超次元ゲイムネプテューヌ Origins Relay 作:シモツキ
取り敢えず今回は一話のみで、次回はまた本編(OE)に戻るつもりですが、今後も時々書きたいなとは思っています。……その時間があればですが…。
そしてこの話(もしかしたらシリーズ)内に登場する名有りキャラは全員目元だけを隠すマスクを付け、普段着又はプロセッサユニットに似た衣装やコスチュームを身に付けている…と思って下さい。
これがOriginsシリーズにおける、いつの話なのかは…皆様のご想像にお任せします。
10.18 プラネスタジアム大会 IWNPヴィーナス級王座戦
(実況)さぁ遂にこの時間がやって参りました!いつやっているのか分からない、会場を張り込んでも一向にやる気配はない、けれどTVではやっているし毎回会場では無数の観客が観戦している…それが新女神プロレスリング!実況は私I&F、解説は某教祖に良く似ていると言われるヒストリーさん、そしてゲストは今回不在でお送り致します!
(ヒストリー)今回はゲストさんがいないんですね(・ω・`)
(I&F)はい!本来ならば選手の誰かしら、或いは関係者の方に来て頂くゲスト席ですが、本日は初回放送ですからね!…さて、これよりお送りするのは本日のメインイベント、IWNPヴィーナス級王座戦です!
(ヒストリー)IWNPインターコンチネプタルと双璧を成す、新女神プロレスシングル戦線の至宝を賭けた戦いですね。まだ選手入場前ですが、これは熱戦になる事間違いなしでしょう( ̄^ ̄)
(I&F)ですね!それでは、この至宝を賭けてぶつかる両雄…いいえ、両雌の入場ですっ!
(入場曲)〜〜♪〜〜〜〜♪
(I&F)機は熟した、自分が女王となる時は来た、それが彼女の意思、彼女の選択、そして彼女が貫く行動!黒き刃は新女神の至宝に、最強の座に届くのか!新女神本隊・コアハーツ所属、160㎝体重非公開、チャレンジャー、エアリアルシュバルツ・エンプレストブラックぅぅぅぅ!
(ヒストリー)良い表情をしていますね、身体も心も準備は万端のようです(´・∀・`)
(I&F)流石はブラック選手ですね、緊張を完全に自らの力にしていると言ったところでしょうか!ですが緊張をものともしないのは、彼女も同じ事!
(入場曲)〜〜♪〜〜〜〜♪
(I&F)常に新女神のトップ戦線を走ってきた、激戦を繰り広げてきた!それは偏に自らの強さを、自分こそが最強であると証明する為!故に今も、彼女は防衛ロードを突き進む!同じく新女神本隊・コアハーツ所属、164㎝体重非公開、IWNPヴィーナス級チャンピオン、ネバーエンドヒロイン・デュークオブパープルぅぅぅぅ!
(ヒストリー)風格のある、堂々とした足取りですね。腰に巻かれたベルトも、こここそが定位置だとばかりに輝いているのではないでしょうかd(^_^o)
(I&F)戴冠以降、常に自分こそが最もこの王座に相応しいと豪語してきたパープル選手ですからね。新女神本隊の、いいえ新女神全体の中核を担うコアハーツの二人が、このプラネスタジアムで両コーナーに並び立ちます!
(ブラック)ふふっ…漸くよ。漸くこの瞬間が訪れたわ。
(パープル)そうね。貴女との勝負、ずっと楽しみにしていたわ。
(ブラック)そう。なら、私から貴女に伝えるのは一つだけよ。そのベルト……この私が貰い受けるわッ!
(パープル)あら、残念だけどそれは叶わない事よ。だって…わたしが勝って、王座を防衛するんだものッ!
(I&F)おーっと!ゴングが鳴る前からお互い臨戦態勢!正に一触即発、リングは火薬庫状態です!
