超次元ゲイムネプテューヌ Origins Relay   作:シモツキ

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第八話 道を阻むは滑る坂

時間の感覚がよく分からなくなってくる、どこもかしこも白い建物の中。休眠の為の部屋は、寝易いようにと夜空が映し出された窓(開閉不可)があったけど、時間経過でも夜が明けたりはしないから時間の感覚に対しては意味はなし。

でも時間の感覚が狂うって事は、夜だから眠いとか朝だから目が覚めちゃうとかも無くなる訳で……あんなに長かった恋バナの後の就寝でも、わたし達は寝不足にならなかった。

 

「これは……」

 

別室で寝ていたワイトさんカイトさんと合流して、わたし含む女の子五人で作ったおにぎり(作ったっていうか、握って海苔巻いただけだけど…)と即席のお味噌汁を食べたわたし達は、第四の試練へと向かった。

階段を登って扉を開いた先にあったのは、登った先が見えない坂とそこに流れる何らかの液体。それ以外の物といえば、坂と床の境目にある排水溝みたいな設備位で……だからこそ、見るだけで試練の内容が大体予想出来てしまう。

 

《うんうん、今回は気分もばっちりみたいだね!……五人の方の部屋は、わたしも行きたかったなぁ…》

「…って事は、隠れて見てたりもしてないと?」

《え、そりゃそうだよ。女の子の寝室覗くとか、普通に非常識だもん》

「おっと、まさかワンガルーが常識を語ってくるとは驚きッス…」

 

迷わず私情を挟むワンガルーに茜さんが問うと、返ってきたのは真面目な言葉。…最初の愉快犯みたいな態度はどこ行ったんだろう…。

 

「で、ここでの試練は何なんだ?この坂登れって事か?」

《お、段々察せるようになってきたみたいだね!そうそう、第四の試練はこの坂の突破だよ!けど、ただの坂じゃあ面白くないよね?だから見ての通り……ローション的な液体をこれでもかって位に流してます!》

「あ、やっぱりローションなんだ…一体どれだけの量を用意してるんだこれ……」

「そこは気にしても意味無いところだと思うよ、ルナ」

「あー…それもそっか。うん、だよね」

 

相変わらず緊張感のない内容だけど、流石に四つ目という事もあって誰もびっくりしたりはしない。

けど、驚きはせずとも気になる事がある。まだ説明の途中だから、断言は出来ないけど…これ、今までの中で一番楽な試練じゃない…?

 

《さぁ、皆はこれをどうやって攻略するのかな?因みに坂の先にはボタンがあって、そこを押せば全員が難なく登れるようになるから、試練としては取り敢えず一人突破出来れば達成だよ。でもどんなに待ってもローションが切れたりはしないから、そこに期待しても無駄だからね》

「…これまでの試練同様、禁止事項はないんだな?」

《ないよー。…あ、でも制限はさせてもらうね。ほいっと》

『え?』

 

呑気に応答しながらも、何かを思い出したように軽く手を振ったワンガルー。すると次の瞬間、わたし達全員の周囲を橙色の光が一周した。そして一周した光が消えた時、わたし達の身体には何の変化もなく……けれど何か、違和感を抱く。

 

「…今のは、何ッスか」

《うん、だから制限だよ。だってこの中には飛べたり自分の力を利用して大ジャンプ出来たりする人もいるでしょ?でもそれじゃ試練の意味がないから……封じさせてもらったよ。女神の姿になる事と、一定以上の能力は》

『……っ!』

《でも、心配しなくても大丈夫!達成したら解除するし、達成不可能なレベルの制限はしてないから!》

 

そう言ってワンガルーは消える。じっくり説明する気なんてゼロの、マイペースなぬいぐるみの進行役。…けれどこの時、わたし達は戦慄していた。

気を抜いていた。わたし達は知らぬ間に連れてこられたのに。油断していた。ワンガルーもまだ正体不明なのに。…女神化を封じた?能力を制限した?そんなの、後で解除されるとしても…こんな簡単にそんな事が出来るなんて知ったら、平然としていられる訳がない。

 

「……っ…ほんとに女神化出来ないなんて…二人はどう?」

「…わたしも、無理みたいです」

「…流石にこれは、少しビビるッスね…」

 

