ヒエヒエの実を食べた少女の話   作:泰邦

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第二百七十二話:〝戦士(エインヘリヤル)

 

 グラグラと大きく海面が揺れる。

 氷の大地は揺れに合わせて傾き、次の瞬間には真っ二つに切り裂かれた。

 傾いた氷塊を足場にしながら苦も無く切り結んでいる2人によるものだ。

 目にも留まらぬほどの速度で移動する2人は不安定な足場を踏みつけ、互いの命を狙って武器を振るう。

 彼方、海軍大将〝青燕〟ことベルク。

 此方、〝黄昏の海賊団〟カナタ直属〝戦士(エインヘリヤル)〟筆頭レイン。

 共に組織内でトップに近い実力を誇る者同士、お互い一歩も退かぬつもりであった。

 ベルクは高速移動のさなか、わずかに大きく息を吸い込み踏み込んだ。

 

「〝竜狩り(レギンレイヴ)〟」

 

 巨大な氷塊ごとレインを切り裂く斬撃。

 しかしレインはそれを紙一重で回避し、空中で姿勢を変えてベルクの喉元を狙って槍を突きだす。

 ベルクはこれを剣で弾き、2人の距離が開く。

 

「……手強いな。当方の想像していた以上の実力だ」

「そりゃどうも」

「正直なところ、貴公ほどの若さでこれほど強いとは思わなかった。〝魔女〟の指導によるものか?」

「あー、うちの師匠はスパルタでね、ガキの頃に拾われてからずっとしごかれてきたんだ。あのしごきを受けりゃ、誰でも強くなると思うぜ」

 

 とはいえ、カナタの指導についてこれる者は少ない。レインは極めて少ない適応出来た者だからこそ、これほどの強さを得るに至ったのだ。

 それを理解してか、ベルクは眼鏡の奥で目を細める。

 

「驚異的だ。誰でも出来るものではないと推測する。その指導に耐え抜いた貴公もまた凄まじい。海軍に入れば大成出来ただろう」

「止めてくれ。おれは海軍に入る気はねェんだ。何しろ元は非加盟国の出でね」

「……なるほど」

 

 世界政府の非加盟国に対する態度や行動を知っていれば、それを守ろうとする海軍に対する心象はおのずと悪くなるのも仕方のないことだ。

 何しろ非加盟国の国民は人間扱いすらされない。人攫いに捕まって奴隷扱いされたり、住んでいる島そのものを人間狩りの遊び場として天竜人が使うことも珍しくない。

 まともな感覚であれば、それらの事実を知ってなお政府の手助けをする海軍に入ろうとは思わないだろう。

 加盟国の人間であればほぼ知ることがないのだろうが。

 

「別におれがどうこうされたわけじゃねェが、気分良くねェしな。海賊のほうがまだいくらかマシだ」

「そこに関しては当方としても返す言葉がない」

 

 だが、海賊といっても〝黄昏〟は特殊な立場だ。

 普通の海賊は人を襲い、物資を奪い、海を荒らす存在だ。

 政府の許可なくやっていることとカナタが賞金首であることから〝黄昏〟が海賊扱いされているだけで、やっていることは海賊のそれとは言い難い。

 とはいえ、これまで表向き大人しかったカナタがこれほど大規模に反政府の機運を高めながら動いていることからしても、決していいことではないだろうとベルクは考えていた。

 

「時に、あちらでカイドウと戦っている雷の能力者と貴公ではどちらが強い?」

「ああ? なんだよ急に……あっちじゃねェか?」

「ふむ……サカズキが苦戦したという話だったが、貴公も決して劣るようなものではなさそうだが」

「そりゃまァ、おれだって一方的にやられやしねェよ。けど、あいつは師匠に特別目をかけられてるしな」

 

 歳はレインとそれほど変わらないが、小紫の方がカナタから教えを受けた時間は長い。

 妙に頑丈なのも相まって、小紫は少々無茶なくらい鍛え上げられている。悪魔の実の能力も強力なゴロゴロの実を食べているし、総合力では小紫に軍配が上がるだろうと考えていた。

 ベルクはレインの返答に首を傾げる。

 

