黒き翼と最弱の騎士   作:シュオウ・麗翅

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全部書こうと思ったけど書く時間にモチベガガガ……きり悪くなりそうだから一旦切り上げ。平たくいえばバイサーの過去編です。完全捏造ね。

堕天使生存は割とあると思うけどバイサーって生存率低めよね。


番外編
おまけ編、バイサー観察日記、前編


「……はぐれ悪魔……か……」

 

下半身が異形の女性、バイサーが目を瞑って

この話は、明日斗がまだ小さかったの頃のお話。そして、自分を見直す機会を与えてくれた中学1年生の二学期初めのお話である。

つまりは、回想の回想の事だ。

 

その日は授業参観の日だった。宿題の提出日で、自由研究の発表会の日。

ちなみにバイサーはその辺の鳥を仮使い魔として使役する事で授業参観に参加している。

 

「……という訳で、日食が起こる訳です。」

 

「はい!田中くん、ありがとうございました。よく調べて来ていますね!」

 

田中と呼ばれた生徒の発表が終わり、田中は頭を掻きながら席に座る。

 

「じゃあ、次は〜竜胆明日斗くん」

 

「ハイ!!」

 

中学二年生でありながら、小学四年生並の幼い外見の竜胆明日斗。

幼稚園生の出席確認のような元気な声を出して発表したのは……

 

『観察日記』

 

「なんだよ〜中学生にもなって観察日記って……小学生かよ〜」

 

ゲラゲラと笑うクラスメイトに、担任も半ば呆れている。

それもそのハズ、中学生の自由研究ともなれば、小学生の自由研究よりも高度なクオリティが求められる事が多い。

観察日記なんて、言ってしまえば小学校低学年がやるものだ。代表的なのはアサガオが挙げられる。

 

「明日斗くんは観察日記なのですね?ではお願いします」

 

「ハイ!!」

 

それでも担任は表情を変えることなく明日斗に言った。軽んじるわけでも、ましてや過大評価するわけでもない。

 

ーーー7月23日。今日は何もしたくありませんでした。宿題もやりたくありませんでした。演劇の仕事も休みです。一日中家でダラダラしようと思いましたが、ふと紅い稲荷が食べたくなったので近くのスーパーに寄り、118円(+税込)で買いました。その帰りに神社で日向ぼっこをしようとした時です。

 

「うぐっ……に……肉くれぇ……」

 

地べたに這いつくばって身体中からワインを出しているバイサーが私の元にゆっくりと近づいてきました。

 

それが、私とバイサーの出会いでした。

 

「……え?バイサー?」

 

一日目の日記を読み終えるた途端にシーン……と静まり返るクラスメイト。

 

7月24日

 

今日から、バイサーの観察日記を始めようと思いました。

 

バイサーはこの神社に住んでいるボスです。神社に行くと身体中からワインを出して寝そべっています。

 

ーーーそれ、単に血を出しているだけだよね!?早く治療しないとダメなやつだよね!?てかボス情けな!!

 

バイサーは変わった生き物です。上半身が人間の女の子に対し、は肉食獣のように強靱な下半身を持ち合わせています。イメージ的にはヴォ〇ク〇ス(下半身)でしょうか?

 

ーーーもうそれ怪物じゃん!!人間の敵みたいな存在じゃん!!

 

今日はお肉をあげると、『お前を食ってやるぅぅぅぅ!!!』と言って鬼ごっこが始まります。

そう言えば、バイサーの角は何時になったら生えるのだろうか?

 

ーーーいや、それ鬼ごっこじゃなくて捕食されそうになってるよね!?ていうか角って何!?

 

7月25日

 

今日は思い切ってお肉にハチミツをぶっかけたものをあげてみました。ムシャムシャ食べた後は一緒に隠れんぼをして遊びました。ハチミツをあげて立派に育てて早く相撲に参加させたいと思いました。

何時になったら角が生えるんだろう?

 

ーーー相撲!?なんでここで相撲が出るの!?バケモノを相撲に出すの!?