イリゼさんからの問いかけに、わたしもアイさんも首を横に振る。……封じられるだけの力がある事も驚きだったけど…わたし達女神、特に先天的なわたしやイリゼさんにとって女神化は特殊能力じゃなくて、あって当然の身体機能みたいなもの。だから出来ない、というのは少し怖くて…この思いを、イリゼさんは前にも感じていたんだって初めて知った。

 

「大丈夫ですか、皆様。何か、体調不良などは…」

「あ、それはないです…けど、ワイトさんも大丈夫ですか?」

「私は普段と変わりありません。恐らく、元から設定された制限に到達していないのが理由かと」

 

それからわたし達は、若干の動揺を残しながらもそれぞれの状態を確認。どうやらはっきりと制限されたのは女神化能力と茜さんの…変身?…能力だけみたいで、身体能力の方はそこまで制限されていないみたいだった。…まぁ、それは坂がジャンプで跳び越えられるような高さじゃないからだと思うけど…。

 

「うぅ、ぴょーんと跳んではい終了は、やっぱり無理なんだね…どう、しよっか…?」

「…ま、これまで通り色々試してみるしかないんじゃないのか?ワンガルーが嘘を吐いてないなら、制限された状態でも突破の手段はあるって事だろ?」

「カイト君は今回も前向きだね。うん、それは良い事だと思うよ」

「そりゃ、最初から後ろ向いてたらつまんないしな。…後はまぁ、俺はワイトさんと同じくあんまり影響受けてないからショックが少ない…ってのもあるかもしれないけど」

「そうだね。私もカイトくんと同意見だよ。封じる力の源泉を断つ…という策もあるけど、それはあまりにも回りくどい上に現実的じゃない。…心中お察ししますが、ここは一つ、突破を優先するのは如何でしょうか?」

 

茜さんとカイトさんのやり取りを経て、わたし達女神の方を向いたワイトさんの発した提案。

正直、わたしとしてはそこに文句なんてない。確かに女神化出来ないのはショックだけど、前に犯罪組織が使ってきたアンチクリスタルみたいなもの…って考えれば、一応「そういうものなんだ」って思えるから。それに、置かれている状況は全員同じなんだから、わたしも気持ちを切り替えなきゃいけない。

…と、いうのがわたしの思いだったんだけど、イリゼさん達は少し違って……

 

「…そうッスね、了解ッス。例え女神化出来なくても女神は女神、やってやろうじゃないッスか!」

「女神として、皆がやる気ならマイナスな事なんて言ってられないもんね。OK、私もやるよ!」

 

ぐっ、と拳を握るイリゼさんとアイさん。二人の顔にはもうショックなんて欠片もなくて、代わりにあるのはやる気の意思。…やっぱり凄いな、こうして自然に女神の考え方が出来るのは……。

 

「…わたしもそれで大丈夫です。…え、っと…わ、わたしも女神ですから……!」

「……あ、も、勿論私もです!女神じゃないですけど!」

 

そうして二人に少し遅れる形でわたしと同意するタイミングを見失っていたルナさんも頷いて、わたし達は一致団結。どうしたら突破出来るか、どんな手段があるかをそれぞれで考え始める。

 

(剣の時は、ギミックがあったんだよね…じゃあここも、ローションを止める方法があるのかな…?…あ、でも止める手段があるなら、『取り敢えず一人突破出来れば』なんて言わないか……)

 

当たり前だけど、ローションだらだらの坂を歩いて登れる訳がない。って事はきっと、それ以外に坂の向こうへ行く方法があるって事。例えば一人だけが通れる道があるとか、六人で起動させて一人が乗り込む装置があるとか、後は……

 

「…これ案外、走って行けちゃったりしないッスかね?」

「うーん……でも剣の時はある意味単純な仕組みだったし、ないとは言い切れないよね。…やってみる?」

「あ、それなら私も挑戦してみよっかな。変身抜きでも私、結構動けるもん」

 

……はい?…えっ、ちょっ…この人達は何言ってるの?わたし意味ワカンナイ。

 

「い、いやいや…幾ら何でもそれは……」

(あ、よかった…ルナさんまでは乗らなかった……)

「…でも、壁を蹴って壊したり剣を台座ごと抜いたり出来るのが女神だし…ひょっとしたら、ひょっとするのかな…?」

「い、今は女神化してませんし、流石に無理かと……(可能性は感じてる…!?)」

 

まさかの正面突破を考えている三人が助走の為の距離を取る中、同じ女の子でもルナさんは冷静な判断を……と思いきや、ちょっと期待を込めた視線を三人へ向けていた。…ルナさんの中で女神、どんどんパワー系になってない…?

