ストームブレイカー──────それはヘラとの戦いでムジョルニアを失ったソーが、新たに手にした”王の武器”とも称されるアスガルドの歴史上最強の武器。
サノスに敗れ、宇宙空間を漂いつつも一人生き延び、偶然にも”ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”と呼ばれる銀河を股に掛けるチームに助けられたソー。互いにサノスに因縁がある事を知り、彼はチームのメンバー数人と共にサノスを倒す為の武器を手にする為に旅立ったのである。
アスガルドと親交があり、ムジョルニアを始めとしたアスガルドの武器を製作してきた伝説とされる惑星──────ニダベリアへと。
「サノスを……連れてこぉぉぉいっ!!」
雷を帯びた斧を振り上げ、勢いよく跳躍したソーが着地と共にその斧を地面に叩きつけると、衝撃波と共に放たれた雷が大勢の敵を吹き飛ばしていった。
さらに斧を投げ付けて道を作るように敵を倒していく。その圧倒的な強さは凄いんだが……。
「あの二人……二匹か?あれは何なんだ?」
ソーと共に現れた二つの存在を見て俺は首を傾げる。何せ身の丈以上のライフルを乱射するアライグマに木のような……というか、人の形をした木が戦ってるんだから。
「とりあえず……ソーの仲間って事でいいんじゃないかしら?」
「そうだな……」
詳しくは分からないが、味方である事には変わりないだろう。ならば一緒に戦う事に躊躇いなどない。
「オレはグルート!!」
「っと……僕はスティーブ・ロジャースだ」
スティーブもあの木……グルートとか言う奴と会話できてるし。
『みんな、大変!!』
「うおっ……どうした、シュリ」
突然シュリから連絡が入り、驚く。突然何だ、と思っているともっと驚く言葉が聞こえてきた。
『敵が一人、侵入してきてる!黒いマントをしててハルバードを持った敵!……凄く強いっ!』
「なっ……!?」
絶対にコーヴァスの奴だ!戦場で見当たらないと不思議に思ってたが、そっちにいたのか……!ワンダが戦場に出てきたのを狙ったに違いない。
「っ、すぐに戻るわ!────っ!?」
ワンダが空を飛んで向かおうとするが、彼女に向かって一筋の光線が放たれる。その光線をワンダはサイコキネシスで止め、上へと弾いた。
「コーヴァスの邪魔はさせない!」
「きゃっ……!」
ワンダを狙ってプロキシマが跳び、彼女を捕らえて地面に叩き落とす。すぐざま起き上がるが、プロキシマとの一騎討ちにもつれ込み、とてもヴィジョンの元に行ける状況ではなくなってしまっていた。
「誰かヴィジョンを!!」
スティーブが戦いながら指示を出す。だが誰もが敵の攻撃に邪魔され、飛べる仲間もすぐに撃ち落とされてしまっている。
このままじゃまずい……!!
「スティーブ、俺が行ってくる!」
「スウァーノ!?だがどうやって────」
出来れば最後まで取っておきたかったがこのままでは使わざるを得ないだろう。それにただ飛んでいくだけでは時間が掛かり過ぎる。
「
ワカンダ・メディカル・センターではブラック・オーダーの一人、コーヴァス・グレイヴがワカンダの戦士達と戦っていた。というよりも……殺戮と言っても言いかもしれない。
「っ、どこに……ぐっ!?」
「な、何故二人になって……ぁがっ!!」
「ぐっ……こ、この身を犠牲にしてでもぉっ!?」
自身の影に潜み、相手が見失ったと思った瞬間に背後に現れて心臓をハルバードで突き刺し。
分身で二人に分かれ、左右からハルバードで挟むように切り刻み。
倒れ伏した戦士の頭を文字通り踏み潰し。
向かっていった仲間達が容赦なく殺されていく映像から目を背け、シュリは無線機に向かって叫んだ。
「みんな、大変!敵が一人、侵入してきてる!黒いマントをしててハルバードを持った敵!……凄く強いっ!」
このままでは大した時間も掛からずにいずれここに到着する。戦場にいる仲間達の誰かが戻ってくるよりも前に。そう考えたシュリは一度手を止め、念の為にと置いていたヴィブラニウム・ガントレットへと手を伸ばした。
「シュリ、逃げてください。あの敵はいずれここに──────」
その瞬間、ヴィジョンの声を遮るように部屋の扉が吹き飛んだ。そしてハルバードの先端を赤く染めたコーヴァスが部屋の中へと入ってきたのである。
「っ……!」
この部屋の中で戦えるのはシュリの部下を除き、ヴィジョンとシュリのみ。しかしヴィジョンが手術中で戦えない以上、自分が戦うしかないとシュリはガントレットからソニックブラストを撃つ……が。
「消えたっ……!?」
