ヒエヒエの実を食べた少女の話   作:泰邦

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メリクリ


第百七十七話:観光地

 

 色々と聞きたいことは多かったが、小紫の「話は食事をしながらしましょう」との一言でひとまず席に着くことにした一同。

 見るからに高級そうな店で見るからに高級そうな料理が出始め、料理に手を付けようとしたルフィの手をナミが止めていた。

 

「先に私たちをここに呼んだ理由を教えてもらえるかしら? ロビンの知り合いみたいだけど、私たちは何もわかってないわけだし」

「そうですね。ですが、本当に簡単なことですよ」

 

 久々にロビンと会える機会があると知ったから、もののついでに仲間であるルフィたちも一緒に呼び出した、と言うだけの話。

 食事を用意したのは彼女なりのもてなしらしい。作ったのは彼女ではないが。

 

「遠慮せず食べてください。ここの料理はとても美味しいですよ」

「ほんとか? いただきます!」

「待て待てルフィ!!」

「なんだよ!」

 

 右手はナミに止められているので左手で料理に手を付けようとしたところ、今度はウソップに止められるルフィ。

 とても美味しそうな料理を前にストップをかけられてルフィの顔もしかめっ面になっていた。

 

「見るからに高級そうな料理だぞ! 金払えって言われたら払えねェだろ!!」

「ロビンさんがお世話になっている人たちからお金なんて取りませんよ」

「そうね。彼女はそういうタイプではないから大丈夫よ」

「そ、そうか?」

「参考までに聞くけど、これ一人前いくらくらいするの?」

「20万ベリーくらいです」

「20万!!?」

 

 麦わらの一味の残金、およそ5万ベリー。ロビンが個人的に用意していたへそくりの宝石などを合わせればもう少しあるが、全員分の食事代を払えば露と消える額である。

 ナミとウソップ、サンジは金額を聞いただけで背筋が伸びていた。

 

「先も言いましたが、お金を取る気はありません──全額経費で落とすので」

「ジョルジュが頭痛を堪えるところが目に浮かぶようね……」

 

 小紫のポケットマネーと言う訳でもないらしく、ロビンは主に金銭面の担当をしていた苦労性の男を思い出して遠い目をする。

 まぁ〝黄昏〟の総資産からすればこの程度は小銭である。ましてや小紫の立場を考えればこの程度は右から左に流して決済してくれそうではあった。もっと桁の違う金額を取り扱うことも多いので感覚が麻痺している可能性もある。

 元より現状のスカイピアは〝黄昏〟の療養地である。身内でお金を回す分には特に文句も無いだろう。

 

「経費……? ま、まァおれ達が払わなくていいって言うならいいけどよ」

 

 ウソップがルフィの手を離すと、ルフィはマナーも何もなく料理を食べ始めた。

 海賊にその辺りの事を期待するつもりは無いのか、小紫の表情は特に変わらない。

 小紫は綺麗な所作で肉を切り分けると、一口頬張って舌鼓を打つ。小紫も食べ始めたことで安心したのか、ルフィ以外の面々も徐々に食事に手を付け始めた。

 食事の合間を見ながら、小紫はロビンへと話しかける。

 

「本当はロビンさんに会わせたい方もいたんですけどね。サプライズで会わせようとロビンさんが来ることを伝えず、来て欲しいと連絡を入れたら『今忙しいから後にして』と断られてしまって」

「会わせたい人……?」

「ええ。まあ、その方は後ほど機を見てと言うことで」

 

 小紫とロビンが話している間に食事をしていた一同だが、値段が値段だけにナミなどは噛み締めるように食べていた。

 空島で獲れる〝スカイロブスター〟を始めとした料理の数々は、料理人のサンジをして唸らせる味だったようで、後で料理人に話を聞こうと決めていた。

 下の海では手に入らない空魚の料理である。舌鼓を打つ面々を見ていると、小紫は今度はペドロたちへと話しかける。

 

