そして今回、オリ主のヒロインが登場します。
あと、新作スパイダーマン、もう2日後まで迫ってきてますね。作者は公開日にいくつもりです。
アベンジャーズとチタウリとの戦いからおよそ半年が経った頃、世界ではアベンジャーズが今でも話題になっている。アイアンマンはさらに有名となり、キャプテン・アメリカやソー、ハルクも大勢に存在が知られた。
ナターシャとクリントはS.H.I.E.L.D.のエージェントである以上、目立った活躍は報道されていないがそれも時間の問題である。
そして突然現れたレイという男も上記の六人同様、話題になっている。そのレイの顔が大きくアップされた映像を見ている女性は、握り締めた拳を机に勢いよく叩きつけた。
「ようやく見つけた……!」
その映像を食い入るように見つめる女性はニヤリと笑いつつ、首にぶら下げているペンダントを見る。そのペンダントの中にはスウァーノの顔写真が入っていた。
「やっと会えるんだな、スウァーノ……!」
「ん?J.A.R.V.I.S.、スタークは?」
『トニー様は今日、プライベートでペッパー様と出掛けております』
「……ああ、そういえばそんな事を言ってたな」
スタークが開発した最新鋭の人工知能、J.A.R.V.I.S.。優秀な電脳執事とも言える存在であり、このタワーのセキュリティ管理にアーマーの製作補助、戦闘の際にはサポートに加わったりとスタークの生活面・戦闘面で活躍してくれている。
「バナーは……」
「僕がどうかしたかい?」
今日のバナーの予定は、と考えていると後ろから声を掛けられた。
「今日は自室で過ごすとか言ってなかったか?」
「そのつもりだったんだけど、お腹が空いてしまってね」
「ならこのサンドイッチ、食べるか?」
昼食にと作ったサンドイッチの山をバナーに勧める。思いの外作りすぎてしまい、どうしようかと考えていたのだ。
「おっ、ありがとう。いただくよ」
「どうぞどうぞ」
バナーが向かい側の椅子に座り、サンドイッチに手を伸ばすと俺ももう一つと手を伸ばした。ちなみに中身は卵やハム、トマトなど一般的なものばかりであるが、隠し味として入れてあるものがある。それは……。
「むぶっ!?」
サンドイッチを口にしたバナーが勢いよくむせた。そして顔を赤くし、キッチンに走って水を飲み始める。
「げほっ!げほっ!……な、何を入れたんだいこれ?」
「隠し味に超激辛ソースを入れてみたんだ。どうだった?」
「……これはもう隠し味じゃないと思うけど」
だよな、と俺は思う。俺は辛いのが好きだから平気だが、バナーには無理だったか。しかしハルクにならなかった所を見るに、コントロールはさらに出来るようになったようだな。
「悪い、先に言うべきだったな」
「まだ舌がヒリヒリする……緑色の大男に変身してたら、君に襲いかかっていただろうな」
「ハルクって変身した原因……というか、バナーの時の記憶って持ってるのか?」
「さぁ。僕はいつも脳に幻覚剤を1リットル流し込まれた気分だけどね」
それは随分と気持ち悪いんじゃないか?よく変身後に吐いたりしないな。
「……ちなみに食べ物ってこれしかないのか?」
「あー……確か冷蔵庫の中はほとんど入ってなかったな。よし、外で何か買ってきてやるよ」
「えっ?いや、それくらい自分で……」
『スウァーノ様、食事でしたらすぐに用意しますが』
バナーが俺を止めようとすると、J.A.R.V.I.S.からも声がかかった。おそらくタワー内にある職員食堂で作らせるんだろう。
「いや、俺も買いたいものあるからさ。バナー、何がいい?」
「じゃあ、手軽に食べられるもので。普通のものをお願いするよ」
「了解、待ってな」
…………で、バナーの昼食を買うついでに、暑かったからアイスを買って食べながらタワーに向かっていたんだけど。
「えっとぉ……?」
突然誰かに路地裏へと連れ込まれたかと思いきや、思いっきり抱き締められた。誰?と聞きたいが、押し付けられた顔から嗚咽が聞こえてきて、なかなか言い出せない状況である。
「やっと……やっと見つけたぞ……!」
抱きついているのは純白のドレスに似た衣装を着た女性だった。見上げてきた顔に思わずドキッとしてしまったが、何故俺にこんな美女が?スタークがパーティとかで一緒にいるのはよく見るが、よくあんな平然としていられるな。
「ど、どちら様で?」
「あたしだ、あたし!お前の恋人、ミア・トレスファーだ!」
ミア・トレスファー……?それに恋人だと?記憶喪失になって以降、誰かとも付き合ってないし、そうなると記憶を失う前からの知り合いとしか考えられないよな。
「ミ、ミア?」
「なに?どうかしたか?」
「その……俺、あんたの事が分からな──────」
最後まで言う前に俺は勢いよく蹴られてゴミ箱の山へと突っ込む事となった。えっ、何でいきなり蹴られたんだ?
