~破壊神日記、一日目!~
今日も今日とて掘ります掘ります。ダンジョン作って魔物が出来ます。
例え異世界に来ようと、魔物たちはいつも通りだった。最初こそ環境の変化から来るストレスで、突然変異でも起こすのではと少し期待したのだが…皆見慣れた愛くるしい姿のままだった。
ガジガジムシも骨格張った白くて小さな体をしなやかに動かして、文字通りガジガジとニジリゴケを捕食している。俺もニジリゴケ食べてみたいなぁ…。
まあそんな感じで、魔物の生き様をほのぼのと見つめながら、今日も一日土を掘って終わりました。まる。
でもきっと明日はこの世界ならではの発見があるはず!勇者もきっと準備を整えてる頃だ。
さあ、いつでも来い!勇者よ!
~破壊神日記、三日目~
今日も今日とて掘ります掘ります。ダンジョン作って魔物が出来ます。
この世界に来て三日。未だこれと言った変わりはない。この世界の勇者様はお寝坊さんなのかな?
まったく、あんまり遅いと破壊神が起こしに逝っちゃうぞ♪
~はかいしんにっき、いつかめ~
今日も掘った。ダンジョン作って魔物出た。
あの…勇者来ないから、ここら一帯魔物の巣窟と化してるんですが、よろしいの?着々と魔界の領域広めてるけどよろしいの?もう地下ダンジョンも緑色の最終第四層までいったよ?
あれ?もしかして舐めプってやつですか?ハンデってやつですか?そうですか。
ボコボコにしちゃるからな。
き
~は しん っ 、じゅー め~
かい に にち
ほった。
まものでた。
ゆうしゃ。
こない。
おわり。
「やること変わってねぇよおおぉーー!!?」
本当に変わってないよ!?
言ってしまえば前の世界より暇なんですけど!?何この世界!魔王と破壊神が来たってのに、お出迎えも何も無いってどういうこと!?
前の世界じゃ着いた途端に『ようこそ来てくれやがりましたね。死ね♪』って熱烈な歓迎をしてくれたのにっ!勇者の一人も来ないとは想像もしなかったよ!
頼むから来てぇ!
なんなら魔王はあげるから!とりあえずダンジョンに来てくれぇー!!
「もういい!俺自ら出向く!最初からクライマックスでラスボスじゃあぁー!!」
「破壊神さま、お気を確かに!あとどっちかって言うと私がラスボスですぞ!」
あ、魔王いたんだ。
十日も姿が見えなかったもんだから、俺が知らぬ内にツルハシで間引いたんじゃないかって心配したよ。魔王を間引いたらとんでもない量の魔力取れそうだよね。
「私が留守の間に、これまた広いダンジョンを掘りましたな。地上が陥没しないか不安ですぞ」
「ツルハシマスターたる俺にそんな失敗は有り得ん!てか何処行ってたの?迷子だったの?」
「違いますよ…リリス偵察部隊と共に、この世界の情報を集めておりました」
魔王が外に出た!?
勇者を殲滅しないとダンジョンから出られない心配性で引き籠もりの、あの魔王が!?
しかも小悪魔リリスちゃんらを引き連れてだと!?貴様いつの間にハーレム主人公になったんや!
俺激怒プンプンツルハシぶんぶん!と、
だが魔王の話によると、この世界は今までと系統がまるで異なるらしく、何が起こるか分からないらしい。
だから魔王自らを含めた少数精鋭(魔王が精鋭かは置いといて)で実地調査に出てくれたんだとか。
そして肝心の俺を放置した理由は、俺まで消えると魔王軍に何か起きたとき対処出来ないから。俺よりよっぽど考えて行動してたね。
俺?俺はほら、あれよ。軍備強化して、ちゃんと貢献してまちた!
そんなこんなで互いに現状把握をした後、話は偵察報告へと入る。
「まず我々がいる地は大陸…イシュガルと呼ばれているそうです。そして我等が魔王城を囲っている木々の群生地は、ワース樹海と言う名があるようですな」
「ここも中途半端だよな。鬱蒼としてるのに気味が悪い訳でもなく…樹海ならおどろおどろしくあるべきだろ」
あとで地上に出たら、樹海全域をマガマガシクしてやろう。
「そしてここからが本題です。破壊神さま…どうやらこの世界、勇者が存在しないそうですぞ!」
「よし帰ろう。さっきのスイッチ何処だっけ」
フワフワと漂い始めた俺のツルハシぼでぃに、魔王はすぐさま飛び掛かった。辞めて!なんか文字だけだと卑猥だから!