影に潜み、攻撃をかわしたコーヴァスはその状態のまま動いてヴィジョンが横たまる台の傍まで近寄る。そして影から出ると同時にハルバードを振り上げた。
「ストーンは貰うぞ、役立たずなロボット」
「あっ……!?」
シュリが振り返るが遅い。ヴィジョンもストーン摘出の途中の為か反応が遅く、振り上げられたハルバードは額に埋め込まれているマインド・ストーン目掛けて振り降ろされ──────
「がっ……!?」
────るが、その矛先がストーンに届く前に突如コーヴァスが吹き飛ばされ、壁を破壊して外へと放り出されていった。
「────間に合ったみたいだな」
「ス、スウァーノ……?」
先程までコーヴァスがいた場所で
「スウァーノ……貴方は、今……」
「悪いな、ヴィジョン。今は説明するよりもまずはあいつを倒す事だ」
スウァーノはそう言い、壁に出来た穴を通ってコーヴァスを追っていった。今の光景に唖然するシュリにヴィジョンはストーンに手を触れつつ問い掛けた。
「シュリ……マインド・ストーンの状態はどうなっていますか?」
「えっと……もうすぐ外れるわ。そしたら貴方の額とアーマーのリアクターを繋いで────」
「ならストーンを
「グァァアアッ!!」
「ウガッ……!?」
戦場から離れた森の中。ハルクがカルに殴られて木々を薙ぎ倒していき、岩に叩きつけられた所で止まった。
ハルクが朦朧としながら立ち上がる中、カルの右手に握られている棒の先端にはケーブルで侵食されたワカンダ軍の戦闘機の一部がいくつも繋がっている。
「グルルゥッ!!」
戦闘機に装備されている砲口が動き出し、一気にハルクを狙って放たれる。何十発もブラストを受け、ハルクは再び吹き飛んで地面を転がっていった。
「ゥガッ……ハルク、今度こそ勝つ……!」
立ち上がってカルを睨み、勢いよく跳躍するハルク。カルが持つ武器にしがみついて何度も殴り、引きちぎり、その大きさを小さくしていく。
「グルルァァアアッ!!」
「ッ……お前、絶対倒す……!」
カルが武器を降ってハルクを地面に叩きつけるが、それを堪えてハルクはカルの顔を殴った。そして怯んだ隙に武器を強引に奪い取ったのである。
「
棒より先が小さくなり、ハルクにも扱いやすくなった武器を振り回してカルを殴る。とにかく殴る。何度も殴る。何度も。何度も。何度も。何度も。
「ふっ!はっ!」
ナターシャ、オコエ、ミアの攻撃を槍で捌いていくプロキシマ。遠くからワンダもサイコキネシスで三人を援護しているが、それすらもプロキシマは難なくかわしていった。
「……何?邪魔が入って……っ、またあの男か!!」
耳に装着している無線機から何か通信を受けた後、プロキシマが激しく怒りを露にした。そして歯軋りをしつつ自分の手元にある槍に視線を落とす。
「悪いな、コーヴァス……私はサノス様の為ならば、
そう呟き、槍の先端を自身へと向けるプロキシマ。その姿に四人が動揺している間に彼女は槍を腹に深々と突き刺したのであった。
「はぁっ!?」
「あの女、一体何のつもり……?」
「ぐふっ……我が身を犠牲に……内なる獣を、呼び醒ませ……!」
呪文を唱えるかのように呟くプロキシマ。突き刺した槍を血と共にズルリと抜き、地面へ投げ捨てる。するとプロキシマの体に変化が訪れた。
────口が大きく割けていき、牙が生え。
────体が刺々しく、邪悪なものへと変化し。
────腰からは体液と共に悪魔の如き尾が生える。
「カハァァァアア……」
まるで獣のように四つん這いとなったプロキシマは勢いよく跳躍した。鋭く伸びた爪で狙うのは未だ唖然としているミアとナターシャである。
「っ、危ない!」
「このっ……化け物!!」
しかし間一髪でワンダが動きを止め、オコエがプロキシマの首を槍で貫く。謎の変貌はあったものの、これで終わった────と安心し切っていると。
「ウバァァア……!」
「ひっ!?」
プロキシマの顔のみが動き、驚いたオコエを捉える。そして槍を両手で掴み、自分の体を手繰り寄せて近付き始めたのである。
首に更に深く槍が突き刺さる事などまったく気にせずに。
「く、来るなっ!」
怯えたオコエが槍ごとプロキシマを投げ飛ばす。両手両足で着地し、躊躇なく首から槍を抜いたプロキシマはコキコキと音を鳴らす。そして何かに気付いたように森の方へと視線を向けた。
「コー……ヴァァァ……ス」
「お、おいっ!逃げたぞあいつ!」
突然四人に背を向け、四つん這いになって走り出すプロキシマ。目の前で戦い、邪魔なワカンダの戦士やアウトライダーズに敵味方関係なく襲いかかっていく姿は、もはや”獣”にしか見えなかった。
「……ぐっ!?」
コーヴァスが振り回すハルバードをバリアで防ぎ、衝撃に耐える。だがやはり、ほんの少しとはいえ
