アベンジャーズーホープ・オブ・レイー   作:白琳

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今回の終盤、多少グロ表現があります。人によっては「何だ、こんなもんか」と思う人もいると思いますが、苦手な人の為に一応伝えておきます。

それではそろそろ終わりが近付いてきたインフィニティ・ウォー編、どうぞ!


サノスVSアベンジャーズ

「ぐっ……!」

「はぁっ!!」

「がっ……!?」

 

俺は迫ってきたコーヴァスのハルバードをバリアで受け止めたものの、その場で拮抗したまま動けなくなってしまった。だがティ・チャラが横から襲い掛かった事でコーヴァスは吹き飛び、転がっていった。

 

「この、邪魔を……っ!?」

 

起き上がったコーヴァスの胸が背後からハルバードで突かれた。それをやったのは俺と同じく疲弊しつつあるヴィジョンであり、動かなくなったコーヴァスは放り投げられた。

 

これで────ようやく四人全員のコーヴァスを倒せた。だが姿が同じ奴が四人も倒れているってのはちょっと不気味だな……。

 

「大丈夫か、ヴィジョン?」

「はい……まだ、どうにか……」

 

スティーブが膝をついているヴィジョンに声を掛ける。すると、無線機からシュリの声が聞こえてきた。

 

『ねぇ、ヴィジョンは大丈夫!?ストーンをギリギリの所でヴィジョンとくっつけてるだけだから危険なの!早くリアクターと繋げないと!』

 

シュリからの言葉に俺達は驚く。ヴィジョンはそんな状態で俺達を助けに……。

 

「スウァーノ……貴方が考えてる事は違います。私が自らシュリに頼んだのです。ストーンを私の意思で外せる限界までプロテクトを外してくれと」

「何故そんな事を?」

「……あの場所が襲われた以上、もう猶予はありません。ですが皆は私を犠牲にするわけにはいかないと言う。だから考えたのです、ストーンを今すぐ彼女に守ってもらおうと」

「彼女って……ワンダか?」

 

俺の質問にヴィジョンは頷く。確かにワンダはマインド・ストーンを守るのに相応しいだろう。ワンダと愛し合ってる事もあるが、何よりワンダはマインド・ストーンから力を得た。ストーンそのものを保持すれば、その力を底上げする事も可能かもしれない。だが……。

 

「シュリが言ってただろ、ストーンを外したらすぐにリアクターと繋げないといけない。機能停止すれば何が起こるのか分からないって」

「構いません。それを承知で私はここに来たのですから」

 

……ワンダには止められていた事だが、ヴィジョンはやはりストーンを敵に渡さない為に自分がどうなると構わないという意思を強く持ってるんだろう。ワンダには悪いが、その覚悟には恐れ入る。

 

「ならばまずは彼女と合流しよう」

「だな。きっとまだあっちで戦って……っ!?」

 

茂みをガサガサと鳴らし、何かが近付いてくる音が聞こえた。そろそろ限界なヴィジョンを守るように俺達は立ち、まだ姿が見えない相手に警戒する。

そして数秒後──────

 

コー……ヴァスゥゥッ!!

 

「うおっ……!?」

「くっ!!」

 

茂みから飛び出してきたのはプロキシマ……のような気がする敵だった。まるで獣の如く襲いかかってくる奴を俺がバリアで止め、スティーブが勢いよく盾で殴りつけた事で木の幹へと叩きつけられた。

 

「な、何なんだ?あいつ、本当にプロキシマか?」

「様子は違うが……おそらく彼女だろう」

 

スティーブの言葉にあいつ自身も、そして俺もティ・チャラも驚く。さっきまで見ていた奴とは思えないからた。牙を生やし、体は刺々しくなり……さらには腰から尻尾が生えているときたんだから当たり前だ。

 

「スウァーノ!!」

 

するとプロキシマを追い掛けるように走ってきたのはミアにナターシャ、ワンダ、オコエ。

 

「ゥガァァァアアアッ!!」

跳躍してきたのか、上空から木々をへし折りながら着地するハルク。

 

「おおい……サノスが来てるとか聞いてねぇぞ!?」

「オレはグルート!!」

 

サノスの出現に驚く、途中にソーから名前だけ聞いたアライグマことロケット、人みたい木ことグルート。

 

「みんな、大丈夫か!?」

『敵はソーがみんな倒してくれてる!あとは……そいつだけか!』

 

広い場所へと共に着地するサムとローディ。

 

総勢十三人に囲まれるプロキシマ。その顔に憎悪や怒りの表情が見えるが、口から漏れるのはコーヴァスという名前と獣のような唸り声だけである。

 

「おい、一体何があった?」

「分かりません……突然自分の武器を体に突き刺したと思ったらあの姿に」

 

ティ・チャラがオコエに確認をするが、どうやら彼女も分からないらしい。おそらくプロキシマ自身か、持っていた槍に何か仕掛けがあるんだろうが……。

 

コー……ヴァ……ッッ!?