「二人も、ロビンさんの護衛を上手くやってくれているようで何よりです」

「ロビン自身の機転の良さに助けられたことも多かったんで、我々だけの功績と言う訳では」

「危ない局面は、まァ無いでは無かったもんで……」

「そうですか。それでも無事でいられたなら良いことです」

「姫様に心配されるなど、恐縮です」

「それ! さっきも気になってたけど、姫様ってどういうこと? どこかの国のお姫様なの?」

 

 ペドロの言葉に反応したナミが急いで嚥下し、フォークを手に持ったままビシッとペドロに向けた。

 尋ねられたペドロはと言うと、非常に話しにくそうにゼポと小紫に視線を向ける。

 ゼポも判断に困ったのか小紫に視線を向けていた。

 

「そうですね。一国の姫と言う意味では間違いではありませんが……なるべく口外するなと言われているので、詳しいことを話すことは出来ません」

「ペドロたちに姫って言われてるってことは、つまりミンク族の姫って事じゃねェのか?」

「小紫ちゃんはどうみてもミンク族じゃねェだろアホ剣士」

「んだとアホコック!」

 

 サンジとゾロの喧嘩は全員無視し、小紫は簡潔に答えた。

 

「ミンク族とは古くから関わりのある一族なんです。父の代では特に結びつきが強かったので、その影響ですね」

 

 特定されない程度にならば大丈夫という判断なのだろう。

 ふーん、と納得している横で、小紫はチョッパーに視線を向けていた。

 

「私はそちらのミンク族が気になるのですが……ペドロたち以外にも外海に出ていたミンク族がいたのですか?」

「ああ、あガラはチョッパー。動物(ゾオン)系の能力者であってミンク族ではありません」

「なるほど……」

 

 愛らしい見た目のチョッパーに目を奪われ、小紫は若干そわそわしていた。不躾だと思われては恥なので言い出さないが、触ってみたいらしい。

 当のチョッパーは食事に夢中で視線には気付いていなかったが。

 

 

        ☆

 

 

 食事を終えて店の外に出ると、小紫もロビンたちを見送るために店の外に出た。

 ロビンがペドロとゼポを連れて旅に出たのがおよそ8年前。久しく会った友人とも姉妹とも言うべき相手に、小紫は終始笑顔のままだった。

 最後に小紫はロビンと握手をすると、にこりと笑って見送る。

 

「私は特に予定が無い限りこの島にいるので、何かあったら呼んでください。危ないことは無いと思いますけど……ガイドさんの言うことはちゃんと聞いてくださいね?」

「善処するわ。ありがとう、小紫──ところで、イゾウさんや河松さんはいないのね?」

「彼らは自分の仕事がありますから。それに、()()()()()なんて意味がないですからね」

 

 食事処の一室で待機していたガイドのコニスと合流し、ルフィを先頭に観光へ戻る。

 ロビンがちらりと後ろを振り返ると、小紫はずっと店の前で視線を送っていた。

 

「おい、ロビン」

「? どうかしたの?」

「あの女、見る限り只者じゃ無さそうだが」

「……そうね。強さを測るとかは私は出来ないけれど……少なくとも、彼女は8年前でも相当の強さだったわ。ペドロとゼポも歯が立たないくらいにね」

「あの二人が戦って歯が立たないの!?」

「ロビン……おれ達が姫様を傷つけられないのわかってて言っているだろう」

「あ、そういう事情……」

「ふふ。でも、彼女がとても強いのは本当よ。何せ、カナタさんの一番弟子だもの」

 

 手ほどきを受けたという意味ではカイエや千代もそうだが、カナタが一から十まで熱心に教えていたのはロビンの知る限り小紫しかいない。

 四皇に匹敵、ないし凌駕している実力者に師事することがどれだけ大変か。並大抵の強さでは務まらないことは見ていたロビンにはわかる。

 ゾロが気にしていたのは脇に置いてあった刀から剣士であると推察したからか、あるいは単純に小紫の強さを肌で感じ取ったからなのかもしれない。

 どちらにしても、彼女と戦う機会は無いだろう。

 敵に回す理由も無い。

 

「…………」

 

