一〇〇式隊は今日もまた戦場にいます。鉄血の機械人形が発電施設を占拠したとの報があり、応急対処隊の一〇〇式隊とM590隊が出撃したのです。
ちなみに、今日はZasさんが訓練に出かけており、一〇〇式隊は一名欠です。
ちなみに、G41隊は臨時的に解散になっています。なんでも指揮官が新機軸の編成を試したいとかで、ウェルロッドさんとSVDさんが一時的に離脱しているのです。ヴィーフリちゃんとG36ちゃんも訓練中です。
というわけで、何と久し振りに一〇〇式隊にG41ちゃんが帰ってきてくれました。G41ちゃんと同じ隊で戦えるのは嬉しいです。
そして、指揮官からせっかくなのでG41ちゃんを一時的に隊長に据えるように命じられました。G41ちゃんはもう隊長格であるので、別段問題はないです。それに、G41ちゃんの指揮で戦えるなんて、わくわくします。みんなも特に反対することはありませんでした。
そして、戦いは大詰めを迎えました。M590隊が敵を引き付けている内に、一〇〇式隊(G41ちゃんが隊長ですが便宜的にそう呼称します)が突撃を敢行したのです。G41ちゃんと一〇〇式達との連携は完璧で、ほとんど被害を受けることなく鉄血の機械人形達を蹴散らしていきました。
そして、いよいよ問題の発電施設に迫りました。外見はすっかり朽ち果てて、壁がところどころ崩れてボロボロのようですが、発電設備はまだ生きているそうです。そして、中には鉄血のBOSS級が待ち構えているはずです。指揮官が調べたところ、どうもアルケミストさんのようでした。
『制圧射撃の後、G41とTMPちゃんが正面、Five‐sevenさんとRFBちゃんが側面から牽制!
『『『『了解!』』』』
G41ちゃんが圧縮通信で一秒にも満たない間に指示を出します。とても的確な指揮です。一〇〇式は感心しました。G41ちゃんはもう立派な隊長さんです。全員が異論なく了承しました。
G41ちゃんの指示通り、みんな動きます。まず、G41ちゃんとRFBちゃんが施設入り口に向けてフルオートで制圧射撃を行います。凄まじい音をまき散らす弾丸の嵐が過ぎ去ったのち、案の定、中から反撃がありました。アルケミストさんは出てきません。中で一〇〇式達を待ち受ける構えです。
遮蔽物に隠れて敵の射撃をやり過ごしながら、RFBちゃんとFive-sevenさんは左手に、一〇〇式は右手に散会。それぞれ、崩壊した壁の隙間や、壁を伝って配置につきます。G41ちゃんとTMPちゃんが牽制射撃をして、それを助けました。
『アタック!』
G41ちゃんの合図で総攻撃を仕掛けます。まず、RFBちゃんが壁の隙間から牽制射撃を繰り出し、Five-sevenさんが中の様子を観測しつつ前に出て、敵人形を引き付けます。
TMPちゃんが遮蔽を利用しつつ距離を詰め、突撃の構えを見せます。G41ちゃんは精密射撃で敵の反撃を封じ、TMPちゃんを援護します。
『
G41ちゃんの言葉とともに、一〇〇式は立ち上がり、窓を突き破って突入します。案の定アルケミストさんがいました。こちらを振り向いたばかりです。奇襲は成功です!
「やあああああ!!」
一〇〇式は掛け声とともに、銃剣突撃を敢行します。アルケミストさんはまだ臨戦態勢が整っていません。もらいました! 一〇〇式の剣の切っ先がアルケミストさんに向かっていきます。
ですが、手応えはありませんでした。アルケミストさんが突如消えたのです。
「惜しかったな、一〇〇式、だったか?」
背後から声が聞こえました。アルケミストさんです。彼女はジャマハダル風の武器を一〇〇式の背中に突き付けています。アルケミストさんは高速戦闘を得意とする人形です。千鳥ちゃんの力を開放していない一〇〇式では、とてもその動きについていけません。ですが…
タァン!
