アベンジャーズーホープ・オブ・レイー   作:白琳

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エンドゲーム編、始まります!この章のタイトルはこんな風に『◯◯/△△』になります。

また、今回からスウァーノの仲間への呼び名が一部変わっています。主にラストネーム(苗字)からファーストネーム(名前)に変わっています。


エンドゲーム
デシメーション/消滅


サノスが引き起こしたインフィニティ・ガントレットによる全宇宙の生命を半分だけ消滅させるというもの──────地球でそれが起こったのはもちろんワカンダだけではなく、同時に地球のあらゆる場所で起こっていた。

 

ワカンダではナターシャ、ミア、サム、バーンズ、ワンダ、ティ・チャラ、グルート。

 

アトランタではフューリー、マリア。

 

サンフランシスコではスコットに加え、一緒にいた事を確認したハンク・ピム、彼の娘のホープ・ヴァン・ダイン、それにジャネット・ヴァン・ダインと言うハンク・ピムの妻。

 

さらにはクリントの家族であるローラ、クーパー、ライラ、ピエトロも反応が一切なく消滅したに違いない。

 

知っている人物をちょっと調べただけでも、こんなにも多くの仲間が消えていた。宇宙へと飛んだスタークやパーカー、ストレンジがどうなったのか分からないが、無事でいてほしいと願っている。

 

だが──────被害に遭っているのは消滅した者だけじゃない。運転手が消滅すれば車やヘリなどの乗り物は事故を起こし、警察官が消えれば殺人や強盗などの犯罪が増える。

 

地球のあらゆる場所で混乱が起こる中、アベンジャーズに出来る事は沢山あるだろう。だが今までのどんなものよりも規模が違い過ぎる上に、俺達も多くの仲間を失って何をすべきか見失っていた。

だから──────まずは消滅した者達を復活させる方法はないかと約二週間ちょっと、俺達はそれを調べていた。

 

 

 

その鍵となるであろう物は──────

 

「おい……ついに止まったぞ」

「何だって?」

 

ローディに言われ、その場にいた俺やブルース、ロケットが顔を向けた。鍵となるであろう物とは、フューリーが残したとされる“古いポケベル“である。そう言ってこいつを渡してきたあの配達員の事を信じるなら、あいつはフューリーの部下か何かだったんだろう。

話を戻すが、そのポケベルは電力を維持する事でどこかへと信号を発信し続けていたんだがそれが突然止まってしまった。つまり……あちら側にいる誰かが通信を切ったに違いない。

 

「もう一度繋げる事は出来ないのか?あちら側に誰がいるのか知りたい」

「僕もそれが気になって続けているんだけど……」

「無理だろ、完全に止まってやがるぜこいつ」

 

ローディに呼ばれてきたスティーブがブルースとロケットに尋ねるが、どちらもお手上げらしい。まぁ、明らかにただのポケベルとは思えないし、そう簡単にうまくはいかないか。

 

「……どうするんだよ?こいつがみんなを復活させる為の第一歩になるかもしれないんだぞ」

「分かってるって、そんな事は!」

「バナー、落ち着くんだ。スウァーノも」

 

消滅した大勢の仲間、そしてミアまでもが消されて……みんなを助ける為の鍵になるかもしれないこの謎のポケベルまで止まって苛立ってしまっていた。ブルースもロケットも頑張ってくれているのにな。

 

「とにかくブルースとロケットは信号の発信を復活させられるか試してくれ。フューリーが一体、誰に信号を送っていたのか分かれば────」

 

 

「貴方達、フューリーを知ってるのね」

 

 

「なっ!?」

「っ……だ、誰だよ、あんた!?」

 

突然後ろから声を掛けられ、驚きで飛び退いた俺達の目の前に現れたのはポケベルの画面に映っていた画像と似たようなスーツを身に纏った金髪の女性であった。

 

「一体どこから……いや、もしかして君がこのポケベルの向こう側にいた?」

「ええ、そうよ。これがその証拠」

 

そう言ってスーツの前腕に装備されてるガントレットのタッチパネルを操作すると、再びポケベルが鳴り出した。

 

「……それであんたは何者なんだ?」

「私はキャロル・ダンヴァース、前にフューリーとタッグを組んでたの。キャプテン・マーベルって呼ぶ人もいるけど、こっちはヒーロー名だから」

「キャプテン……マーベル……?」

 

