ヒエヒエの実を食べた少女の話   作:泰邦

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日記風って書いたことないからこんな感じでいいのかなって思って書いてます。
多分二度と書かない。


第二十三話:航海日誌

 〇月×日

 リトルガーデンでのログの溜まる日数が一年ということで、暇つぶしもかねて航海日誌を書くことにした。この手のものは長く続いた試しがないのだが、やる分には無駄にならないだろうと思っている。

 決まったことを纏めておくには確かに便利だ。

 ということで、夜に決まった今後の身の振り方を記しておく。

 

 一つ目、ログが溜まるまでの間、船員を最低限戦えるレベルにまで鍛える。

 二つ目、島の中を探索して食料、水源、薬として使えそうな植物を探す。

 三つ目、もしこの島に誰かが来た場合は薬品その他を強奪することを視野に入れておく。

 

 一つ目と二つ目はこの島で一年過ごすなら必要だろうと判断した。特に二つ目は精力的に行わなければ命に関わる。

 三つ目に関しては、これは仕方ないだろう。海賊行為を忌避して我々のうち誰かが死んでは意味がない。

 〝ウイスキーピーク〟を越えられる海賊、あるいは普通の旅人(そんな奇特な奴がいるのかは知らないが)がここに辿り着くという前提条件が非常に厳しいため、余り気にすることでもないだろう。

 ドリーとブロギーに確認したところ、我々の前にこの島に来た船は数年前が最後だったようだし。

 例に漏れず、この島で全滅したらしいが。

 

 

 

 〇月△日

 早朝から行動を開始した。食料、水源の確保に関してはドリーとブロギー両名の協力もあって非常にスムーズに進んだ。

 薬になる植物に関しては、スクラを中心に武力担当が最低一名ついて護衛しながらの探索だ。

 この島は広いが、一月もあれば隅々まで見て回れるだろう。スコッチをつけてマッピングをさせておく。方位磁針は使えないが、太陽の位置から方角を算出して書き込めば間違いはないだろう。少なくとも、上空から確認したから島の形状は間違っていない。

 

 ドリーとブロギーは島の中心部にある火山が噴火するたびに殺し合いをしている。

 戦いの理由すら忘れ、互いの誇りのために戦っているという。

 戦士の誇り、信念などは私には無縁だが、それ自体は理解できる。譲れないもののために戦ったのは私も同じだ。

 二人の戦いは凄まじい。一撃一撃が必殺を誇り、必殺の攻撃を紙一重で躱し、受け流す。殺陣のようだったが、二人とも本気で殺しにかかっている。

 あれだけの勢いで武器をぶつけあえばあっという間に消耗するはずだが、流石に海を荒らした巨兵海賊団の頭目。武装色の覇気で覆うことで劣化を最大限防いでいるらしい。

 見聞色の覇気で互いの次の一手を読み切っているからこそ拮抗しているのだろう。実力が伯仲していながら七十年近くも決着がつかないとは、呆れる話だ。

 

 覇気の話で思い出したが、ゼンが使っていた覇気は私たちが知っているものと少し違う。あれは何なのだろうか。

 

 

 

 〇月□日

 ジュンシーズブートキャンプで船員の大半がしごかれている。体を鍛えるのは無駄にはならないから、無理しない程度にやらせることにする。

 覇気に関してゼンに確認した。

 曰く、あれは〝流桜〟と呼ばれる覇気の一種らしい。

 偉大なる航路(グランドライン)後半の海、新世界にある〝ワノ国〟での覇気の名称であり、応用方法でもあると。

 興味があったので習ってみることにする。

 

 普通の武装色硬化と違い、自分の肉体を強化するわけではないようだ。どちらかといえば身に纏う覇気、というべきか。

 衝撃をコントロールしての破壊にも優れるらしく、私の武装色で強化した氷の槍も一撃で砕かれた。ムキになって何度か挑戦したが、全て一撃で破壊されている。

 ……あれは多分、〝流桜〟だけの力ではないだろう。

 見聞色で強化の甘い部分を見抜かれたとみた。武装色硬化も一点集中ならばともかく、全体硬化など無駄が多いしムラもある。

 修行が足りないな。

 

 ドリーとブロギーは今日も元気に殺し合いをしている。

 修行の手伝いをしてくれるということで私が死なない程度に加減した一撃を受けてみたが、島の端まで吹き飛ばされて危うく海に落ちるところだった。

 あんなものまともに受けたら死ぬ。ロギアの能力者である私でも、武装色を纏っている以上は避けられない。

 

 

