尚、今回は少しばかり下ネタ(?)が入っているので予めご了承ください。
第7話『奈落の底へ』
―side:Vernyi―
準備も終わった私達はオルクス大迷宮へと潜った。
攻略も順調に進んでおり、もうすぐでベヒモスと戦った第65階層に到着する。
「なんか思ってたより早く進んでいる気がするよね」
「そうだね」
と香織とハジメは語っていた。
「私やユーリア、レムリア、シエラはアデプトテレイターだからステータスもあれだが…ハジメと香織もこの世界の平均的なステータスと比べてあれだからな」
そんなハジメと香織のステータスはこんな感じになっている。
『南雲ハジメ 17歳 男 レベル:5
天職:錬成師 職業:冒険者
筋力:150(?????)
体力:150(?????)
耐性:150(?????)
敏捷:150(?????)
魔力:150(?????)
魔耐:150(?????)
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査]・言語理解・戦女神の加護・戦女神の祝福・可変外装・言語理解』
『白崎香織 17歳 女 レベル:5
天職:治癒師 職業:冒険者
筋力:300(?????)
体力:150(?????)
耐性:300(?????)
敏捷:150(?????)
魔力:300(?????)
魔耐:300(?????)
技能:回復魔法[+回復効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+範囲回復効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+複数同時発動][+付加発動]・光属性適性[+発動速度上昇][+効果上昇][+持続時間上昇][+複数同時発動]・高速魔力回復・言語理解・全属性適性・戦女神の加護・戦女神の祝福・可変外装』
二人の成長率…特にハジメは初期値から15倍の数値で、香織もハジメ程ではないが初期値の倍以上の数値だ。
恐らく戦女神の加護・祝福の影響と思われるが…このままレベルが上がるとどうなるのか…
一方でユーリア、レムリア、シエラのステータスだが…元々が奴隷だから持っていないかと思いきや持っていた事がわかった。
どうやらあの貴族の男が3人分用意したらしい。まぁ、レムリアとシエラはあの男の指示で力を封じれていたとは言えオルクス大迷宮に何度も潜っていたのだが…
さてさて、彼女達も私と同じアデプトテレイターなのだが、力の封印を解いた後のステータスはどうなっているのかと言うと…
『蓮井・ディアリング・ユーリア 11歳 女 レベル:???
天職:騎竜参謀 職業:冒険者
筋力:12000+α(?????)
体力:12000+α(?????)
耐性:12000+α(?????)
敏捷:12000+α(?????)
魔力:12000+α(?????)
魔耐:12000+α(?????)
技能:金属細胞適合型不老生命体・可変外装・毒無効・全属性耐性・物理耐性・威圧・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・言語理解・戦女神の加護・戦女神の祝福』
『レムリア 13歳 女 レベル:???
天職:空竜騎 職業:冒険者
筋力:12000+α(?????)
体力:12000+α(?????)
耐性:12000+α(?????)
敏捷:12000+α(?????)
魔力:12000+α(?????)
魔耐:12000+α(?????)
技能:金属細胞適合型不老生命体・可変外装・毒無効・全属性耐性・物理耐性・威圧・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・言語理解・戦女神の加護・戦女神の祝福』
『シエラ 13歳 女 レベル:???
天職:砲竜騎 職業:冒険者
筋力:12000+α(?????)
体力:12000+α(?????)
耐性:12000+α(?????)
敏捷:12000+α(?????)
魔力:12000+α(?????)
魔耐:12000+α(?????)
技能:金属細胞適合型不老生命体・可変外装・毒無効・全属性耐性・物理耐性・威圧・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・言語理解・戦女神の加護・戦女神の祝福』
数値は私と同じであり、技能が微妙に違うくらいだ。
アデプトテレイターの数値は皆同じなのだろうか?
因みにレムリアやシエラ曰く力を封じれていた時は1/100程度の数値、ユーリアに至っては1/1000程度だったらしい。
彼女達の力をそこまで押さえつけられるなんて、どんな首輪だったんだ…聞いた話によればネメシスパックスからその首輪を着けさせられたみたいだが…
因みに私の今のステータスはこうだ。
『風見ヴェールヌイ 116歳 女 レベル:???
天職:鋼鉄の戦女神 職業:冒険者
筋力:12000+α(?????)
体力:12000+α(?????)
耐性:12000+α(?????)
敏捷:12000+α(?????)
魔力:12000+α(?????)
魔耐:12000+α(?????)
