グランコンボイは右手にブラスターを持つとナイトロに向かって発砲しながら前へ進む。ナイトロは左腕のブラスターを発砲するが、それらは全てグランコンボイに撃ち落とされる。
接近してきたグランコンボイに向けてナイトロは右腕のピッケル状の刃を振り下ろすが、グランコンボイは左手でそれをつかむと無理矢理へし折ってナイトロのブラスターの銃口へ突き刺す。
ナイトロはバックパックのミサイルランチャーを放つが、グランコンボイはブラスターで打ち落としていく。イシュタル達は引き続き覇墜の聖歌発生させ続けたが、グランコンボイに弱体化は見られず、ナイトロを仕留めようと攻撃を続けており、距離を詰めると殴る蹴るを繰り返し、更にナイトロのブラスターを折り曲げて使えなくしてしまう。残った刃でグランコンボイを引き裂こうとするが、それもグランコンボイによって折られてしまった。
グランコンボイはジャッジメントソードを拾うとそれをナイトロの脚部へと突き刺し、ブラスターの銃口をナイトロの胴体に向ける。
「最後に言い残す言葉は?」
グランコンボイの言葉にナイトロはこう返した。
「この星に君臨するのはお前ではない。我らが創造主です」
「そうか…生憎だが私はこの星に君臨する気などない」
グランコンボイはそう答えるとブラスターを発砲、ナイトロと一体化していたノイントは銃弾に貫かれて息絶えるのだった。
「そんな…使徒様が…」
イシュタル達にとっては目の前の光景は悪夢だった。
何せあの使徒はトランステクターを使った上で異教徒たる鋼鉄の戦女神に破れたのだ。信じたくないのも無理はない。
グランコンボイはイシュタル達の方を向くとブラスターの銃口を彼らに向ける。
「え、エヒト様に栄光を!エヒト様ばんざーい!」
イシュタル達はその言葉を最後にグランコンボイの手によって葬られたのだった。
一方、ゴルドファイヤーとジーオスノイドとなった檜山との戦いは舞台を空から陸上に移して繰り広げられていた。
そして時間の経過と共に檜山は
「お前さえいなければお前さえいなければおまえさえいなければおまえさえいなければオマエサエイナケレバオマエサエイナケレバ―」
まるで壊れた喋る人形の様に同じ言葉を繰り返しながらゴルドファイヤーを攻撃している。
ゴルドファイヤーはジーオスノイドの足元を錬成する事によって動きを封じてガンブレードランスを発砲するが、ジーオスノイドは直ぐに拘束を解いてしまう。
更に他のジーオスイミテイトもゴルドファイヤーに襲いかかろうとするが
「ハジメ君の邪魔はさせない!」
そこへメディカラートがフリースタイルガンやガトリングでゴルドファイヤーを襲おうとしていたジーオスイミテイトを撃ち抜いてゆく。
『ハジメ、そっちはどうだ?』
「ヴェル、こっちはジーオスイミテイトと一体化した檜山君と戦っている!あいつ、正気を保ってない!」
『ジーオスイミテイトと一体化だと!?まさか…』
「心当たりがあるの?」
『以前にも話したが、アデプトテレイター化出来なかった者は肉塊になって死亡する場合が多いが、中には身体の一部が変異して理性を失いないながらも暫くは生きていた者もいた。
そして、テロ組織どもが違法にアデプトテレイターを作り出す際にはジーオスの金属細胞が使われていた』
「という事はあえてアデプトテレイター化させずに怪物化させる事も…」
『やろうと思えば出来るだろうな。アデプトテレイター化したら元の人間には戻る事は出来ない…アデプトテレイター化しなくて怪物化した場合もしかり…いや、既に死んでいるような状態だな』
「なら、殺すしか止める方法は…」
『出来るか、ハジメ?』
「あぁ、大丈夫だよ。あの時…"同じ様な事が起きたらその時は僕が直接手を下す"って決めてたから」
グランコンボイ―ヴェルからの通信を切った後、ゴルドファイヤーはバタリングラムとなったバイオレンスラムを装備するとジーオスノイドの砲撃をその機動力で回避しつつ接近、背後に回ると跳躍して背中にバイオレンスラム突き刺し、槌を打ち出す。
槌が身体を貫通した事によってジーオスノイドは激しい痛みに襲われたのか暴れだす。
その隙にゴルドファイヤーは装備をリボルビングバスターキャノンに換装するとそれにエネルギーを溜める。
ゴルドファイヤーの邪魔をしようとジーオスイミテイト達は襲いかかろうとするが
「言っただろ?」
「ハジメ君の邪魔はさせないって!」
幸利とメディカラート、ドリフトライド、紅刃によって阻まれる。
「エネルギーチャージ完了!皆、退避して!」
「えぇ、分かったわ!」
ドリフトライドがそう返すと共に皆がリボルビングバスターキャノンの射線上から離れると
「檜山君…安らかに眠れ」
ゴルドファイヤーはジーオスノイドにそう告げてリボルビングバスターキャノンを発射、その一撃によってジーオスノイドは檜山が変異したコアを撃ち抜かれ、機能を停止するのだった。