 ゾロは一度だけ振り返り、小紫の姿を視る。

 女で、剣士で、かなりの強さ。

 実際にどのくらい強いのかは見てみないことには分からないものの、それでも肌で感じ取れる強さは相当なものだ。

 たとえ女でも、あれだけ強くなれる。

 それだけわかれば、ゾロには十分だった。

 剣士であるならば、彼女を超えねばならないのだから。

 

 

        ☆

 

 

「こちらが〝ウェイバーレース〟の会場です」

 

 コニスに連れられて訪れたのは、ウェイバーによるレースの会場だった。

 部門は幾つか分かれており、乗り物の形による住み分けがされている場合もあれば全部門無差別に競走する無差別級もある。

 特に目を引いたのは〝海賊(ワイルド)ルール〟と呼ばれるものだ。

 

「なんだ、これ。〝ワイルドルール〟?」

「ああ……〝ウェイバーレース〟はきちんとした規定の下で行われるレースなのですが、それだと物足りないという過激な方もいらっしゃって……」

 

 要はゴールすれば何でもあり、相手を傷つけようが妨害しようが勝った奴こそが正義の特殊ルールらしい。

 既定のポイントさえ順番に回ればそれ以外は何をしようと自由なのでレースは荒れがちで、掛け金次第ではあるが配当金も高くなりがちなのでハマる者もいるのだとか。

 コニスはあまり好きではないらしい。

 

「思ったよりコエーな、〝ウェイバーレース〟」

「怖がらないでください! この無差別級以外は本当に、ちゃんとしたルールの中で行われるレースなんです!」

「いや、それはわかるけどよ」

 

 コニスとウソップが話している横では、ナミがウェイバーを見てどことなく見覚えがあると思い出していた。

 

「ねェルフィ。これ、アンタが持ってきた奴に似てない?」

「似てるな」

 

 空から落ちて来た船が沈む前に急いで回収した中に、似た形のボートのようなものがあった。

 あれも恐らくウェイバーなのだろう。200年以上前に使われていたものなら、壊れて修理など望めないかもしれないが……。

 と言う話をしたところ、コニスはそれならばとレース場の裏側に繋がる道に案内しだした。関係者以外は立ち入り禁止のハズだが、コニスは気にした風も無くずんずんと中へ歩いていく。

 辿り着いたのは〝エンジニア室〟と表記された部屋だった。

 ノックもそこそこに中へ入ると、口ひげを蓄えた男がお茶を飲んでモニターを見ていた。

 

「おや、コニスさん。へそ!」

「へそ、父上! 実は頼みたいことが」

「いや何言ってんだお前ら」

 

 〝へそ〟と言うのは空島特有の挨拶らしく、ペドロとゼポは「ガルチューのようなものか」とその島特有の文化に納得していた。ルフィは引いていたが。

 それはともかく、口ひげを蓄えた男──名前はパガヤ──はコニスの父親らしく、彼はウェイバーレースでボートの調整を行うエンジニアの一人だと自己紹介した。

 専属のエンジニアを雇うレーサーもいるが、違反行為になっていないか確認する仕事をしているのだと言う。

 彼にルフィが拾ったウェイバーらしきものの事情を簡潔に話す。

 

「なるほど、それで私のところに。ええ、構いませんよ。確認してみましょう」

「言っておいてなんだけど、大丈夫なの? 200年以上前の物らしいんだけど……」

「エンジンに使われている〝(ダイアル)〟というものは元々貝の死骸を使いますから、殻が壊れていない限り半永久的に機能します。見てみないことには分かりませんが、船が壊れていてもエンジン部分が無事なら動く可能性は高いと思いますよ」

「そうなのか!」

「父は元レーサーで現エンジニアですから、(ダイアル)にもウェイバーそのものにも詳しいんです。昔は大会で優勝したこともあるんですよ!」

「そうなのか!? スゲーなおっさん!!」

「いやはや、昔の話ですいません」

 

 謙遜するパガヤに尊敬のまなざしを向けるウソップとルフィ。

 レース場の近くではウェイバーの試乗も出来るらしく、興味を持ったルフィがいの一番に名乗りを上げてウェイバーに乗り込もうとする。

 だが、その直前でスタッフと思しき男たちに止められた。

 