「分からない?今、分からないって言おうとしたのか?」
「っ……記憶喪失なんだ。だから俺は知らないんだ、あんたの事を」
「冗談はやめてくれるか?そろそろあたしも怒るぞ」
な、何なんだこの人?何でそんなに怒ってるんだ?
「冗談じゃない。俺は本当に記憶を失って……」
「ふざけるな!」
「っ!?」
彼女の大声にゾクリとした感覚が背筋を襲った。先程まで優しげだった目が、今では殺意を感じさせる程に俺を睨んでいる。
「あたしが何年お前を探したと思う!?5年だぞ!5年もの間、あたしはお前を見つける為だけに尽くしてきた!なのにお前はあたしを忘れてるだって!?」
「それは……すまなかった。記憶喪失とはいえ、あんたにそんな事をさせて」
「……違う」
ミアからぼそり、と声が聞こえてきた。
「違う、違う、違う!お前はあたしを『あんた』なんて呼ばない!『ミア』っていつもみたいに呼べよ!!」
「……っ」
「ふざけんな……ふざけんなよ……!」
彼女の悲痛な叫びを俺は黙って聞く事しか出来なかった。しかししばらくすると彼女の声は聞こえてこなくなり、見れば顔を伏せた事により髪で表情のほとんどを読み取れなくなっていた。
「ミア……どうした?」
「あたしが愛したお前は、もういないんだ。だったら……お前を殺してあたしも死ぬ!」
「っ!?」
ミアから発せられた言葉に驚くが、どこからか取り出したナイフを構えて突っ込んでくる彼女を見るとすぐに体が動いた。
何故ナイフを隠し持っていたのか分からないが、怪我を負わせるわけにはいかない。まずは動きを封じて、それから話を……。
「なにっ!?」
凪ぎ払われるナイフの動きが素人のものではなかった。咄嗟にアウトエナジーで盾を作って防ぐが、弾いた瞬間に脇腹に鋭い痛みが走った。
「かはっ……!」
後ろに飛び、ミアから距離をとる。脇腹を触ってみれば出血しており、何故かと思っているとミアが履く靴の先端には真っ赤に染まった
針を仕込んでるって、まさか暗殺者か何かか?いや、待てよ。確かミア・トレスファーってどこかで聞き覚えがあるような……。
「……そうだ。あんた、傭兵だろ。しかも結構名の知れた」
「へぇ、あたしの事を一つ思い出す事が出来たみたいだな」
S.H.I.E.L.Dに所属していた頃、世界各国の要注意人物を調べていた時だ。様々な戦争・紛争に関わり、『たった一人で傭兵数十人分の活躍をしている女性』という特徴から少し気になっていた傭兵がいたのだ。その女性の名前こそがミア・トレスファーだった。
「でも傭兵はもうやめた。お前を探すのに傭兵としての活動は邪魔だからな」
「なら何で武器を持ってる?」
「長年の癖っていうのもあるが、あたしを恨む輩は大勢いるからな。いつ襲われてもいいようにしてるんだ、よっ!」
ナイフと両方の靴に生えた針を振り回しながら襲ってくるミアを、アウトエナジーの盾を使いつつ、避けながらも受け流していく。だがこの狭い路地裏では十分に動く事は不可能だ。
「ちょっと付き合ってもらうぞ?」
ミアに飛びかかった俺は彼女を捕まえ、真上へと飛び上がった。パイプや換気扇を避け、狭い路地裏を抜けた俺はビルの屋上へと転がろうとしたのだが。
「だったらあたしにも付き合え!」
「っ!?」