 ×月●日

 航海日誌はどうしたとジュンシーに言われて思い出した。三日で書くことに飽きていた。

 とはいえ、一月の間でどう変わったかと言われれば難しい。

 食料と水は安定的に供給できているし、フィールドワークを兼ねたマッピングも大まかには終わった。

 太古のジャングルだけあって珍しい植物も結構あるようで、スクラは楽しそうに色々と調べている。なんだかんだ病院で働いていたこともあって体力自体はあるらしく、ジュンシーのしごきも耐えているようだ。

 スクラに関してはやりすぎると困るということもあって、余りきつめにはしていないようだが。

 

 私の覇気に関してはあまり進展していない。

 ゼンも最初からそううまくいくとは思っていなかったようで、気長に修練を続けるのがいいと言われた。

 CP-0の使っていた〝六式〟は一度見れば使い方がわかったが、〝流桜〟の難易度はその比ではない。

 見聞色にもさまざまな方向性があるようだし、一から鍛えなおすことにする。

 

 ドリーとブロギーは今日も元気だ。

 本質的に嫌い合っているわけではないようだし、二人でフェイユンをちょっと鍛えてくれと頼んだら快く引き受けてくれた。

 同郷の子供ということもあって、割と可愛がられているらしい。戦士としての心構えや戦い方を仕込まれていた。

 何かしら武器があればと思うが、肉体が巨大化するという特性上、武器よりも自身の肉体を主眼として鍛えたほうが強くなれるだろう。

 

 

 

 ×月◇日

 覇気を鍛える傍ら、〝六式〟を鍛えている。

 正式に習ったわけではないので自身の変な癖がつく恐れがあるが、それでも便利だ。五つしか習得していないが。

 〝紙絵(カミエ)〟もいずれは習得したいが、必要ないような気もするので機会があれば程度に考えておく。

 軽く模擬戦をしながら覇気を研ぎ澄ましているが、ジュンシーとゼン以外は相手にならないので難しいところだ。ドリーとブロギーの相手は中々厳しいし、何とかしたい。

 

 サミュエルも能力者になってから身体能力は上がったが、微妙に物足りない。

 滞在している間に一番伸びているのはフェイユンだろう。同じ巨人から戦い方を教わっているのが功を奏したのか、随分と動きが洗練されている。

 あれを首が痛くなるほど見上げないといけないくらいの巨体がやると考えると、とんでもないものを生み出してしまった気がしてきた。

 

 

 

 ×月〇日

 サミュエルがぶっ倒れて熱を出した。

 ジャングルを上半身裸でうろついていたらしく、腹部を有毒ダニ〝ケスチア〟に刺されて細菌感染していたそうだ。

 スクラを仲間にしておいてよかったと心底思う。医者の知識の多さには舌を巻く。

 抗生物質を処方することで治るらしいが、手持ちの量が少ないと言っていた。生産設備を用意しなければならない。

 機材そのものはあるが、抗生物質の元になるカビがこの島で手に入るかどうか。

 

 

 

 ×月☆日

 サミュエルの症状は随分と落ち着いている。

 本来ならいくつもの症状が複合的に現れる非常につらい病気のようだが、スクラの薬は効くらしい。

 〝ケスチア〟の細菌に効く抗生物質の元になるカビは意外とすぐ見つかった。元々心当たりがあったらしい。

 フィールドワークをしておいてよかった。スコッチのマッピングも役に立っている。

 

 

 

 ◇月●日

 サミュエルがぶっ倒れた。

 今度は変なものを食って食あたりになったらしい。

 初日に毒々しい色の果実を食べようとしていた辺り、驚きはない。あの阿呆は死んでも治らないだろう。

 

 クロが鍛えても強くなれないと不思議な顔をしていた。

 周りが強くなっているから相対的に変わらないだけではないかと思う。

 そうでなくとも、奴の能力は特異だ。どんな能力者でも一度は不意を突ける。

 ロギアの能力者相手には初見殺しになり得るので、ジョルジュたちと連携の練習もさせておきたい。

 

 

 

 ◇月×日

 ジュンシーとゼンが殺し合いをした。

 覇気の修練には実践が一番だと、互いに全力で殺し合っていた。ドリーとブロギーに触発されたのかもしれない。

 最悪の事態になりそうなら止めるつもりだったが、ギリギリ死なないレベルで終わった。大怪我したのは間違いないので、スクラは半ギレで治療していたが。

 互いに笑いながら戦っているのは半ば猟奇的だったが、お前も似たようなものだとクロに言われた。

 解せない。

 

 

 