 

「ま、これ位助走を取ればいいかな。あんまり長くても体力消費しちゃうし」

「…あ、ちょっと離れて登った方がいいんじゃない?よろけて衝突…とかありそうだし」

「腕が鳴るッスねぇ。…あ、でもこの場合は脚ッスか」

 

もしかしたら冗談かも…と心のどこかで思ってたけど、イリゼさん達はほんとに走って登るつもりらしい。……うん、まぁ…いっか。わたしラムちゃんとかエスちゃんと接する中で知ったもん。時には説得するより実際にやらせて、それで失敗してもらう方が早い事もあるって。

 

「……今は言い出し辛いから、後で挑戦してみようかな…」

 

…男の人の方からもアグレッシブ発想が出てきたけど、わたしはもうノータッチ。そして軽く跳んだり足首を回したりしていたイリゼさん達は…ふっと真面目な顔になって、次の瞬間床を蹴る。

 

「じゃ…行くッスよッ!」

 

ふわりと髪をたなびかせ、一気にトップスピード付近まで加速するイリゼさん達。それなりにあった坂までの距離はあっという間になくなっていって、遂にその脚がローション流れる坂へと到達。それは普通の人なら、その時点で横転ほぼ間違いなしの行為で……けれど三人は滑る事も転ぶ事もなく、登り始める。

 

「……っ…凄ぇ…」

「…アイ様やイリゼ様に加え、茜さんまでとは…ね……」

 

摺動する坂を踏み締め、滑るより早く踏み出される脚。バランスなんて取れる筈のない場所で、それでも身体の芯が真っ直ぐになったまま三人は坂を駆けていく。

それは、卓越した技術と経験のなせる技。魔法による一時的な強化じゃなくて、純粋な力で近接格闘を繰り広げるイリゼさん達だからこそ出来る、身体の挙動の全てを把握し支配した動き。…やってる事は、どう見ても無茶苦茶。でも、見ていると段々…無謀だとは、思えなくなる。

 

(……まさか、ほんとに…いけるの…?)

 

気付けばわたしも期待していた。もしかしたらって。もし出来たら、本当に凄いって。どきどきする。無理だって思ってた事が、出来るのかもに変わったから。

ちょっとずつスピードは落ちてるけど、まだ止まってない。まだ進んでる。まだ上を目指してる。もしかしたら、もしかしたら…本当に、もしかしたらいけるのかも……

 

『ぐっ、ぬ…ぬ……わっ、わわ……わぁあぁああああっ!?』

 

…………。

 

…………。

 

……あ、えーと…無理でした。イリゼさん、アイさん、茜さん。三人共今、凄い勢いで滑り落ちてます。

 

『やっ、ちょっ……ああああああああっ!?』

『…………』

 

滑り出してしまった時点で身体を反転させ、転ばないどころかサーフィンの様に滑走する辺り三人共本当に凄いんだけど……なんて反応すればいいのか、全く分からない。

そう思っている間にもイリゼさん達は下っていって、坂から床へ。でも靴やブーツがぬるぬるの三人は床に到達しても止まらなくて、わたし達の髪を巻き上げながら駆け抜けていく。そして、その数秒後……

 

『へぶぅっ!!』

 

──壁に激突する凄い音と、あんまり女の子らしくない声が後ろから聞こえてくるのでした。

 

「あぅぅ……か、身体バラバラになるかと思った……」

「こ、ここまでコミカルに失敗すると、ただただ恥ずかしいッス……」

「やっぱり、私じゃ無理かぁ……えー君だったら、もうちょっと行けたのかなぁ……」

「も、もうちょっと行けたのかなって……ほんとに何者ですか、えー君さん……」

 

数十秒後、某超微妙能力者さんみたいに壁の破片を頭や肩から払いながら(追突事故レベルなのになんで痛がるだけで済んでるの…?)戻ってくるイリゼさん達。…何だったんだろう、この数分間は……。

 