白竜のウラノスに乗って配下の魔人族やジーオスイミテイトに指示を出しているフリードだったが…
「くっ…これはまずいな…」
イシュタル達をグランコンボイが葬った事によって本来の力を取り戻したレッカーズの面々の猛攻により一時期は優勢だったのが今では劣勢に追い込まれていた。
「さて、まだやり合う気なのかのう?檜山という小僧もハジメ殿の手によって葬られたのじゃが…」
ウォーグレイを纏ったティオはフリードに問う。
今のままでは自分達に勝ち目はない…その事をフリードは理解していた。
「総員、撤退するぞ!」
フリードは同胞達やジーオスイミテイト、グリムヴァルカンやディノトルーパーにそう指示を出す。
「ちっ…潮時か…」
一方の中村もこれ以上やり合うのは無理だと判断すると降霊術で動かしているジーオスイミテイトの亡骸に乗る。
「待って恵里!」
そんな彼女を呼び止めようとする谷口だったが
「次会う時は敵同士だから」
中村はそう言い残してジーオスイミテイトに乗ってその場を後にしてフリード達と合流するのだった。
一方、グランコンボイ―ヴェルはレッカーズの面々に招集をかけ、レッカーズの面々と親衛隊の中から代表して幸利はヴェルが指定した神山に集合していた。
「えっと…ヴェル?そのトランステクターは?」
ゴルドファイヤーとの一体化を解除したハジメは先程までヴェルと一体化していたグランコンボイを指差す。
「グランコンボイ…神の使徒、ノイントとの交戦中にオプティマスコンボイがリフォーマットした機体だ。この件に関してはまた後で説明する」
とヴェルは返す。
「皆も無事で何よりだ」
「…途中、機体が弱体化して危なかった」
「ヴェルさん、もしかして…」
「あぁ、聖教教会の横槍だ。私達の動きを抑え弱体化する魔法だろう」
「じゃ、じゃあ、機体の調子が元通りになったのは…」
幸利の言葉にヴェルはこう返した。
「あぁ、私が術を行使していたイシュタル達を吹き飛ばした」
ヴェルの言葉に皆はやっぱり、と思った。この中でイシュタル達に一番近い場所にいたのはヴェルだったのだから。
「皆、あれを見て!」
そんな中、何かを発見したレムリアはある方角を指差す。
其処に立っていたのは白い法衣のようなものを着た禿頭の男だった。
「普通の人間じゃないよね」
シエラが言う通り、その男の身体は透けていてゆらゆらと揺れていたのだ。
男はヴェル達が自身の存在を認識したことに察したのか、そのまま無言で踵を返し、歩いて移動するのではなく、重量を感じさせずに滑るように瓦礫の山の向こう側へと移動し、姿が見えなくなる直前で振り返ってヴェル達に視線を向ける。
「ついてこい、という事でしょうか?」
レミアの言葉にそうだろうな、とヴェルは返し、一行はその男の影を追って五分ほど歩いた。
男は目的地に着いたからか真っ直ぐヴェル達を見つめながら静かに佇み、何の変哲も無い唯の瓦礫の山の中を指差していた。
「其処に何かがあるという事なのかな?」
香織がそう呟いた後、ヴェルは男が指差した場所へ足を踏み入れるが、その瞬間に瓦礫がふわりと浮き上がり、その下の地面が淡く輝きだした。見れば、そこには大迷宮の紋章の一つが描かれていた。
―side:Vernyi―
地面に描かれた大迷宮の紋章の一つを見て、私はその男に問う。
「解放者か?」
私が問うた瞬間、地面が発する淡い輝きが私達を包み込み、光が収まった後、私達は全く見知らぬ空間に立っていた。
それほど大きくはないが、光沢のある黒塗りの部屋で、中央に魔法陣が描かれており、その傍には台座があって古びた本が置かれている。
「どうやら、いきなり大迷宮の深部に到達したようだね」
「そうだな、ハジメ」
私達はその魔法陣へ足を踏み入れる。いつも通り記憶を精査されるのかと思ったが、もっと深い部分に何かが入り込んでくる感覚がした。
そして攻略者と認められたのか、頭の中に直接、魔法の知識が刻み込まれる。
「…魂魄魔法?」
「どうやら、魂に干渉できる魔法のようじゃな…」
ユエとティオが言ってた通り、手に入れたのは魂に干渉できる魂魄魔法だ
「なるほど、ミレディがゴーレムに魂を定着させて生きながらえていた原因はこれか…」
私は脇の台座に歩み寄り、安置された本を手に取る。
本の内容は大迷宮"神山"の創設者であるラウス・バーンが書いた手記のようだ。オスカー・オルクスが持っていたものと同じで、解放者達との交流や、この神山で果てるまでのことが色々書かれていた。
そして、その中にあのトランスフォーマー…私にエネルゴンマトリクスを託したコンボイタイプの"彼"に関する記述もあった。
"彼"は偶然このトータスに迷い込み、解放者達と共に戦った事、そして"彼"は死に際にこの地に自身のエネルゴンマトリクスを封印した事などが書かれていた。この辺りは"彼"も言及していた事だ。
