ヒエヒエの実を食べた少女の話   作:泰邦

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第百六十二話:ニコ・ロビン争奪戦

 

 レインベースからサンドラ河までおよそ一時間。そこからサンドラ河を渡河するのに半刻ほど。

 バナナワニの速度は凄まじく、スタミナも相当あるためかなりの時間短縮が出来た。

 しかし、サンドラ河を渡河したところで流石にバテたのか、バナナワニも随分と速度が落ち始めている。

 

「流石に走りっぱなしでこの距離はキツイらしいな」

「仕方ねェ……けど、どうすんだよ!? ここから走れってか!?」

 

 反乱軍がアルバーナに到着するまで、もう一時間を切っている。

 悠長にしている暇など無いが、バナナワニをこれ以上酷使することも出来ない。

 

「困ったわね……本当ならサンドラ河の対岸に交代のバナナワニを連れてきているはずだったのだけど……」

 

 見渡す限り砂漠で人っ子一人いない。合流ポイントは間違っていないはずだが、〝黄昏〟も今は百獣海賊団とビッグマム海賊団を相手に沖合で奮戦していると聞く。こちらにまで手を回す余裕が無かったのかもしれない。

 どちらにしてもバナナワニはここまでだ。移動するなら別の方法を探さねばならない。

 

「でも、移動手段って言ったって……」

 

 近くに町があるわけでも無いのだ。ここからは歩いて移動する以外に無い──が。

 

「待って!! あそこ!!」

 

 ナミが声を上げた。

 近くに何かの影を見つけたのだ。すわ敵かと構える一行だったが、姿が露になると正体に気付く。

 

「カルー! それに、超カルガモ部隊!! みんな迎えに来てくれたのね!?」

 

 カルーを隊長とするアラバスタ最速の集団、〝超カルガモ部隊〟。

 彼らの脚ならば、砂漠を長距離移動しても時間のロスはほぼない。

 それでも反乱軍と国王軍の激突には間に合わないが……だからと言って、最善を尽くさない理由にはならない。

 

「けど、7頭しかいねェ。ビビ王女は確実としても、移動出来る面子は限られる」

 

 ゾロ、サンジ、ナミ、ウソップ、チョッパー、ビビ、イガラム、ジェム、ミキータ、ロビン。

 三人は徒歩で移動することになる。

 少なくともビビは必要だとして、残りはどうやって移動するか。時間も無い以上、手早く決めなければと頭を突き合わせる。

 

「麦わらの一味、お前ら全員乗っていけ。それとイガラムさん。アンタもだ」

「む? こう言ってはなんですが、私よりも君たちの方が強いのでは?」

「あとの二人はおれが担いで移動する」

 

 ミキータはキロキロの実の体重操作人間だ。体重を一キロから一万キロまで自在に変えられるため、ジェムが抱えたところで然したる負担にはならない。

 ロビンは……あまり重くないことを祈るばかりだが。

 そんなことを考えていると、視線で何となく察したロビンがジェムの頬を抓って引っ張る。

 ジェムの抗議の声を無視し、ロビンは別ルートを通ると告げた。

 

「近くの町まで行けば馬なりラクダなり移動手段はあるから平気よ。ジェムに運ばせた方が早いのは確かだけど、体力的にも無理があるからどこかで何かしらの手段を手に入れて合流するわ」

「バロックワークスも仕掛けてくるんだろ? 戦力を分けて平気か?」

「Mr.4ペアは既に脱落しているわ。残りのMr.1ペア、Mr.3ペア。それとMr.2の5人は貴方達で先に撃破するか、私たちが到着するまで時間稼ぎを」

 

 ゾロとサンジは「おれが倒す」と息巻き、ナミとウソップは任せる気満々で頷く。チョッパーはどちらかと言えばウソップ寄りの意見のようだった。 

 そうと決まればグズグズしている暇はない。

 超カルガモたちに乗った面々はすぐに出立し、後の三人はそれを見送る。

 

「……彼ら、勝てるの?」

「彼らの実力を見たわけでは無いけれど、難しいでしょうね」

 

