ヒエヒエの実を食べた少女の話   作:泰邦

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前話の黄昏の海賊旗の部分に加筆しました。
あんまり具体的なマークとか考えてなかったんですが、ここまで来ると出さない方が不自然になってきたので…。


第百四十三話:〝ルネス〟

 〝偉大なる航路(グランドライン)〟の季節はデタラメに巡る。

 これ自体は全域に言えることだが、特に一本目の航路はリヴァースマウンテンから出る七本の磁力が影響しているため、ことさら酷い。

 暖かい晴天の直後に豪雪が降り、かと思えば霧が出て、春一番が吹く。

 海に関することは何一つ信用出来ないのが()()()の常識だ。

 航海士としての自信を砕かれつつあったナミだが、酷い海を潜り抜けてどうにか一つ目の島へと辿り着くことに成功する。

 

 

        ☆

 

 

 クロッカスに事前に聞いた話では、漁業の盛んな港町という事だった。

 少なくとも怪物がいるような島ではない。そう聞いて安堵しつつ、〝偉大なる航路(グランドライン)〟最初の島である〝ルネス〟に上陸しようとしたルフィたちだったが──辿り着いた時には既に、町は壊滅的な被害を受けた後だった。

 船から見える光景だけでも相当な惨劇だ。船は軒並み転覆しており、町は瓦礫の山と化している。

 巨大な何かに踏み潰されたかのように潰れた商店。横薙ぎに振るわれた何かに砕かれた教会。町があったという痕跡しか残らない壊し方に、ルフィたちは息を呑んだ。

 奇妙なのは、瓦礫が撤去されてない中で()()()()()()()()()()()()()()ことだろうか。

 

「な、何だこりゃァ!?」

 

 ウソップが驚きに声を上げる。

 何か巨大な怪物でも暴れ回ったかのような惨劇の痕に言葉も出てこない。

 

「とんでもねェ化け物が暴れたような壊れ方だな……アーロンが引っ繰り返した町よりひでェ」

「そうね……建物が軒並み瓦礫の山になるなんて普通じゃないわ」

 

 問題は、それを実行した犯人が未だこの島にいるかもしれないという事。

 こんなことが出来る化け物が島にいるというのなら、上陸するのはあまりにも危険すぎる。

 この惨状を前に、ウソップがお腹を押さえながら冷や汗を流す。

 

「聞いてくれ、皆。きゅ、急に持病の〝島に入ったら死んでしまう病〟がだな……」

「私も上陸はしたくないわよ! ……でも、〝偉大なる航路(グランドライン)〟は特殊なの。忘れないで、私たちはどうしたって数日はこの島に滞在しなきゃいけない」

 

 ナミが記録指針(ログポース)を指差す。

 島の磁気を記録し、次の島を指すための装置である以上、磁気を記録するための時間が必要だ。

 数時間か、数日か、あるいは数ヶ月か。島によって様々だが、どうあれ島に滞在しなければならない時間があることは事実。

 何が居ようとも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのだ。

 

「少なくとも、何かしらの情報を集めなきゃ動けねェってわけか……」

「長期間いることになるとしても、食料を確保しねェとおれ達だってお陀仏だ」

 

 この有様では漁業が盛んなどと聞いても魚など手に入るとは到底思えない。町の生き残りが逆に僅かな食糧を求めて襲ってくることだって考えられる。

 どうしたって上陸して情報を集めなければならない。

 船長であるルフィはと言えば、真っ先に船を下りて辺りを見回していた。

 

「「「「ルフィ!!!」」」」

 

 四人が一斉に怒鳴るも、ルフィは意に介せずに近くの瓦礫の山へと近付いていく。

 がさがさと何かやっていたかと思えば、肩に人を抱えて戻ってきた。瓦礫の山の中にいた割に血はそれほど出ていない。

 体格を見るに子供のようだが、意識が朦朧としていて見るからに危険そうだ。

 

「ナミ、どうにかなんねェか!」

「どうにかって……私も医者じゃないし、応急処置くらいしか」

 