「当方の目には、それほど実力は変わらぬように見えるが」

「……買い被りすぎだぜ、海軍大将」

「まァ貴公がそういうのなら、そういうことでも構わない。本気でやらぬというのなら、当方としても斬るのが容易くなるだけだ」

 

 言外に「本気でやれ」と発破をかけられ、レインは思わず獰猛な笑みを浮かべた。

 侮ってくれるのであればそれでも良かった。だが、ベルクはレインの強さを認めてなおまだ全力ではないと見抜いて見せた。

 これまでレインの周りにいたのは肩を並べて研鑽する仲間だけだ。バレットはやや特殊だが、あれも大きな枠組みで視れば今や〝黄昏〟の一員である。

 命を賭けた勝負をするうえで、自他ともに認める強者に認められるという高揚感。

 レインはその青い感情のままに、ならばと槍を構えなおした。

 

「後悔すんなよ」

「させてみせるがいい」

 

 ベルクの肌を刺すような覇気を受けてもなおレインは笑う。

 槍の穂先には、()()()()()()()()()

 

 

        ☆

 

 

「〝犬噛紅蓮〟!!」

 

 両腕から発生したマグマが犬の形をとってユイシーズへと襲い掛かる。

 ユイシーズはそれを紙一重で躱しつつ赤犬に接近し、殴り掛かった。

 回避されたマグマは周囲に被害をもたらそうとするが、それは海水の壁を展開していたジョルジュの手によって防がれた。

 

「あんまムチャな攻撃してくれんなよ、赤犬! 被害はなるべく減らしてェんだから!」

「だったら守ってみせんかい、〝夕凪〟ィ!!」

「お前の相手はこっちだ!!」

 

 ユイシーズが赤犬に組み付いて格闘する。武装色を纏っているとはいえ、赤犬の体はマグマだ。まともに触れればユイシーズの方がただでは済まない。

 それでも一歩も退かず、ユイシーズは赤犬に殴り掛かっていた。

 それもこれも、ジョルジュが文字通り冷や水をかけるように海水を赤犬に投げつけているからである。

 本来であれば巨大な氷塊すら一瞬で融解、蒸発させるマグマだ。その熱を、氷より温度が高い海水で冷やせるものではない。だが現実として、赤犬のマグマは大量の海水で防がれていた。

 何故か、と問われれば、答えはひとつしかない。

 ()()()()()()()()()()()、という普遍的な答えに帰結する。

 

「あ~~、面倒くさいのォ、〝夕凪〟ィ……!!」

「お前の能力は割れてるからな。だが対策しようと思うとこれしかねェんだ」

 

 悪魔の実の能力者は水に浸かると力が抜ける。

 水そのものに干渉して氷に変えることで影響を逃れるカナタでさえ、能力を使わずに水に浸かれば当然影響を受ける。

 赤犬の生み出したマグマは赤犬から切り離されれば影響を受けずに済むが、先の〝犬噛紅蓮〟のように()()()()()()()()()()()()コントロールしようとする技であれば、海水で包むことで本体にまで影響を及ぼせる。

 自然(ロギア)系の能力者が見境なく体積を増やせば、こういう形で悪影響を及ぼすこともあるのだ。

 それでも切り離せば影響を最小限に抑えられるし、何より赤犬は能力だけに頼った凡愚ではない。

 高い練度の覇気使いであり、六式を修め、海軍大将の地位にまで上り詰めた男だ。

 若く才能にあふれるとはいえ、ユイシーズが単独で抑え込めるほど容易くはない。

 

「流石にこれだけで抑え込めるほど簡単ではないな!!」

「当たり前じゃァ!! わしを侮るんも大概にせェよ……!!!」

 

 金属が衝突するような轟音と共に、2人の拳がぶつかる。

 覇気を纏った拳は鋼鉄さえ貫通するし、未来を予測する見聞色は互いに相手を追い詰める未来を視ている。

 互角ではない。強さだけで語るなら赤犬の方が上だ。

 それでもなお、ユイシーズは笑っていた。

 

「ジョルジュ!!」

「おう!!」

 

