超次元ゲイムネプテューヌ Origins Relay   作:シモツキ

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第三話 女神候補生の会議と台詞

未熟だった頃のわたし達女神候補生は、国のトップである女神同士の外交会談に参加させてもらえなかった。理由は当然、未熟だから。何も出来ないどころか、会談の邪魔になったり、そこで聞いた極秘情報をうっかり他の場所で話しちゃう危険もあるからって事で、お姉ちゃんやいーすんさん達に止められていた。

だけど、今はもう違う。まだまだお姉ちゃん達に比べれば未熟だけど、会談に参加してもいいって、もうその資格があるって言われるようになった。お姉ちゃん達…守護女神の四人だけで話したい事もあるみたいで、前半はわたし達も参加、後半はわたし達が退出してお姉ちゃん達だけで…っていう二部構成になっているけど、それでもわたし達にとっては大きな進歩。

そんなわたし達は退出した後、いつも四人で会談の反省会をしたり内容について改めて意見を出し合ったりしてる。…わたし達の成長を認めてくれたお姉ちゃん達の期待に、もっともっと応える為に。

 

「…………」

 

会談で使っている部屋にあるのと似たようなラウンドテーブルを、わたし達四人で囲んでいる。プラネテューヌの女神候補生であるわたしはきりっとした表情を浮かべて、静かに思考を巡らせ中。

 

「…………」

 

左側に座っているのは、ラステイションの女神候補生であるユニちゃん。腕を組んで、瞳に思慮深さを感じさせる光を灯すユニちゃんも、今日の会談について考えを纏めている。

 

「…………」

 

ルウィーの女神候補生であるロムちゃんは、反対側で椅子についている。両手を膝の上に置いた姿勢からは少し緊張というか肩に力が入り過ぎてる印象を感じるけど、それも真剣に考えている事の証明。

 

「…………」

 

そして、ロムちゃんと同じくルウィーの女神候補生であるラムちゃんが座っているのは、わたしから見て右隣。ラムちゃんは真面目な顔のまま一度頭をテーブルの下に潜らせて、戻ってきた時にはぐるぐる鼻眼鏡を……

 

『ぶふぅーーっ!』

「あははははっ!これイロモネアだったらステージクリアねっ!」

 

……わたし達は吹き出した。それはもう思いっ切り。何か飲み物を含んでたら、向かいの人をびっちょびちょにしちゃう位に。

 

「ちょ、ら、ラムちゃん何それ!?な、なんで鼻眼鏡…ぶふっ…!」

「だって今ならぜったい上手くいくって思ったんだもーん」

「あ、アンタねぇ…!今はそういうふざけた時間じゃ……ってそれ掛けたまま肘付いて手を組むんじゃな…うくくっ……」

「……エムジーにのれ、でなければかえれ」

『ぶふふぅーーーーっ!』

 

──またわたし達は吹き出した。口元を隠す手の組み方をした時点で薄々予想はしてたけど、それでも吹き出さずにはいられなかった。ら、ラムちゃんのギャグが暴力的過ぎる……。

 

「は、ははっ…ふふっ…も、もう止めてよラムちゃん…それはもうお姉ちゃんばりのモノボケだよ……」

「は、外しなさいそれっ…笑うから…頭に焼き付いちゃってそれ見ただけで笑うから…!」

「ふふん、これがわたしのセンスってやつよ!…ってあれ?そういえばロムちゃんの笑い声はきいてない気がする…。おーいロムちゃん、ロムちゃんは面白くなかっ……」

「ーーっっ!ーーーーっっ!!(ばんばん)」

『…えぇー……?』

 

女の子としてちょっと恥ずかしい位に笑ってしまったわたし達だけど、考えてみれば確かにロムちゃんの笑い声は聞いていない。それを変に思ったわたし達が、三人揃って視線を移してみると……ロムちゃんは笑ってないどころか、声も出せない程に爆笑していた。興奮した時の某ハーミットさんばりにテーブルを叩いて感情を露わにしているそのさまは、いつも一緒なラムちゃんですら驚く程。