一発の銃声が空気を切り裂き、そして放たれた弾丸が一〇〇式越しに、アルケミストさんの肩を穿ちました。着弾の衝撃で、アルケミストさんの身体がよろけます。
「私の隊長には、指一本触れさせるもんか!!」
弾丸を放ったのはRFBちゃんでした。RFBちゃんはライフルタイプに匹敵するほどの遠距離狙撃能力を誇っています。そして、Five-sevenさんが見繕った位置は、アルケミストさんに射線が通ることを計算していた場所だったのでした。
RFBちゃんはなおも射撃を継続しようとします。一〇〇式も援護と射線の確保を兼ねて、しゃがみながら、後方に向けて銃剣で横薙ぎの一撃でアルケミストさんの足を狙いました。
「ちっ!」
アルケミストさんはたまらず高速移動で机の陰に隠れました。一時的に遮蔽に隠れて態勢を立て直そうとしているのです。
「TMPちゃん、突撃!」
「はい!…目を逸らしちゃダメ!」
そこにG41ちゃんとTMPちゃんが雪崩れ込んできます。G41ちゃんが牽制射撃を行い、アルケミストさんの動きを封じます。そこにTMPちゃんが銃剣を取り付けた銃を手に突撃を敢行しました。あれはTMPちゃんが千鳥ちゃんの小太刀を参考に作った銃剣で、本家には及ばないものの恐ろしい切れ味を誇っています。
TMPちゃんは机ごと銃剣で横一文字に切り裂きます。アルケミストさんが机の陰から転げ出ました。体に傷はないですが、右手側の武器が大きく切り裂かれ、使い物になりそうにないです。
『
『G41ちゃん!』
これを好機と見た一〇〇式はG41ちゃんと最後の突撃を敢行します。ワンサード力学行使形成。ナノマシンによって、義体が耐えられる程度に超加速した一〇〇式はアルケミストさんの懐に飛び込みます。アルケミストさんが一〇〇式に残された左手の武器を向けますが、それはG41ちゃんの弾丸に弾き飛ばされました。
抵抗力をなくしたアルケミストさんを、一〇〇式の銃剣が今度こそ捉えました。それは吸い込まれるようにアルケミストさんの白い喉に殺到し…
「…なぜとどめを刺さない」
突き刺さる直前でぴたりと止まりました。それを見たアルケミストさんは怪訝そうに言います。
「見逃してあげるよ、アルケミストさん?」
銃を下ろしたG41ちゃんが近づいて来てそう言います。TMPちゃんやRFBちゃんもそれを見て、銃を下ろしました。一〇〇式は銃剣を突き付けていますが、もう戦闘をするつもりはありません。
「…情けをかけているつもりか?」
「ううん、お礼。この前の決戦の時、手伝って貰ったから」
アルケミストさんの言葉に、G41ちゃんは首を横に振って言います。
一ヶ月前、一〇〇式は隊を挙げて恐るべき敵と決戦しました。その時、アルケミストさんは手勢を率いて、敵の一部を引き受けてくれたのです。それに対するお礼のつもりなのです。指揮官もきっと、G41ちゃんの判断を尊重してくれるでしょう。
「なるほどな。…G41と言ったか?」
「うん」
「…お前は私が会った中で一番面白くない奴だ。まさか、FALよりも面白くない奴がいるとは思いもしなかったぞ」
アルケミストさんはそう言い捨てて立ち上がり、背を向けて去っていきます。G41ちゃんはそれに応えることなく背を向けました。戦いは終わりました。後は撤収するのみです。
『ご主人様、どうだぁ! 一〇〇式隊は今日も勝利を勝ち取りましたよ?』
『ああ、よくやったぞG41。
指揮官への報告を終えた一〇〇式達はめいめいに腰を下ろします。敵の気配はありません。しばし休憩です。
「やったね、
すると、G41ちゃんが抱き着いてきました。そして、嬉しそうに一〇〇式のほっぺをぺろぺろしてきます。くすぐったいです。なんだか久し振りなので、嬉しく思いました。
でも、と思います。G41ちゃんは一〇〇式隊を見事に指揮し、勝利を勝ち取りました。間違いなく今日のMVPです。正直、一〇〇式よりもずっと堂に入った隊長ぶりでした。
なんだか、一〇〇式は情けないです。G41ちゃんよりも隊長を長くやっているのに。完全にG41ちゃんに追い抜かれた気がします。
「まあまあ、
気落ちしていることを見抜いたFive-sevenさんが一〇〇式の肩を叩いて励ましてくれます。一〇〇式は前衛なので、先頭に立つことで指揮を上げるのが役目と言ってくれます。
「そうそう。それに隊長がいないと、あたしやる気起きないし!」
RFBちゃんもまた一〇〇式を励ましてくれます。二人の言葉が嬉しいです。
「それにね、G41は
G41ちゃんは一〇〇式に抱き着いたまま、輝く笑顔でそう言います。
G41ちゃんは一〇〇式隊結成当初からの隊員でした。一〇〇式が慣れない隊長業務で悩んでいるところもよく見ていたでしょうし、時に一〇〇式を励まし、フォローしてくれました。
一〇〇式の心が温かいもので満ちました。一〇〇式の働きが今のG41ちゃんの糧になっているのです。そうであるなら、一〇〇式がやってきたことは無駄ではなかったのです。
そして、G41ちゃんの立派な指揮を見習って、一〇〇式ももっと戦術の勉強をしようと思います。G41ちゃんは前だけを見て進んで行きます。一〇〇式も後ろ向きになっていられません。私達は切磋琢磨し、お互いを高め合う真の友達なのです。G41ちゃんと共にもっと高みを目指していきます。
「じゃあ、ヘリが来るまでみんなお茶しよー!」
「うん。じゃあ、G41ちゃんはお茶淹れて。私はお茶菓子を用意するから」
「賛成!」
「やった! 隊長のお菓子!」
「G41さんのお茶…久し振り…」
そして、一〇〇式達はG41ちゃんのお茶を飲んで、一〇〇式が焼いたチーズやサラミやマシュマロをビスケットに乗せて食べて、楽しい束の間のお茶会を楽しみました。久し振りのG41ちゃんと一緒の戦場はとても実りのある、楽しいものになりました。