 ティーチがグラグラの能力を使う余波で氷の大地も不安定に揺れている。

 砕けた氷塊の下から海水を持ち上げることも難しくはない今、ジョルジュはユイシーズごと赤犬を押し流そうと莫大な量の海水を空に浮かせる。

 敵味方関係なし、ただ赤犬を倒すという目的を達成するためだけの攻撃に、さしもの赤犬も目を見開いた。

 

「〝大噴火〟!!!」

 

 巨大なマグマの拳がジョルジュ目掛けて射出される。

 意識がそちらに向いた瞬間にユイシーズによる殴打を受けたが、もはや構ってなどいられない。

 射出されたマグマの拳は莫大な海水と衝突し、その熱で相当量を蒸発させるが──海水の壁を越えることは出来ず、勢いは減衰して海水の塊の中に留まった。

 破壊力も熱量も十分すぎるほどにある。だが、この星を覆う海水を前にすれば赤犬ひとりで出せるマグマなど知れている。

 隕石のように海水の塊が赤犬の真上から落とされた。

 赤犬もユイシーズも、巻き込まれてはたまらぬと即座に距離を取る。

 氷の大地を空から叩く海水の塊は、氷の大地を砕いて海面を露出させ、水飛沫が跳ねる。

 

「ジョルジュ、そっちに行ったぞ!!」

「っ!?」

 

 ユイシーズの警告を受け、ジョルジュは咄嗟に〝桜十〟を構えて赤犬の拳を防いだ。

 水飛沫を浴びてずぶ濡れではあるものの、能力者が力を奪われるのはあくまで水に浸かることが条件だ。

 体をマグマ化させ、蒸発する水蒸気と発される熱で至近距離では呼吸さえままならない。

 たまらず距離を取ろうとすれば、即座に空を蹴って距離を詰めてくる。どうしてもジョルジュをここで仕留めたいらしく、執拗に追ってきていた。

 

「ここで貴様は終わりじゃァ!!」

「お前の相手はおれだと、何度言わせる!!」

 

 横合いから高速で移動してきたユイシーズの蹴りが赤犬の脇腹に刺さる。

 弾かれるように吹き飛ばされるが、赤犬本人にダメージが入っているようには見えない。体を流体化して受け流したのだろう。

 

「また邪魔を……!!」

「お前を押し留めるのがおれの仕事だ。そうでなくとも、お前を野放しにしてはおれの仲間たちも危ないからな」

 

 ユイシーズはレインや小紫と違い、ごく最近傘下の海賊から〝戦士(エインヘリヤル)〟の次席にまで成り上がった、いうなれば外部組だ。

 〝南の海(サウスブルー)〟から共に旅をしてきた仲間もこの戦争に参加しているし、彼らを死なせないためにもユイシーズは率先して強敵を引き付ける役目を請け負った。

 空中でふよふよと浮かぶジョルジュに、〝月歩〟で高度を維持する赤犬とユイシーズ。

 赤犬が周囲に被害をもたらさないように海水で処理をしつつ、ユイシーズがやられないようにサポートをしなければならない。

 ジョルジュとしては極めて難易度が高い仕事の上、命の危険があるので泣きたい気持ちでいっぱいだったが……やらねばやられるだけだと腹を決め、煙草をくわえて火をつけた。

 

「ユイシーズ、何とかなるか?」

「何とかするさ! あんたの手助けがあれば十分だ!」

「そいつは結構。おれも死ぬ気でやるしかねェなァ」

「ああ、おれの命はあんたの手助け次第だ! 信用してるぞ!」

「いやー、信頼が重い……」

 

 性格が戦い向きではないがゆえに、ジョルジュはげっそりした顔で睨みつけてくる赤犬を見返していた。

 

 

        ☆

 

 

 連続したレーザーが背後で爆発する。

 黄猿によるそれではない。パシフィスタ──それもバーソロミュー・くま本人による攻撃だった。

 相対しているのは支給された軍服を肩にかけた魚人の男、〝奴隷解放の英雄〟フィッシャー・タイガー。

 彼はなんとも言えぬ顔で、くまに同情しながら戦っていた。

 

