オプティマスコンボイが実写オプモチーフという事もあってミレディ(ゴーレム)の大きさは実写メガトロン(1作目)とだいたい同じ位となっています。
―side:Vernyi―
ライセン大迷宮…ライセン大峡谷にあるこの迷宮で私は
「てやぁぁぁぁぁぁ!」
トランステクターたるオプティマスコンボイを身に纏い
「なかなかやるね」
「そっちこそ」
解放者の1人であるミレディ・ライセンと戦っていた。
何故私がミレディ・ライセンと単独で戦っているのか…まずはライセン大迷宮を見付けた時から話を始めていこう。
ライセン大迷宮に挑む前日。私達はフェアベルゲンから直接ライセン大峡谷へと向かった。
「ヴェル、戻ってきたね」
「そうだな、ハジメ。あの時はハウリア族の事もあってゆっくり探す事ができなかったからな」
実はハウリア族の事がなければ私はライセン大峡谷に出た地点でそのままライセン大迷宮に挑むつもりだった。
「さて、総員、手分けしてライセン大迷宮を探すぞ。もし入口を見つけたら私に報告して皆の集合まで待っていること。良いな!?」
皆は私の言葉に頷き、私達は手分けしてライセン大迷宮への入口を探した。
そして数時間が経った頃…
『ヴェルさん、聞こえますか』
「あぁ、聞こえるぞシア」
『見つけましたよライセン大迷宮への入口!』
「それは本当か!?よし、分かった。今そっちに向かう」
私は皆を召集し、シアが発見したというライセン大迷宮への入口に集合した。
入口と思われる場所に壁を直接削って作ったのであろう見事な装飾の長方形型の看板があり、それに反して妙に丸っこい字でこう掘られていた。
"おいでませ!ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪"
「…ハラショー、"!"や"♪"マークとか妙に凝っているな」
一方、シア以外の面々は信じられないものを見たと言わんばかりにこんな地獄の谷底にはミスマッチしてる看板を見つめている。
「ユエ、本物だと思うか?」
「…ん」
「根拠は?」
「…ミレディ」
「やはりそこだな」
オスカーの手記に出て来たライセンのファーストネームが"ミレディ"だった。
ライセンという名は有名ではあるらしいが、ファーストネームの方は知られていない。
「だけど、素直に信じられないよね…」
と香織は呟き
「何でこんなチャラいのですか…」
とユーリアは呆れた表情を浮かべていた。
「ヴェル、どうするの?」
というレムリアの言葉に私はこう返した。
「今日はもう遅い。明日、万全な状態で挑む。この辺りで二人一組のテントを張って野宿だ」
という訳で私達はそれぞれテントを張る。
振り分けは私とユーリア、ハジメと香織、レムリアとシエラ、ユエとシア、ゼルフィは本来のサイズで私とユーリアのテントを使用する。
「それじゃ、夕飯も済んだし寝よう。ハジメ、香織。程々にな」
「いや、明日迷宮攻略だからしないからね!」
そして翌朝…目が覚めると…
「むにゃ…ヴェルさん…」
何時も思うんだが、何故ユーリアは私の寝袋の中に侵入してくるんだ?確かに大きさ的にユーリアなら入れなくもないんだが…
まぁ、良い。
皆を起こして朝食を食べたらいよいよ迷宮攻略開始だ。
「これってどこに入口があるのかな?」
シエラの言う通り…入口らしい入口が見つからない。
「ゼルフィ、スキャンできたか?」
「うん、何とか。どうやら回転式の扉で入口を周りの岩に偽装させて隠しているみたい」
ゼルフィがある岩を指指す。
「私が行ってくる。問題なければ呼ぶ」
と私は皆を待機させて岩に触れる。
すると岩が回転扉に要領で回転し、中に入れたのだが、入ってきたと同時に矢が飛んできた。
私はハンドガンでその矢を全て撃ち落とした。
「矢が飛んできた。総員、武器を構えて中へ」
私の指示に皆は武器を構えて中に入ってきた。勿論、矢が飛んできて皆はそれを撃ち落とした。
その後、周りの壁がうっすらとだが輝いて辺りを照らし出した。
