞれが全てを破壊する程の比類なき力を持っている。それらを全て集め、力を一つにする事で宇宙全体に望んだ影響を及ぼす事が出来るのは、エボニー・マウとの研究により判明している。
そしてストーンの力を一つに纏める為の"インフィニティ・ガントレット"。ニダベリアのドワーフ達を騙して作らせたモノであるが、中々に素晴らしい。たった一人を残して惑星を凍らせた事が悔やまれるが、仕方ない。私に対抗できる武器を作り出されてはまずいからな。
ガントレットが完成すれば、あとは全てのストーンをストーンを揃えるのみ。あの愚かなアスガルド人と裏切り者のせいで三つのストーンを手に入れ損なったが、問題はない。今度は私の手で確実に奪えばいいだけの話だ。
「サノス様、これを」
燃え盛る炎、多数の屍が横たわる中で私はブラック・オーダーが帰還するのを待っていた。そして戻ってきた彼らの内、コーヴァスが小さな容器を私に差し出してきた。
「既に鍵は解かれております」
「……ふむ」
私は容器を開け、中身を確認する。入っていたのは目的である紫色に輝くパワー・ストーン。多くの者の手に渡り、最終的に惑星ザンダーに本部を構える宇宙警察・ノバ軍が所有する事となっていた。
だがそのザンダーを私達が襲撃し、こうして奪ったのだ。それによりノバ軍及びザンダーの者共は死に絶えているが、些細な犠牲だろう。
「マウよ、準備は?」
「いつでも」
「ならば始めろ」
パワー・ストーンは石そのものが常に力を発している。無闇に掴めば、肉体が崩壊する事はまず間違いない。故にマウが製作した特製のアームにてストーンを掴み、ガントレットへと近付けていく。
「っっ……!!」
ガントレットがパワー・ストーンを吸い寄せ、人差し指の付け根にある穴へと嵌まった。その瞬間、ストーンの莫大な力が私の体へと流れ込んできたのである。
「っ!……サノス様、ご無事ですか?」
「ふぅ……当然だろう」
痛みは凄まじかったが、実に心地いい。これがパワー・ストーンが持つ全てを破壊する力か。
「もうこの星に用はない……だが、見せしめに破壊するのもいいだろう」
インフィニティ・ストーンを狙う私に逆らえばどうなるか。その事を全宇宙に知らしめる為にはいい方法だろう。
ザンダーの壊滅──────サノスが新たなストーンを求め、アスガルド人が乗るステイツマンを襲撃したのはその一週間後である。
スタートと言いながら、まだインフィニティ・ウォー本編より前の話という。次回から本編にちゃんと入っていきます!
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