超次元ゲイムネプテューヌ Origins Relay   作:シモツキ

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番外編 見付けたゲームで七番勝負

「実はさっき、こんな物を見付けたんだ」

 

起床し、食事を取り、各々自由にしていたところへカイトが発した全員への呼び掛け。何事かと思って六人が呼び出された場所へ向かうと……そこには、幾つものTVとゲーム機があった。

 

「これはまた…何であるのか訳が分からないもの沢山見つかったッスねぇ……」

「大部屋にBARにゲームって…いきなり物凄い力入れてきたね。最後の試練に備えて、精神的にも十分な休養を取っておけ、って事なのかな……」

 

疑問しか浮かばないような物品の数々に、揃って半眼を向ける六人。発見者であるカイト自体も思っていた事は同じらしく、イリゼの言葉に苦笑いを浮かべる。

 

「その可能性は、無きにしも非ず…といったところですね。…しかし、ゲームとは……」

「レトロゲーを中心に一杯あるねぇ…これで遊ぼうって事?」

「あぁ、最初は『なんでこんな物が…』って思ってたんだが、段々皆でやってみたくなったんだよ」

「皆で…あ、確かに皆でワイワイやれそうなゲームが多いね」

 

しゃがみ込んだルナが拾い上げた幾つかのソフトは、彼女等にとってはどれもどこかで見たようなもの。全く知らない、未知のものではないからか、カイト以外も段々と興味を示し始める。

 

「あ、ポシェモンXDのダークルピアだ…ハードも色々あるなぁ……」

「…どうかな?勿論俺達が一番やらなきゃいけない目的は分かってるし、そんな事してる場合じゃないだろって事なら片付けてくるけど……」

「いや、いいんじゃないかなカイトくん。全力は心身揃ってこそ出せるものだし…私もBARでうつつを抜かしていた以上、否定出来る立場じゃないからね」

「私もいいと思うよ〜。っていうかいっそ、一日休みにするのはどうかな?実は私も…あーいや、これは後でいっか」

「一日って言っても、体感でしか測れないッスけどね。でもウチも賛成ッスよ」

 

賛否を問いたカイトの言葉にまずワイトが、続いて茜とアイが反応。残りの三人も首肯を返し…七人の方針が、決定する。

 

「じゃあ、何からやる?私は何でもいい…っていうか、そもそも自分の趣味に合うジャンルが何なのか分からないんだけど…」

「あー…やるなら軽く勝負を交えるのはどうッスか?対戦系ゲームの最終的な勝者に勝ち点が貯まっていく…みたいな感じで」

「いいね、じゃあ優勝者にはぜーちゃんからのほっぺにちゅーをプレゼント!」

「ぶふぅっ!?ちょっ、は、はぁッ!?な、何言ってんの茜!」

「…それ、イリゼが優勝者した場合はどうするんだ?」

「何事もなかったかのように話を進めようとしないでくれる!?っていうか、カイト君は男の子なんだからもう少し照れようよ!」

「……照れた方が良かったか?」

「う……そ、そういう訳でもないけど…」

「よーし、頑張るよ…!」

「なんでやる気出してるのルナ!?」

 

…途中イリゼが翻弄されたものの、苛烈になり過ぎない程度に勝負の要素も方針に付加。更に『七人がそれぞれ選んだゲームで行う七回戦』というルールを制定し、キスの代わりに夕飯(仮)の内容リクエスト権を景品とする事で、彼女達のゲーム勝負は始まった。……因みに、ルナの発言は単なる冗談であった事が、発言の数秒後に判明した。

 

 

 

 

画面の中で、縦横無尽に動き回るキャラクター。その前にあるのは、真剣な表情でコントローラーを握るイリゼ達の姿。

 

「ははっ、まさかこんなにも早く再戦する事になるとは思ってなかったッス…!」

「私もだよ、アイ……ッ!」

「やりますね、流石ワイトさん…!」

「手加減は、苦手だからね…!」

 

提案者として一番手を担ったカイトが選んだのは、多人数プレイが可能なアクションゲーム。開始からはそこそこの時間が経過し、生き残りは元々直感的なプレイが得意だったカイト、アームズシェルのコンソールで素早い入力には慣れているワイト、そして近接戦を主とする女神の反射神経を武器にしたイリゼとアイの四人となっていた。