「つまり、ラウス・バーンは封印されたエネルゴンマトリクスの守人でもあったという事か…」
私は本を閉じると素粒子コントロール装置でミニカーサイズにまで縮小されたグランコンボイに目を向ける。
「さて、戻るとしよう。王国をどうにかしないといけないからな」
と私が皆に呼び掛けたその時だった。グランコンボイが輝き出してプロジェクターの様に何かを映し出し始めた。
写し出された人物の姿に私は言葉を失った。
「ヴェル様、どうしたの?この人は誰なの?」
ミュウは私にそう訊ねる。
「つばめさん…立木つばめ。私の嘗ての上司にして私が使っていたオプティマスコンボイを始め多くのトランステクターを作り出した…私の師匠と呼べる人物だ」
私がそう説明した後、立体映像のつばめさんはこう口にした。
『この映像が流れているって事はこのトランステクターはヴェル、お前が使ってて俺は死んだりしてその場にいないって事だろうな』
「…そうだな…つばめさんは数年前に…」
『ヴェル、お前は疑問に思っているだろうな。何故オプティマスコンボイのサポートAIやシステム周りがバルバトスマグナスに似ている事に。
もし俺が生きていたらお前の誕生日プレゼントとしてこのトランステクターを渡してシステム周りがバルバトスマグナスに似ている理由を話すつもりだった。お前が使っているドレッドバイトもかなりボロボロで修理が追い付いていないからな。
さて、システム周りがバルバトスマグナスに似ている理由だが、そもそもオプティマスコンボイに搭載されたサポートAIはあの戦い…ジーオスXとの戦いの後、サルベージしたバルバトスマグナスのサポートAIを修復・改良した物だ。
お前にとってもそうだった様に俺にとってもあかりの死は悔いている…自分が作ったトランステクターはアデプトマスターの命を守れなかったからな。
そして、バルバトスマグナスのサポートAIは修復されすればまだ使えると分かって、ただ修復するだけでなく改良しようと考えた。あの事を繰り返したくないから何年何十年がかりになろうとやると決めた…そして、改良と共に試作段階にあるシステムを組み込んだ…"リフォーマットシステム"だ。
このシステムはトランステクターが大破した時、アデプトマスターの生きたいといった強い気持ちや思いに反応して強制的にエナジドライブを発動し、EN粒子によってトランステクターの自己修復能力を急激に活性化させて更に必要となればトランステクターそのものを作り替えるシステムだ。
今の御時世…俺達が迫害されてその対処に追われている状況下でこのシステムを作るのには長い時間がかかって、この映像を収録した段階ではまだこのオプティマスコンボイにしか搭載出来ていないし、システム自体も完璧ではない。
だが、この映像が再生されたって事は成功したんだろうな。
それと、バルバトスマグナスのサポートAIは何機かコピーを取っている。さっきも言った様にリフォーマットシステムを搭載しているのはオリジナルのサポートAIを搭載しているオプティマスコンボイだけだ。
しかし、オリジナルのサポートAIのリフォーマットシステムが作動するとその事を知らせる信号が発せられ、コピーのサポートAIが受信すると何処でシステムが作動したのか分かる様になっている。システムが作動したって事は危機的な状況にあるって事だからな』
つまり、コピーのサポートAIを搭載している機体が救援に行けるようにという事か…
『ヴェル、すまないな…お前に色んな物を背負わせちゃって』
「覚悟はしていたさ…アデプトマスターとなった時に」
『あぁ、そうだ。もしこのメッセージを今のヴェルの仲間が聞いているのなら…彼女を支えてやって欲しい。彼女の事を頼む』
つばめさんのメッセージはそこで終了した。
「ヴェル…」
「大丈夫だ、ハジメ。ありがとう」
そして、私はこう口にした。
「スパシーバ…ありがとう、つばめさん」
―side out―
オプティマスコンボイがグランコンボイへとリフォーマットされた直後…
「アリス、これを見て」
「これって…」
「私のトランステクターが信号を受信した。発信元は"オプティマスコンボイ"」
「オプティマスコンボイって…風見ヴェールヌイのトランステクターね」
「うん、この信号が発せられた場所にヴェル達がいる」
アリスは同席していた部下に指示を出す。
「他の任務は良いから最優先でこの信号が発せられた場所を調べて」
アリスの指示にその部下は了解と返す。
「待ってて…ヴェル…」
各々がそれぞれの目的で動いていた中、惑星トータスに向かって宇宙大群獣レギオンが飛来しているのを確認したエヒトと彼の上に立つ全ての黒幕はあえてトータスを覆っていたバリアを解除、トータスに降り立ったレギオントータスの人々はおろかヴェル達すら倒す事は叶わず敗北、この惑星トータス…いや実験惑星T-02の文明はレギオンによって滅ばされてしまったのだった…