 ミキータの言葉にロビンが肩をすくめた。

 バロックワークスのオフィサーエージェントは立場相応の実力を持つ。スカウトしてきたロビンも、その実力の程は知っている。

 まぁそこまで含めて一人で対処できると踏んでいたのだが、こうなるとロビン単独ではどうしようも出来ない。

 〝歴史の本文(ポーネグリフ)〟を読むためにクロコダイルに協力してきたが、ここまでアラバスタを追い込んだのは事実。後ほどカナタにかなり怒られるであろうことを考えると憂鬱な気分になるが、それは一旦置いておく。

 ロビンも最終的に〝黄昏〟の介入で全て丸く収めるつもりだっただけに、この状況は少しばかり想定外なのだ。

 

「私たちもアルバーナへ……と言いたいところだけれど」

「? まだ何かあるのか?」

「彼らには内緒にしていたけど、百獣海賊団とビッグマム海賊団が東の港に上陸寸前なのよ」

「何!!?」

 

 想定よりも随分早い。それだけの戦力を連れてきている、という事だろう。

 上陸されるであろう東の港付近は諦める他に無いが、迎撃しているなら町の住人は既に避難している。

 アルバーナとは相当距離が離れているとはいえ、これを今持ち込むわけにはいかない。

 狙われているのが分かっていても、囮になって引きつけなければ余計な被害がどんどん拡大していくだろう。ロビンとてそれは望んでいない。

 

「私たちはアルバーナを越えてアラバスタ東端にある港を目指す。いいわね?」

「おれ達がどれだけ戦力になれるか疑問だがな……」

「逃げ回るだけでも十分よ。敵の狙いは私なんだから、囮になって逃げ回ればそれだけこの国の被害は減るでしょう」

 

 ロビンも罪悪感はあるのだ。

 自分の目的のために犠牲にしてきたものは多くあるが、それら全てから目を背けてやって来たのではない。それでも知りたいものがあるから探しているだけで、被害が少ないに越したことは無いのだから。

 

「近くの町まで移動するわよ。リコリスに拾ってもらって高速艇で移動しましょう」

「……おれ、あいつ苦手なんですけど……」

 

 ロビンは少しばかり嫌そうな顔をするジェムの背中に乗り、ジェムはミキータを前に抱き上げて〝月歩〟で砂漠を移動し始めた。

 

 

        ☆

 

 

「沖に見える二隻の船、どんどん近付いて来てるよ」

「〝黄昏〟の船が迎撃に当たってたはずだが……突破されたみたいだな」

 

 首都アルバーナより東──港を有する〝タマリスク〟の町の高台から、サボとコアラは沖合を見ていた。町中で待機していたのだが、海兵にバレて追いかけっこをする羽目になったからだ。

 百獣海賊団とビッグマム海賊団、それぞれの海賊旗を掲げる船が一隻ずつ。

 迎撃に出ていた黄昏の船は無い。沈められたか退いたか……その辺りは分からないが。

 港に整列する海軍の軍艦と黄昏の軍艦が艦砲射撃を開始する。大砲の弾をただ打ち込むだけではそれほど損害を出せないが、多少なりとも時間稼ぎが出来ればと考えての事だ。

 それを嫌がってか、二隻の船は港からやや北側に進路を取り始める。

 

「北の丘の先に船を停めるつもりだ。行くぞ、コアラ!」

「あっ! ちょっと待ってよサボ君!!」

 

 言うが早いか、サボは高台から北にある丘を越え、船を接舷する場所を見る。

 既に船は着けられている。数が多く、アラバスタに派遣された海兵と黄昏の面々だけでは抑えきれない。

 彼らは邪魔をする港を潰しておこうと考えたのか、港へ向かって移動を始めていた。

 こういう事態のために派遣されたサボとコアラは、躊躇なく彼らの行く手を阻むように立ち塞がる。

 

「……なんだ、テメェらは」

 

 見上げるような巨体の魚人──百獣海賊団の大看板、〝旱害〟のジャックが問いかけた。

 その隣には鎧を着こんだ厳つい男──ビッグマム海賊団の将星、〝千手〟のクラッカーがいた。

 