(ヒストリー)両者に挟まれたレフェリーは、さぞや緊迫した心境となっている事でしょう。試合前のチェック、リングナースのとーはいるさんとの意思疎通も完了したようですよ(´-ω-`)
(I&F)そのようですね!ではこれより本日のメインイベント、IWNPヴィーナス級王座戦、60分一本勝負……開始ですッ!
*
両者が動いたのは、リングが会場に鳴り響くのとほぼ同時。チャンピオン、チャレンジャー共に背にしたコーナーから真っ直ぐに突っ込み、リング中央でがっちりと組み合う。
I&F「おおっといきなりの激突だぁぁ!互いの両手を掴み合い、リング中央でパープル選手とブラック選手がせめぎ合う!」
ヒストリー「普段から盟友でありながらも一際強いライバル意識を向け合う二人ですからね。こうなるのはある種必然の事でしょう( ̄▽ ̄)」
I&F「それは確かにそうですね!リング上では一進一退の攻防…だが、若干パープル選手が優勢かー!?」
力の限りで押し合う二人だが、少しずつコーナーとの距離が縮んでいくのはブラック。パープルはにやりと笑みを浮かべ、ブラックは表情を歪ませるが……彼女の表情にもまた笑みが浮かび、次の瞬間力を抜くと同時に腹部へ蹴りを叩き込む。
パープル「ぐ……っ!」
I&F「これは上手い!この勝負、初撃を与えたのはチャレンジャーとなったぁ!」
ヒストリー「どうやらブラック選手は誘い込んだようですね。力を抜く事で更に引き込み、向かってくるところに蹴りを合わせたというところでしょうか(`・ω・´)」
I&F「そのようですね!因みに本日のメインイベントは、特殊ルール一切無しのシンプルなシングルマッチとなっております!」
ヒストリー「どちらも本隊、即ちベビーフェイスですからね。反則や介入もない、クリーンなファイトとなる事でしょう( ̄∀ ̄)」
身体がくの字に曲がったパープルの腕を、間髪入れずに掴むブラック。パープルが体勢を立て直すよりも早くブラックはロープへと彼女を振り、続けて素早く跳び上がる。
I&F「動きが早いブラック選手!ロープの反動で戻ってきたパープル選手の膝へと低空ドロップキックを打ち込み、倒れたところへムーンサルトプレスを叩き込むーッ!」
レフェリー「1!2!……ノー!」
ヒストリー「カウント2で返しましたねパープル選手。ですが先手の奪取と立て続けの攻撃に成功したとなれば、ブラック選手にとっては波に乗るチャンスでしょう(´・ω・)」
I&F「戦いは力だけでなく、心の勝負でもありますからね。という事は、ブラック選手が有利なのでしょうか?」
ヒストリー「まさか。勝負はまだまだこれからですよd( ̄  ̄)」
立ち上がったパープルへ向けて、ブラックの放つ逆水平。鋭いチョップが鎖骨の辺りを打ちパープルは一歩後退するも、続く横蹴りは両腕と脇腹でがっちりとキャッチ。右腕を離し、大きく振り被っての張り手…と見せかけて、その流れのまま掴んだ脚の膝へと肘打ちを打ち込む。
I&F「おー!反撃とばかりにパープル選手も膝へと一撃!更に突き飛ばして追撃に出るーっ!」
ヒストリー「掴まれた状態では衝撃を逃がせませんからね、これは間違いなく効いている事でしょう(。-_-。)」
I&F「巧みな動きですねパープル選手!そしてパープル選手はロープで止まったブラック選手をラリアットで落とし、そのまま場外戦へ移行だー!」
トップロープを軸に回転しながら落ちるブラックを追って、パープルもリングの外へと降り立つ。
パープル「ほらほら、まさかこれで終わりじゃないでしょ?まだわたしは全然楽しめ……」
ブラック「はっ…舐めんじゃないわよッ!」
パープル「くぅ…ッ!…けど、別に…舐めちゃいないわよッ!」
ブラック「あぐ……ッ!こ、のぉッ!」
