ヒエヒエの実を食べた少女の話   作:泰邦

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今週末は私用で執筆する時間が取れないので、次の更新は(遅れなければ)8/10になります。


第七十六話:モベジュムールの海戦 その3

 ──かくして、後の世に〝海賊王〟と称される男は戦場へと乗り込んだ。

 降り注ぐ雨、荒れる海も何のその。巧みに舵を取りては自由に海を駆け抜ける。

 乗っているのは誰も彼もがロジャーと苦楽を共にした傑物揃い。さりとて相手は世界最大最強の艦隊と名高い〝金獅子海賊団〟。

 如何に一騎当千の傑物揃いと言えども、整然と海に並ぶ艦隊の前では勝ち目無し。

 しかし彼らは怯むことなく、一様に笑みさえ浮かべて見せる。

 ただ一度だけ船に乗せ、怪我の介抱をしただけの間柄であるにも関わらず、ロジャーはその手に武器を取った。

 カナタとロジャー、ロジャーとシキ、シキとカナタ。

 合縁奇縁多々あれど、各々の信念の下にこそ運命は交錯する。

 さあさあお立合い。

 勝っても負けても世界を揺るがす大勝負──ここより本番。

 

 

        ☆

 

 

「友達だァ!? まだそんなこと抜かしてやがんのか、バカ野郎が!!」

「テメエにバカ呼ばわりされる筋合いなんざねェよ!」

 

 ロジャーの行動にキレ気味なシキに対し、ロジャーは笑いながらも戦う気満々で既に刀を構えている。

 だが、ロジャーに海を渡る術はない。空を飛ぶシキに対しては待ち受けるしかないのが実情だ。

 なので、次にロジャーが取るべき行動は至極単純。

 

「カナタ! おれにも足場をくれ! シキの野郎はおれが相手をする!」

「そこは私頼りなのか……だが、シキよりもうちの船員の手助けをしてくれ! この男の相手は私だけでいい」

「あァ!? 言うじゃねェかよ、小娘がァ!!」

 

 シキは両手に持った剣を振るい、カナタは黒槍を振るって迫る白刃を弾き返す。

 返す刃でシキの心臓を狙い穿つも、ひらひらと自在に空を移動して巧みに躱す。

 そのまま次の行動に移ろうとしたところ、ロジャーが声を張り上げた。

 

「おれを放って戦ってんじゃねェ! いいから足場作れ!」

「お前は邪魔をしに来たのか!?」

「助けに来たんだよ!」

 

 正直ここで言い争いをしている時間も惜しいのだが、ロジャー達の手助けそのものはありがたい。

 オーロ・ジャクソン号までの道を氷で作り、ロジャーが降り立った後に船はソンブレロ号の方へと向かう。ロジャーがいなくともレイリーやギャバンなどの実力者も多い。

 易々と敗北することはないと断言できる。

 氷の上を走ってカナタの隣まで来たロジャーは、剣を片手に笑いながら「久しぶりだな」と声をかけた。

 

「こんな状況でなければ素直に再会も喜べたのだがな」

「わははは、そう言うな。ちょっと気になることもあって、お前のことを探してたんだ。ここに来たのも偶然じゃねェよ」

「気になること?」

「シキの野郎がちょっとな」

 

 その辺は後でいいとロジャーは視線をシキの方へ向ける。

 イライラした様子のシキは、葉巻に火を付けながらギロリとロジャーを睨みつけた。

 

「随分おれの言ったことを気にしてるみてェじゃねェか。テメエが殺した奴の娘と友達だって? 笑わせんじゃねェよ、反吐が出るぜ!」

「おれはこいつのことを友達だと思ってる。おれがカナタの親の仇でも、おれがカナタ自身に何かすることはねェよ」

 

 カナタの頭をぐりぐりと撫でまわすロジャー。

 不快ではないが鬱陶しいので片手で振りほどき、カナタはロジャーの〝気になること〟を察した。

 