 

「はひぃー…はひぃー…く、くるし…ぷぷっ……!」

「ろ、ロムちゃん…笑ってくれたのはうれしいけど、だ…だいじょーぶ…?」

「あ…ラムちゃん、それ掛けたままで話しかけたら…!」

「だ、だいじょ……〜〜〜〜っっ!」

「あっ……」

 

胸を押さえて肩で息をする程の状態になってしまったロムちゃんを、当然ラムちゃんは心配して傍に寄る。でもその時ラムちゃんは鼻眼鏡を掛けたままで、それに二人共気付かずロムちゃんは顔を上げちゃったものだから……またロムちゃんは笑いの渦に陥ってしまった。…で、数分後……

 

「けほっ、けほっ…ネプギアちゃん、お水ありがとう……(ぐったり)」

「う、うん…他にも何か欲しかったら言ってね…」

「ご、ごめんねロムちゃん…」

「ううん…すっごくおもしろかったから、だいじょぶ……」

 

漸く笑いが収まった時、ロムちゃんは激戦を乗り切った後並みに疲れていた。…よっぽどツボに嵌まったんだね、ロムちゃん……。

 

「…で、わたし達は何の話をしてたんだっけ?」

「今日の会談の反省会でしょ反省会。ほんと、真面目に話をしてる時にボケるんじゃないっての…」

「む…でももうにものになっちゃってたでしょ?」

「煮物?…あ、煮詰まってたって事?…それは確かに一理あるね…」

 

実は煮詰まる、は本来マイナスの意味じゃないらしい…というのはさておき、確かにラムちゃんがふざける直前の段階では皆無言になっていた。思考に耽っていたといえばそうだけど、深く考えなきゃいけない時点で主だった反省点は出尽くしたようなもの。うーん…反省会を捻り出す、っていうのも変な話だよね…。

 

「…ユニちゃん、今回の反省会はこれ位でいいんじゃないかな?半端なところで切り上げちゃうのは駄目だと思うけど、このまま考えてても進展はなさそうだし」

「進展……まぁ、そうね。切り上げるタイミングを見失って無駄な時間を過ごすのも嫌だし、それでいいと思うわ」

「じゃあ、今日はもうおしまい?」

「それでもいいけど…予定より早く終わっちゃったね。どうしよっか」

 

ユニちゃんの言う通り、進まない思考を何もせずただ続けるだけじゃ無駄になる。勿論その中で無駄じゃないものが見付かる可能性もゼロじゃないけど、それは何にだって言える事。でも、切り上げるって事は時間に空きが出来るって事で、どうしようかとわたしは尋ねる。すると、訊いた直後には誰からも反応がなくて…少ししてから、ロムちゃんがおずおずと手を挙げた。

 

「あ、あの……」

「ほぇ?ロムちゃんどうしたの?」

「うん…わたしね、かんがえてたことがあるの」

 

引っ込み思案で控えめなロムちゃんが、こういう時に自分から言おうとするのは珍しい事。ラムちゃんが小首を傾げながら訊くと、ロムちゃんはこくんと頷きを返す。

 

「どうしたら、もっとおねえちゃんたちに近づけるかなって、かんがえてたの」

「どうしたら、もっとおねえちゃんたちに近づけるか…?」

「それでね、思ったの。おねえちゃんたちにはあって、わたしたちにはないものが、わたしたちにもあるものにかえられれば…近づけるかも、って」

「それはそうね…じゃあ、それが何なのか見付ける為の話をしたいって事?」

「ちがうよ、ユニちゃん。わたし、見つけたの。おねえちゃんたちにはあって、わたしたちにはないもの。…それは……」

『それは……』

 

ロムちゃんの溜めに、ごくりと唾を飲むわたし達。どこかブランさんを彷彿とさせる今のロムちゃんが気付いた、わたし達になくてお姉ちゃん達にあるものとは、一体何なのか。そう緊張の面持ちでわたし達が見つめる中、ロムちゃんはゆっくりとわたし達を見回して……言った。

