体の大半を機械に変えてるというネビュラはともかく、スタークは生身の人間だ。何日もの間、宇宙空間を放浪していた事によるダメージは大きく、今は栄養剤をチューブで接種してもらいながら話を聞いてもらった。地球で起こった戦いの事、サノスが宣言通りに人類の半数を消した事、宇宙スキャナーでも衛星でも奴を見つけられずもう地球にはいないこと────
「……サノスと戦っただろ?」
「あんなの、戦いにすらなってない。あいつにとっちゃ遊びみたいなもんだ。いいように弄ばれただけだ」
「そうか……」
「魔術師もストーンを渡しちまうし」
スティーブが尋ねると、スタークはそう答えた。戦いに負けたからか、長い間宇宙空間を放浪していたからか、それとも……ピーターを失ったからか。
何にせよ、スタークは疲弊しきっており、機嫌を悪くしていっていた。
「何かないか?手掛かりや座標とか、何でも」
「……僕は何年か前、未来の光景を見た。まるで悪夢のような……」
……何だ?突然何を言い出してるんだ、スタークは。
「おい、スターク。話に集中して────」
「
「まだ間に合うはずだ、スターク。俺達と一緒に……」
「いいや、遅いね。それよりも今必要なのは……髭剃りだ!」
そう言うスタークは腕に付けていたチューブを勝手に外してしまった。おいおい、まだまともに動けるような状態じゃないだろ。
「はぁ……君らに話した事あったよな?確か僕はこう言ったはずだ、世界を守るには世界中にアーマースーツを配備するしかないと!それで貴重な自由が損なわれたとしても、絶対に必要だったんだ!」
「……そのプランのせいで何が起こったのか忘れたわけじゃないだろ」
「
スタークからの反論に俺はギリッ、と歯を食いしばる。スタークとブルースが進めていたウルトロン計画、確かにうまくいけば世界平和に役立ったかもしれない。だがその計画は失敗し、多くの市民を危険に遭わせた。それでも続けるべきだったと?
「トニー、落ち着けって」
「“負けるぞ“と警告した時、君らは言ったな?その時も一緒だと!……それでこれだ。見事に負けた。君達はいなかった」
「……いなかったのは、あんたも同じだろ」
「なんだと?」
「スウァーノ、君も落ち着けっ」
ローディがスターク、スティーブが俺を宥めるが彼らを無視して俺達二人は接近した。
「俺達は確かに
「宇宙にいっていたからな、いなくて当然だ。サノスをこっちから迎え撃とうとしたんだよ、結果は見ての通りだけどな!」
「……さっき言ってたプランの時もそうだったな、あんたはチームのメンバー誰にも相談しない」
「残ってるメンバーなんていなかったからな!君達との意見が分かれたせいで!」
俺とスタークの口論はどんどんヒートアップしていく。こんな事になるはずではなかったのに。本来ならば残された俺達だけでサノスを見つけ出し、消えた人々を元に戻す方法を考えなければならないのに。
「……いいか、よく聞けスターク。俺達はあんたを必要としてた。あんたは俺達を必要としてた。だが互いに力は貸せなかった。理由は、分かるよな?」
「魔術師を放っておけば良かったって言いたいのか?」
「そうは言わない。だがこの戦いで戦力を分散させるのは間違いだった」
もしも……ロケットの仲間であるガーディアンズ・オブ・ギャラクシーやダンヴァースは無理だとしても、スタークやピーター、それにストレンジという魔術師がいれば、もしかしたらサノスに────
「……分かったよ。だったらこれでも使って戦ってくればいい!」
スタークはそう叫び、胸に装着しているアーク・リアクターを外して俺に押し付けてきた。
「『戦力を分散させるのは間違いだった』だと?それは君が望んでた事だろ、スウァーノ。僕は忘れてないぞ、二年前、君が“
「……なにっ?」
「ど、どういう事だいスウァーノ?」
スタークからの暴露を聞き、スティーブやブルースが俺に視線を向けてきた。離れた場所で黙り込んだまま話を聞いているソーも顔を上げ、アベンジャーズではないロケットとネビュラもこちらを見てくる。唯一、あの時一緒にいたローディだけが何も言わずにいた。