キャプテン・マーベルというヒーローも、キャロル・ダンヴァースという名前も聞いた事がない。いや、もしかしたら俺達が知らないような場所で今まで活動していたのかもしれないが。

 

「それでフューリーはどこに?N-14から飛んできたから、大分時間が掛かったの」

「えっと、それってどこの地名かな?」

「N-14……もしかして『サムアックス』か?」

 

ダンヴァースから謎の単語が出てきてブルースを始めに俺達は困惑していたが、この中で宇宙出身であるロケットは理解できたようだった。

 

「サムなんだって?」

「サムアックス、サムアック人とかいう奴らが住んでる星だ」

「星って……あんたは自分が宇宙から来たとでも言いたいのか?」

「ええ、そうよ」

「本気か?」

「本気よ」

 

ローディがダンヴァースの事を疑っているが、正直俺もまだ信じられない。N-14もといサムアックスという場所をロケットが知ってたから信憑性はあるが、一体どこまでが本当なのか。

 

「話を戻すわよ。フューリーはどこにいるの?」

「……残念だが、フューリーはいない」

「いない……?」

 

スティーブがそう言うと、ダンヴァースが驚きと困惑が入り交じった視線を向けてきた。そして顎に手を当てて考え込んでいたが、しばらくすると自身の中で解決したようだった。

 

「サノスに消されたのね?」

「っ……奴を知ってるのか」

「ええ。あいつが宇宙のあちこちで何をしてきたか、その目的が何なのか全部知ってるわ。サムアックスや他の惑星で消滅が始まったからまさかとは思ったけど、ついにやったのね」

 

サムアックスや他の惑星で、か……ダンヴァースの言葉を信じるなら本当に宇宙のあちこちで沢山の命が消されているんだろう。

 

「君は何か知ってるか?消されたみんなを元に戻す方法を」

「それは────」

 

ダンヴァースがスティーブの質問に答えようした瞬間、どこからか激しめな音が室内で鳴り響いた。ほとんどが驚き、一体どこから聞こえてくるのかと思っているとその発信源らしき機械をロケットが取り出した。

 

「おっ、ようやく繋がったみたいだな」

「何だそいつは?」

「俺の仲間が乗ってるベネター号と繋がってる通信機さ。あいつら、どこに行きやがったのか全然繋がらなかったけどな」

 

そう言うと、ロケットが通信機のボタンを押す。すると通信機から鳴り響いていた音が消え、代わりに誰かの声が聞こえてきた。

 

「おい、クイル!お前ら、今どこにいんだ?こっちは大変な事に……」

『その声、ロケットね……やっと通信が繋がって安心した』

「あぁ?……その声、お前もしかしてネビュラか?」

『ええ……久し振り』

 

ダンヴァースに続き、またもや知らない名前が増えたな。クイルにネビュラね……ロケットはクイルっていう人が出ると思っていたんだろうけど、実際はネビュラという人だったと。話からするに互いに知り合いみたいだか、仲間なんだろうか?

 

「何であんたが俺達の船に乗ってる?クイル達はどうしたんだ?」

『……ロケット、落ち着いて聞きなさい』

「何だよ?……おい、まさか……」

 

 

『彼らは────消えたわ。一緒にいたテラ人(地球人)三人の内、二人と一緒に』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────ネビュラからサノスの故郷・タイタンで何があったのか、スターク達がどうなったのかを全て聞いた。ロケットは仲間が消滅したという話を最初こそ信じていなかったものの、次第に本当だと気付き始めてからは落ち込んでしまっている。

 

逆に俺達はスタークは生き残っているという話を聞き、安心した。だがベネター号の燃料や酸素、食料が残り少ないらしく、通信機から座標を割り出してダンヴァースが救出に向かった。宇宙から来たという話を疑っていたが、あのスーツ姿のまま宇宙へと飛び上がっていく姿を見れば本当だと信じるしかない。

 

だが……他の二人、その内の一人であるピーターは消滅してしまったという話を聞いて、俺の気持ちは暗くなりがちであった。

 

「……ピーター」

 