 

「再戦…そうだ、ゲームだが…ここでリベンジマッチをさせてもらうぜ、イリゼ!」

「うわっ、一対二になった!?」

「はは、人気ですねイリゼ様は(ならば、一度引いて漁夫の利を狙うとしようか…)」

「ふっ…戦いとは非情なもんッスよ、イリゼ」

 

踵を返してイリゼへと向かうカイトと、参戦はせず最終的な勝利への行動を取るワイト。二人からの猛攻にイリゼは全然するも削り切られてしまい、残りの人数は三人に。

 

「一回戦目から熱量が凄いね…」

「わたし達とはレベルが違いますね…コントローラー壊れないかな……」

「あはは、ボタンが埋まっちゃって反応はするけど押してる感じない状態とかにはなっちゃうかもね〜」

 

一方敗北した三人はゆるゆると観戦中。その間にも戦いは続き、イリゼとの激戦で操作キャラの残機が僅かとなっていたアイも敗北。遂に勝負はカイトとワイトの一騎討ちとなり、そして……

 

「もらっ──何…ッ!?」

「ワイトさん、格ゲーにはあるんですよ…普通の説明には載ってない、隠しコマンドってやつが」

「…まさか、それを戦いの中で見付け出すとはね…やられたよ、カイトくん」

 

コントローラーから手を離し、ワイトは両手を上げて降参のジェスチャー。画面の中ではワイトのキャラが落ちていき……第一回戦は、終了した。

 

「よっし、まずは一勝!」

「良かったね、カイト君。…でも、次は勝てるかな?」

 

そう言って茜がハードへとセットしたのは、パズルゲーム。少々の休憩の後対戦画面へと進んでいく中、七人もそれぞれコントローラーを握り直す。

 

「ねぷよぷよッスか…誰が命名したか一瞬で分かるタイトルッスよね」

「自己主張強いよね、ほんと」

(誰だろう命名者…って、ねぷ?……まさか、ネプギア…じゃ、ないよね…?)

 

タイトルが軽く話題になった後、第二回戦もスタート。選んだだけあって茜は強く、ジャンルの性質上やり慣れているか否かが分かれ目になり易い事もあって勝負は早々に一騎討ちに。

 

「シノちゃん、パズルゲー得意だったんだね…ちょっと意外かも」

「それはウチもッス。次こそ勝負は頂くッスよ…!」

 

素早く並べ、先を見据えて消し、互いに相手へ妨害を仕掛ける。一進一退の攻防は一回戦目にも劣らない迫力を生み出し、観戦の五人も含めて全員が真剣そのものな雰囲気を作り出す中……何とも意外な形で、勝負が動く。

 

「……っ…ほんとに強いってか、やり込んでるッスね茜…!何かここまでやり込む理由でも…?」

「ふふん、それはねぇ…えー君の影響だよ!えー君もパズルゲームは好きだし得意だからね!」

「おおぅ、また彼ッスか……あ…パズルゲームが得意な男って、ちょっとステキッスよね〜」

「でしょでしょ?格好良いって思うよね、そうだよね!特にクールに全消しする時なんか……あっ…」

 

アイからの質問に嬉々として答えた茜。その反応にアイは呆れるも、そこでなんと彼女は同調するような言葉を口に。すると茜は舞い上がり、頬を緩め……その結果、操作がおざなりになってしまった。すぐに失態に気付いた茜はリカバリーを図るも、相手も手練れ。一度崩れた均衡は戻る事なく……そのまま勝負は、決着した。

 

「…びっくりする程分かり易く引っかかったッスね、茜…なんか申し訳ないッス……」

「うぅ、その言葉はむしろ追い討ちだよシノちゃん……」

 

誰も予想していなかった形で終了する第二回戦。この終わり方には五人もぽかーんとしており、茜に至っては意気消沈。だが真剣勝負ではあっても娯楽だという事があってかすぐに茜は気を取り直し、明るい表情で「次は負けないよ!」と宣言した事で和気藹々とした雰囲気も復活。また少々の休憩を入れて、勝負は第三回戦へと移行する。

 