落下のダメージで立ち上がるのが遅れたブラックの両肩を掴んで立ち上がらせたパープルだったが、ブラックはその両手を下から打ち払い、驚くパープルの横顔へエルボー。しかしパープルもまたブラックの頬を張り、すぐさまブラックは近距離タックル。
I&F「火が付いたかブラック選手、助走を付けずのタックルを放ち……いや、いやいやこれは布石か!?即座に首へと腕を回し、パープル選手の首を片脇に捕らえ、場外でのDDTだーッ!」
ヒストリー「後ろに倒れ込む事で頭から相手を落とし、首と頭部にダメージを与える技ですね。しかしそれを薄いマット一枚の場外でやるとは、ブラック選手容赦がない!(><)」
I&F「しかもヒストリーさん、ブラック選手は即座にリングの淵であるエプロンサイドに登りましたよ!?そしてコーナーのロープに足を掛けて…あーっと出たっ!高高度に跳び上がってのラ・ケブラータだぁぁぁぁッ!」
ヒストリー「新女神でも有数のハイフライヤー、その面目躍如ですね。これはチャンピオンにもかなりのダメージが入っていますよ…!o(`ω´ )o」
ロープを使った場外へのムーンサルトが立ち上がろうとしていたパープルを再び倒し、迫力満点な動きと宙を舞った美しい姿に湧き上がるのは大歓声。自身も衝撃で一瞬呻くがすぐにブラックはパープルを引っ張り、3カウントを取る為彼女を本来の戦場であるリング内へ。パープルの身体に上半身で覆い被さり、更に片脚を抱え込んで片エビ固めの体勢を取る。
レフェリー「1!2!す……おぉぉ!」
I&F「危ないカウント2.8!ブラック選手からすれば後一歩で、パープル選手からすればギリギリのところで決着とはならず仕舞いだー!」
ヒストリー「しかし今のはチャンピオンにとって相当な痛手となった事は間違いありません!踏ん張れるかチャンピオン…!
(;゚Д゚)」
何とか3カウントを取られる直前に肩を上げる事でピンフォール負けを回避したパープルだが、当然ダメージは残ったまま。彼女に比べればまだダメージの少ないブラックはならば、とばかりに横へ回り、腕ひしぎ十字固めで彼女の右腕を責め立てる。
パープル「…ぁうっ…く、ぁぁ……ッ!」
ブラック「ほらほら、まさかギブアップなんてしないわよね?まだまだこんなものじゃないんだから…ッ!」
左脚で首元を、右脚で下乳を抑え、自身の谷間で挟み込むようにして右腕を責めるブラック。形が良く容姿全体との調和の取れた胸に、すらりと伸びていながらも程良く柔肉の乗った脚と、溢れんばかりの魅力を持つ二人の肢体が密着し、パープルの口から苦悶の喘ぎが上がると同時に観客席も一層強く色めき立つ。
がっちりと決まった関節技は、例えギブアップせずとも時間経過に伴ってダメージが深刻化していくもの。本来曲がらない方向に伸ばされる肘は腕力だけで覆せるようなものではなく、左手はブレイク…即ち関節技の解除をレフェリーより支持されるロープには遠く届かない。
大ダメージを負ったチャンピオンにとって、絶体絶命の状況。だが次第にパープルへのエールが沸き起こり、それは広がり大合唱に。レスラーを後押しするファンの声を危惧したブラックは一気にタップアウトを狙おうと力を込めるが……次の瞬間、そのブラックの身体が浮く。
I &F「こ、これは…なんとパープル選手、腕を固められた状態から立ち上がり、ブラック選手を持ち上げたーッ!?しかもそこから振り被り、パワーボムの要領で叩き付けるーッ!」
ヒストリー「なんて強引な、痛みをものともしない攻撃でしょうか…しかし、これでこそチャンピオン!まだまだ戦いは終わりませんよ…!ψ(`∇´)ψ」
槌の如く叩き付けられたブラックの身体はマット上で跳ね、息を詰まらせた彼女の拘束は崩れてしまう。