チーム内で争ったあの日からピーターとは一度も会っていない。あの頃、逃走中に電話が何度か来た事はあったが追われる身としては出れなかったし、携帯や電話番号を変えてからは一切掛かってくる事はなくなった。

 

「くそっ……」

 

スタークよりも先に───アベンジャーズの候補の候補ではあるが───チームに誘った身としては逃走中もパーカーの事は気に掛けていたし、色々としてやりたい事もあった。

 

だがそれよりも──────

 

 

『何でっ……僕は貴方が何も知らないと思って、伝えただけなのに……』

『勉強になっただろ?いつだって誰もが味方だとは思うな』

『思えるわけないよ!僕はエイナムさんの事を信じてるし、尊敬だってしてるんだよ!?』

 

『だったら僕がエイナムさんを止めてみせる……!』

 

『……ごめんな、パーカー』

 

 

アベンジャーズを解散させる為とはいえ、ピーターには酷い事をしてしまったと今も後悔している。それをまだ直接謝れていない事も。

 

「スウァーノ」

「スティーブ……髭、剃ったのか」

 

自動ドアをくぐり、今では使われる事のない応接室に入ってきたスティーブ。逃走中に伸ばしきっていた髭は綺麗さっぱり剃ったようで、かつての姿へと戻っていた。

 

「ああ。君も髪を元に戻したらどうだ?」

「……まぁ、いずれな」

「彼女が助けに向かってからもう三日経つが、どう思う?」

 

そう、ダンヴァースがスタークとネビュラの救出に向かってからもう三日が経った。あの時点でベネター号の燃料や酸素、食料は残り少ないと言っていた。それから三日が経ったとなると果たして無事なのか……。

 

「……今は無事に戻ってくる事を信じるしかないだろ」

 

ロケットが持っていた通信機が再び繋がらなくなり、使い物にならなくなってしまった今、出来る事はそれしかないだろう。

 

「────……テン!!キャプテン、どこにいる!?」

「ローディ?……どうしたんだ、僕はここだ!」

「ここにいたか!ああっ、スウァーノも一緒か!」

 

スティーブを探していたローディが応接室に駆け寄り、息を少し切らしながら中に入ってきた。

 

「今、例の通信機から……『もうすぐ地球に着く』っていう連絡が入ったんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

他のメンバーを集め、俺達は基地の外へと飛び出した。空を見上げるがどこにも宇宙船らしきものは見えない。もうすぐって言った以上、まだ見える距離にいないだけかもしれないが。

 

「────ローディ!!トニーは!?」

「いや、それがまだ……」

 

宇宙船を待ってる間にローディが連絡しておいたペッパーがハッピー・ホーガンの運転の下、こちらに駆けつけてきた。ここに到着するまでほとんど掛かっていないが、それだけスタークの事が心配だったんだろう。

 

「なぁ、あれじゃないか?」

「ああ……そうだ」

 

ローディが指差し、ロケットがそれを肯定する。ローディが指差したそれは確かに宇宙船であり、下からダンヴァースが支えていた。そして俺達の目の前に着地し、宇宙船もゆっくりと降ろされていった。

 

「安心して、二人共生きてるわ」

「ああ……ありがとう、ダンヴァース。あんたのおかげだ」

 

ダンヴァースに礼を言い、ベネター号に近寄ると開いたドアからスターク、そしてネビュラという青い皮膚……というか、機械的な部分が見れる女性がスタークを支えて降りてきた。

 

「大丈夫か、トニー」

「ああ……奴を、止められなかった」

「俺達も同じだ、スターク。サノスを倒せなかった」

「スウァーノ……」

 

ネビュラから代わったスティーブに支えられながらスタークに俺も加わる。かつてそれぞれの思いからぶつかり合った俺達だが、今はそれどころではない。

 

「ピーターが……消えた」

「っ……あいつだけじゃない。地球じゃ大勢消されてる……」

「そんな……じゃあ、みんなは?」

「トニーッ……!!」

 

互いの言葉にショックを受けていると、スタークを一番心配していたであろうペッパーがスタークに抱きついて戻ってきた事を確認した。できればそのままでいさせたいし、ゆっくりと休ませてやりたいが……生き残ったメンバーが揃った今、これからどうするかを考えなくてはならない。




アンケートはエンドゲーム編終了時までです!それまでにたくさんの回答お願いします!

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