 ◇月☆日

 一回殺し合いをするだけで覇気が大きく強化されるならいくらでもやるが、絶対に強くなるわけではない。

 拮抗している実力だと決着がつきにくいが、今回はゼンに軍配が上がった。どちらも少しは足りないものが見えたようで何よりだ。サ〇ヤ人のようだな。

 

 私もそろそろ〝流桜〟をしっかり身に付けたいので、ドリーとブロギーに挑むことにする。

 

 

 

 ☆月〇日

 〝流桜〟を身に付けた。

 二、三度ばかり……いや、両手の指で足りない回数死ぬかと思ったが、やはり覇気の鍛錬において実戦に勝るものはない。

 ゼンは衝撃を集めて攻撃に使うが、私は衝撃を散らして防御に使うことを念頭に置いている。

 武装色硬化のように見た目に現れるわけではなく、重さの無い鎧を纏っているようなものだ。攻撃を〝弾く〟こともたやすい。

 ドリーとブロギーの攻撃を受けても吹き飛ばされないためにはこれしかなかった。どこに来るかは巨人族だからまだわかりやすいが、動作を始めてから受ける用意をしていては間に合わないので見聞色も鍛えざるを得なかった。

 臆せば死ぬ。そう思っていたら半ば無意識のうちに使えるようになっていたから、やはりこの手法が一番だ。

 ついでに数秒先の未来を視えるようになったのは僥倖というべきか。

 

 しかしこの〝流桜〟、体内の不要な覇気を流す技法ということもあってか、センゴクの使っていた技も再現できそうな気がする。

 

 

 

 ☆月△日

 センゴクの使っていた衝撃波は中々難しい。今は〝流桜〟をより高いレベルで使えるように鍛錬することが一番だろう。

 ジュンシー、ゼンと何度か戦ってみたが、まだまだ甘い。防御だけに使ったところで勝てるわけではないのだが、防御をおろそかにすれば死に直結する。

 覇気を扱えるのは、うちの船では私とゼン、ジュンシーくらいなので鍛錬の幅を増やすことも難しい。

 フェイユンも使えるが、あの子が使えるのは見聞色だけなので、そろそろ武装色を教えてもいい頃だろう。

 

 あの子の見聞色は生まれつきだ。才能はあるようだし、少し鍛えてやればより高度に扱えるようになる。

 

 

 

 △月△日

 半年が経った。

 折り返しだが、まだ半年かと思うとため息をつきたくなる。海軍に追われないのはいいことだが、一か所に留まり続けるというのも面白みがない。

 面白いものでもないかと思い、ドリーとブロギーに聞いてみると「東の海に魔物が住んでいる」という話を聞いた。

 興味本位でフェイユンとゼンを連れて見に行ってみると、巨大な金魚が住んでいた。

 海の上を歩いているといきなり現れたので驚いたが、食われる前に冷凍保存してやった。

 

 曰く、「島食い」

 その大きさ故に島を食べて成長するという。海獣の一種になるのだろうか。それとも海王類か?

 種別は大して興味もないが、何を食えばここまでデカくなるのだろうか。最初から島を食べていたわけでもないだろうに。

 この金魚のことを話すと、ドリーとブロギーは笑いながら「何もない島」について話してくれたが、日誌に記したいことではなかった。記憶の端に留めておく。

 

 

 

 △月☆日

 珍しく船が来た。

 海賊船だ。四、五十人ほどの数がいて、特に強そうなのは二人。顔に覚えがないが、賞金首らしい。

 千五百万と千二百万の大型ルーキーとの話だが、五、六発殴ったら大人しくなった。覇気も使えずよく生き残ってきたものだ。

 片方は能力者でもう片方は能力者ではないようだが、その残虐性で一時期話題になったとジョルジュが言っていた。南の海(サウスブルー)出身らしい。

 

 私が殴って腫れあがった顔で正座している姿を見ると、とてもじゃないが残虐性など見えない。

 能力者の方はボムボムの実を食べた爆弾人間で、私が殴ると同時に爆発するカウンターを得意としていた。〝流桜〟で爆発の衝撃を全て受け流したら目が飛び出るほど驚いていたが。

 なんにしても大した相手じゃない。

 能力にかまけて鍛えていないようで、能力そのものを上手く扱えていない印象がある。全身爆弾と言っても大した威力じゃなかった。

 

 巨人を見たのは初めてらしく、三人の巨人を見たら泡を吹いてひっくり返っていた。

 船にあった酒と薬品類だけ奪って後は放置した。命まで奪う気はないし、それ以前に私のような少女にボコボコにされたことで心が折れているようだ。

 