 

「……女神化したときの、決めぜりふじゃない…かな」

『……へっ…?』

 

至極真面目な顔のまま、更には自信さえも滲ませた顔で発された、ロムちゃんの言葉。…けど、それはあまりにも予想外というか、想定外で……わたし達は呆気に取られてしまった。わたしとユニちゃんは勿論の事、ラムちゃんもこれにはきょとん顔。

 

「き、決め台詞…って…お姉ちゃんの『ねっぷねぷにしてやんよ!』とか、ノワールさんの『アクセス!』みたいな感じ…?」

「そうだよ、ネプギアちゃん」

「あー…おねえちゃんも言ってるもんね!ボロぞーきんにしてやるとか!」

「…うん、そうだけど…それはマネしないでね、ラムちゃん…」

「……?…あっ、ボロぞーきんは女神化したときじゃないから?」

「ちがうけど…とにかく、マネしちゃダメだからね…?」

 

まさかとは思いつつも、決め台詞の例を挙げてみるわたし。するとロムちゃんはそのままの顔で首肯して、わたしの聞き間違いじゃなかった事が判明した。そして、ロムちゃんはブランさんが怒った時や女神化した時に見せる乱暴な口調を、ラムちゃんに見習ってほしくないと思っている事も判明した。

 

「ええっと…それって、わたし達が強くなる事に繋がるのかな…?」

「…ネプギアちゃんは、つながらないって思うの…?」

「うっ……そ、そうは言わないよ…?ロムちゃんはやりたいの…?」

「んと…うん。何したらおねえちゃんたちに近づけるか、わからないでしょ…?」

「うんうん、わたしはロムちゃんにさんせー!だって決めぜりふあったほうがかっこいいもん!」

 

少し目的がズレてる気がしないでもないけど、ロムちゃんの言葉にラムちゃんが賛成。…正直、わたしは繋がらない気がするけど…断固として否定するだけの要素はない。加えて言えば、ロムちゃんから不安げに「つながらないって思うの…?」なんて言われたら、わたしは否定なんて出来る訳がない。

 

「決め台詞、ねぇ…アタシは一応あるんだけど…」

「え、でもそれノワールさんのまねっこでしょ?」

「ま、まねっこじゃないわよ!せめてリスペクトって言ってよね!」

「あ、ラステイションの女神の伝統とかじゃなくて、ノワールさんから影響受けてるって点は間違ってないんだね」

「そ、それは……まぁ、うん…」

 

ユニちゃんの言う決め台詞というのは、返答から考えても恐らく『アクセス』。でもラムちゃんの言う通りまねっこ…じゃなくて自分独自の決め台詞じゃないし、それでいいのかな?…と思ってロムちゃんを見ると、案の定ロムちゃんはあまり納得していない様子。

 

「ねー、どうするの?二人はかんがえるの?」

「……(じー)」

 

もう完全にやる気らしいラムちゃんと、じぃっとわたし達を見つめてるロムちゃん。二人からの視線を受けたわたし達二人は顔を見合わせて、それから軽く肩を竦め……

 

「…じゃ、やってみますか」

「だね」

 

そうして、お姉ちゃん達へまた一歩近付…けるかどうかは別として、わたし達は決め台詞の考案を始めるのだった。

 

 

 

 

考え始めてから数十分。わたし達は今、わたしが持ってきたルーズリーフへそれぞれペンを走らせている。

 

(やっぱりユニちゃんは、これかな)

 

思い付いた決め台詞を文章に書き起こしている訳だけど、考えた決め台詞は自分のものじゃない。勿論最初は自分で自分の決め台詞を考えていた訳だけど、平時のテンションで考えるには流石にちょっと恥ずかしいものがあって、だから十分位したところで皆の台詞を考えるという方式に移行した。

 

「これでよし、と。わたしは幾つか出来たけど、皆はどう?もう少し考える?」

「わたしたちはもうだいじょーぶよ!」

「アタシも…うん、書き上がったわ」

「それじゃ、次はどれにするかだね」

 

