そういやキャラを立たせるために必要なのは『過去』らしいですね。赤ん坊でも『生まれた』って過去がありますし、過去がない人間なんていませんしね。過去があるから人格だの性格だのが作られるんですねぇ……
モブはともかくメイン、準メイン、サブメインは作り込まないと……(´◉ᾥ◉`)
好き嫌いを明確にさせるだけで違いって出るらしいっすね(´・ω・`)
カラワーナとデートをした翌日の放課後の事。不意に教室のドアが勢いよく開かれた。
「やぁ、竜胆明日斗くんは……」
入ってきた人物は、金髪の華やか系イケメンの木場祐斗。オカルト研究部に所属しているが、実は剣道の腕前もある。もしも剣道部に正式に入部すれば全国制覇も夢ではないとの事らしい。
そんな彼が、不意に言葉を続けられなかった。大概の事はなんでもこなしそうな彼がだ。
……その原因は……
「ふんふんふ〜ん♪」
……何故か制服ではなく着物を着ており、三味線を弾いていたのだ。さらに座布団とステージ用の台まで用意している徹底ぶり。
しかも弾き方にも問題があった。なんと足の指を手のように器用に使っているからだ。
三味線を足で弾きながら、口に笛を加え、演奏する。(弾いてるのはカブキングをイメージしています)
(なんだろう……呼ぶに呼べない……)
しかも無駄にクオリティが高い。流石に他の音はラジオの録音声だが、これをやれと言われれば出来ないと答えるだろう。
そもそも足で弦楽器を弾く事も出来ない。練習すれば弾くことは出来るのかもしれないが、それも手での範囲でだ。
……そうこうしているうちに、数分がたった頃。
「ふぅ〜いい汗かいたァ……」
(終わった……?)
一息つくように大きく息を吐いたのを見た。どうやら演奏が終わったようだ。
彼は水を1口飲んだあと、よっこいしょと言いながら背中をバキッと鳴らしてまた座り、尺八を構える。
「え?また……?」
尺八を咥え、音を鳴らす。今度もラジカセを使うようだが、弾く曲が違った。(うどんこたろうをイメージしています)
「木場先輩、遅いです。何をして……?」
後ろから声が聞こえた。振り向くと、白髪の幼女が自分を呼びに来たようだ。
塔城小猫。部長の眷属で、戦車と呼ばれる役目を持つ。華奢で小柄な見た目からは考えられない程のパワーファイターだ。
僕は無言で指を指し、小猫は覗き込む。
「……クオリティ高いですね……」
「この曲はなんだろう?」
「日本の旅番組で流れている曲ですね」
「……旅番組かぁ……」
「……時間が無いので、辞めさせてきます」
名残惜しそうな声をしながら、夢中で弾いている明日斗の方へ向かう小猫。
鼻歌を口ずさみながら夢中で演奏しているのか、近づいてくる幼女に気づかないまま……
……片手ででお持ち帰りしていた。米を運ぶような持ち方をして。
運ばれていることに気づかずに演奏を続けているところを見るに、かなり集中しているのだろう。それこそ、周りが見えなくなるほどに。
「部長。連れてきました」
ノックをして扉を開ける。ガラガラとスライド式の扉がいい音を立てて滑っていく。
バン!!と大きな音を立て入ってきたのは木場と小猫。この部室の主、リアス・グレモリーの眷属である。
「……」
普段は元音すら立たないほど静かな部室。せいぜいがメンバーのおしゃべりや、悪魔との契約に関する事。お菓子や紅茶の音がするくらいである。
だが今は違う。小猫が担いでいる女……ではなく男の足と手によって演奏されている三味線と尺八の音が部屋中に鳴り響いているのだ。
「……って?アリ?」
集中が解け、辺りをを見渡すとそこはステージではなく、黒魔術の儀式をやる部屋になっていた。
「……!!」
ふと、明日斗はイタズラを思いついたようにニヤリと笑う。
なんか中心部分にある真っ赤な魔法陣。黒魔術……これは……
「ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ふぉまるはうと んがあ・ぐあ なふるたぐん いあ! くとぅぐあ!」
……言わなきゃ(使命感)クトゥルフ召喚詠唱を!!