 

突然プロキシマが怯えたような表情を見せたかと思うと、後ろを振り向いた。俺達も視線を奥へと向けると、かつてスペース・ストーンが生み出したようなワームホールが出現し────そこから出てきたのは。

 

「あれは……」

「あれがサノス……だろうな」

 

左手に装着しているガントレットにいくつかのストーンが嵌められてるのが証拠だ。その数は五つ。確かストーンは全部で六つあるって話だが、という事は……。

 

「まさかスターク達……やられたのか……?」

「なっ……!?」

 

俺の言葉にスティーブが驚きの声を上げ、みんなも目を困惑した様子を見せる。だがストーンの一つであるタイム・ストーンを持っていたストレンジとスターク達は一緒にいるとバナーが言った。考えたくはないが、サノスがそのストーンも持っているという事はつまりっ……!

 

「安心しろ、地球人……スタークは生きてるぞ」

「なにっ……!?」

「他に一緒にいた仲間もな」

 

……信じていい話かは分からないが、もし本当なら喜ばしい事ではある。だがどうしてスターク達を殺さなかった?ストーンを手に入れたいならその位すると思っていたんだが……。

 

「それよりも……プロキシマ。私の命令に従わずその姿へとなったか……」

サノ……ス……様

「お前を苦しませたくはなかったのだが……すまないな。今すぐその苦しみから解放してやる」

 

サノスのガントレットに嵌められてるストーン……その一つが紫色に輝き出す。そしてそのストーンをあいつはプロキシマに叩き込んだ。

 

「んなっ!?」

あ……がっ……コ……ヴァ……

 

プロキシマの体が紫色の粒子となって消え始め、ほんの数秒もしない内に彼女は俺達の目の前から姿を消してしまった。

 

「……プロキシマ、コーヴァス。二人で会える事を願っているぞ」

 

そう呟くサノスは俺達に倒されたコーヴァスを見つめていた。

 

「おいっ……どういう事だよ?」

「何がだ?」

「仲間だったんだろ!?それなのに何で……!」

「苦しみから解放する為だ。プロキシマの種族はあの姿になれば、二度と元の姿には戻れなくなる。そして本能のみで戦い、意識は怒りや憎悪、悲しみに蝕まれる」

「だからって……!!」

 

大切な仲間を……そんな躊躇いなく殺していいはずないだろうがっ……!

 

「さて……話はここまでにしよう。私がここに来た目的はただ一つ……そいつからストーンを奪い取る事だ」

 

そう言い、サノスは余裕そうな顔でこちらに歩いてくる。俺達だけで勝てるのかは分からないが……少なくともヴィジョンがワンダにストーンを渡すだけの時間は稼いでみせる。

 

「ヴィジョン、お前はワンダと一緒に下がって……ここに来た目的を達成しろ」

「はい、ありがとうございます」

「えっ?ど、どういう事よスウァーノ?私もみんなと一緒に……ヴ、ヴィジョン!?」

 

事情を知らないワンダをヴィジョンが後ろへと連れていく。他のメンバーもヴィジョンの行動に困惑する者もいるが、俺やスティーブが何も言わないからか何か考えがあると思ったんだろう。そのまま何も言わないでくれた。

 

「みんな、油断するな。何をしてくるか分からないぞ……!」

 

スティーブの言葉に全員が頷く。だから全員で立ち向かい、あいつが何かをする前に倒せればと考えていた。

 

 

キャプテン・アメリカが盾を振りかぶり。

 

ブラック・パンサーが爪を振り降ろし。

 

ミアがセルファローを薙ぎ払い。

 

ハルクが拳を突き出し。

 

ブラック・ウィドウがバトンで攻撃し。

 

ロケットのキャノン砲が火を吹き。

 

グルートが枝を成長させた触手で攻撃し。

 

オコエが槍を突き放ち。

 

ファルコンがライフルを連射し。

 

ウォーマシンが全装備を展開して攻撃し。

 

レイ()が光線を放ち。

 

 

全員で立ち向かえば勝てると思った。そうじゃなくても奴の足止め位は出来ると思った。

 

そして──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……所詮はこの程度か」

 