ざっと見るに私達が今いるのは四方が10メートル程の部屋。整備された通路が奥へと伸びていて、部屋の中央にある石板には看板と同じ丸っこい文字でこう掘られていた。
"ビビった?ねぇ、ビビっちゃた?チビってたりして、ニヤニヤ。それとも怪我した?もしかして誰か死んじゃった?…ぶふっ"
「どうやらミレディ・ライセンという人物は少々趣味が悪いみたいだ」
「ヴェルはこれ見てイラっとしないの?」
とハジメは多少ミレディに対して苛立ちながら私に問う。
「そうだな。正直に言ってそこまで苛立ってはいない。良い雰囲気や感動の余韻に浸ってた所に現れては気分を台無しにする金属のゴキブリもといクソトカゲ改めジーオス共やアデプトテレイターを過剰に敵視して何がなんでも排除してこようとするクソッタレもとい反アデプトテレイター派の連中と比べたらマシな方だ」
「そうですよね…ほんと酷かったですからね、アデプトテレイター擁護派だと分かった瞬間に集団リンチしてきたりアデプトテレイターを殺す為なら核兵器使用も厭わない屑だらけでしたからね。曾祖父母や私達が知るμ'sの皆さんが知ったら呆れるか悲しむでしょうね」
とユーリアも同感の様だ。
「なるほどね…そりゃ確かに酷い」
とハジメは頷く。
「μ'sって何ですか?」
とシアが質問してきた。
「μ'sというのはスクールアイドルっていう学校で結成されたアマチュアアイドルのグループの一つだよ。私達の地球では5年前に活動してたけど、ユーリアが言ってるμ'sは第46太陽系の地球で100年前に活動してたんだよ」
「因みにどちらのμ'sもメンバーの名前と活動当時の年齢・容姿は同じなので紛らわしいですね。あっ、アイドルやスクールアイドルについてはまた今度お話ししますよ」
さて、出だしがこんな感じだったが、このライセン大迷宮は想像を上回る厄介さを持つ迷宮だった。
まず峡谷以上に魔力の分解作用が激しい故に魔法がまともに使えない。
上級以上の魔法は使用不可、中級以下でも射程が極端に短く、5メートルも効果を出せれば良い方という状況で魔法特化のユエには厳しい場所だ。
因みに体の外部に魔力を形成・放出するタイプの固有魔法も全て使用不可だが、体内に魔力を循環させる身体強化は使用できるし、トランステクターもMSGも魔力粒子の一種たるEN粒子によるエネルギー弾は威力が下がってしまうが、実弾なら問題なく使用できる。
此処で攻略の鍵となるのは私達アデプトテレイターと身体強化に特化したシアとなるだろう。
そしてこの迷宮はその殆どが物理トラップだった。
階段や通路、奥へと続く入口が何の規則性もなくごちゃごちゃに繋がり合っているこの迷宮のあちこちに物理トラップが仕掛けられている。
具体例を挙げると…
・左右の壁のブロックとブロックの隙間から出現する高速回転・振動する巨大な円形ノコギリ
・傾斜のキツい階段の段差が引っ込んでスロープになった所で地面に空いた小さな無数の穴から流れるタール状のよく滑る液体
・落とし穴の中で無数に蠢く10センチ程の大きさの蠍(因みに周囲の壁には"彼等に致死性の毒はありません。でも麻痺はします。存分に可愛いこの子達との添い寝を堪能して下さい、プギャー!!"と書かれた石板があったが、ハジメ達はともかく、そもそも私達アデプトテレイターに毒は効かないので意味はない)
・全方位から飛来する毒矢
・硫酸と思わしき物を溶かす液体がたっぷり入った落とし穴
・床がアリジゴクの様に砂状化して中央にワーム型の魔物が待ち受ける部屋
・こういう物理トラップ中心の迷宮/ダンジョンではお約束のスロープから転がり落ちる巨大な球状の岩
・↑の後に出現した周囲を溶解させる液体を撒き散らしながら転がってくる巨大金属球
・これまたよくある何度斬っても再生するゴーレム騎士多数
これらを回避したり破壊したりしながら私達は迷宮を進んでいた。
更に一定時間経つとスタート地点に戻される事が分かった。
"ねぇ、今、どんな気持ち?