 

7月26日

 

今日は思い切って大樹にハチミツを塗りたくりました。お肉の準備もバッチリです。きっとバイサーはハチミツが好きだと思うのでハチミツ入り落とし穴に嵌めたら追いかけてきました。

それでも、バイサーに角が生えてくる気配はありません。いつになったら生えるんだろう?

 

7月27日

 

今日は町内カブトムシ相撲大会の日。角がないのは仕方が無いけど、バイサーを相撲に参加させようと思い、公園に行きました。

するとみんな叫んでどっかに行きました。やったねバイサー!ボク達の勝利だ!!

 

ーーーそりゃそんなバケモノが居たら一目散に逃げ出すわ!!

 

7月28日

 

バイサーが寝ていたのでお肉を顔面にスパーキング!したら、一緒に隠れんぼをして遊んでくれました。

きっと犬のように鼻が効いているので、すぐに見つかって今度は鬼ごっこをしてくれました。

いつになったら角が生えるんだろう?

 

ーーーあぁ、わかった。明日斗くん?自由研究サボったんでしょ?神話級の化け物がこの世に存在するはずないもん。フィクションの世界だもん。ねぇ、正直に答えて?毎日貴方に振り回されてばかりだから今回はそう言っていやマジで。

 

7月29日

 

なんかバイサーが知らない教会の服着た人達から一方的にボコられていました。

 

「明日斗くぅぅぅぅん!!!?????」

 

盗み聞きした感じだと、なんか『はぐれ悪魔』って単語が出てきました。はぐれた水銀みたいに経験値が1万50位あるのかな?どのくらいレベルアップするんだろう?ボクはそうおもいながら、買っていたタバスコとデスソースを教会の服を着ていた人の顔面に目掛けてスパーキング!!

経験値はボクの物じゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

もしくはあれかな?カブトムシ相撲大会の優勝者であるボクに対する復讐かな?

 

……なんで教会の服を着ていた人達はのたうち回ってたんだろう?ただタバスコとデスソース投げただけじゃんと思いながら、今日も角が生えないかと考えていました。

 

「今お前自分で答え言ったぞオイ!」

 

 

7月30日

 

ーーーねぇ、まだ続くの?それ?ねぇ、もうやめよ?正直に話そ?サボったんでしょ?

 

家族が増えました

 

「何があったァァァァァ!?この一日の間でなにがあったァァァァァ!?」

 

仕事の人に事情を説明したら快くOKをもらいました。『ちゃんと自分てお世話する事』を条件に特注品の犬小屋で三食昼寝付きです。

 

……だと言うのに、なぜそんなに微妙な顔をしているのだろうか?三食の中にはきちんとお肉も入っているというのに……?神社のボスだった頃と比べれば生活レベルは上がったはずだ。

雨風は凌げる。朝昼晩おなかいっぱい食べられる。死ぬ可能性はぐっと縮まる。それなのに、一体何が……?

 

7月31日

 

バイサーと一緒に公園を散歩したら多くの人が悲鳴をあげてどっか行きました。

公園デビューの失敗はこんなにも心が痛むのか……?なんで逃げ惑うのか?コレが分からない。

ただ散歩に連れていっただけなのに……

 

「だからそんな化け物が公園いたら誰だって逃げ惑うわ!!」

 

 

8月1日

 

犬小屋と庭が荒らされてました。

 

「なにがあったァァァァァァァァ!?」

 

 

ーーーーーーーーー

 

ふむ、8月か。確かあの時は……

 

「悪魔ってだけでもクソなのにはぐれ悪魔ってやつはもっとカスだからさっさと死んでちょ〜だいな☆」

 

バイサーの目の前に迫る1人の青年。銀髪なのか白髪なのかどっちなのかよく分からない色をしている目がイッちゃってる青年だ。

 

以前、満足に力を発揮出来ずに終わった神社にいた神父達は恐らくコイツの部下だったのだろう。

……まぁどこからともなく飛んできた激辛香辛料によって撃退されたが……。

 

「ふん、以前の私ならいざ知らず、万全な状態の私に勝てるものか!」

 

「へぇへぇ、クソのクソザコの言葉なんてぜ〜んぜんきっこえっませ〜ん。だってさぁ〜」

 