私は周囲に倒れる者達を見渡してそう呟いた。しつこく挑んでくる奴もいたが……そいつも最後には倒れた。ガントレットが閉じる事が重要だと気付き、止めに掛かった者もいたが、そいつも今では気を失って倒れている。

 

「ぐっ……かはっ……」

「む……?」

 

後ろで声が聞こえ、振り向くとたった一人だけまだ意識を失っていない奴がいた。だが立ち上がる事は出来ず、膝をついてしまっている。

 

────スウァーノ・エイナム

 

ソウル・ストーンにより頭の中に入ってくる情報に……私は驚いた。こいつの能力にはソウル・ストーンが関係している。だがこのストーンは私が手に入れるまでヴォーミアに誰の手に渡る事もなく隠されていた。

 

なのに……何故こいつはソウル・ストーンから力を得ているのだ……?

 

「サノ、ス……」

 

聞きたい事はあるが……それは後でいいだろう。今はそれよりもマインド・ストーンを手に入れる事の方が先決だ。

 

 

 

 

 

 

 

「……────説明は以上です。ワンダ、マインド・ストーンを持ってすぐにここから逃げてください」

「ちょ、ちょっと待ってヴィジョン……!」

 

アベンジャーズがサノスと戦っている間、ヴィジョンはワンダに自分が考えた作戦を説明していた。そして実際にそれを実行しようとするが、その前にワンダに止められた。

 

「そんな事をすれば貴方は……っ!」

「……はい、私はどうなるか分かりません。ですがこの宇宙を救う為には────」

 

「っ……宇宙がどうとか関係ないっ!私にはっ……ヴィジョンが必要なの!!」

 

ヴィジョンの言葉を遮るようにワンダが叫んだ。

 

そもそもワンダとヴィジョンでは考え方が違っているのだ。ヴィジョンは宇宙や地球、仲間を自分を犠牲にしてでも救おうとしている。反対にワンダはそんな壮大な話よりも、愛するヴィジョンをその事の為に失いたくないのだ。

 

「私はヴィジョンと一緒にいたいの……だからっ!」

「……ワンダ」

 

ワンダの目から流れる涙をヴィジョンは指で拭い、頬に手を添えた。

 

「ならば約束をしましょう、ワンダ。どんな事になろうと私は必ず貴女の元に戻ります」

「……本当に?」

「はい。私と貴女は結ばれた赤い糸を辿り、探し、また巡り会う。きっとそんな運命が待っているはずです」

 

ヴィジョンが言っている事はもちろん根拠のない話である。だがワンダに信じてもらう為には十分なようだった。

 

「うん……分かったわ。私もそんな運命が来る事を待ってるわ」

「ワンダ……後をよろしくお願いします」

「ええ……任せて」

 

ヴィジョンは自らの意思で最後のプロテクトを外し、マインド・ストーンを自身の額から手に取った。そしてすぐに脱力感に襲われ、ヴィジョンはふらつくがワンダにしっかりとストーンを渡す事は出来た。

 

「ヴィジョン……!」

「ワン、ダ……────ッ!?」

 

ワンダはヴィジョンを支えようとする。ヴィジョンも彼女の体に身を預けようとした瞬間、後ろから頭を鷲掴みにされて体が持ち上げられてしまった。

 

「ストーンを渡せ。でなければこいつの頭が潰れる事になるぞ」

 

ヴィジョンを持ち上げたサノスの右手からはミシミシという音が聞こえてくる。既にストーンを失い、機能停止に陥っているヴィジョンに抵抗できるわけもなく、その頭を砕かれようとしていた。

 

「っ……やめて!!」

「ならばストーンを渡せ。さぁ、はや────」

 

そこまで言った瞬間、上空から放たれた雷撃がサノスを襲った。ヴィジョンの頭から手を離し、吹き飛んでいったサノスは木々を薙ぎ倒していく。

 

「……ソー……」

「早く逃げろ。奴は……俺がここで殺す!」

 

ストームブレイカーを携えながら着地したソーはワンダにそう言う。頭を砕かれず、倒れているヴィジョンを心配そうに見つつもワンダは約束を守る為に走り出した。

 

「貴様っ……!!」

「ロキを、そしてアスガルドの民を殺したお前を殺して……敵を討つ!!」

 

立ち上がるサノスに近付いていくソー。そんな彼の隣に一つの影が現れた。

 

「俺も……やるぞ、ソー」

「負けただろ。お前は下がってろ、スウァーノ」

「あんただって負けたんだろ……だったらお互い様だ」

 

