それなのに…劇場版ハイスクール・フリートを観に行ってからというもの「はいふりの世界にジーオスやアデプトマスター達が乱入する話とかやってみたいよね」という欲求も…
あっ、自分は基本的に予算の都合とかもあって映画は基本的に劇場で観るのは1作品につき一回で後は円盤待ちだったりするのですが、はいふり劇場版とゴジラKOTMは流石に2回目も行きました←はいふりは特典次第で3回目も行くかも…
ヴェルがリリアーナに自分達の事と旅の目的、そして解放者の事を話している頃…ハジメ、香織、ユエ、ティオはビィズに案内されて汚染された作物が纏められている農地地帯へと向かっていた。
ハジメは三人の付き添いとして同行している。
不意に不穏な気配を感じたハジメは立ち止まり、香織、ユエ、ティオも歩を止める。
ハジメが視線を巡らせると遠目に何やら殺気立って肩で風を切りながら迫ってくる複数の人物の姿を発見した。
「あれはアンカジ公国の兵士じゃない…」
そう呟いたハジメが遠見で確認してみると、そのどうやらこの町の聖教教会関係者と神殿騎士の集団のようだった。
彼等はハジメ達の姿を発見すると半円状に包囲し、神殿騎士達の合間から白い豪奢な法衣を来た初老の男が進み出てきた。
「ゼンゲン公…こちらへ。彼等は危険だ」
とその男はランズィに言う。
「フォルビン司教、これは一体何事か。彼等が危険?彼らレッカーズは我が公国を救った英雄ですぞ?彼等への無礼は、アンカジの領主として見逃せませんな」
初老の男―フォルビン司教はまるで馬鹿にするかのようにランズィの言葉を鼻で笑った。
「ふん、英雄?言葉を慎みたまえ。彼等は、既に異端者認定を受けている。不用意な言葉は、貴公自身の首を絞めることになりますぞ。
私は、これから神敵を討伐せねばならん。相当凶悪な連中だという話だが、果たして神殿騎士百人を相手に、どこまで抗えるものか見ものですな。
さぁさぁ、ゼンゲン公よ、そこを退くのだ。よもや我ら教会と事を構える気ではないだろう?」
ランズィは瞑目し、レッカーズが異端認定された理由を察した。
レッカーズの力は教会よりも強大であり、支配下に置いて管理することなどできない…だから許せないのだろうと。
しかし、レッカーズとの敵対は自殺行為に等しく、レッカーズと戦争でもする気なのかと中央上層部の者達の正気を疑った。
しかし、重要なのはレッカーズがアンカジを救ってくれた事だ。
毒に侵され倒れた民を癒し、生命線というべき水を用意し、公国の象徴たるオアシスに潜む怪物を討伐しただけでなくオアシスそのものの浄化してくれた。
ランズィは目を見開くと、莫大な恩を返すにはちょうどいい機会ではないかと口元に笑みを浮かべ、フォルビン司祭に領主たる威厳をもって、その鋭い眼光を真っ向からぶつけ、アンカジ公国領主の答えを叩きつけた。
「断る」
「…今、何といった?」
「断ると言った。彼等レッカーズは救国の英雄。例え、聖教教会であろうと彼等に仇なすことは私が許さん」
「なっ、なっ、き、貴様!正気か!?教会に逆らう事がどういうことかわからんわけではないだろう!異端者の烙印を押されたいのか!」
「彼らはこの猛毒に襲われ滅亡の危機に瀕した公国を救ったのだぞ?報告によれば、勇者一行も、ウルの町も彼に救われているというではないか…そんな相手に異端者認定?その決定の方が正気とは思えんよ。
故に、ランズィ・フォウワード・ゼンゲンは、この異端者認定に異議とアンカジを救ったという新たな事実を加味しての再考を申し立てる」
「だ、黙れ!決定事項だ!これは神のご意志だ!逆らうことは許されん!公よ、これ以上、その異端者どもを庇うのであれば、貴様も、いやアンカジそのものを異端認定することになるぞ!それでもよいのかっ!」
フォルビン司教の言葉を受けてもランズィはその意思を曲げない。
そんな彼の姿にランズィの部下達も一瞬瞑目した後、覚悟を決めたように決然とした表情を見せてフォルビン司教や神殿騎士達を睨み付ける。
フォルビン司教も彼らの意思を読み取って、顔を真っ赤にして最後の警告を突きつけた。
「いいのだな?公よ、貴様はここで終わることになるぞ。いや、貴様だけではない。貴様の部下も、それに与する者も全員終わる。神罰を受け尽く滅びるのだ」