それはパープルにとって、起死回生の一撃。しかし当然これだけで勝てる程ブラックは甘くなく、それが分かっているパープルはすぐさま次の行動に移る。
I &F「次はどうするパープル選手、ブラック選手の腰を掴み…そのまま力の限りでぶっこ抜くーっ!ぶっこ抜きジャーマンだぁぁッ!」
うつ伏せとなったブラックをその体勢のまま持ち上げたパープルによる、ジャーマンスープレックス。ブラックを背後に叩き付ける事で彼女から自身の爪先までの美しいブリッジを描き、そのまま固めて押さえ込む。
勿論狙うはピンフォール。されどカウント2の途中でブラックが返し、ゆらりと同時に立ち上がる二人。両者の視線が交錯し…次の瞬間、二人はすれ違うようにして走り出す。
パープル「ぁぁああああッ!」
ブラック「はぁああぁぁッ!」
I&F「叫びと共に両者が走るッ!これはどうなる、どうなるんだーッ!?」
リング端まで突っ走った二人は、反転と同時に勢いと全体重をロープへとかけ、反動によって急加速。ブラックから見て右側に位置していたパープルは左腕を広げてランニング式ラリアットを狙うも、ブラックはまるで予測していたかのようにそれに合わせてスパニッシュフライ。傍から見れば何が起こっているのか分からない空中回転が巻き起こり、パープルはマットへ背中から落ちる。
だが、より響く叫びと共にパープルは跳ね起き、力任せにブラックをロープへと走らせる。であれば、とブラックは再びロープの力を使い、飛ぶようなジャンピングエルボーアタックを放つも、待ち構えていたパープルの高打点ドロップキックが顔面に炸裂。自ら両足を揃えた飛び蹴りに向かっていく形となってしまったブラックはひっくり返り、パープルもまた落下しマットへ。
ヒストリー「カウンターに次ぐカウンター…!スピードで攻め立てるブラック選手と、パワーを叩き付けるパープル選手…!熱い、これは熱いです…!W(`0`)W」
I&F「分かります、見ている私達まで熱くなる試合が今繰り広げられています!そして意地と共に立ち上がった二人が行うのは、打撃の応酬だーッ!」
張り手にエルボー、蹴りに掌底。やってはやられ、やられてはやれの激しい打ち合いがリングの中で巻き起こり、観客の二人を呼ぶ声が割れんばかりに会場へ響く。
ブラック「私がッ!勝つッ!勝って…私が…頂点っ、にッ…立つのよッ!」
パープル「負け、ない…ッ!勝つのは、貴女じゃ、なくて…ッ!この、わたしよッ!」
何十発と打撃が放たれた末、パープルが振り抜こうとした右腕。しかし先の腕ひしぎが影響したのか、ほんの僅かに腕の振りが遅くなり…その隙を突いてブラックはパープルの脇からその背後へ。跳び上がる事で左腕に跨り右腕を掴み、そうして再び関節を決める。
I&F「出たーッ!ブラックネスホールドだーッ!」
ヒストリー「上手いですよブラック選手、お互い大ダメージを負った状態での関節技は非常に強力。しかもそれが先程負荷を与えた右腕となれば、タップ…或いはとーはいるさんによるドクター…もといナースストップもあり得ますよ…!Σ(・□・;)」
I&F「まさかまさか決まるのか!?黒き虎を思わせる関節技の前に、チャンピオンは沈んでしまうのかーッ!」
真上へと引き上げていく関節技に、震えるパープルの両脚。それぞれを応援する声で両者の心もヒートアップするが為にブラックは容赦無く固め、パープルも振り落とそうと歯を食い縛る。
一秒毎に危険な角度となっていく腕。それでもタップどころかロープブレイクすら狙わないパープル。その二つを目の前にして「危ない」と感じたのか、ヒストリーの言う通りリングドクターであるとーはいるが判断をしようとリングに近付き…それを目にしたブラックは、歯噛みと共に腕を離す。