そう言うスウァーノは周囲にアウトエナジーを放出する。だがそれは────武器に変えるわけでも光線を撃つ為でもない。

 

「もう一回……耐えてくれよ、俺の体……」

「スウァーノ、お前何を────」

 

凝縮し、実体化したアウトエナジーがスウァーノの体を包んでいく。足先から上へと進んでいき、頭もアウトエナジーで作られたフルフェイスマスクに覆われる。

その姿はかつてのレイ・アーマーにも似ているが、金色と銀色で構成され、細部が刺々しくなっているなど少し異なる。

 

──────“エナジー・アーマー“。かつてウルトロンの事件において、一度使ったアウトエナジーを全身に纏うというやり方をスウァーノが試行錯誤の末に進化させ、完成させた最強のアーマーにして切り札である。

 

「さぁ、ソー。サノスをぶっ倒すぞ」

「ああ」

 

身構えるスウァーノとサノスに対してサノスはガントレットを閉じようとする。それを止めようとソーがストームブレイカーで攻撃するよりも前に──────()()()()がサノスを襲った。

 

「なっ……?」

 

ソーが驚くが無理もない。

 

何故ならば、さっきまで隣にいたスウァーノが今ではサノスの顔に強烈な拳の一撃を与えているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────“エナジー・ムーブ“。

 

俺がそう名付けたそれはその名の通り、アウトエナジーという粒子にアーマーを戻し、光速並の速さで移動して辿り着いた場所で再びアーマーへと変えて姿を現す。コーヴァスに襲われるヴィジョンの元に向かう時もこれを使ったのだ。

この時、俺の体は……というか、この姿になっている間、俺は()()()()()()()()している。つまりアウトエナジーで作ったアーマーと一体化しているのだ。

だからアーマーの中に俺の体はない。このアーマーそのものが今の俺の体なのだ。

 

「ぐふっ……!?」

 

突然俺に殴られ、よろけるサノス。しかし顔には傷一つ付いておらず、俺を視界に入れると再びガントレットを閉じようとするが────遅い。

エナジー・ムーブをしてサノスの脳天に蹴りを決めた。

 

「ぐっ……何が……?」

「さぁ、何だろうなっ!」

 

両手から光線を放つ。ブーストラルを使ってないにも関わらず、その威力は絶大で受けたサノスの周りにあった木々が焼き切れていた。

 

「ぐっ……ぉぉぉぉおおっ!!」

 

ついにガントレットが閉じられ、紫色のストーンが輝くと同時に光線が放たれた。だがそれは前方に作ったバリアを貫通する事は出来ず、止められた。

……このアーマーからは異常な量のアウトエナジーが絶えず放出されている。おそらくまだ俺がコントロール出来てないせいもあるんだろうが……そのお陰で強力なバリアが作れるのだ。

 

「バカな……!」

 

俺は離れているサノスの元へエナジー・ムーブで接近し、奴の目の前に現れた。そして右手に周囲に漂うアウトエナジーを全て集める。それにより俺の右手は熱を持ち始め、強く輝き出した。

 

──────“エナジー・バースト“。

 

「吹っ飛べ!!」

「ぬがっ……!?」

 

サノスを両腕による防御の上から殴る。だが集めたアウトエナジーが爆発を起こした事でその防御は無意味となり、サノスは遠くに見える岩へと叩きつけられた。

 

「っ……ぐっ、はぁ……!」

 

サノスの元へ向かおうとするが、凄まじい痛みと疲労感により膝をつく。だがまだギリギリ、アーマーの解除はされない。

 

エナジー・アーマーはアウトエナジーを大量に消費し、俺の体は今、そのアウトエナジーと同化している。

 

そして戦う為に俺はアウトエナジーを使っている。基本は体力や気力などと引き換えに生み出したアウトエナジーが放出されているが……過度な使用を続ければ体力や気力などを根こそぎ奪われ、今度は体が変えたアウトエナジーが使われる事になる。

 

つまり────諸刃の剣なのだ、このアーマーは。

 

「なるほどな……ソウル・ストーンより与えられた力、それを全て解放した姿がそれというわけか」

「っ!」

「だがまだ完全に制御できてるとは言い難いものだな」

 

こちらへと向かってくるサノス。防御をしていた両腕は赤く腫れ上がっており、着ているインナーは所々破けている。今までと比べるとダメージは大きいが……致命傷まではいかなかったらしい。

 

「敵ながら凄まじいものだな、スウァーノ・エイナム。お前達の中で私に傷を負わせたのはお前とスタークだけだ」

「そう、かよ……」

「誇ると共に痛感するといい。誰も私には勝てないのだと────っ!!?」

 

