今回も前回同様に短いですが、この章は基本的に1500文字とどれも短くなると思います。
スタークとキリアンら"エクストリミス・ソルジャー"の激闘から数週間後。ペッパーにアーマー依存症の克服を宣言し、『どんな姿であろうと自らがアイアンマンである事』に気付いたスタークは心臓手術を受け、ヒーローとなったきっかけであるミサイルの破片を取り除いた。
その後は新たなアーマーの開発も一時中止しており、ヒーロー活動も休業中であるが、これを機にやめる事はないだろう。
それより今はこのネガティブな男をどうにかしないと。
「大丈夫か、バナー?」
「……ああ」
椅子に座るバナーは酷く落ち込んでいた。まぁ、それも当然なんだがこんな調子が何日も続いていると流石に呆れてくる。どんだけネガティブなんだよ。
「俺はもう大丈夫だって、ほら」
「……大丈夫ならそのひきつってる顔は何だ?」
「あー……これはな……はぁ」
答えようとするが、何も浮かばない上に何度目かのやり取りだったりする為、思わず溜め息が出てしまった。
数日前、バナーはハルクになってニューヨークで暴れ回った。変身してしまった理由は出掛けた先でトラブルに巻き込まれたかららしいが、バナーもよく覚えてないらしい。
そしてハルクを止める為に、スタークとソーを除いたアベンジャーズが出動する事になった。
しかし戦力差が大きい為に真っ向勝負は出来ず、まずは俺がナターシャとクリントにサポートをされつつハルクを引き付けた。そして意識が俺だけに向けられた瞬間を狙って、スティーブがバナー用に開発された薬を打ち込んだ。
脈拍が著しく下がり、興奮が冷めていったハルクはバナーへと戻り、街も最小限の被害だけに留める事が出来たのだ。
「確かに俺はハルクに殴られたが、あれは俺のミスだ。あんたのせいじゃない」
「でもハルクは僕だ。そのせいで君は怪我をしただろ?今だって痛みを我慢してる」
怪我と言っても、不意をつかれてバリアが間に合わず、ハルクに一発殴られただけだ。しかし流石はハルクのパンチ。たったそれだけで車屋の壁を突き破った上にぶつかった車のドアを外れさせたっけか。
「君はチームの一員だ。なのに僕は君を……」
「だからそういうのはやめろって。俺は気にしてないから」
バナーがハルクになった時、止めようとして戦ったヒーローは何人かいる。ソーならハルクと互角に戦えるし、スタークだってアーマーを着込めば戦えるだろう。
だが俺は特殊能力があっても、体は生身の人間と変わらない。だからいつもと違ってここまで落ち込んでいるんだろう。
「それにほら、ハルクだって俺達の事は仲間だと思ってる。ただこの前は機嫌が良くなかったんだろ」
「つまり機嫌が悪かったら僕は君達を傷つけるかもしれないって事だろ?」
「まぁ……そうかもしれないが、毎回よりはいいだろ」
毎回変身する度に襲われるのは流石にごめんである。
「分かったよ。いつまでも僕がこれじゃ迷惑だろ?ならそろそろ立ち直らないとね」
「いや、迷惑とかじゃ」
「いいんだ。自分がどう思われているのかは自分がよく知ってる」
自分のネガティブな所も。周りがハルクをどう思っているのかも。だからバナーは『誰かがハルクを庇っても、口では何とでも言える』という事ばかり考えてしまう。
「バナー!」
「何だい?」
部屋を立ち去ろうとするバナーを俺は引き止めた。俺も口でしか言えないかもしれない。でもバナーがアベンジャーズを自分の居場所として思ってくれてるなら。
「もしも世界中があんたの敵になっても……アベンジャーズは絶対にあんたの味方だ」
「……それが変わらない事を祈ってるよ」
そう言ってバナーは部屋を出ていってしまった。俺の言葉はバナーに届いただろうか?
他のメンバーは分からないが、バナーもハルクも仲間だ。それが変わる事はない。例えこの先、どんな事になろうと。
アベンジャーズの中で一番力に悩んでるのってバナーですよね。エンドゲームでその悩みは解決したようですが、それに至るまでの話も考えたいなと思ってます。