「ちょっ!?やめてえええええええ!!??」
一瞬呆然としたリアスはキャラを崩壊させて詠唱を止めようとする。明日斗が何を言っているのか分からないイッセーはただ目をぱちくりさせていた。
……今日のオカズは何にしようとか考えながら。
数分後、やり遂げたぜ!!みたいな表情をした明日斗。対照的にげっそりとした表情のオカルト部の面々。
……何このカオス。
「んんっ!!竜胆明日斗。貴方に2つ、話があって呼んだのよ」
「ほへ〜?」
直ぐに咳払いをして体裁を整えるリアス。ここに呼んでからまさかクトゥルフ召喚の詠唱をしてくるとは思わなかった。
ここで召喚されたら溜まったものじゃない。そもそもが魔王ですら勝てるかも分からないと言われるほど、規格外の邪神とされている。
所詮は御伽噺の中の存在。しかし、悪魔、堕天使、天使という種族が存在する以上、クトゥルフ神話の邪神が存在しても不思議ではない。
明日斗を止めるのに躍起になって本題を忘れそうになったのは秘密である。
「……あなたは昨日、堕天使レイナーレとデートをしたわね?」
「はぇ?レイナーレ?誰ソレ?」
「……とぼけてるの?」
神器目的でイッセーを殺したレイナーレ。目的は何かは知らないが、グレモリー領で人間を殺した。例えるならば、他国の間者が自国の一般市民を強盗目的で殺したのと同義である。
更に、リアスが仲間意識が他よりも数倍強いという事も拍車をかけている。これは耐え難い屈辱であり、倍にして返してやりたい痛みであることは想像に固くない。『これがお前らが俺の国の人間にやった事なんやぞ』と。魔王に連絡して堕天使陣営に抗議してやりたい気分である。1番は八つ裂きにしてやりたい。
なのに何故イッセーが殺されて明日斗が殺されなかったのか?そこも気になった。どちらも、『神器』を持つという点では共通している。神器を抜くには殺すか決まった手順を踏んで慎重に抜くか。そのどちらかしかないのだ。
……気まぐれと言われればそこまでかもしれないが。
「う〜ん……まずレイナーレって人?がどんな容姿かわかんないんだよねぇ……こっちは名前も聞いてなかったし」
「そうなの……イッセー」
「あっはい」
リアスに指名されたイッセーはレイナーレの容姿について説明する。
黒髪巨乳美少女。天野夕麻と名乗って近づいたこと。デートした事。夕方の公園で殺された事を詳細に。
話を聞いた明日斗はう〜ん……と考え込む仕草をして数秒後、口を開いた。
「うん。違うね☆ボクがデートした相手は黒髪じゃなくて青髪だし、ボクより背が高いハンサム顔だったし。どっちかって言うと男友達みたいな感覚でやってたかなぁ……ほらアレ。ゲームしに行くために友達の家行くみたいな感覚」
「そ……そう……。レイナーレでは無さそうね。所で、『堕天使』って気づいてたの?」
「全然?バイサーが人外って言ってたからそうなのか〜としか」
あっけからんと答える明日斗。彼の中では人外=バイサーみたいな異形という方程式が成り立っているのだ。ヒポグリフにだって、「こういう生き物なのかぁ〜」としか思っていない。今更悪魔だの堕天使だのと言ったところで、結局は『翼ある人間』くらいにしか思わない。
「……2つ目はその『バイサー』についてよ」
「?サインでも貰いたいの?」
「違うわよ!!バイサーは『はぐれ悪魔』として指名手配されてるの!!」
「はぐれ悪魔?経験値が10050くらい入りそうだね」
「ちがァァァァァう!!」
ツッコミ疲れて肩で息をしているリアスは説明する。はぐれ悪魔とは、決して経験値が多く手に入るはぐれた水銀などではない。ざっくりと説明すれば、『主に逆らい、殺害した眷属悪魔』の通称である。
はぐれ悪魔は欲望に身を任せ、主を殺害し、力に溺れると言われている。力に溺れた悪魔は社会を混乱させ、意味もなく殺戮を繰り返すとも。要するに無差別虐殺者と成り果てるのだ。
故に、はぐれ悪魔は指名手配をされている。中には懸賞金をかけられているものもいるという。
「だから、私はバイサーの捕獲。或いは討伐をしないといけないのよ。わかった?」
「ふ〜ん……なるほどね」
「ちょっと、聞いてる?」
「バイサーがはぐれ悪魔ねぇ……イマイチ実感無いかなぁ〜。ボクや妹の母親代わりでもあるわけだし?人間食ったとか信じられないんだよねぇ〜……見た目はともかくとして」
信じられないものを目にするような表情で固まるリアス。魔王の妹とはいえ、ツッコミ疲れに、はぐれ悪魔が人間の母親代わりと聞いて処理落ちが発生した。
「……と、もうこんな時間じゃん!!じゃあ明日ね〜!!」
バビューン!!とギャグ漫画のように駆けていく明日斗を見て、オカルト部の面々はポカーンとしていたそうな。
ちなみに仕事に遅刻しかけた明日斗はバイサーにゲンコツを食らいましたとさ
オマケ
イッセー「所で、デートプランとかあったのか?」
明日斗「いや?全然。基本いきあたりばったりだし、ペットの散歩も兼ねてたからねぇ……」
イッセー「お……おう。参考までに聞きたいんだ。デートコース」
明日斗「いいよ〜。まずはヒポ君で空中散歩でしょ?それからエサの買い出しに、お昼ご飯に『バトルシップ』に行って〜」
小猫「バトルシップ!?もしかして、『ぐるめちっく・バトルシップですか!?』」
明日斗「うん!!プールでも遊んだし、ご飯も食べたし、公園でも遊んだからね!!楽しんで遊んで食べられるのはソコだけさ☆」
リアス「……ねぇ、小猫。その『ぐるめちっく・バトルシップ』って、どういう所かしら?」
小猫「はい!まずは……(以下略)」
リアス「……そこ、飲食店としては良さそうだけど、デートスポットとしては雰囲気台無しになるんじゃないかしら?」
明日斗「えぇ〜味噌汁プールとかラーメンスープールとか面白かったよ〜?身体中ベットベトになるけど」
朱乃「……」
明日斗「その後イカが食べたくなったからダイオウイカ突いてきて食べて〜ゲーセン行って、温泉入ったかな」
木場「……相手は疲れてそうだね……」
小猫「……私も食べたかったです」
明日斗「いいねぇ!!今度青髪のイケメンさんと3人でデートだぁ!!」
朱乃「デートの意味、わかっていってますの?」
明日斗「うん?異性が一緒に遊んだり食べたりすることでしょ?」
全員「はぁ……」