「…ここは、この技…かな」

「……!…交換を読んで技を出された…マジかディール……」

 

巧みな読みで選択を予測し、カイトから勝利を収めるディール。先程の有名タイトルスピンオフ作品を選んだのも彼女で、総当たり戦のトップを独走中。前二回では目立った活躍もなく、また外見からはとても想像出来ない程の的確な読みに、六人は舌を巻いていた。

 

「…ディールちゃんって、まさか…ポシェモンガチ勢…?」

「だとしたらびっくりだよね…エストちゃん…というか、友達とわいわいやってそうなイメージはあるけど……」

「凄いなぁ……あ、やった勝てた」

「は、はは…やりますねルナさん…(命中率30%が、何も無しに連続で当たった……)」

「こっちはこっちで地味に凄い事してるッスね…」

 

一方の六人はほぼ団子状態。何人かは豊富な戦闘経験を基にした読みを展開してはいるものの、アクションゲームとは比較にならない程に実戦とは乖離した内容であるが為に、ディールと比較するとその読みの精度は雲泥の差。そしてあろう事か、そこそこの試合を残して総当たり戦は……優勝者が、決まってしまった。

 

「はふぅ……ゲームだとしても、優勝出来るって嬉しいものですね」

「そ、そうだね…良かったね、ディールちゃん…(トップ独走者とは到底思えないほんわかさだよディールちゃん……)」

 

声に嬉しさを滲ませながらディールが微笑む一方、同意するイリゼは苦笑い。まさか、誰もが知るゲームでこんな何とも言えない空気になってしまうとは……そう思う六人と、純粋に喜ぶディールだった。

 

「でも、やっぱりやるならレンタルじゃなくて自分で育てた手持ちですね。そこだけはちょっと残念でした」

「おおぅ、饒舌ッスねディール……さーて、じゃあ次はウチが選んだゲームッスよ」

「あ、はい。この調子で、次も……」

「さーやるッスよー!ジャンルは勿論、ホラーゲーッス!」

『……!?』

 

第三回戦も終わり、アイは第四回戦の選択者としてあるゲームのパッケージを勢い良く天(井)へと掲げる。ディールは勝利の高揚感から積極性を見せていたが……そのジャンルが何か分かった瞬間、彼女とイリゼはあからさまに肩を震わせる。

 

「ホラーゲーか…対戦要素なんてあったっけ?」

「正しくはホラーシューティングッスね。スコアで順位を決める…って事でどッスか?」

「了解です。では誰から……」

「そ、そういえばディールちゃん!私さっきスローライフゲーム見付けたんだけど一緒にやらない!?」

「あ、い、いいですね!わたしもさっきヘッドフォン見付けたので、それも使いましょうか!」

「…お、お二人は棄権のようですね……」

 

ホラーゲーは怖いです、と言わんばかりの勢いでヘッドフォンを装着しスローライフゲームを始める二人。対する五人は片や幼女、片や第三の試練でホラーに対する耐性の低さを露呈させた女神という事もあり、無理な強要はせずに五人での勝負を開始した。

 

「うわっ!予想はしてたッスけどやっぱり怖いッスね!ビビるッス!」

「と言いつつ楽しそうだねアイ…怖いのはすっごく同意だけど……」

「…そういえば、実際にゾンビ退治をした事もあったな……」

「実際にゾンビ退治?へぇ、ワイトさんの世界にはゾンビもいるんですね」

「いや、まぁ…厳密には違うけど、とある施設で吐き気を催すような出来事が…ね」

((リアルバイオハザード…!?))

 

怖がる者怖がりつつも楽しむ者、ふと過去の出来事を思い出す者と五人の反応は三者三様。…因みに、先程棄権した二人はといえば……

 

(うぅぅ、怖いんじゃないし!今は凄くスローライフゲームをやりたいだけだし!)