「がはっ!」
「貴様、俺の邪魔を何度もっ……今度こそ息の根を止めてやる!!」
そう叫ぶコーヴァスは跳躍し、俺にハルバードを突き刺そうとしてくる。それをどうにか避けた俺は、転げ回って奴から距離を取った。
「ふっ……理由は知らないが、動くのも辛そうだな。早く楽になった方がいいんじゃないか?」
「ふざけんなっ……!」
俺はふらつきながらも立ち上がり、アウトエナジーを周囲に放出する。そしてそれらを一度に剣や槍などの武器へと大量に変化させた。
「貫けっ!」
俺が合図を出すと、それらは一気にコーヴァスへと襲いかかっていく。たがハルバードの一振で半分が、もう一振でもう半分が弾かれてしまった。
「くそっ……!」
「この程度の力しか出せないお前など敵ではないな」
そう言い、四人に分身するコーヴァス。力が出せない今の俺を数で叩き潰すつもりなんだろう。ハルバードを構え、俺に狙いを定めるコーヴァス達。
「はぁっ!!」
「なっ……がふっ!?」
その瞬間、茂みから飛び出してきた人物──────スティーブがコーヴァスの一人に掴みかかり、両手の盾で殴り飛ばした。
「スウァーノ!平気か!?」
他のコーヴァス達のハルバードを盾で受け止め、どうにか戦い続けるスティーブだったがいくらなんでも無茶すぎる────と思った時。
「避けろ、キャプテン!!」
「っ!」
上から聞き覚えのある声がし、スティーブが飛び退いた瞬間に木々の間から現れた黒豹……ブラックパンサーことティ・チャラがコーヴァス達の間に降り立った。そして同時に衝撃波が放たれ、コーヴァス達を吹き飛ばしたのである。
「大丈夫か?戦えないようなら下がっていた方が身の為だぞ」
「心配すんな……まだやれる」
ティ・チャラに握った手を引っ張って貰い、立ち上がる。スティーブも俺達に駆け寄ってくると、吹き飛ばされたコーヴァス達も体勢を立て直して俺達を囲み始めていた。
「三対四か……」
「──────いえ。四対四ですよ、スウァーノ」
上空から放たれてきた光線がコーヴァス達に距離を取らせるように俺達の周りを一周した。そして地面を抉った光線が収まると、俺達の前に降り立ったのはストーンの摘出手術を受けているはずのヴィジョンであった。
「ヴィジョン!何でここに……!?」
「あの場所までも襲われた以上、私に考えがあります。ですがその前に……この者達を片付けましょう」
ヴィジョンがそう言うと、コーヴァス達は苛立ちを隠そうとせず、唸り声やら歯軋りをしている。
鋭く伸びた爪で立ち向かうブラックパンサー。
両手の盾で殴りかかるキャプテン・アメリカ。
マインド・ストーンの力を駆使するヴィジョン。
アウトエナジーを放出して光線を放つ
宇宙を守る為、
一方──────サノスの故郷・惑星タイタンにて。
「言え、サノスはどこにいる!?ガモーラをどこにやったんだ!!」
「サノスの手下が何を言ってる?お前達こそサノスの居場所を知ってるだろ!」
「はぁ?俺達がサノスの手下だって?ふざけるのもいい加減にしろ!!」
カルとマウが乗ってきたQシップに乗り込み、タイタンに不時着したスターク、ストレンジ、ピーターの三人。
その三人に突然メカニカルなヘルメットを被った男、灰色の肉体とスキンヘッドな特徴的な男、そして額に生えた触覚や大きな黒目など明らかに地球人ではない女性の三人が襲いかかってきたのだ。
「落ち着きたまえ。私達はサノスを倒す為にここまで来た。君達は?」
「俺達だってそうだ!サノスの奴を倒して俺のガモーラを取り返して……って、だったらこいつらは何なんだよ!?」
「僕達、アベンジャーズだよ!」
ナノマシンのマスクを消し、素顔を見せながら答えるピーター。その言葉に触覚を生やした女性が反応を示した。
「アベンジャーズって、ソーが言ってた
「君達、ソーを知ってるのか?」
「ああ、知ってる。俺達が助けた男の名前だ」
スタークの質問に灰色の肉体を持つ男が答える。互いに『相手がソーを知っている』という事実により敵対意識は消え、漂っていた緊迫感も無くなりつつあった。
「えっと……貴方達は?」
「俺達か、坊主?俺達はな、
これにてワカンダ防衛戦編、終了です。次回からはタイタン編が始まりますが……インフィニティ・ウォー編、ちょっと長くなりすぎかな……?
エンドゲーム以降のお話について
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エンドゲーム以降も続ける(同作品にて)
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