今までよりも文字数は少なめです。
アイアンマン 戦いの傷
ロキとチタウリ軍団との戦いからそろそろ7ヶ月が経ちそうになった頃、俺はタワーを訪れたスタークの恋人にしてスターク社のCEOであるペッパーに呼び出されていた。
「どうしたんだ、ペッパー?」
「どうしたもこうもないわよ……」
椅子に座るペッパーは呆れたように溜め息をついている。この時点で俺は何故呼ばれたのかについて、大体の見当がついた。
「トニーったらずっとアーマーの開発ばかりして……どこに行くにもアーマーを持ち歩いているのよ?私が何を言っても聞いてくれないし、もう心配で仕方ないの」
「さらに依存するようになったか……」
スタークはあの戦いで死にかけた結果、深刻なPTSDと不眠症を患う事となった。その不安を消す為に必要ない程にアーマーを増産させ、周囲からはアーマー依存症と言われるようにもなってしまった。
あの戦いが辛かったのは分かる。ロジャースやバナー、ソーもあれ程の戦いは経験した事がなかったらしいからな。もちろん俺もその一人だ。
しかしスタークは地球外のさらなる脅威をあのワームホールの先で見て知った他、気絶して死にかけたのだ。メンバーの中で一番精神的なダメージを受けていると言ってもいいだろう。
「ローディやハッピーもトニーを心配してくれてるけど……」
「変化はなし、か」
ジェームズ・ローディ・ローズ、それからハロルド・ハッピー・ホーガン。共にスタークの親友であり、前者はアメリカ空軍所属の軍人。後者はスターク社の警備部長を務めている。特にローズはスタークが開発したアーマーを着て戦ったりと、ヒーローとしても関わりがある。
「スタークの事は俺もバナーも心配だが、時間が過ぎるのを待つしかないんじゃないか?あいつが負った心の傷は大きすぎる」
「でも、だからってこのまま見ているだけじゃ……」
「確かにそうだ。だからペッパーやローズ、ハッピーがいるんだろ?お前らは俺達アベンジャーズよりもスタークと長くいる。完全に消す事は出来なくても、和らげる事ぐらいは出来るはずだ」
特にペッパーの存在はスタークにとって大きいだろう。何も出来ていないように見えて、実際は出来ているはずだ。ただ気付いていないだけで。
「でもどうすれば……」
「今までみたいに声をかけたり、あとはリラックスできるような場所を作ってあげるのはどうだ?ちょっと位は不眠症を改善できるんじゃないか?」
「なるほどね……分かったわ。ありがとう、スウァーノ。貴方が言ったこと、参考にしてみるわ」
「なら良かった」
しかし……ペッパーにここまで心配させるなんて、そこまで酷くなっていたのか。最近はずっと自宅でアーマーを造り、ほとんどこっちには来ていないから分からなかった。
俺も何か出来たらいいんだが……。
「君に出来る事は何もない。帰ってくれ」
スターク邸を訪れた俺は休憩中のスタークに声をかけ、買ってきたケーキを共に食べる事にしたんだが……食べ終わった途端、そんな事を言われてしまった。
「だからって放っとく事も出来ないだろ。アーマーを持ち歩くまで依存してる奴を」
「…………」
「分かってるんだろ?このままじゃ駄目だって。前に進まないといけないって」
「ああ、分かってるさ。でも自分でもどうにも出来ないんだ、仕方ないだろ」
それは知ってる。そうでなかったら、ここまで陥るはずがないだろう。
「確かに俺があんたに出来る事はないだろうな。でも俺達は仲間だ。何かあったら必ず連絡をよこせよ?」
「……ああ」
泰作呟いたスタークは椅子から立ち上がり、ドアを出て消えてしまった。おそらくまたアーマーの製造にかかるんだろう。
あの状態で誰かと戦う事になったら苦戦を強いられるだろう。だからこそ俺達アベンジャーズがいる。一人で勝てないなら集まって戦えばいいのだ。
その後──────スタークがアベンジャーズとの連絡をする暇もない程に新たな敵に追い詰められてしまう事を、誰もまだ知らなかったのである。
精神的に追い詰められているスタークを心配する周囲を描いたつもりだったんでしたが、どうだったでしょうか?
ちなみにアイアンマン3のストーリーは前日談以外、描くつもりはないです。