「会ったこともない父親の事など興味もない。そんなつまらないことを気にする暇があったら、早くあれをどうにかすることだ」

「わっはっはっはっは!! 興味もねェと来たか!!」

「それに、仇と言うならガープもそうだからな」

 

 ガープの息子であるドラゴンも、まぁ無関係とは言い辛いところだ。しかしカナタにとっては些事でしかない。

 彼のことは背中を預けるに足る仲間だと思っているし、ガープのことも別に嫌っているわけでは無いのだ。愚直な男だが、あれはあれで悪い男ではない。

 「なんでそこでガープの名前が出るんだ?」とロジャーは首を傾げ、襲い掛かってきたシキの剣戟を受け止めた。

 

「興味もねェか。歴史に名を残してもおかしくなかった男がこのザマとはな!」

「なんだ、お前も知ってる奴なのか?」

「テメエが知らねェ訳ねェだろ!」

 

 連続する剣戟と覇気のぶつかり合いは激しさを増し、地上でロジャーとぶつかったあとで空に逃げればそこにはカナタが待ち構えていた。

 逃げ場のない挟撃にさしものシキも手を焼き、悪態を吐きながら攻撃を凌ぐ。

 カナタ一人、あるいはロジャー一人を相手するのにもかなり疲弊するのだ。冷静に考えればここでこの二人を相手するのは割に合わない。

 

「厄介な奴と手を組みやがって……! ロジャー諸共海の藻屑にしてやるよ!」

「出来るものならやってみろ……!」

 

 先程までの凍り付くような冷気はない。

 ロジャーと共闘する以上、味方にまで被害を及ぼす大技は使えないと判断したのだ。

 この程度で死ぬ男ではないとはいえ、ロジャーが十全に動ける方が勝率は高い。シキの動きを鈍らせるよりロジャーが動きやすくなる方を優先した。

 結果としてシキの動きは先程より軽やかだが、カナタの動きが悪くなったわけでもない。

 

「シキとあそこまで正面からやり合うたァな。やるようになったじゃねェか」

 

 昔出会った時はセンゴクに殺されかけて傷だらけだった。今ではその時とは比較にならないほど覇気も強くなっている。

 わずか数年でこれだけ成長したと考えると末恐ろしいが、ロジャーとしては楽しみでもある。

 生きていてこその殺し合い。友達とは言うが、一度くらいは刃をぶつけ合ってみたいものだ。

 と言うか。

 

「おれを放って戦ってんじゃねェよ!! 降りてこい!!」

「うるせえ野郎だ。テメエの相手は後でしてやるから黙ってろ!!」

「そっちがその気ならおれにだって考えがあるぜ……!」

 

 ロジャーは剣を構え、狙いすましてシキへと飛ぶ斬撃を放つ。

 シキはひらひらと避けるが、それも見越して何度も何度も斬撃を飛ばし、動きを制限させたところでカナタが更に上空から襲い掛かった。

 それを受け止めつつも、シキは飛んでくる斬撃を避け続けなければならない。

 どちらかに集中すればもう片方が首を獲りに来る。非常に鬱陶しそうにしながら、シキは剣を振るってカナタを殺そうとする。

 

「随分と動きが悪くなったな。ロジャーがそんなに気になるか?」

「わかってて言ってんだろテメエ! 後ろからこうもブンブン攻撃されちゃあ、ろくに集中も出来ねェ!!」

 

 カナタを弾いて急降下し、ロジャーへと斬りかかるシキ。

 速度の乗った重い剣を笑いながら受け止めるロジャー。

 

「わはは、ようやくこっちに来たか!」

「テメエに構ってる暇なんざねェんだよ! こっちはあの女の首を獲るのに忙しいんだ!!」

 