「ジャック様! あの男、革命軍の参謀総長ですよ!!」

「なるほど……道理で見た事のある顔だ」

「初めましてだな。〝旱害〟のジャックに〝千手〟のクラッカー」

 

 この二人が肩を並べているという時点で既に相当な圧迫感があるが、それだけではない。

 二人の奥には飛び六胞のフーズ・フーとブラックマリア。更にはタマゴ男爵にぺコムズ……確実にロビンを捕まえるために、黄昏と海軍に対抗する戦力を揃えて来たらしい。

 名のある海賊ばかりでさしものサボも危ないが、ここで退くわけにはいかないと不敵に笑みを浮かべて見せた。

 アラバスタを滅ぼさせるわけにはいかないという理由もあるが──ルフィもまたこの国にいる。

 弟を危険な目に合わせはしないと、鉄パイプを強く握りしめた。

 

「残念だが、ここを通すわけにはいかない」

「テメェの意見なんざ聞いてねェ。ニコ・ロビンがこの国にいる以上、この国を滅ぼしてでも手に入れる」

「四皇が欲しがったものは全て差し出せ。それがお前らの生き残る唯一の道だ」

 

 既にジャックとクラッカーはやる気満々で得物を抜いている。

 クラッカーは8億を超える懸賞金が付けられており、ジャックに至っては10億を超えている。並の強さと凶暴さではない。

 幹部たちもそうだが、彼らの後ろに控える〝ギフターズ〟や〝ホーミーズ〟も無視は出来ない戦力だ。

 二隻の船にいた戦力は総勢1000人を超える。

 たった二人でこれと立ち向かおうと言うのだから、ジャックとクラッカーが嘲笑するのも理解は出来る。

 

「死にたくねェならどけ。テメェの相手なんざしてる暇はねェんだ」

「そうはいかない。お前らを通せば、この国で暴れるだろ?」

「当然だ。ニコ・ロビンを見つけるまで、この国を虱潰しに探し続ける。邪魔なものは全て破壊するだけだ」

「じゃあ退けないな」

 

 カイドウから任された以上、一刻も早くニコ・ロビンを見つけたいジャックに対し、この国に被害を出させまいとするサボ。

 退く気が無いとわかった瞬間、ジャックは獣形態に変化して巨大な鼻でサボのいた場所を薙ぎ払った。

 ジャックはゾウゾウの実の古代種を食べた〝マンモス人間〟。その巨体も合わさり、凄まじいパワーで相手を薙ぎ倒してきた実力者だ。

 サボはそれを回避し、手に持った鉄パイプを横薙ぎに叩きつけて僅かによろめかせる。

 

「チッ、頑丈だな……!」

「温ィ攻撃だな。所詮革命軍、最前線で戦い続けて来たおれ達にゃあ敵う訳がねェ!」

 

 ジャックの言葉にカチンと来たのか、サボは再び薙ぎ払われる鼻を避けることはせず、片手で受け切って見せた。

 

「おれ達にゃあ……なんだって?」

「テメェ……」

 

 にやりと笑うサボは、下からジャックの顎をアッパーで殴り上げる──が、ジャックはそれを受けても一切怯まず、そのまま鼻を勢いよく叩きつける。

 爆発したような音と共に地面が振動するが、サボは既にそこにおらず、少し離れたコアラのところへと移動していた。

 

「流石に一筋縄じゃいかないか」

「当たり前でしょ!? 相手は四皇の最高幹部だよ!!?」

「だからってこのまま素通りさせるわけにもいかねェだろ?」

「それは、そうだけど……!」

 

 二人が言い争いをしている横で、痺れを切らしたフーズ・フーが声を上げる。

 

「おい、ジャック! おれ達は先行してニコ・ロビンを捕縛しに行くぞ!」

「構わねェ! 捕縛はお前らの方が適任だ。おれが同行してるのはこういう生意気な奴を叩き潰すためだからな」

 

 ちまちまと人探しをするよりも暴れるほうが好きなジャックは、サボとコアラを二人纏めて叩き潰そうと追いかける。

 サボたちを追い越して港町をまず徹底的に破壊しようとする百獣・ビッグマム海賊団を前にサボは舌打ちし、港町から出て来た海兵たちにホッとした顔をする。

 サボが追い掛け回された相手は大佐だった。少なくとも大佐以上の階級が多数招集されており、最高幹部は難しいにしてもギフターズやホーミーズを止められる戦力だと言えた。

 