(……気になる…ちょっとだけ、見よっかな…でも、寝られなくなる位怖かったらどうしよう……)

 

意外にもディールの方がホラーに対して積極性を見せていた。加えて言えば、両者共意識が散漫の為彼女等の操作するキャラクターはふらふらと歩き回っているだけの状態となっていた。

そんなこんなで五人のスコアアタックも終了。どうもアイは得意だから、ではなくやってみたかったから、という理由で選んだらしく好成績は取れず、優勝は銃器の扱いに慣れたワイト……ではなくなんと茜。

 

「ふぅ…あんまり怖くなかったかな〜」

「いやぁ、第二回戦とは逆になったッスねぇ」

「うーん…(怖いってか、上手く当てられなかった事が多かったな…銃器も使うのは大変なんだなぁ…)」

「…………(あの一件が頭をちらついてあまり集中出来なかった…)」

「つ、次は何やる…?(うぅ、私もイリゼ達の方が行けばよかったかも…夢に出てきそう……)」

 

それぞれの感想を抱いて第四回戦もおわり、七人の勝負も後半戦へ。ここまでは全員が一勝したかどうかとなっており、まだ優勝のないイリゼ、ルナ、ワイトもまだまだ逆転を狙える状況。そして、そこで五番手であるワイトが選んだのはロボットゲーム。これもまたある種のシューティングであり、二回続ける形とはなったが…当然ながら雰囲気は真逆。

 

「大剣、赤い粒子、オレンジのカラーリング……うんうん、正に私が選ぶ為にあるような機体だよねこれ!」

「…この機体、作中みたいにスタンドアローンシステム使えるのかな……」

「うっわぁ……知り合いに似た機体だと思ったら、まさかのお茶汲みロボットだったッス……」

(イメージする、イメージする、イメージする、イメージする……!)

 

第一回戦同様の乱戦の中を、各々選んだ機体が飛び回る。まさかの攻撃手段がお茶をかけるか大声を出すかの二択という機体を選んでしまったアイは早々に敗退するも、そこからは概ね白熱した試合に。だがやはりと言うべきか、頭一つ抜けているのはワイトだった。

 

「ふっ……」

((あ、ワイト(さん)が普段見せないタイプの笑みを……))

 

軽やかに機体を走らせ、そこはかとなく職人芸の様にも見える機動で戦うワイトが浮かべたのは、これまで主に見せていた大人としての穏やかなものではなく、少年…或いはロマンを感じる漢のそれとでも言うべき笑み。派手さはなく、奇抜な事もせず、しかし着実に攻撃を当て被弾を避ける彼の操作からは、やり慣れている事がひしひしと伝わってきていた。

 

「…不味い…けど、私だってそろそろ勝ちたいですからね…!」

「お、これって量産機同士の対決なのか…二人共渋いよな」

「いやいや、一番渋いのはウチ…の使った機体のお茶ッスよ」

「いやそれ味的な渋いじゃねぇか…」

 

最後に残ったイリゼとワイトが選んだのは、どちらも従来の技術を大きく超えてはいるものの特殊なシステムを積んでいる訳ではない量産型という、一見華に欠けるような機体。…が、そもそもロボットの勝負の時点でそれなり以上の迫力が生まれており、やられた五人は談笑やミニコントをしつつ見守っていた。

そうしてそこから数分後。イリゼは善戦したものの技量の差は明白であり、変形の隙を突いたワイトの射撃がイリゼの機体を撃ち落とす。

 

「く、どうにもならない隙を突かれた……でも、面白かったですね、ワイトさん」

「えぇ、同感です。……戦闘終了、っと」

「おー、ワイトさん軍人っぽいね」

「それはまぁ、軍人だからね」

 

ガシャン、と機体がリザルト画面で見得を切る中、満足気で吐息を漏らしたワイト。この時…というかゲームを始めて以降、彼も普通にゲームはするのか……と内心で六人は思っていたが、ワイト自身はそれに一切気付かないままだった。

遊びでも本気になれば疲れるもの。それを表すように段々と長くなる休憩を経て、ルナが選択者となった第六回戦もスタート。そして彼女が選んだのは、第三の試練を思い出させる類のボードゲーム。

 

「ルナさんは、このシリーズ得意なんですか?」

「ううん、でも面白そうだなぁって思ってね」

 

ディールからの質問に、ゲーム上でサイコロを振りつつ答えるルナ。出た目は2とあまり多くはないものの、止まったマスでの物件購入は狙い通りだったのか小さな笑みを浮かべてターン終了。ここまでで最も運の要素が強い事もあり、中盤までは誰も抜け出す事なく進んでいく。