「試乗したければこれを着るんだ」

「なんだこれ?」

「ライフジャケット……平たく言えば溺れないようにするための着る浮き輪だ」

 

 黄色の着る浮き輪のようなものだ。股の間を通して結び、誰であっても溺れないようにしている。

 ルフィは動きにくそうに肩を回しているが、義務らしいので窮屈に感じながらも文句は言わない。

 

「よっしゃあ! 行くぜ!」

「あの、気を付けてくださいね? とても操縦が難しいので……」

 

 ブオン! といきなりアクセルを吹かして発進するルフィ。コニスの注意などどこ吹く風だ。

 波にハンドルを取られ、ガタガタと揺れながら派手な大転倒を見せて水没した。能力者なのですぐさま力が抜けてだらりとなっているが、ライフジャケットのおかげで沈まずに済んでいるようだった。

 巡回していたスタッフに回収され、ずぶ濡れのルフィはすぐさま岸に戻ってくる。

 

「なんだあれ……スゲー揺れるんだけど……」

「ウェイバーは風で動かす船ですから、動力が小さくても大丈夫なように船は軽く出来ているんです。海を知り尽くしているくらいでないと、運転は中々難しいと思います。根気よく練習すれば10年ほどで乗れると思いますよ」

「長いわ!!! 滅茶苦茶根気いるぞそれ!!?」

「他にもスケート型やボード型もあります。難易度はあまり変わりませんが……」

「おれも乗ってみたいのになー。簡単なのってないのか?」

「安定性があるものはやはり重量があるので、速度は劣りますね。もちろん遊覧するだけならそれでも十分ですよ」

「じゃあそれ! おれ、それに乗ってみたいぞ!!」

「はい、では手配してきますね」

 

 訓練期間の長さをウソップに突っ込まれてチョッパーが絶望していたが、どうやら乗れそうなものもあると安堵する。

 観光を主な収入源にしているためか、その辺りのケアはバッチリらしい。

 一方、少し目を離した隙にルフィが乗っていたウェイバーに乗り込んだナミはと言えば、ウェイバーを初見でしっかり乗りこなしていた。

 

「乗っとる!!?」

「これサイコー!」

 

 これまでに培った海の知識が功を奏したのか、ナミはウェイバーをバッチリ乗りこなして楽しそうに遊んでいる。

 そこへチョッパーとルフィが安定するが遅いタイプのウェイバーに乗って乱入し、きゃっきゃとはしゃぎながら乗り回していた。

 試乗場所は広くはあるが囲ってあり、外には出られないようになっていることにサンジが気付く。その先に異様に天気の悪い島があることにも。

 サンジは遠くを指差しながらコニスに尋ねた。

 

「なァコニスちゃん。だいぶ広めに囲ってあるみてェだけど、あの先にある真っ黒い雲に覆われた島はなんだ? あそこもこの島の一部か?」

「あそこは……いえ、あそこは立ち入り禁止区域です」

「立ち入り禁止? 天気が悪いからか?」

「簡単に言えばそうなんですけど、実態はそんなレベルでは無いんです。あの暗雲の下にある島は元々私たちが住んでいた〝エンジェル島〟と言う島なのですが、過去に二人の能力者が戦った影響でああなってしまって」

「能力者が戦った影響で……? そんなことがあんのか?」

「あるんです。私がまだ生まれて間もないころの事なので詳しく知らないのですが、今なおあの島は吹雪と雷の止まない嵐の島になっています。特に何があるわけでもなく、ただ危険なので立ち入りを禁止しているんです」

「なるほどなァ……」

 

 ルフィに聞かせれば何が何でも入ろうとするだろうが、あるのは過去に住んでいた人々の足跡だけだと言う。

 冒険を期待しているルフィにとっては肩透かしに終わるであろうことは想像に難くない。

 そう言えば、とサンジは思い出したようにもう一つ質問を投げた。

 