ブラック「…ナースストップ…?…そんな終わり方なんてさせない…貴女は、この戦いは…私自身の手で、決着を付けるんだから…ッ!」
関節技を解きマットへ着地したブラックは、漸く解放されるも未だ前傾姿勢なパープルの前へと流れるように回り込み、前後反転した羽交い締め…つまりはリバースフルネルソンでパープルを捕らえ、自身の大技の体勢に入る。
しかしパープルも諦めない。彼女の心は折れてないと示すが如く、ぐっと踏み締められる彼女の両脚。
I&F「ブラックネスホールドを解いたブラック選手、出るか出るかトルネー……いやパープル選手踏ん張る!持ち上げようとするブラック選手に抵抗し、そのまま上半身を跳ね上げて弾き返したーッ!」
パープル「貴女…そうね、そうよね…貴女なら、貴女とわたしの勝負なら…ッ!」
弾かれよろけるブラックの鎖骨へ、走り込んだパープルが放つ袈裟斬りチョップ。太刀の一撃の様に鋭い手刀がブラックの叩き、更によろけてロープにもたれかかった彼女の腹部を横蹴りが打つ。
I&F「再びのピンチからの見事な逆襲!パープル選手、怒涛の勢いでブラック選手を押していくーッ!」
ヒストリー「とはいえブラック選手も僅かな隙を突いて蹴りを放っています。まだ分かりません、次の展開が読めません…!(゚o゚;;」
押されるブラックが鬼気迫る表情で振り出す、首筋へと向けたハイキック。だがパープルは当たる直前に掲げた左腕でそれを阻むと、衝撃にぐらつきながらも片脚立ち状態となったブラックを強引に屈ませ、両手で腰を、両脚の太腿で彼女の頭をしっかりとホールド。先程ブラックが取ったものと似た体勢になりながらもパープルはブラックを180度回転させながら持ち上げ、そこから跳ぶと同時に両脚を開いて正調式のパワーボム。息を詰まらせるブラックの下半身をそのまま固め、ピンフォールを取るべく力を込める。
レフェリー「1!2!…うおぉッ!」
I&F「強烈に決まったパワーボムだが返す!唸るような声と共に、執念の力でフォールを弾く!互角だ、間違いなく両者は互角だーッ!」
ヒストリー「いや、ですがこの動き…パープル選手は、これを返される事が分かっていた…!?(´⊙ω⊙`)」
I&F「という事はパープル選手、あれを出すのか!遂にあの瞬間がやってきたのかッ!」
返した勢いで身体が半回転し、うつ伏せの格好となるブラック。それを前に全身の力をかき集めるようにして立ち上がったパープルはブラックのコスチュームを掴み、踏ん張りを効かせて立ち上がらせる。
背後から回され、ブラックの右手首を掴むパープルの左手と、ブラックの背中に添えられるパープルの右手。次の瞬間両手の動きでブラックは振り向かせられ、パープルの切り札…フィニッシュホールドがリングで吠える。
パープル「ブラックぅううううううッ!!」
I&F「出たーーッ!伝家の宝刀、必殺の一撃、パープル選手を象徴する技プリンメーカーッ!そのファンシーな名前とは裏腹に強力無比な一発が、ブラック選手を吹き飛ばすーッ!」
振り向いたブラックを左手で引き付け、迫る彼女の胸元を打ち抜く全力のラリアット。アッパーの如く迫り上がる右腕はブラックを文字通りに打ち上げ、宙を舞ったブラックはリング端へと叩き付けられる。
その瞬間誰もが息を飲み、静寂に包まれた会場内。その中で息を上げながらもパープルはブラックへと近付き、ロープブレイクにならないよう中央側へ多少引っ張ったところで覆い被さり…体固め。
パープル「はぁっ…はぁっ……」
ブラック「くっ…はっ、ぁ……」
レフェリー「1!2!……3!」
これが精一杯だとばかりに最もシンプルな体固めをパープルがかけ、まだだと手を伸ばすかのようにブラックが身体を強張らせる中、レフェリーの声とマットを叩く音が会場に響く。