苦労して進んだのに、行き着いた先がスタート地点と知った時って、どんな気持ち?ねぇ、ねぇ、どんな気持ち?どんな気持ちなの?ねぇ、ねぇ?
あっ、言い忘れてたけど、この迷宮は一定時間ごとに変化します。いつでも、新鮮な気持ちで迷宮を楽しんでもらおうというミレディちゃんの心遣いです。
嬉しい?嬉しいよね?お礼なんていいよぉ!好きでやってるだけだからぁ!
ちなみに、常に変化するのでマッピングは無駄です。
ひょっとして作っちゃった?苦労しちゃった?残念!プギャァー"
うん、やはり性格が悪いな。見てみろ、私とユーリア以外はマジギレ数秒前だ。
しかし、マッピングが無駄だった訳ではない。
マーキングとスキャナーを使ってどのエリアがどう移動したかが分かったし、後は最短ルートを行ってミレディ・ライセンが待つエリアまで行くのみだ。
そして私達は最短ルートを進んでゴーレム騎士の部屋に辿り着いた。前回ユエが開けた扉は開いたままになっている。
私達が部屋の中央に差し掛かるとゴーレム騎士達が両サイドの窪みから飛び出してきたので、私達は前方のゴーレム騎士達を銃撃で蹴散らしながら扉へと全速力で向かう。
ゴーレム騎士達は扉をくぐっても追いかけてくる。しかもまるで重力など知らんとばかりに天上や壁を走っている。
「重力仕事してよ!」
シエラが言うとおりだ。
「だけどここまで追いかけてくるという事は奥にゴーレム騎士を操っている奴がいるんじゃないかな!?」
「ハジメのいう通りだな!」
そうこう言っている内にゴーレム騎士達はいくら倒してもまた立ち上がってくる。
「香織!シエラ!リボルビングバスターキャノンで一掃だ!」
「うん!分かったよヴェル!」
「私達に任せて!」
香織とシエラはリボルビングバスターキャノンを展開。通常時よりも時間がかかる状況下でエネルギーをチャージし終えるまで私達がゴーレム騎士を銃撃で押さえ込み
「エネルギー、チャージ完了!」
「発射準備オッケー!」
「発射しろ!」
「「リボルビングバスターキャノン、発射!!」」
香織とシエラはリボルビングバスターキャノンのトリガーを引く。それと共に強力な一撃が解き放たれ、ゴーレム騎士の大群を一掃した。あれくらい大破してれば再生にも時間がかかるだろう。
その隙に私達は通路を駆け抜ける。そして約4~5分後、通路の終わりとその先に巨大な空間が広がっているのが見えた。
出口で道は途切れており、約10メートル先に正方形の足場が見える。
「飛び乗るぞ!」
私達は足場へと飛び乗るが、前で正方形のブロックがスィーと移動し始めた。
しかし、今私達がいるのは広大な空間…今までは狭くて使えなかったが、此処でならトランステクターを使用出来る。
「ユーリア、レムリア、ユエ、トランステクターを使うぞ!」
私の声に3人は頷き
「「「アデプタイズ!」」」
「リンケージ!」
「オプティマスコンボイ―」
「グリムレックス―」
「スカイグライド―」
「スナールウィザード―」
「「「「トランスフォーム!」」」」
私達はトランステクターと一体化し、それぞれロボットモードとなって私がハジメを、グリムレックスが香織を、スカイグライドがシエラを、スナールウィザードがシアをそれぞれキャッチして掌に乗せ、そこから足場まで飛んで行った。
私達が入ったこの空間は直径2キロメートル以上はあると思わしき球状の空間だ。