サノスが俺にガントレットを向けた瞬間、奴の背後から現れたソーが斧を振り払い……首元へと突き刺したのである。

 

「あがっ……はっ……!?」

「う、おおおおおっ!!」

 

首元から血が吹き出し、苦しむサノスにソーはさらに斧を食い込ませようとする。だがそれも長くは続かず、ソーは投げ飛ばされてすぐにガントレットが閉じられた。

緑色のストーンが輝くと、サノスの時間だけが戻っていき────斧は抜かれて地面に落ち、首の傷も塞がっていってしまった。

 

「ぬぅ……愚かなアスガルド人がっ!」

「っ……!」

 

サノスが顔を踏み潰そうとするが、咄嗟に避けるソー。そして飛んできた斧を手に取り、勢いよく振り降ろす──────が、それはガントレットに掴まれて止められてしまった。

 

「この……怪物めっ……!」

「何とでも言うがいい」

 

顔を殴られ、地面に倒れるソー。掴んでいた斧を投げ捨ててソーを持ち上げたサノスはガントレットのストーンを全て輝かせた。

 

「ぐっ……」

「弟と同じ運命を共にするがいい……!」

 

あのままではソーがサノスに殺されるのは明白である。どうすればいい、と考える俺の視界に入ったのはサノスが地面に落としたソーの武器。

 

ソーを助ける為に。サノスを倒す為に。俺はその武器を──────()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで終わりだっ……!!?」

 

ガントレットから五つのストーンの力を集めた光線を放とうとした瞬間、サノスは危機感を感じた。自分の命を脅かす存在が迫ってきている──────だがそれは気付くのに遅すぎるものだった。

 

「……っ……!?」

 

脳天に痛みが走る。次にサノスの視界がズレる。そして最後に口が半分に割けた。

 

「っ……スウァーノ……」

 

ストームブレイカーにより顔が縦半分に割けたサノス。当然その状態で生きているわけもなく、サノスは膝から落ちてうつ伏せに倒れるのだった。

 

「これで……絶対に……死んだだろ……」

 

限界が訪れてアーマーがアウトエナジーへと霧散し、体が元に戻るスウァーノ。持っていたストームブレイカーを取り落とし、背中から地面へと倒れた。

 

「……やったな、スウァーノ」

「ああ……」

 

サノスの血で濡れたストームブレイカーを拾うソーは動かなくなったサノスを見て、グッと両手に力を入れた。

アスガルドの民、そしてロキを殺したサノスを自分の手で殺したかったのだ。結果は成功だが、自分の手で復讐を果たせなかった事が心残りなのである。

 

「スウァーノ!ソー!大丈夫か!?」

 

スティーブを先頭にアベンジャーズのメンバー、ティ・チャラ、オコエがこちらへと走ってくる。ハルクは気絶したからかバナーの姿に戻っており、一番後ろを走っていた。

 

「サノスは……っ!?」

 

尋ねてくるスティーブに対してスウァーノとソーは頭を割かれたサノスに視線を向ける。血の池を作っているその姿に何人かは引いていたが、サノスを倒せた事に喜ぶメンバーもいた。

 

「スウァーノッ……やったんだな!」

「ああ……やったんだ、俺達」

 

走ってきたミアを座りながら抱き締めるスウァーノ。ミアから「大丈夫か?」や「やっぱりスウァーノは凄いな!かっこいいな!」など心配されたり、褒められたりするスウァーノはソーが死体と化したサノスをジッと見つめてる事に気付いた。

 

「どうしたんだ、ソー?」

「何かあったのか?」

 

同じくソーを気にしていたスティーブも声を掛ける。それに対してソーは無言のまま立ち尽くしていた。

 

「……ソー?」

()()()……()()()()……!」

 

ソーがそう言った瞬間──────サノスの体が赤い霧となって消えていったのである。

 

「え……?」

「こいつは偽物……リアリティ・ストーンで生み出された幻だ!!」

 

そう言い、ソーはすぐさまストームブレイカーの力で空へと飛んでいった。

本物のサノスが狙っているワンダの元へと向かう為に。




知らない人の為に説明しますと、スウァーノがストームブレイカーを持てたのは映画の監督が言っていた通り、「ストームブレイカーはムジョルニアとは違う」からです!

エンドゲーム以降のお話について

  • エンドゲーム以降も続ける(同作品にて)
  • エンドゲーム以降も続ける(別作品にて)
  • エンドゲーム以降は求めてない
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