レフェリーと共にカウントを叫ぶ声と、返す事を望む声援が奏でる、深い重奏。そしてその響きの中で、三つ目のカウントが入り……試合終了を告げるゴングが鳴る。
I&F「…あ…し、試合終了ぉぉぉぉッ!プリンメーカーからのピンフォールにより、チャンピオンデュークオブパープル選手の勝利!王座防衛成功ですッ!」
ヒストリー「非常に、非常に良い試合でした…。今回はパープル選手の勝利となりましたが、何か一つでも違えば別の結果が訪れていた…そう思わせてくれる試合だったと思います…!(*´∇`*)」
一拍遅れた実況の声と共に、響き渡るのは割れんばかりの拍手と歓声。それは勝利したパープルだけに向けられたものではなく、彼女と共に名勝負を繰り広げたブラックに対しても向けられた、二人へ送る喜びと感謝。
暫くは横並びで倒れていた二人だが、パープルは立ち上がって防衛に成功したベルトを受け取り、ブラックはスタッフに支えられながらも自らの足で歩いてリングを後に。
ここから始まるのは、マイクパフォーマンス。勝者だからこそ許された、興奮冷めやらぬボーナスタイム。
パープル「はぁ…はぁ…まずは、まずは…勝ったわよ、皆っ!」
右腕を庇いながらもマイクを握ったパープルの、観客全員へ向けた宣言。その言葉に再び拍手が巻き起こり、それを聞いたパープルは戦いの余韻と勝利の喜びから紅潮した頬を緩ませる。
パープル「けどやっぱり、ブラックは強い相手だったわ…だって、最後の最後まで勝てるって確信が湧いてこなかったもの…!それに右腕なんて、最後折れるかと思ったわ!」
パープル「だけど、わたしが勝った!勝ったけど、凄く、凄く…最高の戦いだった!…だから、ブラック…このベルトを賭けて、また…ううん、何度で何度でも…勝負しましょ?」
ブラック「……っ!勿論よッ!」
微笑みと共にパープルが見やる先。そこにいたブラックは彼女から投げかけられた瞬間、肩を貸していたスタッフから離れ、振り返り、マイク無しでも会場全体に届く声ではっきりと答える。その表情に、悔しさと新たな闘志、それにほんの僅かな笑みを浮かべながら。
パープル「そうこなくっちゃ。でも、ブラックだけじゃないわ。他の皆も、誰であっても、わたしは挑戦を受け入れる!だってわたしは、新女神プロレスの主人公で、IWNPヴィーナス級チャンピオンなんだもの!」
対戦相手に敬意を表し、試合を楽しみ、されど自分が一番である事だけは譲らない。自身の強さを高らかに言い放つ。それが彼女の、デュークオブパープルのチャンピオンとしての在り方。それが観客に、ファンにどう取られているかは……響き渡る拍手の大きさが何よりも物語っている。
パープル「さぁ、それじゃあ最後に、いつものいくわよ!…このわたしがいる限り、これからも新女神プロレスに──シェアの雨が降るわ!」
そうしてマイクパフォーマンスを、メインイベントを締め括るのは両腕を広げたパープルのポーズ。決め台詞を口にした瞬間キャノン砲と呼ばれる巨大クラッカーが炸裂し、紙吹雪と共にチャンピオンを祝福する。
鳴り止まない拍手、止まらない声援。レスラーの外見がある人物に非常に似ている、声なんてまんまその人だ…そんな事は誰もが忘れ、この時は全員がこの空気の中で熱さと笑みを抱いていた。
I&F「如何だったでしょうか本日の特番、ディメンジョンプロレスリングは。もしもお楽しみ頂けたのなら、レスラー及び関係者一同、幸いに思います」
ヒストリー「本日分はこれにて終わりですが、新女神プロレスではまだまだ様々な試合、様々な戦いが繰り広げられていますからね。タッグマッチに、別の王座に、特殊ルールやユニット間抗争…ひょっとしたら、いつかは他団体からの参戦もあるかもしれません(⌒▽⌒)」