 

「ここのところ微妙な順位しか取れてないしな…次こそ勝つ……!」

「ウチも負けないッスよ…!」

「決算か……全く現実的なゲームだ…」

 

ゲームシステムの性質上段々と人数が減る…という事がない為に、プレイの時間はやや長めに。しかし逆に言えば全員が最後までゲームを楽しめるという事もあり、途中のハプニングイベントも含めて大いに盛り上がる第六回戦。

…だが、それは中盤までの事。後半に差し掛かった辺りから雲行きが怪しくなり、それは終盤で明らかになり……

 

「る、ルナちゃん以外…全員、破産……!?」

「あ、あはははは……」

 

──ゲームの決着時には、普通にプレイすればまずあり得ないような状態が出来上がってしまっていた。全員でこのような状況を作ろうとした訳ではない、バグか何かが起きた訳でもない、完全な偶然……或いは、『運』の力によってこの状況が出来上がってしまったのである。

 

「反面ルナは引く位稼いでゴールしてるし…ルナって超高校級の幸運さんか何かなの……?」

「い、いや偶々だって偶々!百歩譲って偶然じゃなかったとしても、こんな幸運は嫌だよ…」

「はは…でもここまでぶっ飛んだ状況だと、逆に笑えるよな。凄くレアな体験である事には変わりないんだし」

「ポジティブですね、カイトさんは…で、次は……」

「うん、最後は私だよ。私が選ぶのは……これ!」

 

何とも言えない雰囲気となった数十秒。そこから気を取り直してイリゼが手にしたのは、なんて事ない普通のスポーツゲーム。多少ゲームとしての要素はあれど、基本的には単純なゲームで……だが一人、イリゼの選択に戦慄する者がいた。

 

「……ッ!…て、テニスゲーム……」

「…どうかしましたか?ディール様」

「う、あの……わたしは、棄権で…(ぶるぶる)」

『……?』

 

ホラーゲームと違い、これといって恐れる要素などない筈のゲームに対して早々に棄権を宣言したディールに、五人は揃って疑問を抱く。一体何を避けようとしているんだろう、と。

確かにこの時点では、ディールの心情を五人が理解出来る訳もない。しかし……すぐにその理由は、ゲームを行う事によって明らかになる。

 

「んっ……ざっとこんなものかな」

『…………』

「やっぱりテニスっていいなぁ、実際にやるのもゲーム上でも面白いもんね」

『…………』

 

 

((…ストレートで六枚抜きされた……))

 

優勝者が決まった時、そこには気分の良さそうなイリゼと引いているディール、そして愕然としている五人がいた。

ストレートで六枚抜き。…つまりイリゼは、六連続で完封したのである。それもただ勝ったのではなく、プロゲーマーと初心者が戦うような、圧倒的な差を付けて。ここまで同じくトップを独走したディール、普通はあり得ない結果を叩き出したルナと似たような状況はあったが、イリゼの結果は最早次元の違うものだった。……流石にこれは笑えない、とはこの後のカイトの談。

 

「…女神化すると時々口調が変わる事といい、イリゼは偶にどうなってるんだかよく分からない事があるッスね……」

「う、うん…因みにあれってなんなの…?」

「口調?口調は…癖っていうか、気分が昂まると自然に出てきちゃう感じかな。時々意識して言ってる事もあるけどね」

「あ、そうだったんですね……って、あれ?…これ、結果って……」

 

二回連続で訪れる何とも言えない雰囲気。続いた事もあってか今度はその雰囲気の持続時間も長く…しかしそこで、ディールがある事に気付いた。

彼女の声に触発されて、他の面子も次々と気付いていく。今し方、全七回の勝負が全て終わった訳だが……

 

「……全員、一勝ずつの横並び状態…?」

 

目をぱちくりさせながら状況を口にしたルナに、全員が首肯。…そう、なんと全員が一回のみ勝利をしており、その結果誰も抜き出ていなければ負けてもいないという、これまた狙わずして実現するのは容易ではない状況が生まれていたのだった。

 