 二回、三回と激突した二人はやや距離を取り、シキは足場になっている氷を空へと浮かべ上げる。

 バランスを崩しかけてふらふらと足取りがおぼつかないロジャーだが、巨大な物質を持ち上げようとする際は隙が出来る。

 巨大な氷塊ならばさもありなん。

 徐々に空へと浮かんでいく氷塊から振り落とされまいと、足を踏ん張ってシキへと斬りかかった。

 

「テメエはここで退場だ。カナタと勝負を付けた後にゆっくり相手してやるよ」

 

 中途半端に浮かび上がった氷塊は空で回転してロジャーを海に落とし、更にそのまま上から氷塊を叩き落した。

 この程度で死ぬとは思っていないが、カナタと決着を付けるまで邪魔をされないためにはこうするのが一番いい。

 あるいは、不安定な海域の妙な海流に捕まってしまうかもしれないが……シキがそこまで心配してやる必要もない。死んだら死んだでそこまでだったということ。

 落ちる氷塊から目を離し、カナタの姿を探して──意識が逸れたその瞬間に、氷塊を切り裂いて斬撃が飛んで来た。

 

「ぐ──っ!!?」

()()()()()()()()

 

 何とか斬撃を防いだその刹那の間に、カナタが横合いから凄まじい速度で飛び込んで蹴りを食らわせる。

 長い時間戦っているが、ようやく一発目のクリーンヒットだ。

 続けて攻撃に移るべきか迷うが、先にロジャーを助けたほうがいいと判断し、氷塊の隙間から海面に降り立ってロジャーを引っ張り上げる。そのまま片手を掴んで空中に移動した。

 直後に氷塊が海面に叩きつけられて巨大な水飛沫が立ち、水面が大きく揺れて海が荒れる。

 

「いやー、助かったぜカナタ」

「その調子でよく今までシキの相手が出来たな」

「いつもならそうさせる暇もやらねェんだがな」

 

 これだけ巨大な氷塊では、シキが離れた場所に降り立つとそこに移動するまでに時間がかかってしまう。

 船の上ならそういうこともないのだが、中々難しいものだ。

 

「へくしっ! 寒っ! おいカナタ、何とかならねェか!?」

「私に出来るのは冷やすことだけだ。熱が欲しいなら船に戻るか?」

「いや、それは駄目だ。お前を助けるって言った以上はまだ戻らねェ!」

 

 強情な奴め、と呆れるカナタ。

 幸い、シキが奇襲をかけてくる気配もない。

 再び海を凍らせて足場を作り、ロジャーをそこに降ろす。

 

「悪魔の実の能力者は海に落ちると何も出来なくなるというが、お前を海に落としても意味はなさそうだなァ」

「私の能力は直接海に干渉出来る数少ない力だ。海楼石でも付けられない限りは溺れることもない」

「便利なもんだ」

 

 海に落ちてびしょびしょのロジャーは、上着を脱いで水を絞っていた。これくらいやらなければ動きにくいらしい。

 濡れたままでは凍り付きそうな寒さなので仕方ないのかもしれないが。

 

「シキの野郎はどこに行った?」

「そう遠くない場所にいるが……」

 

 今の一撃でノックアウトと言うことはないだろう。そう簡単に倒せる相手なら苦労しない。

 何かを狙っていると考えるべきだが……そう考えていると、視界の端に巨大な津波が発生しているのが見えた。シキがいる方向も同じだ。

 まさか、と呟くカナタ。

 

「おいおい……あいつの能力で()()()()()()()()()のかよ……!」

 

 テーブルをひっくり返すとは訳が違う。

 海をめくりあげて巨大な津波を起こし、カナタたちを飲み込もうというのだ。

 だが、それが通用しないことも十分理解しているはずでもある。

 

「これまで私の能力は存分に見せてやった。たかだか津波程度でどうにか出来る訳がないとわかっているはずだがな」

 