「ソコヴィア協定が理由だ。ワンダやヴィジョン……ストーンの力を持つ二人が監視だけで済むとは思えなかったからな」
「それは君もだろう、スウァーノ?」
「俺は協定には今も反対だからな。あの時、二人は賛同していたから尚更危険だった」
後にアベンジャーズを離れ、ヒーローとしても活動せずに身を潜めていたから政府に捕まる事はなかったが……もしもあれからもずっとヒーロー活動をしていたら政府の研究機関に実験をさせられていたかもしれない。
「スウァーノ、君だってチームの誰にも相談していなかったんだろ。なのに僕だけを否定するなんて勝手が過ぎないか?」
「……それは」
「それに君達は僕を必要としていたと言ったが、君達の誰かが僕の前に現れた事が一度でもあったか?僕も電話はしなかったが、君達から現れても良かったんじゃないのか?」
スタークが俺達に『否定できない言葉』を次々にぶつけてくる。そんな様子のスタークをローディが止めに入るがスタークは止まらなかった。
「……結局、僕達は後からしか動けないんだ、アベンジャーズだからな!君達も僕のように動けないし、僕の前にも現れないような臆病、もの……っ」
そこまで言った所で────限界が来たらしく、スタークが倒れた。
「っ、トニー!?」
「おいっ、そっち持て!とにかくベッドに────」
疲れから倒れたスタークをベッドへと運び、付き添っていたいと言うペッパーに任せて俺達は部屋を出た。スタークの事は心配だし、ちゃんと話をして……
「ダンヴァース……あんたはみんなを元に戻す方法を知ってるか?」
「ええ、分かるわ。
なるほどな。ガントレット……もといストーンがみんなを消したんならその逆も可能って事か。
「だが肝心のサノスがどこにいるのかが分からないぞ」
「いや、それなら分かったぜ」
ローディが根本的な問題を口にするが、ロケットがそれを解決してくれるらしい。俺達の中心に展開された3Dホログラムが惑星の形をとるが、ここにサノスが?
「惑星ガーデンだ。二日前にこの惑星から地球と同じ、ストーンが使われた波紋が確認された」
「またストーンを……今度は一体何をしやがったんだ!?」
「……この惑星に行ってサノスからストーンを奪おう。そしてみんなを復活させるぞ」
「でもまた同じ結果になるんじゃないか?」
スティーブが指示を出すが、ブルースがネガティブな発言をする。確かにサノスのあの強さならそれを否定できないが、だからって必ずしも同じ結果になるとは限らないはずだ。
「前と違って、今回は私がいるわ」
何人かが諦めかけていると、ダンヴァースがそう言った。そう、今回はダンヴァースやネビュラなど新たな仲間がいる。メンバーは少なくなってしまったが、彼女らの力を頼りにするしかない。
「新入りさん、お言葉だが俺達は何度も地球を救ってきてるんだ。なのにあんたは地球が大変な事になってる時に一体どこで何をやってたって言うんだ?」
「おい、ローディ……」
「宇宙にはヒーローがいない星がたくさんあるわ。貴方達は
ダンヴァースからの皮肉っぽい返しにローディは黙り込んでしまった。まぁ、それじゃ地球に駆け付けられなかったのも納得できるな。
「サノスを殺すのは俺だ」
「……ソー」
今までソファーに座りながらずっと黙っていたソーがようやく口を開いた。そしてダンヴァースの前に行き、彼女を睨む。しかし怯まない様子のダンヴァースを見て手を上げ──────
「ふん……気に入った」
今のやり取りでもまったく怯まなかったダンヴァースをソーは気に入ったらしく、彼女も彼女で仲間として受け入れられた事が嬉しかったらしく、自然と笑みを浮かべていた。
「────よし。奴の息の根を止めに行くぞ」
スウァーノとスターク。さらに深まってしまった溝が元に戻る日は、果たして来るのか来ないのか。
エンドゲーム以降のお話について
-
エンドゲーム以降も続ける(同作品にて)
-
エンドゲーム以降も続ける(別作品にて)
-
エンドゲーム以降は求めてない