「…どうする?もう一周…は長いし、もう一戦して決着をつけるか…?」

「それも悪くはない…けど、私ちょっとゲームは疲れてきちゃったかも…ずっと画面見て、指先だけは激しく動かしてた訳だし……」

「確かにそれはあるね。それに、もう一戦するにしても何のゲームを選ぶかの問題もある。誰かにとって得意なゲームじゃ、フェアな決着とは言えないんじゃないのかな?」

「それもそうですね…うぅん、どうするか……」

 

折角ここまでやったのだから、単なる引き分けで終了とはしたくない。だがならばどうするか。…そんな思考で一時静まり返るイリゼ達七人。

……が、そこで思わぬ提案が入った。誰も予想しなかった、意外過ぎる提案が。

 

「じゃあさ、場所を変えて…というか、別の形で決着をつけるのはどうかな?」

「別の形……?」

「うん。さっきは言うのを止めたんだけど、実は私……プールを発見したんだよね!」

『プール……?』

 

くるりと声に反応して振り向いた時、そこにはいつの間にかビニールボールを手にした茜が立っていた。そして……数十分後の彼女達は、水着を纏ってプールサイドに集合をしているのだった。

 

続く。

 

 

「…え、続く!?続くって何!?いや勿論意味は分かるけど……これまでこんなのあったっけ!?こんな表現出てきたっけ!?まさか第一話に続いて、番外編でも本編じゃやった事ないような表現突っ込んでくるの!?」




今回のパロディ解説

・ポシェモンXDのダークルピア
ポケモンシリーズの一つ、ポケモンXD 闇の旋風(かぜ)ダーク・ルギアの事。ポシェモンも言うまでもなく原作にもあるパロディですね。皆さんご存知かと思います。

・ダークルピア
デュエル・マスターズに登場する、クリーチャーの一つの事。ルギアとルピアで掛けてみました。ダークルピアの場合だと、途端に可愛い感じになりますね。

・「〜〜戦いとは非情なもんッス〜〜」
機動戦士ガンダムの登場キャラの一人、シャア・アズナブルの名台詞の一つのパロディ。確かに多人数対戦ゲームだと、中々に非情な展開になったりしますよね。

・ねぷよぷよ
ぷよぷよシリーズのパロディ。これは原作になかったと思います。…が、原作で出てきそうなネタなんじゃないかなぁと、我ながら思います。

・バイオハザード
バイオハザードシリーズの事。ワイトの話は…百聞は一見にしかずです。『超次元ゲイム ネプテューヌ G.C2017 ラスト・ウォーズ』を読んでみましょう!

・大剣、赤い粒子、オレンジのカラーリング
機動戦士ガンダム00に登場するMSの一つ、ガンダムスローネツヴァイの事。アルケーという事も考えましたが…流石にこちらかなぁ、と思いました、はい。

・スタンドアローンシステム
バディコンプレックスに登場するシステムの一つの事。ディールはルクシオンネクストを選択した…つもりで書いています。理由は主に色や性能です。

・お茶汲みロボット
原作シリーズの一つ、神次元ゲイムネプテューヌV(又はそのリメイク版)に登場するキャラの一人、コピリーエースの事。彼ではなく、あくまで彼っぽいロボなだけですよー。

・(イメージ〜〜する……!)
グランベルムの主人公、小日向満月の台詞の一つのパロディ。ルナの選択機体はホワイトリリーのつもりです。理由は…第十六話のパロディと同様月繋がり、ですね。

・第六回戦のゲーム
これといって名前は出していませんが、桃太郎電鉄シリーズのパロディです。しかし物件購入や決算、破産等で分かった方も多いかなとは思います。

・超高校級の幸運
ダンガンロンパシリーズに登場するキャラの一人、狛枝凪斗の事。苗木誠ではなく、彼の方のパロディです。理由は…二人の幸運の違いを知る方なら分かると思います。


そして、あまり気になる方はいないかもしれませんが、第五回戦では上記の四人に加え、

・イリゼ…VF-0 フェニックスのリバイバル仕様(マクロスゼロ)
・カイト…ガンダムバルバトスルプス+ヘルムヴィーゲ・ランカーの大剣(機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ)
・ワイト…M9 ガーンズバック(フルメタル・パニック!)

…を使っているつもりで書きました。もしロボット物が好きな方は、それを想像して下さると幸いです。
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