どれにするかとは、それぞれで考えた台詞の中から一番良さそうなのも選ぶ事。ただ台詞を考えるだけなら、書いた紙を渡すだけで済むんだけど…それじゃ面白くないよねって事で、ユニちゃんならわたしとロムちゃんラムちゃん、二人での台詞を希望したロムちゃんラムちゃんならわたしとユニちゃんが選んだ台詞を、見て即座に言ってみるというゲーム要素を追加した。…ほ、本来の目的は忘れてませんよ?

 

「…変なの選ばないでよ?」

「分かってるって。ねぇねぇ、これとかどうかな?」

 

本人であるユニちゃんには見えないようにして、わたし達三人は台詞を一つに絞っていく。それが決まったら紙の余白に大きく書き直し、裏側にしてからユニちゃんの席の前へ。同様の事を後二回繰り返して(勿論わたしの番の時は選択に不参加)、『友達が選ぶ一番合いそうな決め台詞』が全員分決定した。

 

「…じゃあ、決まった事だし次は発表だね…」

「…緊張するわね…主にこれから言わなきゃいけないからだけど……」

「そう?わたしたちはワクワクするよねー、ロムちゃん」

「えっと…わたしは、ワクワクとドキドキ…半分ずつ、かな…」

 

一体どんな言葉になったのかは気になるけど、何かも分からない言葉を見てすぐ言うと思うと緊張もする。だけど、多分ロムちゃんラムちゃん程じゃないにしろわたしも実を言うと少しワクワクしていて、台詞に対する期待感も持っている。そういう意味じゃ、今の心境にはドキドキって表現が一番合ってるかな。

順番を決めて、紙を手にするわたし達。一番最初に披露をするのは、元々積極性を見せていたロムちゃんとラムちゃん。

 

「何がかいてあるかな〜」

「むずかしい字だったら、よめないかも…」

「それなら振り仮名も書いておいたから大丈夫だよ。じゃあ、二人共…どうぞ!」

 

並んで立つ二人は、わたしの振りにこくりと首肯。わたしとユニちゃんがどんな感じで言ってくれるか楽しみにする中、頷いた流れのまま二人は紙を表にして……高らかに述べる。

 

「こ、コンパクトフルオープン…!」

「きょーかい魔術かいろ、さいだいてんかいっ!」

「魔法女神、ホワイト☆ロム…!」

「魔法女神、ホワイト☆ラムっ!」

『ばくたんっ!』

 

 

「…………」

「…………」

『……それっぽい!』

 

きゅぴーん!とか、ちゃっちゃら〜!みたいな曲が聞こえそうな雰囲気を纏い、二人で完璧に息を合わせて口上を述べてくれたロムちゃんラムちゃん。最後は杖まで出してポーズをしてくれた二人に対し、わたしとユニちゃんは一度顔を見合わせ……その後、揃って同じ言葉を口にした。…いや、ほんとにそれっぽい!元々期待値は高かったけど…それ以上の出来だよ二人共!

 

「そ、それっぽい…?」

「それはほめてるの…?…っていうか、なんでわたしもロムちゃんも杖出したんだろう…」

「え、えぇ…大丈夫よ、褒めてるから。…凄いクオリティだったわね……」

「うん…元から魔法少女みたいなものとはいえ、驚きの親和性だったね…」

『……?』

 

当の本人二人はピンときていないみたいだけど、見てた側としては感心と感嘆の思いに駆られるばかり。あんまり出来が良いものだから、この後でやるわたしとしては変なプレッシャーがかかってしまう。…ほんと、何だろうねこの親和性…あれかな、イリゼさんの友達の二人がよりそれっぽい子達だったから、余計にそれっぽさが増して……

 

「ネプギアー、ちょっとネプギアー?」

「へ…?…えっと、ラムちゃん何かな…?」

「何って…次ネプギアのばんでしょ?」

「あ……そ、そうだったね…」

 