「このアンカジに、自らを救ってくれた英雄を売るような恥知らずはいない。神罰?私が信仰する神は、そんな恥知らずをこそ裁くお方だと思っていたのだが?司教殿の信仰する神とは異なるのかね?」
ランズィの言葉に、何を言っても無駄だと理解したフォルビン司教は、片手を上げて神殿騎士達に攻撃の合図を送ろうとし、ハジメ達もMSGを装備して応戦準備に入ったその時だった。
一人の神殿騎士のヘルメットに何かが音を立ててぶつかった。
神殿騎士が足元を見るとそこには小石があった。
石は次々と飛来し、神殿騎士達の甲冑に音を立ててぶつかっていった。
神殿騎士やフォルビン司教が石が飛来して来る方を見てみると大勢のアンカジの住民達が神殿騎士達を包囲していた。
彼らは何処からか流れてきたレッカーズが帰還したという噂と慌てて駆けていく神殿騎士達の姿を見て集まってきたのだ。
彼らにとってレッカーズの面々は命の恩人…そんな彼らを見捨てる事などアンカジの民にも出来なかったのだ。
「アンカジの民よ!やめよ!奴らは異端者認定を受けた神敵である!やつらの討伐は神の意志である!」
フォルビン司教は殺気立つ住民達の誤解を解こうと大声で叫び、レッカーズが異端者認定を受けていることを知らなかった住民達は困惑をあらわにして顔を見合わせ、投石の手を止めるが、今度はランズィが威厳と共に言葉を放たれる。
「我が愛すべき公国民達よ。聞け!彼等レッカーズは我らのオアシスを浄化してくれた!我らのオアシスが彼等の尽力で戻ってきたのだ!そして、汚染された土地も!作物も!全て浄化してくれるという!
彼等は、我らのアンカジを取り戻してくれたのだ!この場で多くは語れん。故に、己の心で判断せよ!救国の英雄を、このまま殺させるか、守るか!…私は、守ることにした!」
ランズィの言葉に住民達は神殿騎士やフォルビン司教への投石という形で自分達の意思を示した。
「なっ、なっ…」
再び言葉を詰まらせるフォルビン司教に住民達は言葉を叩きつける。
「ふざけるな!俺達の恩人を殺らせるかよ!」
「教会は何もしてくれなかったじゃない」
「なのによ、助けてくれた"鋼鉄の戦女神一行"を害そうなんて正気じゃねぇ!」
「何が異端者だ!お前らの方がよほど異端者だろうが!」
「きっと、異端者認定なんて何かの間違いよ!」
「鋼鉄の戦女神一行に栄光を!」
「レッカーズに栄光を!」
「領主様に続け!」
「オールヘイルヴェールヌイ!」
「オールヘイルレッカーズ!」
事態を知った住民達が、続々と集まってくる。一人一人の力は神殿騎士には遠く及ばないが、彼らの湧き上がってくる怒りと敵意にフォルビン司教や助祭、神殿騎士達はたじろいだ様に後退り、ランズィは更に追い討ちをかけるように言う。
「司教殿、これがアンカジの意思だ。先程の申し立て…聞いてはもらえませんかな?」
「…ただで済むとは思わないことだっ」
フォルビン司教は歯軋りしながら最後にハジメ達を煮え滾った眼で睨みつけた後、踵を返して立ち去り、神殿騎士達が慌てて付いていったのだった。
それを見届けたハジメはランズィに問う。
「…本当によかったんですか?僕達のことは放っておいても良かったのに」
「なに、これはアンカジの意思だ。この公国に住む者で貴殿等に感謝していない者などおらん。そんな相手を、一方的な理由で殺させたとあっては…それこそ、私の方がアンカジの意思に殺されてしまうだろう。愛すべき国でクーデターなど考えたくもない
それに君達は、ある意味教会よりも怖い存在ということだ。救国の英雄だからというのもあるがね、半分は、君達を敵に回さないためだ。信じられないような魔法や武器をいくつも使い、未知の化け物をいとも簡単に屠り、大迷宮すらたった数日で攻略して戻ってくる。教会の威光をそよ風のように受け流し、百人の神殿騎士を歯牙にもかけない。万群を正面から叩き潰し、勇者すら追い詰めた魔物を瞬殺したという報告も入っている。
そんな君達を敵に回すなど自殺行為に等しい。父から領主を継いで結構な年月が経つが、その中でも一、二を争う英断だったと自負しているよ」
―side:Vernyi―