 こういう時、船医がいないことが悔やまれる。

 簡単な応急手当くらいならナミにも出来るが、本格的な治療となると設備も必要だし、何より知識が無い。

 傷口を消毒して包帯でグルグル巻きにしていく。やれることと言ったらこれくらいしか無いのだ。

 時刻は黄昏時。日が沈もうとしている中でこの町を探索するのは危険が多い。

 今日のところは船で一泊し、明朝に街の探索に出るべきだと決める。

 ルフィも見知らぬ土地を夜に歩く危険は理解していたので、文句を言うことなく船に留まっていた。

 

 

        ☆

 

 

 交代で見張りを立てることを決め、ルフィたちは食事を取った後に思い思いの時間を過ごす。

 夜の見張りのために仮眠を取るゾロと現在見張りについているウソップだけが船室におらず、ルフィ、ナミ、サンジと見知らぬ子どもは船室で新聞を見たりラジオを聞いたりしていた。

 

『──ラジオ、〝新世界より〟!! 今日も今日とて刺激的な一日だったぜ!! さァモネちゃん、簡単な纏めを頼む!!』

『はい。では、今日起きた事件を簡潔に──』

「声だけでもカワイイなァ、モネちゃん……きっとびっくりするくらい美人なんだろうなァ……」

「声だけじゃ顔分かんねェだろ」

「うるせェな。こういうのは想像するのが楽しいんだよ」

 

 ラジオから聞こえてくる声だけでデレデレとした顔をするサンジにルフィが正論をぶつけてる。

 食事も済んでやることは無くなったが、寝るには少々早すぎる。灯りもタダでは無いが、娯楽も無しに過酷な船旅をするのは厳しい。

 あれこれと話していると、船室の端に寝かせていた子供が起きた。

 

「う……ん……?」

「お、起きたか」

「大丈夫か、坊主。意識ははっきりしてるか?」

「……誰?」

 

 寝ぼけ眼のまま、少年は腕を動かそうとして痛みに顔を歪める。怪我していることに気付かなかったらしい。

 自分が包帯塗れになっている事に気付き、起き上がろうとして痛みに呻いている。

 

「おいおい、無理すんなよ。お前酷い怪我してんだぞ」

「……あんたら、誰だよ」

 

 少年は睨みつけるようにサンジを見て、ルフィ、ナミを続けて見る。

 見知らぬ相手に警戒心を持つのは仕方ないことだが、ナミはそれを気にせず質問をぶつけた。

 

「あんた、町がどうなったか覚えてる?」

「町……? そうだ、町が!!」

 

 起き上がろうとして痛みに呻き、涙目になりながらナミを睨みつけた。その顔には焦燥が浮かんでいる。

 

「町はどうなったんだ!?」

「……何が起きたか、何も知らないの?」

「……わからねェ。おれは、気が付いたら瓦礫の山の中で……皆の声と銃の音がして……」

「怪物でも出たの?」

「怪物? 違う、あれは人だった」

 

 少なくとも、怪物が出たなんて話を少年は聞いていない。

 窓の外から見えたのは、町中から鉄屑が一か所に集まって建物を薙ぎ倒していく様だけ。それより前に聞いた話では──。

 

「……海賊だ」

「海賊?」

()()()が暴れた日、皆が噂してた。海賊が来たって。今時〝ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)〟なんか探してる時代遅れだって、大人たちはみんな笑ってた」

 

 ぽつぽつと少年がその日のことを話す。

 何日か前に海賊が港に来て、色んなところで話を聞いていたこと。

 友達と怖いもの見たさで海賊を町中探し回ったこと。

 その次の日には噂になっていて、今時時代遅れな海賊だと馬鹿にして笑っていた大人がいたこと。

 ──その日の夜に、町は壊滅したこと。

 ルフィたちは少年の話を静かに聞き、腑に落ちたと言わんばかりの顔をしていた。

 

「そりゃあ、なァ」

「ああ。仕方ねェな」

 