技能:金属細胞適合型不老生命体・可変外装・武装改造・歩く武器庫・毒無効・全属性耐性・物理耐性・戦女神の威圧・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・言語理解』
職業が追加されたくらいで変化はない。
「さて、いよいよ第65階層だ。皆、気を引き締めろ」
と私は指示を出す。
攻略は今のところ順調で、一度昼食を取ってからひたすらしたの階層へ進んでいる。
「遂に戻ってきたね…第65階層に」
「うん、そうだね」
私達は遂に第65階層に到着した。
「橋が修復されている…自動修復機能があるみたいだな」
「まるでゲームの世界ですよね」
「そうだな、ユーリア。だが、これは現実だ」
「どうやって降りるの?」
とレムリアは問う。彼女は出会った当初はですます口調だったが、何か無理をしてですます口調にしているようだった(ユーリアやシエラ曰く親しい人には本来の口調で喋るらしい)ので、私が何時もの口調で良いぞと言ったら今の本来の口調で喋るようになった。
因みにユーリアの口調は…この中では最年少かつ元々の癖らしいのでこのまま、という事でですます口調のままだ。
「オプティマスコンボイとスカイグライドで降りる」
「わかった」
レムリアはそう返すと、ある物を出した。2対の尻尾に嘴には歯が生えているプテラノドン型のトランステクター、スカイグライドだ。
私もオプティマスコンボイを出し、本来の大きさへと変える。
「「アデプタイズ!」」
「オプティマスコンボイ―」
「スカイグライド―」
「「トランスフォーム!」」
私はオプティマスコンボイと、レムリアはスカイグライドとそれぞれ一体化し、ロボットモードへと姿を変える。
「ハジメ、香織、ゼルフィは私に、ユーリア、シエラはスカイグライドに掴まって」
私の指示に従ってハジメと香織、ゼルフィはオプティマスコンボイに、ユーリアとシエラはスカイグライドに掴まる。それを確認した私達は橋の下へ、それぞれスラスターや翼を駆使してゆっくり降りていく。
道中の滝の流れに沿って飛行し、私達は遂に陸地を発見、其処に降りると共にトランステクターとの一体化を解除して、それを素粒子コントロール装置で小さくして仕舞った。
「此処が前人未踏の地…奈落の底…ヴェルがいなかったら僕は一人で此処にいたかもしれないんだよね」
「そうだな…だが、現実は違う。私達がいる。ハジメは一人じゃない」
「ありがとう、ヴェル」
私達は周囲を警戒しながら進む。
「皆、あれを見ろ」
と私は指を指す。私達の目の前では兎型の魔物と二尾の狼型の魔物の戦いが繰り広げられていた。
二尾狼は群れを作り、尻尾から電撃を飛ばし、兎に至っては一瞬で飛び上がり、空中を蹴って更に狼の頭を蹴り飛ばし、その狼の肉を食らったのだ。さながら蹴り兎とでも呼ぶべきか?
「サイズは小さいが…少なくともベヒモスクラスの強さはあるだろうな。シエラ、狙撃出来るか?」
「うん、やってみるよ」
シエラはMSGの一つであるスナイパーライフルを展開し
「皆も武器を展開して警戒を」
私の言葉にハジメとレムリアはガンブレードランスを、香織はフリースタイルガンを、ユーリアはサムライマスターソード(雫に渡したのとは色違い)を、私はハンドガンとエナジーソードをそれぞれ展開する。
「狙い撃つよ」
シエラはスナイパーライフルのトリガーを引き、蹴り兎を撃ち抜いた。
「蹴り兎、沈黙したよ」
「了解。だが、まだ油断はするなよ。何かが近付いてくる」
そう、私のセンサーが近付いてくる魔物を感知した。
出現したのは熊型の魔物だ。熊は爪を出し、腕を振るうと鎌鼬の様な物を発生させ、私達は回避、鎌鼬は後ろの岩に切り傷を刻み付けた。
爪熊とでも呼んでおこう。
「あれに当たったら駄目ですね」
「そうみたいだね」
とユーリアと香織はそう言う。
「ヴェルさん、此処は私に任せて貰って良いですか?」
「良いだろう。好きに暴れると良い」
「はい!」
ユーリアは右手にサムライマスターソード…刀を、左手にその鞘が変形したライフルを装備する。
「いきます!」
爪熊は鎌鼬をユーリア目掛けて発射させるが、ユーリアはライフルでそれを相殺しつつ接近。
爪熊はユーリアを切り裂こうとするが、ユーリアは刀を振り上げて爪熊の左腕を切断する。