街中で起きた騒ぎ―聖教教会の司教と神殿騎士に対しランズィ氏と住民達が反抗した件についてはハジメ達から聞いた。
汚染されていた作物や土壌も完全に浄化する事が出来た。
そんな中、私は輝きを取り戻したオアシスから少し高台にある場所にてアンカジの街並みを一望しながら見送りに来たランズィ氏にこう訊ねた。
「本当に良かったのか?教会を敵に回して」
「後悔はない。君達レッカーズは教会よりも怖い存在だ。救国の英雄だからというのもあるがね、もし君達を敵に回したらどうなるか…想像したくない」
「そうか…感謝する、ランズィ殿」
「こちらこそ礼を言わせて欲しい。ありがとう」
私はランズィ氏と握手を交わす。
「それで、これからどうするのかね?」
「本来なら再びハルツィナ樹海へ向かう予定だったが、皆と話し合った上で先にハイリヒ王国へ向かう事になった」
「まさか教会と?」
「それもある。リリアーナ姫から助けを求める声があったしな。それに、教会の総本山たる神山にも迷宮がある。其処を攻略しようと思ってな」
「そうか…気をつけて」
「ありがとう。我々もアンカジの益々の繁栄を祈っている」
私はオプティマスコンボイに乗り込むとランズィ氏に見送られながらアンカジを後にした。
「さて、もう一度確認しておくぞ」
と私はオプティマスコンボイを走らせながら皆に呼び掛ける。
「我々はこれよりハイリヒ王国へと向かう。目的は教会の弱体化と神山の攻略だ」
「ヴェル、良いの?僕達だって教会の事は気に入らないけどさ」
とハジメは私に問う。
「このまま放っておいても何れは連中と戦う事になる。それに、教会の足元にの神山に入れば奴らから襲ってくるだろう」
「確かにヴェルさんの言う通りですね」
「それと気になる事がある。この状況に…神を心酔し魅いられた者達が続出するという状況に見覚えがないか?」
「あの時の…海底遺跡で見せられた過去の記録ですね」
レミアの言葉に私はそうだ、と返す。
「確かに今回の状況は海底遺跡で見せられた幻影と状況が似ておる」
「あと、私としては気になるというか胸騒ぎがする事がある」
「それって一体…」
香織の言葉に私はこう返す。
「リリアーナ姫が言っていた銀髪の修道女だ。その人物が王国に現れてから神に魅いられた者が急増した…そうだったな、リリアーナ姫」
「えぇ…その通りです」
「…その修道女がどうかした?」
ユエの言葉に私はこう口を開く。
「海底遺跡の幻影の中にフードを被った人物…テレイターと思われるその人物も銀髪だった。偶然と言われたらそうかもしれないが…それにしても嫌な予感がする。
シア、家族のハウリア族と早く再会したいのかもしれないが、済まない。もう少し待って欲しい」
「大丈夫ですよ、一部はアンカジで会えましたし今は教会の件を片付ける方が優先です」
とシアは答える。
私達は不安を胸にハイリヒ王国へと向かう。
そこでの戦いが想像以上に激しい戦いになる事を私はまだ知る余地もなかった。
―side out―
ヴェル達レッカーズが教会から異端認定された事は愛子や親衛隊の面々にも伝わっていた。
「納得できません!彼らは多くの人々を救ったのに!」
その報を聞いた愛子は教会に対し怒りを抱いていた。
「アーク、ヴェルさん達の答えは?」
と幸利はアークことアーキテクトオフホワイトに訊ねる。
「教会の総本山たる神山があるハイリヒ王国に向かうと」
「どうして敵対する教会の総本山に?」
園部の言葉にアークはこう答えた。
「作製者(マイスター)ヴェルは全ての迷宮の場所を大まかにですが把握しています。その迷宮の一つが神山に存在し、先に其所の攻略を行うとの事です」
「神山に行くという事は教会と戦う事になるぞ」
仁村の言葉にアークはこう返した。
「作製者(マイスター)ヴェルはそれを分かった上で、考えがあって神山に行く…教会との戦いを辞さないとの事です」
アークの言葉を受け、愛子もある決断をする。
「私達もハイリヒ王国に戻りましょう。私も今回の異端認定の件には抗議します!」
愛子の言葉に親衛隊の面々は頷く。彼らも今回の教会のレッカーズへの異端認定に納得しておらず、怒りを抱いていた。
こうして愛子達親衛隊もまたハイリヒ王国へと向かうのだった。
To be continue…