 カナタの能力は万物を凍らせる。能力者の弱点となる海であろうとも例外ではない。

 掌に生み出した小さな氷塊を津波に投げつけ、当たった場所から瞬時に津波が凍り付く。それで終わり──かと思えば、そうではない。

 凍った津波を切り裂き、上空から叩き落して視界を塞がれる。

 それも対処は容易く、ロジャーが氷塊を切り裂いてみた先には──浮かび上がった膨大な量の海水があった。

 

「──津波をぶつけても凍らせりゃいいが、上から落ちてくるものを凍らせても意味はねェよな」

 

 隕石のように飛来した巨大な海水の塊は、しかし二人の前では意味もなく。

 

「──小賢しい。こんなものでどうにか出来ると思ったのか?」

「舐めんじゃねェよ、金獅子ィ!!」

 

 一瞬で凍り付いた海水を、再びロジャーが一刀の下に両断する。

 ──だが、未だ制御はシキの手から離れていない。

 切断された氷塊は再び一つにくっついて落下を続け、ロジャーはならばと細切れになるまで斬撃を繰り返して氷塊を消し飛ばした。

 バラバラになった氷のかけらが空を舞う中、一条の流星の如くシキが飛来する。

 互いの武装色で覆った武器が衝突し、細切れになった氷が完全に吹き飛んで衝撃波が舞い散った。

 シキとロジャーが拮抗した一瞬の間にカナタが槍を構え、横合いからシキへと斬撃を見舞う。

 

「チッ──!!」

 

 紙一重でそれを躱したシキは片手で反撃に転じ、ロジャーとカナタに挟み撃ちされたまま覇気を纏って二人同時に攻撃を仕掛けた。

 カナタもロジャーもその攻撃を防ぎ、ならばとカナタがシキの全身を凍らせ、その一瞬の隙にロジャーが斬撃を見舞う。

 しかしシキはこれを覇気で防ぎ、後退しながらも足元の氷を切り裂いて海を操り、ロジャーへの牽制とする。

 

「埒が明かねェな!」

「だが追い込んでいるのは確かだ」

 

 カナタとロジャー。それこそこの海でも上から数えたほうが早い実力者二人を前にして、一歩も退かないシキも怪物である。

 二人が連携に不慣れであることと互いに互いを庇って全力を出せないことを抜きにしても、ここまで拮抗していることがその証左だ。

 

「この程度でおれを殺せるなんざ、思ってんじゃねェよ!!」

 

 剣戟は舞踏のように軽やかに。

 しかし、気を抜けばその瞬間に誰かの首が落ちる戦いは、未だ終わらず──

 

 

        ☆

 

 

 リュシアンは突如として現れたロジャー海賊団に思わず舌打ちをした。

 数による暴力も、練り上げた戦略も、あの海賊団は正面から食い破る。実力者揃いの海賊団だ。指揮官としてなら尚更戦いたい相手では無い。

 今は先に魔女の一味を沈めるべきだが──そうさせてはくれないらしい。

 

「ロジャー海賊団、こちらに砲口を合わせています!」

「砲弾を防げ! 左翼艦隊に連絡を入れろ! ロジャー海賊団を食い止めろ!」

 

 放っておけば好き勝手に盤面を荒らされる。放置して魔女の一味の船を狙おうものならあっという間にこちらの喉元を狙われてしまうだろう。

 ロジャーはどうやらシキの方に行ったようだが、残った面々だけでも厄介極まりない。

 

「シルバーズ・レイリー、スコッパー・ギャバン……乗ってる面々全員が実力者なんぞ、悪夢もいいところだな」

 

 こうなれば自身も戦う他に無い。

 リュシアンは腕を振り、船上の至る所に大砲が現れ、その全てがオーロ・ジャクソン号へと狙いを定める。

 彼はウテウテの実の砲撃人間──自身の体を除いてどこからでも火器を生み出し、砲撃することが出来る能力者。

 その制圧能力は自然系(ロギア)にも劣らない。

 

「勝利は前進する。風穴を開けろ──!」

 