「下でシュラって奴に聞いたんだが、もう一か所入っちゃいけねェ場所があるって?」

「そうですね。先にそちらも話しておきましょう」

 

 〝アッパーヤード〟と呼ばれる島だ。

 こちらはコニスたちとは別の原住民たちが住んでおり、勝手に入ろうとすると彼らと争いになる。過去に色々あったが、一度大地を追い出された彼らの執着は強く、下手なことをすると色々問題が起きるのだと。

 

「つまるところ、民族問題か」

 

 ペドロはコニスの話を聞いてそう締めくくった。

 コニスはその言葉に頷き、「和解をしようと神様が頑張っているのですが、解決は未だ難しいようで」と困ったように笑う。

 

「神様? 神がいるのか?」

「この島における神と言うのは指導者の意味よ。この国の長ね」

 

 ゾロの疑問にロビンが答え、コニスはその答えに頷いた。

 

「そう言った問題があるので、安全を保証出来ない〝アッパーヤード〟には立ち入らないように……とされているんです。絶対に入ってはいけませんよ?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 丁度戻って来たルフィが耳聡くコニスの言葉を捕える。

 ハッとしたサンジ、ウソップは一番聞かれてはいけない奴に聞かれたことを悟った。

 

「待てルフィ! いいか、わかるな!? 絶対に入っちゃいけねェんだぞ!?」

「そうだぜルフィ!! よく考えろ!! 絶対に入っちゃいけねェって事はつまり、絶対入っちゃいけねェんだぞ!!?」

「あーそー……絶対に入っちゃいけねェ場所かァ……」

 

 もう何を言っているのか自分でも分からなくなっているのか、サンジとウソップは支離滅裂になりながらルフィを止めようと説得する。

 ルフィはライフジャケットを脱ぎながら生返事をしていた。

 ゾロはもう聞かれた時点でルフィは止まらないだろうと判断しており、肩をすくめながらも止める気は無さそうだった。

 

「ま、でもそれは遊んでからでもいいや。他にもなんかあんのか?」

「ここが一番のレジャー施設ではありますが、〝雲の道(ミルキーロード)〟で作ったウォータースライダーのあるプールや多種多様な(ダイアル)を売っているダイアルショップ、青海では見られない珍しい雲で作られた家具を売っている場所もあります」

「全部面白そ~~!! おいナミ、チョッパー!! 次行くぞ!!!」

「もう行くの? 私もう少しここで遊びた~い」

「おれも~~!!」

「置いてくぞ!!」

 

 ルフィの一声で渋々船から降りた二人を迎え、コニスはくすくすと笑っていた。

 プール、ダイアルショップ、家具屋。選択肢は幾つかあるが、そう言えばとコニスは思いつく。

 

「皆さん、海賊なんですよね? 船乗りの方なら海洋科学館などもありますが、どうですか?」

「なんだそれ?」

「〝偉大なる航路(グランドライン)〟で起きる不可思議な現象をミニチュアなどで再現している場所です。ためになりますし、面白いですよ」

「へー! 面白そうだな! じゃあそこに行こう!!」

 

 

        ☆

 

 

 元々は子供に対する学びの場としての側面が大きかったが、これ自体が見世物として面白いと考えて一般に公開されるようになったのだとか。

 船乗りならば避けては通れない海の現象を、出来る限りわかりやすく説明した科学館。これが作られたのは、空島にその手の研究施設がある影響もある。

 その科学者の一人が、まさに今居合わせていた。

 

「ようこそ、海洋科学館へ」

「ドクター! こちらにいらしたんですか?」

「先程用事が終わったのでね。まったく、彼女の相手は大変だ。熱心なのはいいが、私は他にも仕事がつかえているというのに」

 

 ぼさぼさの短い金髪に長い耳たぶ。上半身は裸の上に白衣を着ている特徴的な男だ。

 ルフィよりもだいぶ背の高いその男は、眠そうな顔で入って来た一同を見下ろしていた。

 

「私はエネル。この研究施設を任されている。Dr.エネルと呼んでくれたまえ」

 




ゴッドからドクターに転向したエネルの図

明日も更新の予定です

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