 噂が海賊の耳に入ったのだろう。

 それにしたって町一つを壊滅させるのはやりすぎだろうと思うが、ルフィも暴れた海賊の気持ちはわかった。

 夢や誇りを馬鹿にされることを何より嫌う海賊に対して、そんな噂を流せばそれは暴れる。

 

「港にある船は軒並み転覆してる。どっかの入江に船を停泊させてるとかでもねェ限り、もうこの島にはいねェだろうな」

「船を停められる入江なんて、港以外に無いよ。おれの父ちゃんは漁師だけど、どこかに下手に停めようとすると岩礁がどうのっていつも言ってるから」

「岩礁か……それなら港に船が無い以上、もういないと見ていいわね」

 

 この町を壊滅まで追い込んだ海賊はもういない。そこは安心して良いだろう。

 問題があるとすれば、同じルートを選んだ以上はこの先の航路のどこかで出くわす可能性が非常に高いという事だが。

 そう考えると、どうやってこれほどの惨劇を引き起こしたのかは気になる。

 

「こんなことが出来るなんて能力者以外に考えられねェな」

「そうね……やっぱり偉大なる航路(グランドライン)では能力者も普通なのかしら」

「おれはあんまり見たこと無いよ。でも、たまに来る〝黄昏〟の船には能力者がいるって皆言ってる」

「また〝黄昏〟か……」

 

 どこに行っても名前が出てくる。首領が七武海で世界中に販路があるという事をサンジとナミは知っているが、偉大なる航路(グランドライン)に入ったばかりで既に二度も名前を聞いている。

 この島も例に漏れず、〝黄昏〟の船が来て交易をしているのだろう。

 

「……待て。それじゃあ何か、ここで暴れた海賊は〝黄昏〟のナワバリを荒らして行ったってことか?」

「ううん。ここは誰かのナワバリの島って訳じゃないよ」

 

 交易する島の全てが〝黄昏〟のナワバリと言う訳では無いのだろう。ナワバリの島だけで交易をすると言うなら、ナミの出身地であるコノミ諸島も自動的に〝黄昏〟のナワバリに入ったことになってしまうのだし。

 ナミはノジコと支部長の交渉を見ていたが、そういった様子も無かった。契約書にも何も書いていなかったので本当に何もないはずだ。

 まぁ、いつ会うとも限らない相手の事を考えていても仕方ない。

 明日、夜が明けたら上陸して生き残りを探すべきだろう。この少年の本格的な治療もしなければならない。

 と、そこでサンジは思い出したように質問する。

 

「坊主、お前名前は?」

「マーティン」

「マーティンか。良い名前だ」

 

 名前も聞いたところで話が一段落したと判断したルフィが「うし」と立ち上がった。

 

「じゃあ明日の朝、町を調べよう。瓦礫の山になってっけど、探せばどっかに人はいるだろ」

 

 楽観的な言葉ではあるが……ナミもサンジも、その言葉を否定はしなかった。

 どちらにせよ休養は必要だ。怪我をしているなら尚更。

 少し早いが、明日は早朝から動くために早く寝よう──そういった矢先に、ウソップの声が響いた。

 

「てっ、敵襲~~~~!!!!」

 

 同時に響いた銃声を聞き、間髪入れずに船室からルフィとサンジが飛び出た。

 ラジオを消したナミは近くに置いていた武器を手元に引き寄せ、いざとなれば子供を守るつもりで船室から開いたドアに近付き、外を見る。

 月明かりを頼りに外を見るが、雲に陰っていて暗く良く見えない。

 ウソップはパチンコを使っていて銃を持たない。銃声が聞こえたという事は撃たれたという事だ。

 少なくとも敵が近くにいることは間違いない。

 

「ナミ、出てくるな!!」

 

 ドアを開けて外を見ていると、ゾロが両手に刀を持って近寄ってくる。

 

「ゾロ! どうなってるの!? 何が起きてるの!?」

「かなりの数の敵だ! おれ達で何とかする! ガキを守ってやれ!!」

 

 状況は掴めないが、少なくともゾロはある程度把握しているのだろう。それに元よりナミは戦闘に向いているとは言えない。

 ウソップの事は心配だが、ルフィたちに任せた方が良いだろう。

 手に持った棒を握りしめながら、ナミはドアを閉めて窓から外を見るに留めることにした。

 