 

 

 Γ月◇日。

 数日前にこの島に来た海賊連中、気が付いたら全滅していたようだ。

 我々がキャンプ地としている浜辺から離れたところにある川から上流へとのぼって行ったようだが、スクラ達が薬草と食料を探しに行ったところ全滅しているのを見つけたらしい。

 食いちぎられた遺体が多数あり、そのままにしておくと疫病の原因になりかねないので一か所に集めて火葬したと報告を受けた。

 生き残ったのは唯一能力者であった男一人だが、こいつも大分怪我をしている。

 目が覚めたら話を聞こうと思う。

 

 それはそれとして、サミュエルもついに武装色の覇気を扱えるようになった。

 まだ初歩的なところではあるが、使えるようになったなら硬化が出来るようになるのも近い。

 フェイユンももう少しといったところだろう。

 

 

 Γ月〈日

 ニュース・クーの新聞にロジャー達のことが載っていた。

 どうやら彼らも偉大なる航路(グランドライン)に戻ったらしく、戻って早々に事件を起こしたために新聞に載ったようだ。

 命の恩人でもある彼らと会う日も近いかもしれない。もっとも、彼らの活動地域は後半の海である新世界。いつか出会えるだろうという程度の話だ。

 

 爆弾人間が目を覚ました。

 年は三十四。長年海賊をやっていて、集まった仲間と共にこの海に挑んだらしい。

 結果は二つ目の島で全滅。遺品と呼べるほどのものも残っていない。

 こうして書き連ねてみると哀れなものだが、私もこうならないとは限らないのがこの海の怖いところだ。

 

 生きる気力があるなら船に乗せてやるし、もう生きる気力もないというのであれば介錯する。それだけは伝えたが、さてどうするつもりか。

 どうせまだあと半年近くはいなければならないから、じっくり悩めとは伝えたが。

 

 

 

 ÷月Δ日

 フェイユンが武装色の覇気を使えるようになった。

 あの巨体から繰り出される覇気の込められた格闘術は末恐ろしいものがある。ドリーとブロギーには及ばないにしても、かなり戦えるようにはなっただろう。

 私もようやくドリーとブロギーとまともに打ち合えるようになった。

 一撃一撃に相当集中しなければあっという間に吹き飛ばされるため、かなり消耗するのだが。

 

 戦い終わった後は毎回変な目で見られるのが非常に解せない。あの二人との鍛錬は非常に身になるからやらせてみるか。

 

 

 

 ÷月◇日

 ドリーとブロギーの相手は無茶だったらしい。

 挑んだ全員が吹き飛ばされ、かろうじてゼンとジュンシーが食らいついたくらいか。

 鍛錬が足りんなと言ったところ、「お前がおかしいだけだ」と言われてしまった。

 おかしいと言われてもな。これくらいやらなければ海軍大将とはまともに打ち合えないだろう。ジュンシーは特に鍛え上げてやらねばならない。

 

 先日の爆弾男だが、ひとまず生きることを選択したらしい。

 名をデイビットと言い、私の船で下働きとしておいてくれと土下座された。

 許可しておいたが、私が三億八千万の賞金首だというと卒倒した。賞金額だけで気絶するなどジョルジュでもせんぞ。

 

 

 

 〈月÷日

 ついでなのでデイビットも鍛えてやることにした。

 覇気が使えない連中よりは戦えるようだが、能力なしではサミュエルにさえ完封される始末。随分とぬるい戦いをしてきたのか、能力にかまけて鍛えることを怠ったのか。

 能力は当人の強さに比例して出来ることも増え、より強く能力を発揮できるようになる。

 この程度なら二、三年前の私でも勝てるだろう。

 

 スクラが研究で妙なものを作っていた。

 悪魔の実の能力者だけに作用する薬のようで、サミュエルに食わせると三段変形のどれでもない奇妙な変身を遂げていた。

 同時に暴走したので、数発殴って大人しくさせたがまだ暴れようとしていた。

 仕方がないので海に突き落として無理やり沈静化させたが、あれは何だったのだろうか。

 能力者に効く薬を作りたいというスクラの願いはわかるが、暴走するのは考え物だ。サミュエルは頑丈だから臨床試験に使うのは構わないが、安全性を確保してからにしてほしい。

 

 

 

 Φ月Ψ日

 あと三か月ほどか。長いものだ。

 相も変わらず修行修行で、私はそろそろ飽きてきた。嗜好品も何もないこの島では読み終えた本をまた読むくらいしかないのだ。

 毎日代わり映えのしない日々で日誌に書くことすらなくなっている。男連中も女を抱けないと嘆いていた。

 私の風呂を覗くくらいならまぁ構わんが、手を出そうものなら氷の彫像にしてやるつもりだ。

 