「相手は百獣海賊団とビッグマム海賊団だらァ!! 気を抜くな、必ずここで奴らの進軍を止めるぞ!!!」

 

 顔面部の穴と頭の部分の角が特徴的な仮面を被っている男、バスティーユ中将が雄叫びを上げる。

 戦力の大部分は新世界でビッグマム海賊団とぶつかっているため、アラバスタにいる中将はバスティーユのみだが……少なくとも、幹部格を一人くらいは抑えられるだろうとサボは考えていた。

 散々追い掛け回してくれたスモーカーやヒナの姿もある。

 

「貴様、革命軍のサボか!?」

「悪いが、今はお前らの相手をしてる暇はない。今回に限ってはおれ達の目的は同じだろ?」

「ぐぬぬ……今回だけだらァ!」

「助かるよ!」

 

 バスティーユとて状況の悪さは理解している。

 大看板に将星。普通なら海軍大将が出張るような相手だ、中将でも平均的な実力のバスティーユ一人でどうにかなるような相手ではない。

 厳しい戦いになる──サボと肩を並べてそう考えていると、どこからか聞いたことのないような音が聞こえて来た。

 

 

        ☆

 

 

 リコリスたちがアラバスタに移動するにあたり、用意したものがいくつかある。

 その一つが砂漠を高速で移動するための船──高速艇である。

 軽量化のためにボートに駆動用の機材を取り付けただけの簡素なものだが、その速度はすさまじい。砂煙を巻き上げて砂漠を爆走する姿は誰もが二度見するほどだ。

 何しろ駆動用のエンジンとして使っているのは、今では絶滅種と言われる〝噴風貝(ジェットダイアル)〟である。

 〝風貝(ブレスダイアル)〟を利用したウェイバーと言う乗り物もあるが、速度はその比ではない。

 アラバスタでも最速を誇る超カルガモ部隊を遥かに凌駕するその速度で以てアラバスタを横断し、〝タマリスク〟の町の近くまで接近していた。

 

「港には敵の姿が見当たらない! どこか別の場所じゃないのか!?」

「少し北の方に強い気配があるわ。多分そっちね」

 

 あまりの勢いの強さに船にしがみついているジェムが先頭で双眼鏡片手に声を張り上げる。

 船の先端が浮いているほどだ。ミキータやロビンはあまりの揺れの強さに顔色が悪い。

 リコリスの言葉の通りにゼポが舵を取り、船が砂の上で旋回して砂丘を越えた。

 

「いた!! 海軍も一緒だ!!」

「海軍も? 面倒ね……ま、仕方ないか」

 

 勢いよくドリフトを決めてジャックに盛大に砂をかけて停止すると、ゼポとペドロ、リコリスは船を降りた。

 ペドロとゼポはややふらふらしているが、リコリスはあれだけ滅茶苦茶な揺れの船を使っても船酔いした気配が一切ない。

 

「間に合ったみたいね」

「〝黄昏〟の援軍か! ……そっちの二人もか?」

「ええ。ニコ・ロビンを狙ってるならこの二人も味方として使えるでしょう?」

「ふらふらしてるけど大丈夫か?」

 

 ダウン気味なミキータとロビンとは違ってまだ平気そうだが、それでも顔色が悪い。ジェムも今にも吐きそうな顔色だが我慢している。

 

「あれしきでダウンするなんて、まだまだね」

「あ、あんな滅茶苦茶な揺れで走ってきて酔うなって方が無理だろ……!」

「なんでゆガラは平気なんだ……」

「鍛え方が違うのよ」

 

 ともあれ。

 ニコ・ロビンを求める勢力。

 それを止める勢力。

 両方の勢力が一堂に会することになった。

 いきなり現れた面々を眉をひそめながら見ていたジャックだが、近くにいたフーズ・フーへと尋ねる。

 

「あの船にいる女がニコ・ロビンか?」

「ああ、間違いねェ。ニコ・オルビアに似てるし、何より()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 フーズ・フーがタバコをくゆらせながらジャックに返答する。