 砲撃音が途切れることなく連続し、無数の砲弾による弾幕は絶えずロジャー海賊団を攻撃し続ける。

 防御に手を割かれればそれだけ余計なことをされずに済む。リュシアンもその分拘束されてしまうが、右翼艦隊は変わらず魔女の一味に向けて攻撃中だ。

 制圧するのも時間の問題かと思われたが──突如、船が大きく揺れる。

 

「なんだ、どうした!?」

「ほ、報告します! 巨大な渦潮が発生して足を取られてしまい、沈まないのが精一杯です!」

「クソ、この海域はこれだから……!」

 

 大きく揺れ続ける船の上では狙いもままならない。

 気候も絶えず変わり続けている。こんな厄介な海域でロジャー海賊団の相手をするなど頭が痛くなる。

 だが、提督であるシキがやると言った以上はやるしかない。中間管理職は辛いものだ。

 

「とにかく船を安定させろ! このままじゃ狙いもままならんぞ!!」

 

 既に一隻沈めているとはいえ、魔女の一味も油断できる相手では無い。

 渦潮の起きるタイミングの良さと言い、随分運のいい連中だ──いや、本当にそうか?

 リュシアンは船の縁から海を見る。そこには、海の中に一つの影があった。

 

「サンベル……! あいつか!!」

 

 ロジャー海賊団の一員である魚人、サンベル。

 魚人は時に海流さえ変えてしまうほどの力を持つという。ロジャー海賊団にいる程の猛者ならばそれも不可能ではないだろう。

 沈んだ船から船員の救助をし、攻撃する船の近くで渦潮を作って牽制をする。

 狙いが定まらないまま撃っても無駄だ。

 

「通信をつなげ! 左翼艦隊、一刻も早く魔女の一味の船を沈めろ!」

「だ、ダメです! 左翼艦隊、度重なる攻撃で半壊滅状態です!!」

 

 ソンブレロ号とオーロ・ジャクソン号からの苛烈な攻撃で左翼側の艦隊は半壊滅状態に追い込まれている。先程のような砲撃の弾幕は不可能だろう。

 思わず舌打ちをするリュシアン。

 だが、まだ数が減っただけで完全に壊滅したわけでは無い。残っている船から砲撃を続けさせ、リュシアン自身はこの揺れる船から直接砲撃をする。

 

「舐めんじゃねェ。オレがここにいる限り、この艦隊に負けはない──!!」

 

 船が揺れるなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 砲台そのものが能力によるものであるため、遠隔でも操作が可能なリュシアンにしか出来ない芸当だ。

 それでも、この状況を打破できるなら十分だ。

 

「射撃用意──撃て!!」

 

 壁のように放たれる砲撃の弾幕。それぞれの船に着弾する前に防がれるも、敵からの攻撃も牽制することが出来る。

 この期に及んで出し惜しみはナシだ。

 おそらくアプスとレランパーゴの方にもロジャー海賊団の誰かが向かっていることだろう。そちらはそちらで対処してもらう他に無い。

 

「砲撃を続ける! 出来るだけ早く沈めねェと、ロジャー海賊団の相手は辛いぞ!」

 

 オーロ・ジャクソン号も並の強度の船ではないが、沈むまで何十発でも撃ち込むまで。

 もう少しで魔女の一味に壊滅的損害を与えられたというのに、惜しいことだ。

 いや……泣き言など言っていられない。

 数では依然優勢なのだ。魔女の一味諸共、ここでロジャー海賊団を海に沈めて見せる。

 

「燃えてきたぜ……! やってやろうじゃねェか!!」

 

 二角帽子を目深に被りなおし、にやりと笑って猛る。

 残る敵船は三隻。対する金獅子海賊団の艦隊は未だ三十以上。十倍に比する数の船を以て、ここで敵を撃滅する。

 有利な立場は変わらない。世界最強の艦隊の名に恥じない強さを見せつけてやろうと、リュシアンは気合を入れなおした。

 

 


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