ミアの左手首に嵌められた腕時計だと思っていた物からワイヤーが射出され、先端に構築されたアームが屋上の床を掴んだ。そして勢いよく巻き戻された事で俺は彼女と共に落ちていった。
「まさ、かっ!?」
床に落ちる途中に立っているアンテナにぶつけられる予想がつき、俺は咄嗟にアウトエナジーで球状のバリアを作った。ミアは弾かれて床に転がるが、バリアでアンテナをへし折った俺は、その瓦礫と共に床を転がり落ちていく。
「っと……自分で作ったのか、それ?」
瓦礫を光弾で吹き飛ばし、戻しているワイヤーについてミアに尋ねた。
「アイデアはお前から貰ったもんだけどな」
「俺から?」
「ああ、そうだ。例えばこんなのもな」
ドレスを捲し上げ、両方の太ももに装着している金属製の棒をミアは手に取った。そして二本を繋げ、左右を伸ばすと多節棍のように鎖で繋がった棍棒がいくつも現れていった。
「ほら、いくぞ!」
一直線に投げられた多節棍の先端は一際固そうに造られている。横に避けると、ぶつかった柵がまるで車がぶつかったかのように歪んでしまっていた。
「余所見してる場合じゃないぞ!」
「ちっ……!」
俺はアウトエナジーを双剣へと変え、攻撃を弾く。エネルギーの集合体である為、刃こぼれはしないが衝撃は凄まじくよろけてしまう。
「どうした?光線でも何でも撃てばいいだろ!」
「俺はあんたと戦いたくない!」
「記憶喪失だからか?甘くなったな、スウァーノ!」
多節棍を振り回しつつ接近してくるミアに対し、俺は防戦一方のまま追い詰められていった。確かに全力を出せば彼女を倒せるだろう。しかし俺を今まで探し続け、ようやく見つけた俺は記憶喪失だった事を考えると、罪悪感が湧き出てくるのだ。
「ほらっ!今度はこっちだ!」
右手首の装置からワイヤーが射出され、かわすと柵を掴んだ。そこである予想がつき、ミアを見るとワイヤーを巻き戻しつつ走っており、勢いがつくと床を蹴って飛び上がった。
「ちょっと使わせてもらうぞ、ロジャース」
ワイヤーの巻き戻しを利用して蹴りを決めようと迫ってくるミアに対し、俺はアウトエナジーで左手にヴィブラニウムの盾を模した物体を作った。
もちろんヴィブラニウムほどの強度はないし、そもそも盾の形を真似る事くらいしか出来ない。だが今はそれだけで充分だ。
「あ?何を────」
「ごめんな」
ミアの蹴りをかわすと同時に、顔が通る場所に盾を構えた。突然の事にワイヤーを止める事など出来るはずもなく、盾に顔をぶつけたミアは空中で後ろ向きに一周して床を転がっていった。
「ぐっ……このっ!」
「悪い!」
起き上がった瞬間にアウトエナジーを纏った拳で殴り飛ばした。今度こそ意識を沈められたミアに動く様子はなく、完全に気絶しているようだった。
「……しょうがないだろ」
説得して止めなかったが、それは無理だった。そして訪れたカウンターのチャンスを逃せば、次にいつチャンスが来るのかなど分からない事だ。ならば例え攻撃をしてでも、ここで止めるしかなかった。
「……どこに連れていくか」
話が出来る場所へと連れていきたいが、目覚めた瞬間に襲いかかってくる可能性は高い。民間人がおらず、尚且つミアが暴れても取り押さえられるような所は……。
「あそこしかないな」
最後のカウンター攻撃を思い付いたのは、シビルウォーでのキャプテン・アメリカVSスパイダーマンの戦闘シーンからです。