 ならば都合がいいと、ジャックは声を張り上げた。

 

「その女を渡せ! 死にたくなけりゃあな!!」

「お断りよ。自分より弱い相手に従う道理なんてないもの。どうしても手に入れたければ、ご自慢の力で奪い取ってみたら?」

 

 ジャックの恫喝もどこ吹く風とリコリスが挑発する。

 サボの隣に立つリコリス目掛け、ジャックが巨大な鼻を振るって横薙ぎに地面ごと吹き飛ばした。

 サボもリコリスも容易く回避し、リコリスはジャックの顔面を蹴ってその頑丈さに眉をピクリと動かす。

 

(硬い。元々頑丈なんでしょうけど、覇気の強さも並じゃないわね)

 

 流石に大看板ともなれば侮れる相手ではない。

 ただ硬いだけなら全て融かしつくすまでと、僅かに距離を置いて準備をし始め──横合いからクラッカーが奇襲をかけた。

 咄嗟に上体を逸らすこと(スウェー)で斬撃を回避し、続く連撃を脚で受け止めて鍔迫り合いになる。

 

「……なるほど。若い割に中々強い。〝黄昏〟が援軍に出すだけはあるか」

「レディに対して礼儀がなってないんじゃなくて? がっつく男は嫌われるわよ!」

「海賊相手に礼儀などある訳がねェだろう! 舐めているのか!?」

 

 クラッカーの連続した斬撃を回避と防御で凌ぎつつ、纏めて吹き飛ばそうとするジャックの攻撃からも身を守るために意識を割かねばならない。

 舌打ちしたくなる気持ちを抑えて回避に専念していると、ジャックの方へとサボが移動する。

 リコリスの方へと攻撃しようとするもサボが牽制し、ジャックは鬱陶しそうにサボ目掛けて鼻を振り上げた。

 

「まだ邪魔しやがるのか?」

「当たり前だ!」

 

 一方で、最高幹部が戦っている横では他の面々がロビンを手に入れようと動いていた。

 ゼポ、ペドロの弟分であるライオンのミンク族、ぺコムズは必死に声を張り上げる。

 

「ゼポの兄貴、ペドロの兄貴! 頼む、そこを退いてくれ!! おれは兄貴たちと戦いたくはねェ!! ガオ!!」

「それは無理な相談だ、ぺコムズ。おれ達は既に道を違えた」

「ロビンを渡すわけにはいかねェ! どうしても渡して欲しけりゃあ、おれ達を倒していけ!!」

「ふむ……交渉は決裂、という事でソワールか」

 

 反対側では海軍と百獣海賊団が睨み合っており、フーズ・フーとブラックマリアはどちらが行くかで揉めていた。

 

「捕縛なら私の方が適任だと思うけど?」

「あの船は厄介だ、機動力のあるおれの方がいい」

「……まァ、この暑い砂漠を走り回るのも嫌だし、お前さんに任せようかね。私はあっちの中将と革命軍の女の子を貰うよ」

「好きにしろ」

 

 プレジャーズ、ウェイターズ、ギフターズ。

 百獣海賊団の誇る戦力が海軍と衝突し、ブラックマリアはコアラとバスティーユを相手に戦い始める。

 ギフターズの部下数名を引き連れ、フーズ・フーは真っ直ぐロビンの方へと移動し始め、それを見たジェムが急いで移動するために再び船を起動させた。

 

「ま、また動かすの?」

「当たり前だ! これで逃げなきゃ追いつかれるだろうが!!」

 

 ミキータが青い顔で抗議の声を上げるも、ジェムは気にしていられないと即座に船を動かし始める。

 

「おいおい……このクソ暑い砂漠の中走らせんのかよ」

 

 フーズ・フーは面倒くさそうにため息を吐き、高速で移動する船を追いかけ始めた。

 




対戦カード

リコリスVSクラッカー
サボVSジャック
コアラ、バスティーユVSブラックマリア
ロビン、ジェム、ミキータVSフーズ・フー
ペドロVSタマゴ男爵
ゼポVSぺコムズ

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