《うーん、残念だったね三人共。でも折角だし、三人がぶつかった壁には跡を残しとくね!》

「え、急に現れて何…って、ちょっと!?何その恥ずかしい仕打ちは……ってほんとに跡残されてる!?」

「ぎょ、魚拓みたいな跡にされた……」

「な、尚更恥ずいッス……」

「…そんな事の為に出てきたのか、お前は」

《んーん、出てきたのは言い忘れた事があるからだよ?ほら、ここって色々試してみたらその内べとべとになっちゃうでしょ?だから着替えを向こうの小部屋に用意しておいたから、べとべとになるのが嫌なら使ってね》

 

一方急に現れたワンガルーが指差したのは、衝突壁絵…じゃなくて、やっぱり最初は無かった筈の二つの扉。…能力の封印なんてする癖に、何でこんなところで物凄く気を利かせてくれるんだろう……。

…なんて思っている間にワンガルーはまた消失。そこで一つ試したいと思っていた事があったわたしが、一歩前に出ると……同じように前に出た人が一人。

 

「っと、ディールも走ってみるつもりだったか?」

「し、しませんよわたしは……あの、するならどうぞ…」

「はは、冗談だよ。……ちょっと、試してみたい事があってな」

 

前に出たのはカイトさん。彼はにやりと笑った後、真面目な表情で坂を……ううん、流れるローションを見据える。…って、事は…多分、考えているのはわたしと似たような事。

 

「…右半分、使わせてもらってもいいですか?」

「右半分?…あぁ、そういう事か…あいよ、俺は左を使わせてもらう」

 

意思疎通を図った後、わたしは右、カイトさんは左に軽く身体を向ける。わたしは杖を掲げ、カイトさんは腰に溜める形で大剣を構える。

どうして坂の向こうに行けないのか。それは坂が急だからじゃなくて、ローションで滑って登れないから。だからさっきわたしはこれを止める方法があるんじゃ…とか思ったけど、考えてみれば別に止める必要はない。要はわたし達の内誰かが一回、片道でも登れればそれでいい訳で……なら単純な方法が、わたしにはある。

 

「──いってッ!」

「せぇいッ!」

 

掲げた杖を、斜め下へ一閃。その瞬間わたしの足元に現れた氷が床を凍らせながら坂へと走り、隣では振り出された大剣から火炎が発生。床を駆ける氷と炎は、その体積を増やしながら目標へと襲いかかる。右は冷たく、左は熱く。

 

「よし、燃えるな!なら……ッ!」

 

それはまるでどこかの半冷半熱ヒーローさん……じゃなくて、片や凍結させ、片や燃焼させる。氷はローションを氷結させながら更にその体積を増やし、炎は焼き尽くしながら駆け上がる。

一部でも凍らせてしまえば、一時的にでも無くしてしまえばいい。…わたし、それにカイトさんが考えていたのはつまりそういう事。そして登っていく氷にわたしは可能性を感じていて……

 

『……!?』

 

……だけどその勢いが続いたのは、坂の三分の二辺りまでだった。

その少し前辺りから氷も炎も揺らめき始めて、それから一気に氷は崩壊。カイトさんの炎も突然大量の水を受けたみたいに火力が衰え、次第に鎮火。その数秒後には氷は流され、炎が焼いた場所も再びローションに満たされてしまった。

 

「……くっ、駄目だったか…」

「…これは……」

 

流された氷の一つを、わたしは拾う。その氷はわたしが持っている間にもどんどん溶けて、あっという間に液体へ変化。そこである事が気になったわたしは、今度は指先から小さな火を出して、それをローションに当ててみると……やっぱりその火も、少ししてから急に消えてしまった。

 

(…このローション、何か特異な性質があるって事?…だったら、烈風や衝撃波で吹き飛ばそうとしても結果は同じだよね……)

 

詳しい事までは分からないけど、多分今の失敗はわたしの魔力不足やカイトさんの炎の火力不足が原因じゃない。でも逆に言えばこれは、この手段で道を作るのは困難だって証明でもあって、作戦が一つ潰れちゃったって事。…むむ、そんな簡単にいく訳ないといえばその通りだけど…ちょっと、ざんねん…。

 

「…ールちゃん?おーい、聞いてる?」

「ほぇ?…あ…いや、あの…特に指定するつもりはないですけど、流石に『ール』って愛称はちょっと……」

「え、何言ってるの?ール、じゃなくて普通に呼んだよね…?」

「へ?……あ、じゃあわたしの勘違いみたいですね…すみません…」

 

…とか思っていたら、いつの間にかイリゼさんに呼ばれていた。これまで同様、今から作戦会議に入るらしい。…え、『ール』の発音の仕方?ールはールだよ?