怒り狂った爪熊は残った腕でユーリアを切り裂こうとするが、ユーリアはバックステップで回避。
ライフルで右腕を撃ち落とし
「これで真っ二つです!」
刀で爪熊を真っ二つに切り裂くのだった。
「片付けました!」
「あぁ、よくやったな。ユーリア」
と私はユーリアの頭を優しく撫でる。彼女は嬉しそうにうっとりとしていた。勿論、蹴り兎を狙撃したシエラにも同じ様に頭を優しく撫でる。
「えへへっ、ご褒美を頂きました」
「これがご褒美で良いのか?」
「良いんです」
「私もヴェルのなでなで好きだよ!レムリアもだよね!?」
「わ、私は別に」
「と言いつつ尻尾を嬉しそうにふりふりしているレムリアだった」
「ちょっ、ゼルフィ!?」
「あ~あ、さっきまでのシリアスムードがどっかいっちゃったよ!香織さんも―」
「ハジメくん、私の事、呼び捨てで呼んで?」
「い、いきなりどうしたの!?」
「だってね、皆は呼び捨てなのに婚約者の私の事だけはさん付けなのは…」
香織はもじもじしなからそう言う。
「そうだそうだ一線踏み越えろ」
私も野次を飛ばす。
「ちょっ、ヴェル!?それ違う意味になっちゃうから!」
「大人の階段でも登ってろこのバカップル」
「それもうアウトだから!皆がいるから!」
ハジメのツッコミに
「あっ、お気になさらずに」
「私達は何も見てないし」
「聞いていないから」
「大丈夫大丈夫~」
ユーリア、シエラ、レムリア、ゼルフィはそう返す。
「という訳だ」
「ヴェル、絶対楽しんでるよね…!」
「想像に任せる。で、香織の事を呼び捨てで呼んじゃえ」
よく見ると香織は香織で
「大人の階段…ハジメくんと大人の階段…」
と呟きながら顔を赤くしていた。
「えっと、香織、さん…いや…香織…」
「う、うん…ハジメくん…」
「さて、二人も良い雰囲気になってきたところで良い時間だし今日は此処までにしよう」
「ヴェル、空気が台無しだよ」
そんなハジメの言葉はスルーしつつ私は休む準備を始めるが…
「ん?魔力反応が近くから出てる…ハジメ、この魔力反応が出てる所まで錬成で道を作ってくれないか?」
「わかった」
ハジメは真面目な顔でそう返し、壁に手を当てて錬成を行い、それを繰り返す。
そして、私達が発見したのは膨大な魔力を含んだ鉱石だった。
「これってまさか…」
ハジメはこの鉱石が何かというのに気付いたようだ。
「あぁ、神結晶だ。という事はこの液体は神水だな」
大地に流れる魔力が千年という長い時をかけて偶然できた魔力溜りにより、その魔力そのものが結晶化した神結晶。
その神結晶が更に百年もの時間をかけて内包する魔力が飽和状態になる事で液体となって溢れ出した物が神水だ。
神水を飲んだ者はどんな怪我も病も治るらしく、流石に欠損部位を再生するような力はないが、飲み続ける限り寿命が尽きないと言われており、そのため不死の霊薬とも言われている。
これを見た時、私にある考えが浮かんだ。
「今日は此処で寝よう。私はこれを採取する。やりたい事もあるからな」
「じゃあ、僕達は食事の準備などをしておくよ」
ハジメ達が食事をしている間、私は神水を採取し、それを元にある物を作り出した。
「ハジメ、香織。完成したぞ」
「完成ってまさか…」
「ああ、魔物の肉を食べれるようになる
ハジメは抗体水を飲む。
「どうだ?」
「ちょっとむずむずして止まった」
「ステータスは?」
ハジメのステータスプレートを確認するとこうなっていた。
『南雲ハジメ 17歳 男 レベル:10
天職:錬成師 職業:冒険者
筋力:450(?????)
体力:450(?????)
耐性:450(?????)
敏捷:450(?????)
魔力:450(?????)
魔耐:450(?????)
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査]・言語理解・戦女神の加護・戦女神の祝福・可変外装・魔力操作・胃酸強化・言語理解』
「本当だ…魔力操作がついている…この胃酸強化って…」
「恐らくこれで魔物の肉を食べても死なない抗体が出来たんじゃないかな」
香織の言葉の後、ハジメは二尾狼、蹴り兎、爪熊の肉を抗体水を飲みながら食らった。
『南雲ハジメ 17歳 男 レベル:17
天職:錬成師 職業:冒険者
筋力:650(?????)
体力:650(?????)