I&F「そんな試合もお見せる事が出来ましたら、より一層幸いですね。では皆様、もしその時があるのなら…次回の放送で、またお会いしましょう!」
(エンディング曲)〜♪〜〜♪
この作品は、
『シモツキのやる気』
『シモツキの趣味』
『ネプテューヌシリーズと新日本プロレスへのエール』
で、お送りしました。
今回の技解説
・ドロップキック
両足を揃えた飛び蹴り。高さによっては高角度、低空などとが前に付く事もある。
・ムーンサルトプレス
後方宙返りからのボディプレス。基本的に何も使わないで行う場合はこれとなる。
・逆水平
逆水平チョップの事。掌を下にして放つチョップであり、実は水平チョップと同じらしい。
・DDT
相手の頭(首)を小脇に抱え、後ろへ倒れる事で頭と首にダメージを与える技。基本形であり、多くの派生技がある。
・ラ・ケブラータ
コーナーロープを使い、場外へ向けて放たれるムーンサルト。派手且つ強力だが、出す側も受ける側も最新の注意が必要となる。
・腕ひしぎ十字固め
脚で相手を押さえ、両腕で相手の腕(膝)を逆に曲げる関節技。関節技としては基本的だが、同時に強力。
・ジャーマンスープレックス
相手の腰をホールドし、ブリッジの要領で背後へと相手の頭や首を叩き付ける技。本来は捕まえたまま叩き付けるのであり、離す場合は投げっ放しジャーマンと呼ぶ。
・ぶっこ抜き
立った相手ではなく、倒れた相手を持ち上げて技をかける事。当然かなりの力を必要とする。
・スパニッシュフライ
走ってくる相手の首を掴み、相手の勢いを利用してムーンサルトを行う事で、相手を背中から落とす技。本編中にもある通り、何が起こったのか傍からではよく分からない。
・ジャンピングエルボーアタック
ロープの反動を利用し、飛びかかるようにしてエルボーを放つ技。素早く相手の不意を突く事も出来るが、距離を掴む必要がある。
・ブラックネスホールド
エンプレストブラックの得意技の一つ。片腕に跨るようにして乗り、逆の腕の肩や肘に負荷を与える関節技。とある架空のレスラーの技によく似ている。
・トルネー○○○○○○
エンプレストブラックのフィニッシュホールド。但し途中で返された為にその詳細は不明。
・袈裟斬りチョップ
頚動脈や鎖骨の辺りを狙うチョップ(手刀)の一つ。逆水平チョップの様に放つ場合もある。
・パワーボム
前屈みの相手の腰を掴み、持ち上げながら回転させ、最後は自らも跳びながらマットへ背中を叩き付ける技。体勢の関係から、そのままファールを狙う事が出来る。
・正調式
決まった形はなく、ある技に派生や応用技があり、それと本来の形の技を差別化する場合、本来の技に対して付けられる言葉。所謂『無印』のようなもの。
・プリンメーカー
立った相手の背後から左手で右手首を掴み、回転させ、尚且つ引き付けた上で放つラリアット。とあるトップレスラーの技によく似ているが、あちらと違い上へと打ち上げる。その為落下のダメージが追加され、余裕があれば追撃の飛び技を放つ事も可能だが、逆に相手に余裕があった場合は空中で立て直される事もあり、また位置によってはフォールを取れない(リングから出てしまう)事もあるのが欠点。
・片エビ固め
相手に覆い被さり、片脚を抱え込んでピンフォール(勝利条件の一つ)を狙う技。体固めより返され辛く、難度は体固めと然程変わらない為使われる事が多い。
・体固め
相手に覆い被さる事でピンフォールを狙う技。最も基本的な型であり、同時に恐らく最も楽だがそのままでは返され易くもある。
その他一部の技もありますが、そちらは説明不要かと思ったので省きました。ご要望があればその説明も致します。