 規律破りは私の船では重罪だと理解しているため、どいつもそこまではしてこないが。

 

 

 

 Ψ月÷日

 この島で過ごすうちにまた一つ年を取っていた。

 美人であることを鼻にかける気はないが、華の十六歳。海軍に追われながら逃亡生活とは泣けてくる。

 

 最近は私の情報を探してか、新聞で情報提供求むとまで書かれている。面子もあってか、海軍も必死だ。

 あいにく私はまだこの島から出られないので、姿を現すまでもうしばらくかかるわけだが。今ならセンゴクともそれなりに戦える自信はある。

 少なくとも、花ノ国で戦った時のような無様は晒さないだろう。

 

 嗜好品代わりの新聞も毎日買っていては馬鹿にならないのだが、金だけは相当額がある。商船としての儲けの大半はガレオン船を買う際の借金返済に充てていたが、海賊を狩って金目のものを奪っていたこともあるし、余裕はあった。

 もう私たちの故郷の島はないので、全財産を持ち出していてよかった。

 ……私の育った孤児院のいた島を、故郷とは呼びたくはないからな。元の名前も捨てたことだし。

 

 

 

 ξ月〇日

 〝ビッグマム〟シャーロット・リンリン、〝金獅子〟のシキ、〝白ひげ〟エドワード・ニューゲート。

 ロジャーは上記の三人と同等の扱いをされているらしい。

 海軍の英雄であるガープに追いかけまわされて、今なお存命の海賊など彼らくらいのものだから当然といえば当然か。ガープは海軍にとっては英雄でも、海賊にとっては死神のような男だ。

 ロジャーたちは行く先々で事件を起こしていて話題に事欠かない。

 

 昨日も鉢合わせたワールド海賊団と一戦交えたらしく、現場となった国の被害は惨憺たるものだと今日の新聞に記してある。

 何をやるにも派手な奴らだ。

 

 

 

 Θ月□日

 暇なときにはよく聞いていたドリーとブロギー、フェイユンのエルバフの村の話だが、今日は少し変わっていた。

 以前日誌に書いたシャーロット・リンリンに関わることだ。

 過去にエルバフの村に住んでおり、とある事件を起こして追放された話。

 巨人族最高齢の英雄である〝滝ひげ〟のヨルルを殺害したことで、同じく巨人族の英雄たる〝山ひげ〟のヤルルに追放された。

 

 この話はフェイユンもあまり語りたがらなかったが、ドリーとブロギーはどうしても聞かせてほしいと願ったために。

 二人は絶句していた。

 巨人族の戦士とは、長寿を生きる故に〝死に様〟を重要視する。巨人族の英雄たるヨルルがそのような死に方をしたことに涙を流し、追悼の念を送って──同時に、シャーロット・リンリンに対する憎悪もむき出しにしていた。

 

 あまり記したいことではないので記憶の端に留めておくが、リンリンはマザー・カルメルと呼ばれる女性に関連しておぞましいことをおこなっている。

 ドリーとブロギーは決闘の件があってこの島から出られず、戦友を殺された〝山ひげ〟のヤルルが国外追放のみで済ませた以上はとどうにか納得していたようだが……怒りは収まらない様子だった。

 

 もしエルバフの村に行くことがあり、なおかつシャーロット・リンリンと敵対することがあれば。

 巨人族は味方足り得るかもしれない。

 

 

 

 γ月×日

 ログが溜まった。

 遂にこの島から出られると思うと感慨深いものがあるが、明日最後の仕上げとしてドリーとブロギーと一合ずつ武器を交えることにした。

 一年間世話になった礼であり、修行を付けてくれた師への手向けとして。

 キャンプ地の片付けなども行い、明日中には島を出ることになるだろう。

 酒はもうなくなってしまったが、最後の宴として派手に飲むことにした。旅の醍醐味とはこういった出会いと別れの連続でもある。

 

 二人の決着は、私たちがいる間には終ぞつかなかった。いつになったら決着がつくのだろうか。

 




オリキャラ多くてわからなくなってくるって言われたんですけど、設定集っぽいの必要ですか?
書くとしたら章ごとに「今章の登場人物」みたいな感じで簡単にまとめたやつになりますけど。多分雑にギャグ。
あと本編がちょっと遅れます。アンケは8月いっぱいということで。

9/1
ロジャーに関する部分で修正をしました。

オリキャラまとめとか必要?

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