耐性:650(?????)
敏捷:700(?????)
魔力:650(?????)
魔耐:650(?????)
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・戦女神の加護・戦女神の祝福・可変外装・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・言語理解』
魔物の肉を食らった事でハジメのステータスはレベル・各数値共に上がっていた。
「…ハラショー…」
長らく口にしてなかったハラショーを口にするくらい驚いた。
「これをMSGと併用したら威力も上がりそうだな」
因みに後で香織も服用し、魔物の肉を食らったら同じ様にレベルと各数値がハジメ程に劇的ではないが上がった。
魔力や魔耐はハジメより上だ。
因みに私達アデプトテレイター組も魔物の肉を食らったが…ステータスに一応技能が追加されたくらいで、更に魔法適性がまったくないが故に宝の持ち腐れのような状態だ。一応、魔力操作で身体の各部に魔力を集め、それによって一時的に身体強化する程度の事はできるが…
これは既に変質した後の存在たるアデプトテレイターだからというのが理由だろう。
という訳で魔物肉を美味しく調理(あれは味付けしないと旨くない)し、後は就寝を取るだけ。
ハジメにはもう一部屋準備するように頼み、その部屋に簡易ベッドを置き、防音結界を張った。各種センサーが危険が感知したら警報がなるようにはしてあるのでセキュリティも問題ない。
「で、何となく察しているけど、なんでわざわざ二部屋も?」
と訊くハジメに私は100年前の友人がよくやっていた決め台詞を私なりにアレンジしていった。
「ファイトだぞ」
「いや、何とファイトするんだよ!」
「言わせるな、わかっている癖に。お前達は婚約者だしやっても問題ないだろ」
「いや問題あるから!って言うかこの話まだ続いてたんかい!」
「そりゃそうだ。香織を見てみろ。顔を赤くしてもじもじしているぞ」
「うん、ハジメくん…私は…良いよ…」
おっ、これはやるか?
「こいつを渡しておこう」
と私はハジメに"アレ"を渡す。
「ヴェル…何で持ってるのさ…」
「もし旅行先でハジメと香織がやりたくなった時に備えて確保していた。子供作るのはまだ早いからこれで我慢しろ」
「とりあえず、ありがとうとは言っておくから!」
とハジメは香織と共に個室に入り、この日ハジメは童貞を卒業し、香織は"はじめて"をハジメに捧げたのだった。
「明日も早いから程々にな」
さて、若者二人が愛し合っている事だし、私は私で作業でもするか。
「お前達も寝て良いぞ」
「はい、それではおやすみなさい」
「「おやすみ」」
「あぁ、おやすみ」
3人も寝た事だし私は作業を始める。
私のトランステクターであるオプティマスコンボイだが…実は私自身もこのトランステクターの事を完全に把握している訳ではない。
アデプトテレイター用トランステクターにはアデプトマスターをサポートする為のAI…サポートAIが搭載されている。
私が嘗て使用していたドレッドバイトやユーリアのグリムレックス、レムリアのスカイグライド、シエラのスロッグブラストがペットロボットの様に動けるのもこのサポートAIによるものだ。
勿論、このサポートAIはビースト系のみならずカーロボット系のトランステクターにも搭載されている。
その中でもオプティマスコンボイは今は亡き私の大切な人が使用していたバルバトスマグナスのものに似ていた。トランステクターが決まる前に使った事があるから分かる。
完全に同じ…という訳ではないがそれでもかなり似通っていたのだ。
オプティマスコンボイのサポートAIの解析は作成している時から今に至るまで続けているが、それでも解析できない言わばブラックボックスとでも呼ぶべき部分があるのだ。
「…つばめさんは何故オプティマスコンボイのサポートAIをバルバトスマグナスと似通った物にしてブラックボックスを設けたんだ…」
つばめさん…立木つばめ。ネストの技術部門の最高責任者にして多くのアデプトテレイター用トランステクターの開発者。
彼女はネスト創設にも関わった技術者一族の出身であり、天才的な頭脳の持ち主だった。
東京湾でのジーオスXでの戦いの後、私はつばめさんの元で彼女が持ちうる技術を学んでいた。しかし、私が彼女の元を離れていた時に発生したある大規模戦闘の最中で死亡したと報告を聞いた。
オプティマスコンボイの事を私が知ったのはつばめさんの死後の事だ。だからこのトランステクターの事を訊こうにもそれが出来ない。
「私もそろそろ寝るか…」
私は荷物を片付けて眠りについた。
翌朝。
「…なんでくっついているんだ」
朝、起きたら私の右腕をユーリアが抱いて寝ていた。
「あっ、おはようございます、ヴェルさん」
「あぁ、おはようユーリア。所で何で私にくっついて寝ていたんだ?」