 

        ☆

 

 

 陰った月明かりの下、ルフィたちは襲い掛かってくる敵を次々に薙ぎ倒していた。

 強さは大したこと無いが、とにかく数が多い。100人は優に超えている。

 どこからこれほどの人数が出て来たのかと問いたくなるが、誰かに聞いても答えてはくれないだろう。

 

「どうなってんだ!? 何人いるんだよ!!?」

「わかんねェ! 口を動かしてる暇があったら一人でも多く倒せ!」

 

 ウソップが泣き言を言いながらパチンコで船によじ登ろうとした男を撃ち落とす。

 サンジは剣を持った男の顔面を蹴り抜き、後ろから襲い掛かってくる別の男の足を蹴って転ばせ、顎を蹴って気絶させる。

 何人倒しても次から次に湧いて出てくる。

 

「クソ、キリがねェな……!」

 

 視界の端ではゾロが誰か剣を持った男と対峙しているのが見える。ルフィは向かってくる敵を愚直に薙ぎ倒していた。

 サンジは女だけは蹴らないよう気を付けつつ、男は容赦なく蹴り倒していく。

 兎にも角にも敵が多く、消耗戦の様相だったが……一時間も経たないうちに全員が地に伏していた。

 

「何だったんだ、こいつら……」

「さァー……ん? 何やってんだゾロ」

「コイツは事情を知ってる見てェだからな」

 

 ゾロは倒した相手の一人を抱え上げると、気絶しているその男の頬を何度か叩いて起こす。

 

「ぶふっ! な、なんだお前!」

「オメェがなんだよ。いきなり襲ってきやがって。Mr.11(ミスター・イレブン)とか名乗ってやがっただろ」

「うぐっ」

 

 胸倉を掴んで持ち上げるゾロ。Mr.11は慌てたように腰に下げた刀を探すが、既に刀は手元にない。

 ルフィたちに囲まれて勝ち目が無いと悟ったのか、抵抗する気力も無くした様子を見せる。

 

「は、話せない」

「なんだと?」

「我が社は〝謎〟がモットーなのだ! たとえ誰が相手であっても、話すわけにはいかん!!」

 

 怯えながらも啖呵を切ったMr.11だったが。

 顔面にグーでパンチを喰らうと途端に弱気になった。

 

「ギャーッ! ごめんなさい!!」

「弱っ」

「何なんだこいつ……」

 

 武器も何もない状態でルフィたちに囲まれている。この状況で逃げ出すことは出来ず、白状するしかないと思われたが……Mr.11はそれでも口を割ることは無かった。

 

「は、話せないんだっ! おれが知ってることなど、何もない!!」

「何もないってことはねェだろ、〝()()()()()()()()〟」

 

 ゾロの言葉にギョッとした顔をするMr.11。

 何か知ってるのかと、ルフィはゾロへ質問すると答えは簡潔に返ってきた。

 かつてゾロが東の海(イーストブルー)で賞金稼ぎをやっていた頃、スカウトされたことがあると言う。

 秘密結社〝バロックワークス〟──社員たちは社内で素性を一切知らせず、コードネームで呼び合う。

 もちろんボスの居場所も正体も何もかもが不明。ただ忠実に指令を遂行する。

 襲ってきた者たちも例に漏れず〝バロックワークス〟の社員で賞金稼ぎなのだろう、とゾロは当たりを付けていた。

 事情を全て知っていると見たMr.11は、今度こそ諦めたように「そうだ」とゾロの言葉を認めた。

 

「町がこんな状況でも、偉大なる航路(グランドライン)に入りたての海賊を襲ってカモにしようと襲ってきたって訳か」

「なーるほどなー。そういう事か」

「い、いきなりそんな場所を引き当てたのかよ……運がねェなァ、おれ達」

「まァそこは大した問題じゃねェ。ザコばっかりだったしな」

 