舌なめずりをしながら、狩りの獲物を見つけたハンターのような目で私を見つめる青年。

この時の私は額に青筋を浮かべていたと思う。この舐め腐った口調といい、気持ち悪い目付きと言い……とにかくイラつく要素しかないこと男をぶっ飛ばしてやろうかと思った。

 

「ほざけ!貴様の髪を直ぐに赤いシミだらけにしてやるわ!!」

 

「うっわ、セリフのセンスわっる!!」

 

私は直ぐにこの巨体を活かして相手を踏み潰そうと突進。

相手は悪魔や堕天使等の人外系では無い、単なる人間。神父故に多少は腕が立つとみたが、人間ではパワーに限界があるのを知っている。

人間の潜在能力は凄まじいと聞くが、それの全てを出すと肉体が耐えきれずに壊れてしまう……という話を聞いたことがある。

だから人間は最大でその100%の内の30%しか力を発揮できない。人外系や神機持ちは例外だが、そのどちらにも当てはまらない相手である事から私が圧勝するだろうと思っていた。

 

「やっぱ雑魚じゃん」

 

ブシュッ!!

 

「なっ……!?」

 

「やっぱキミってまじクソザコだわ。典型的なクソザコだわ。あ〜あ、やりがいねぇの〜」

 

ふぁぁ……と欠伸をして余裕をかます青年。

ーーー何が起こったのか分からなかった。確かに踏み潰したハズ。

なのに、後ろ脚が斬られていた。

 

「さ……さっきのはまぐれだ……!!」

 

「テンプレセリフ乙〜(笑)」

 

「黙れ!!今度こそ踏み潰してくれるわ!!」

 

再び青年に向かって突進。今思えばマジでイノシシだったなぁと反省する。

しかも今は斬られて派手に出血している状態だ。後ろ脚からブシャブシャ血が流れているが、まだ気にする必要は無い。

 

ーーーそんな事よりも綺麗に踏み潰してスッキリしたかった。

このちっぽけな人間をアリのように踏み潰してスッキリしてやりたかった。

 

「あんたさぁ〜それしか出来ないの〜?」

 

青年は耳くそをほじる。こんな攻撃、余裕で対処できると言わんばかりに。

小指に着いた大きな耳くそをふっ……と吹いた。

 

「ほざくなぁァァァァァァっ!!」

 

下半身の獣の強靭な腕をおおきく振りかぶってぶん殴る!!

ドゴォォォォォン!!

 

地面に大きなクレーターが出来上がる。

 

だが、青年はスッ……とつまらない流れ作業をするが如く自然な動きで避け……

 

ザシュッ!!

 

「ねぇねぇ〜舐めプしてんの〜?それともコレが実力ぅ〜?」

 

ーーーまるで歯が立たなかった。

稀にくるエクソシストとは比べ物にならないほどに。

 

パンチを放つ。受け流されて斬られる。

キックを放つ。避けられて撃たれる。

ぶちかます。呆気なくいなされて返り討ちにあう。。

 

「く……そ……がぁ……」

 

「あーつまんね。さっさと殺らーーー」

 

青年が剣を振り下ろした……その瞬間だった。

 

 

デッデンデデデデン! カーン! デデデデン! カーン!デデデデッ! カーン

ペーペペーペペーペペペーペー

 

「もしもし、警察ですか?」

 

「いや着メロォ!?」

 

壮大な音楽が流れたと思ったら、後ろから少女のような男が警察に通報しているところだった。

 

「今家のペットのカブト虫を盗もうとしてる不法侵入者です!!年齢は10代から80代の男、もしくは女!!老人みたいな白髪だし、もう老人でいいや!」

 

「いやそれ誰かわからんでしょうよ!老人じゃない!オニーサンだろおおおおお!?アレカブト虫違う!!はぐれ悪魔!あ・く・ま!!」

 

「あ、ごめんね〜。家は神道なんで神父はちょっと……」

 

……雰囲気台無し……




バイサー(ロマサガ風味方初期ステータス)

HP、90
WP、10

腕力、15(技レベル12)
精神、8
素早さ、5
器用さ、6
魅力、3
愛、4

初期技

パンチ、キック

閃き適正・棍棒、体術


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