「離さんか!勇者のいない世界征服など、コーラで水分補給する筋トレと同じだ!」
「まだ話は続いてますぞ!勇者は居なくとも、それに成り代わる『魔導士』とか言う輩が居るのですぅ!」
「…魔導士?」
何だそれは、聞いたことないぞ。新しい
だけど魔王はそれが、“勇者に成り代わっている”と言っていた。この世界に勇者はいない…。
「勇者=魔導士ってこと?」
「まあ、端的に言えば…」
「じゃあ何で魔王討伐に来ないのさ?世界の危機だよ?何やってんの!」
「痛い痛い、痛いですぞ!?魔王間引かれちゃう!」
全く、これだから最近の若者は!どうせ、『誰かやるだろ?』的な他力本願思考なんだ!
「待って破壊神さま!超待って!その魔導士とやらは、“クエスト”なるものがなければ出向いてこないのです!つまり我等は相応の勢力と危険性を示さねばならないのですよ!」
むむっ、そうなのか。言われてみれば前の世界も、王様が勇者に魔王討伐を頼み込んだから、ダンジョンに来たんだよな。
だけどさあ。何もなかったこの樹海に突如、マガマガシイ巨城が出現したんだよ?様子見くらいしに来てもいいんじゃないのん?
色々と不満が残るが…勇者、じゃない。魔導士が現れない理由は理解した。
「で、その魔導士とか言うのはどんな奴らなの?」
「リリスが聞いた話によりますと、勇者と大差無いようです。ただ、
えぇ。何それだるい。
魔法ってつまりスキルでしょ?ヒールとかブリザードとか…それを乱用出来る程のMPがあるってこと?
えぇ。何それだるい。
まあ対処法も上手くやればあるけどさ。相手のMP奪ってこっちの魔物に転用したり、ね。
えぇ。何それだるくない。
とにかく話を聞く限り、本当に勝手が違うようだ。これは下手に進軍とかしたら、魔王が処刑されて、俺たち魔物は生き延びるかもしれない…俺たちは生き延びるのかよ。
「よし分かった。引き続き魔王は地上で調査を続けて。俺は来るべきに備えて、魔王軍の強化といこう!」
これぞ適材適所!それぞれの長所に見合った働きが出来るとは、魔王軍はなんてホワイトなのでしょう!
あなたも働いてみませんか?今なら魔物の餌として好待遇で雇いますよ(ニコリ)?
「あの、破壊神さま。盛り上がっているところ申し訳ないですが、これを見て下され」
「んん?何これ…めっちゃ細かい、あみだクジ?」
いやマジで細けぇな。目を細めて見ても、線と線の境界が見えない。目玉なんかあんの?とか不粋な質問は持たないように。
はて、しかしこの黒線の密集図…何処かで見たような?しかも上から茶色、黄色、青色、緑色と四層に分かれている。これもすごい親近感が…。
「これは破壊神さまがこの十日間、掘り進めたダンジョンの見取り図です。ありの巣もびっくりの大迷宮と化しております」
「おおう!さすが俺!」
「このまま掘り続けると、地上は陥没。魔王軍は潰れて世界に平和が訪れるでしょう」
「Oou,Sasuga Ore」
明日は午後七時頃に、平和が訪れるでしょう!
以上、明日の世界でした!
テレテレテレレレレ~♪
「現実逃避してる場合じゃありませんぞ!?これでは魔王軍の拡張はおろか、現存戦力の維持も難しいではありませんか!」
いやだって暇だったんだもん(真理)。
暇な時は土掘るでしょ。ねえ皆?
とかふざけてみたがこれはマズい!土が掘れないなんて、ツルハシの存在価値否定されたも同じじゃん!
魔物たちを地上に出そうか?いや駄目だ。あの子たち皆フリーダムだから、興味本位で街とか村を殲滅しかねない。せっかく隠れて戦力強化と決まったのに水の泡だ。
待て待て落ち着け。もっと視野を広く持つんだ!
別に地下や地上に縛られる必要はない。他にも魔王軍の駐屯地として最適な場所がある!
そう、今の時代実家にいながら仕事だって征服だって…。
あ。
「…ねぇ魔王」
「どうしました?何か良い案でも…」
「引っ越ししない?」
と言うことで。
『ドグゼリ渓谷』とか言う場所を魔王軍が占領しました!
魔王軍、新たな魔物の生産地として開墾。三日でマガマガシク変貌を遂げました!