ユーリアは暫く考えた後
「えへへ、何ででしょうね?」
ユーリアは悪戯に成功して喜んでいる子供の様に幸せそうな笑みを浮かべる。
「まぁ良い。皆を起こして朝食にしよう」
皆で朝食を取り、簡易ベッド等を片付けて出発した。
それから私達は下の階層へと進んでいった。
今、私達がいる階層は火器や纏雷は厳禁な場所だ。
「まさかタールかよ…」
「何もなければ良いが…」
その理由がどこもかしこもタールのように粘着く泥沼のような状態だからだ。
仮に発火した場合、連鎖反応でこの階層全体が摂氏三千度の高熱に包まれることになるだろう。
その中を進んでいた時、タールの中からサメの姿の魔物が現れた。
「"気配感知"に反応しないだと!?」
気配感知の技能を常時使っていたのだが、あのタールサメは攻撃をしかける直前まで気配を感じられながった。
タールサメは再び俺達に襲いかかるが
「これでも食らえ!」
ユーリアは刀でタールサメを串刺しにする。足掻くタールサメに対し私はエナジーソードで切り裂いた。
その後も強力な魔物が現れる度に戦った。
例えば迷宮全体が薄い毒霧で覆われた階層では、毒の痰を吐き出す二メートルの虹色のカエルと戦い、またある階層では麻痺の鱗粉を撒き散らす蛾と戦い、密林のような階層では体の節ごとに分離できる巨大なムカデと戦った。
あと、樹の魔物が落とす木の実はとても旨かったので皆でで狩りまくった。
さてさて、此処で改めてハジメと香織のステータスを見てみよう。
『南雲ハジメ 17歳 男 レベル:49
天職:錬成師 職業:冒険者
筋力:1600(?????)
体力:1800(?????)
耐性:1600(?????)
敏捷:1800(?????)
魔力:1650(?????)
魔耐:1650(?????)
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・戦女神の加護・戦女神の祝福・可変外装・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・言語理解』
『白崎香織 17歳 女 レベル:49
天職:治癒師 職業:冒険者
筋力:1100(?????)
体力:1100(?????)
耐性:1600(?????)
敏捷:1500(?????)
魔力:1700(?????)
魔耐:1700(?????)
技能:回復魔法[+回復効果上昇][+回復速度上昇][+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲回復効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+魔力効率上昇][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動]・光属性適性[+発動速度上昇][+効果上昇][+持続時間上昇][+複数同時発動][+遅延発動]・高速魔力回復・言語理解・全属性適性・戦女神の加護・戦女神の祝福・可変外装・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性』
なんということでしょう、嘗て最弱と呼ばれていた少年は今や召喚された時の勇者(笑)と比べて圧倒的なチートになっているではありませんか
…某リフォーム番組っぽく言ったが、バグっているんじゃないかとすら思えてきた…これも戦女神の加護・祝福によるもの、か…。
そんな私達だが、今とある扉の前にいる。
「何かありそうだな」
「確かに…」
私の言葉にハジメはそう返す。
「開けてみる?」
「どうやって開けます?私達でも力ずくで開けるのは難しそうですよ」
と香織に対しユーリアはそう返す。
「だったらこうすれば良い。シエラ、スロッグブラストでこの扉を破壊するんだ」
「わかったよ!アデプタイズ!スロッグブラスト、トランスフォーム!」
シエラはブラキオサウルス型トランステクターを本来の大きさに戻し、一体化してロボットモードとなる。
「扉の向こうから微かだが生体反応を感じる。扉や破片は飛ばさずに破壊するんだ」
私の言葉にスロッグブラストは頷き、右腕だけをビーストモードの状態に戻す。
「アームハンマー!チェストォォォォ!」
スロッグブラストはある程度加減して扉を殴り、扉を粉々に粉砕する。
私達はライトで照らしながら部屋の中に入る。シエラはスロッグブラストとの一体化を解除している。
部屋の中は聖教教会の大神殿で見た大理石のように艶やかな石造りで出来ており、幾本もの太い柱が規則正しく奥へ向かって二列に並び、中央付近に巨大な立方体の石が置かれていた。
そして、その石には…
「誰か…そこにいるの…?」
上半身から下と両手を立方体の中に埋もれさせられた金髪紅眼のやつれた美少女が私達を見つめていた。
To be continue…