「……政府の命令に律義に従って、最後は自分の意識すら奪われて命令に従うだけの改造人間か。人間の業ってのは、本当に嫌になるぜ……」

 

 娘の病気を治すことを条件に、くまは政府に従ったと聞いている。

 実際に治したのはベガパンクらしいが、そのあたりのことはタイガーにとってはどうでもいいことだ。

 天竜人の──人間の醜悪さをこれでもかと見てきた。

 タイガーにとって忘れたいほどに最悪の記憶で、それでもここにいるのは彼にとって人間とはそれだけではないと知っているからだ。

 目の前にいるくまもまた、自身と同じ被害者であると思えば……ここで打ち倒すだけが解決する方法ではないと思ってしまうのも仕方のないことだった。

 

「とはいえ、どうしたもんか……」

 

 くまには〝黄昏の海賊団〟と戦うよう命令が下されている。

 アイリスからの情報で、パシフィスタに命令を下す順位があることはわかっているが……だからといって海軍が簡単に命令権を奪われるようなマネはしないだろうとも思っていた。

 押し留めるだけなら十分に可能だ。

 だが、くまは七武海として十分な武力を備えている。

 改造され、元から強靭だった肉体はさらに強靭に。ニキュニキュの実という悪魔の実を食べ、更に口からは黄猿のレーザーと同じものを発射する。

 魚人としても強い部類に入るタイガーでも、くまの相手は一苦労だった。

 強靭な肉体と武装はともかく、ニキュニキュの実の能力による瞬間移動と〝圧力(パッド)砲〟は極めて厄介だ。なんならこちらの攻撃も弾かれる。

 

「……能力者だし、一回海に沈めれば動かなくなるか……?」

 

 くまをどうこうしろとは言われていないので生かそうと殺そうと文句を言われることはないだろうが、タイガー個人としては同じ天竜人の被害者として救ってやりたい気持ちがあった。

 とはいえ現実的には難しい。

 さてどうするか──と構えていたところで、タイガーを援護するように分隊のひとつが飛び出してきた。

 〝戦士(エインヘリヤル)〟の分隊だ。

 先頭を走るのは短い金髪の男で、くまの〝圧力(パッド)砲〟を氷の大地を滑るようにして回避しながら接近する。

 

「ハッハァ!! そんなもんでおれを仕留められると思うなよ!!」

 

 振り抜いた剣はしかし、くまに当たることなく空を切る。瞬間移動による回避だ。

 口を開いて射出されたレーザーを回避し、金髪の男はタイガーの隣に並ぶ。

 

「フィッシャー・タイガー! おれたちはあんたを援護する!」

「そうか、だがいいのか? 七武海ひとりに分隊ひとつ当てちまったら、戦力が足りなくなりそうだが」

「言い換えよう! バーソロミュー・くまの相手はおれとアンタでやる! 残りの連中は他の分隊の援護だ!」

「……それでいいのか?」

「構わない! おれは元より上の指示に従ってるだけだ! 考えるより体が先に動くタイプでね!!」

 

 だろうな、という言葉を口に出す寸前で抑えた。

 分隊の隊長であろう男は、金髪の男を前に肩をすくめている。話を聞くタイプでもないらしい。

 

「どっちみちひとりで抑えるには厄介な相手だろう。くまの能力は面倒だ。あいつはバカだが強い。足手まといにはならないハズだ」

「……そうか。なら手伝って貰おうじゃねェか」

「おれ達は他の分隊の手助けに行く……()()()()

「ああ!」

「返事だけは一丁前に……!!」

 

 分隊長の男は頭が痛そうに額を押さえ、金髪の男ひとりを置いて移動した。

 

「お前、名前は?」

「オレリアン! アンタのことは色々聞いてる! 尊敬する男だ、隣に立って戦えることを光栄に思うぜ!!」

「そうか、オレリアン……おい待て」

 

 並び立ったオレリアンの方をちらりと見て、ギョッとした後二度見した。

 いつの間にか上着を脱いでいる。

 傷を負ったわけでも破れたわけでもない。脱ぎ捨てた上着はすぐ近くに落ちている。

 