 

「お、お待たせしました。…えっと……」

「まだ何も話してないから大丈夫ッスよ。…しかし今回のは、どう突破したもんッスかね…」

「…一つお訊きしたいのですが、今の二種類の方法の中で、試行回数を重ねれば突破出来る可能性がある…と感じられた方はいますか?」

 

わたしが皆さんの輪に入ったところで会議はスタート。最初に出たのはワイトさんの質問で、わたしもイリゼさん達もふるふると首を横に振る。

 

「そうですか…安易な決め付けは視野狭窄に繋がりますが…であればやはり、第二の試練の様に考えるべきでしょうね」

「第二…じゃあ、何かアイテムが隠されてる、とかもあるんじゃないですか?…あの時はどれも突破に使えない物でしたけど……」

 

否定の反応を受けてのワイトさんの言葉に、ルナさんが続く。…そういえば、あの話を切っ掛けにルナさんは少し雰囲気が変わった気がする。…というより多分、心の距離が縮んだ…って感じなんだと思うけど。

 

「アイテム、かぁ…さっきワンガルー、着替えがあるって言ってたよね?なら一先ず着替えない?」

「あ、それはウチも思ってたッス。…濡れるだけならともかく、べたつくのは不快ッスよね…」

「だね。考えてみれば当然だけど、ローションの上を全力で走ればそりゃ跳ねて脚がべとべとになるよね……」

 

ここで少し話が脱線。さっき坂を駆け上がっていた三人が少し気持ち悪そうな顔をしていて、確かに三人の脚には跳ねたローションが付着している。…べとべとで、ねとねとな液体が、女の子の脚にべったり。……うん、良くないね。どう良くないのかは上手く言葉に出来ないけど、これはすっごく良くない気がする。

 

「…………」

「……?ルナさん?どうしました?」

 

そうわたしが感じる中、何やら様子がおかしいルナさん。不思議に思って訊いてみると、ルナさんは手で軽く鼻を抑えて……言った。

 

「…ちょ、ちょっと鼻血が出そうかも……」

『なんで!?』

 

予想の斜め上過ぎる回答に、ワイトさん以外の全員が総突っ込み。ワイトさんも他に何か持っていたら、それを落としてそうな顔。…か、壁にぶつかった三人ならともかく……なんでルナさんが鼻血の危機に陥ってるの…?

 

「…だ、だって…ほら……」

「…あー、うん…そういう事か……」

「……ここは一旦、着替えるとしましょうか」

 

本当に意味の分からないわたしが軽くおろおろしていると、男の人二人の内、カイトさんは肩を竦めつつ頬を掻いていて、ワイトさんは察した顔で着替えの流れを作り出す。イリゼさん達三人も、いつの間にか苦笑いをしていて……あ、あれ?…分かってないの、わたしだけ…?

 

「(うぅ、だからって訊くのは恥ずかしいし…そ、そうだ…!)る、ルナさん…回復、しますよ?」

「あ……うん、ありがとうございます…でもこれ、物理的なダメージとかじゃないので……」

「へ?……あ、そ、そうですよね。わたしもそう思ってました、はい…!(あたふた)」

『……?』

 

危うく分かってないってバレそうだったわたしは、咄嗟に切り替えてギリギリセーフ。…皆さんがきょとんとした顔をしてたけど…バレてない、きっとバレてないから大丈夫。……バレてもそんなに問題ないかもしれないけど、まぁとにかく大丈夫…!

そんなこんなで分かったのは、今回の試練も単純な力技じゃ解決出来ないって事と、一先ず着替えた方が良さそうって事。だからわたし達は一旦男女に分かれて、着替えがあるという小部屋へと移動するのだった。

 

 

……でもほんとに何だったんだろう…エスちゃんとかグリモだったら分かるのかな…?




今回のパロディ解説

・超微妙能力者さん
生徒会の一存シリーズに登場するキャラの一人、宇宙守の事。元ネタは数多あるギャグ展開の内の一つに過ぎないのですが…妙に記憶に残っているんですよね、これ。

・半冷半熱ヒーローさん
僕のヒーローアカデミアに登場するキャラの一人、轟焦凍の事。シーンとしても、彼の様に下から突き上げるような氷と炎を出している…と思ってくれれば幸いです。
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