 先程子供から聞いた話では海賊が暴れていたという事だったが、恐らくそちらも襲撃を掛けて返り討ちにあったのだろう。

 それなら町が壊滅するほどの被害を受けているのも納得できる。きっとその海賊も数の多さに辟易して町ごと潰そうとしたのだ。

 ルフィとサンジは子供から事情を聞いていたので、ついでのようにウソップとゾロに情報共有をする。

 町の惨状とその原因に納得するウソップとゾロ。

 

「しかし、ちょっと前に海賊にやられた割によくおれ達に歯向かってくるだけの戦力があったもんだぜ」

「……()()()()()()()()

「あァ?」

 

 負けてもへこたれずに海賊を襲う様子に感心したゾロが零した言葉に、今度はMr.11の困惑した声が響いた。

 四人の視線が一斉にそちらへ向けられる。

 

「何を、って……お前らの事だよ。お前ら、町をこんなにした連中と戦ってこうなったんだろ?」

()()

「違う?」

「おれ達がこの島に来たのは()()()()()だ。()()()()()()()()()()()()()

 

 この島は港以外に船を停められる場所は無く、また港にあった船は全て転覆していて使える状態では無かった。

 ルフィたちがこの島に着いたのは今日の夕刻。

 Mr.11たちはこの島に来て、わずか数時間で乗ってきた船の全てが転覆、あるいは沈められたという事に他ならない。

 この惨状を作り出した海賊は遅くとも今日の朝には島を出ていた。

 では、M()r().()1()1()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……お前ら、何の目的でこの島に来たんだ?」

「……おれ達はとある女を探しに来た。我が社は〝謎〟がモットー。だがその女は、あろうことかボスの正体を知ってしまった……だから我々が派遣され、捕えて殺すか、少なくとも居場所を掴むように指令を出された」

 

 その女は別の町にいたが、〝バロックワークス〟に気付かれたことを悟ってこの島まで逃げて来たのだと言う。

 別の町ではその女の護衛の男と〝バロックワークス〟の数多くいる部下である〝ミリオンズ〟が戦ったらしいが、Mr.11自身はその男とは会っておらず、また護衛の男がどうなったのかも知らない。

 話を聞くと、どうにもきな臭くなってきたと難しい顔をするゾロ。

 ウソップがもしかして、と自分の意見を述べる。

 

「その女が船を沈めて回ったんじゃねェか? 一隻奪って、それ以外は沈めてよ」

「それは無い。少なくともおれ達の船が使えなくなった後にも目撃しているやつが居た。まだこの島にいるし、そもそも船を沈められるような技能は持っていないはずだ」

「そうなのか? じゃあ、一体誰が……」

「おれ達だって船が無ければ移動も出来ない。お前たちの船に密航して脱出する可能性を考えて、先にここでお前たちを畳んでしまおうと考えたんだ」

「それで返り討ちにあってりゃ世話ねェな」

 

 このままこうして話していても埒が明かないのは事実だ。

 逃げた女はまだこの島にいるのだろうが、またぞろ厄介事を持ち込まれても困る。

 

「で、お前らが追ってる女ってのは誰なんだ?」

「それは……」

 

 Mr.11はもごもごと言いにくそうに口を濁すので、ゾロは胸倉を掴んでいない方の手で拳を握って見せる。

 すると、慌てた様子で両手を上にあげた。

 

「や、止めろ! 暴力反対!」

「どの口で暴力反対とか言ってんだテメェ」

 

 今更ではあるが、あまり喋りすぎて粛清を受けないのかが怖いのだろう。

 しかし話さなければ今まさに命の危険があるので、もう仕方が無いと自分に言い訳して胸ポケットから対象である女性の写真を見せる。

 

「こ、この女だ──〝アラバスタ王国〟王女、ネフェルタリ・ビビ!」

 

 写真に写った青い髪の美少女の姿に、例に漏れずサンジは目をハートにしていた。

 




一体誰がこの島で暴れたんだろうなー(棒

21日は投稿する予定ですが、諸事情で間に合わなかったらお休みです。
28日は休みです。褪せ人になりますので。

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