「なんで脱いでるんだ!?」

「脱ぎたかったからだ!!」

「服を着ろ! この戦いは世界に報じられてるんだ、こっちの品性が疑われるだろうが!!」

「それでも構わない! 脱いだ方が開放感があるからな!!」

 

 話を聞く気がないオレリアンに思わずタイガーも頭が痛くなる。

 先の分隊長が頭痛を抑えるようにしていた理由がわかった。こいつは果たして大丈夫なのか、と疑問に思うと同時に──オレリアンは高速でくまに接敵して斬りかかっていた。

 くまはそれを瞬間移動で回避し、〝圧力(パッド)砲〟でオレリアンの腹部を撃ち抜く。

 

「ゲボーッ!!」

 

 弾かれた大気は大砲などよりもよほど強烈な一撃だ。一瞬動きが止まる。

 だがオレリアンは止まることなく手に持った剣を振り抜き、くまの肩口を切り裂いた。

 頑強なパシフィスタの肉体を、である。

 覇気もさることながら、剣の腕も一流と言ってよかった。

 

「やるな、バーソロミュー・くま! だがその程度じゃおれは倒れない! なぜならおれは頑丈だから!!」

 

 理屈になっていないが、タイガーには何となく無事だった理由がわかった。

 武装色の覇気がとにかく強い。半面、見聞色の練度はややおざなりなようだが……それはトップの面々と比べればの話だ。平均的にみれば十分すぎるほどである。

 元の肉体の頑丈さもあるのだろうが、あれを受けて怯むことなく動けるあたり驚異的な頑丈さというほかにない。

 即座に再び斬りかかるも、肉球で受け止められて弾かれた。

 

「オレリアン! そいつ相手に強烈な一撃は逆効果だ!」

「じゃあどうする!? 手加減して斬ればいいのか!?」

「違う! こうするんだ!」

 

 タイガーは掌に海水をすくい上げ、スナップを効かせて撃ちだす。

 魚人空手〝撃水〟と呼ばれる技だ。

 弾丸のように放たれた無数の水滴がくまを襲い、くまはそれを瞬間移動で回避する。

 強い一撃は肉球によって弾くことで対処するが、このように数が増えた攻撃は回避に移る。覇気を纏った攻撃であれば肉球で弾けないかもしれないが、それも絶対ではない。

 両手で対処出来ない数の攻撃で、なおかつ回避を許さないのがベストだ。

 ……能力者ではないタイガーとオレリアンでは、少々難しい攻略法であるが。

 

「あの瞬間移動も厄介だな。仕留めようにも逃げられちまう」

「……いや、瞬間移動じゃない。速すぎて見えてないだけで、あれは高速移動だ」

 

 少なくともオーガーのように脈絡なく移動しているわけではない。あくまで直線的に移動しているだけに過ぎず、その前兆は掴める。

 くまの能力とその解析は既に済んでいる。オレリアンは基本的に自分で体験してから情報を合致させるタイプなので一通り試しており、タイガーは純粋に敵になりうるメンツが多すぎて情報を拾い切れていない。

 ともあれ、前情報と肌感覚がかちりと嚙み合ってきた。

 オレリアンはあまり考える方ではないが、こと戦闘であればそうでもない。敵を倒すためには能力の攻略が必要な場合もあるため、単なるバカではカモにされるだけだからだ。

 

「よーし、さっくり……とはいかないか。気合を入れてあいつを仕留めよう!!」

「ああ……だから脱ぐんじゃねェ!!」

 

 いそいそとズボンまで脱ぎ始めたオレリアンの頭をスパンとはたくタイガー。

 本当に大丈夫なのかこいつは、と疑問を抱いてしまうのも仕方がなかった。

 




備考
戦士:筆頭レイン、次席ユイシーズ、三席オレリアン
戦乙女:筆頭小紫、次席ラグネル、三席カイエ、四席???、五席千代、六席アイリス(リコリスは強さ的には上位だけど諸々の評価で順位はもっと下)(フェイユンは幹部扱いなのでここからは除外)
あくまで正面戦闘のみでの評価。

うち覇王色の持ち主はレイン、ユイシーズ、小紫、千代。纏えるのはレインと小紫のみ
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