そしてそこに様々な大きさや形の鉱石で出来たブロックが浮遊し、不規則に移動をしているという完全に重力を無視した状態…しかし、私達は重力を感じているのでおそらく特定の物体のみ浮遊しているという事だろう。
「っ!皆さん、逃げて!」
シアの突然の叫び声に私達は数メートル先のブロックへ飛び乗る。
その直後、先程まで私達がいたブロックが落下してきた赤熱化していた巨大な物体によって破壊され、その物体は勢いそのままに下へと通り過ぎていった。
「シア、助かった」
「未来視が発動して良かったです。代わりに魔力をごっそり持って行かれましたけど」
シアの未来視が発動したという事はもし直撃を受けていたらシアは死んでいた可能性があるという事だ。
そんな中、私達の前に現れたのは今までと比べて巨大なゴーレム騎士。全高はオプティマスコンボイ(8.5メートル)よりやや大きい11メートルくらいだろう。
「やほ~、はじめまして~、みんな大好きミレディ・ライセンだよぉ~」
巨大ゴーレム騎士から放たれたのは重圧な雰囲気をぶち壊す軽い挨拶だった。
しかし、挨拶は返しておかなければ無礼だ。私はオプティマスコンボイの胸部を開かせ、一旦接続を解除して外に出る。
「私はこの一団…レッカーズのリーダー、風見ヴェールヌイだ。貴女はミレディ・ライセン本人か?オスカー・オルクスの手記によれば人間の女性と聞いたが」
「オーくんの迷宮の攻略者なんだね!確かに私はミレディ・ライセン本人、ゴーレムの身体になったのは神代魔法の力によるものと言っておくよ。それより、そっちこそ何なのかな?君、トランスフォーマーの中から出てきたけど」
「これはトランステクターだ。トランスフォーマーの身体を構成している金属細胞をクローン培養して作った鎧の様な物だ。
私が使用するトランステクターの名はオプティマスコンボイ。とあるコンボイの名を持つトランスフォーマーの金属細胞から作られたトランステクターだ」
コンボイの名を出した時、ミレディの態度が変わった。
「コンボイ…そうかコンボイ、か…彼と同じ…」
ミレディは少し考えた後、こう告げた。
「君が"コンボイ"を名乗るのなら私と1対1で戦ってよ」
「1対1で、か?」
「そうだよ、1対1で。その代わり君の仲間には手出ししないし君が勝てば皆に情報と私の神代魔法を与える。此処に来たのも神代魔法を求めてなんでしょ?」
「あぁ、仲間と共に地球へ帰る為、そして神を名乗る欺瞞者を倒す力を得るために」
「そっか…それじゃあ、本当に君一人で私に勝てないと神を倒すなんてとても無理だよ」
「良いだろう、その条件を呑もう」
私はオプティマスコンボイと再び一体化し、私とミレディは皆から離れる。
「それじゃあ、始めようか」
ミレディはそう言うと共に予備動作なくモーニングスターを猛烈な勢いで射出する。
私は上空へ飛んで回避しつつベクターシールドの銃口から実弾を発砲、対するミレディは近くに浮遊していたブロックを引き寄せて銃弾の直撃を防ぐ。
私はブロックを飛び移りながらミレディの背後へ迫ろうとするが、彼女もそれを許すつもりがなく、上昇して上から私に襲いかかる。
私はバックパックのブラスターでミレディの動きを牽制しつつ
「てやぁぁぁぁぁぁ!」
ジャッジメントソードで彼女の右腕を切り落とす。
しかし、ミレディは近くに浮遊していたブロックを引き寄せてはそれを砕き、その破片を使って右腕を再生させたのだった。
「なかなかやるね」
「そっちこそ」
これは思ってた以上に長丁場になりそうだ。
To be continue…