…なんて考えていたら、わたしは意識がトリップしてしまっていた。…うーん、これじゃ駄目だね。ちゃんと気持ちを切り替えないと。……駄目も何も、別にこれは戦闘中でも仕事中でもないけど。

 

「…こほん。じゃ、やるね。何か注意した方がいい事ってある?」

「ないわよ。でもネプギアに合うと思って選んだから、ちゃんとやってよね」

「それは勿論。二人も真剣にやったんだから、わたしもどんな台詞だろうとやり切るよ」

 

テーブル上の紙を持って、わたしは起立。三人の顔を見合わして、それから小さく深呼吸をかける。

こういう時恥ずかしがって小声になっちゃったりしたら、きっとそれこそ恥ずかしい思いをする。そう考えて、出来れば格好良く決めたいって思いも抱いて、わたしは裏になっている紙をオープン…!

 

「い……今こそ示せ、人々が真に望む女神をっ!ストライド・ジェネレーションッ!」

『…………』

「これがわたしの新たな可能性!クロノパープル・ギアネクス……って、これ超越(ストライド)じゃん!超越共鳴(ストライド・フュージョン)じゃん!…いや確かにわたしネプ『ギア』だし、続編主人公だし、わたし達女神候補生はネクストなジェネレーションだけど!他にも色々感じるところはあるけどさっ!」

 

わたしは言い切った。言い切って、イメージとして思い浮かんだ動作も入れて……最後の最後で我慢出来ず、気付けば思いっ切り突っ込んでいた。それはもう全力で。内心ちょっと「かなり合ってるかも…」とか思いながら。

 

「まぁまぁ落ち着きなさいよネプギア、貴女も結構それっぽかったわよ?」

「そういう事を言ってるんじゃないの!後今さっきは言わなかったけど、これ方向性違くない!?わたしこれだと、イメージ上でしか女神化してない可能性あるよ!?」

「と言いつつ、悪くないとは思ってるんでしょ?アドリブで『これがわたしの新たな〜』とか言ってるし」

「うっ……それは、その…ノリっていうか、つい勢いでっていうか…」

 

とにかく突っ込みたい気持ちで一杯だったわたしだけど、ユニちゃんの返しでその勢いを削がれてしまう。ユニちゃんの言う通り、その部分から先は完全にアドリブだけで言っている。……つまり…はい。正直言うと、悪くないって思ってました…。

 

「えっ、と…お疲れさま、ギアネクストちゃん」

「そ、そっちで呼ばないで……それよりほら、次はユニちゃんだよ!」

「あーはいはい。…なんか、どんな気分で臨めばいいか分からなくなってきたわね…せめてアタシに全然合わないものじゃないといいけど…」

「だいじょーぶよユニ。ぜったい合うってロムちゃんもネプギアも言ってたから」

「そう?…なら、アタシだけ浮くのも嫌だし…本気でやらせてもらうわ…!」

 

ロムちゃんラムちゃん、わたしと続いて最後はユニちゃん。ちょっと大人っぽいユニちゃんはあんまり乗り気にならないのかもって思ってたけど、実際はユニちゃんもやる気十分。そしてユニちゃんは一度目を閉じ、そこから開くと同時に決め台詞を…言う。

 

「…ネプギア、ロム、ラム…。分かってるわ…こんな事しても、変えられないかもしれないって…元には戻らないって…。それでも…これからは…明日は…お姉ちゃん達の、生きる未来を…ねぇ…皆、答えは、出たの…?…皆…満足かしら…?こんな世界で……。アタシは…嫌ね……」

『…………』

「…………」

 

 

『…それっぽい……』

「いやそれっぽい……じゃないわよ!?ちょっ、これ…アタシ死んでるじゃないッ!」

 

静かに、物憂げに、遠く離れた大切な人へ思いを届けるが如く言い切ったユニちゃんに対し、本日二度目の『それっぽい』が発生……したのも束の間、わたしに負けず劣らずの全力突っ込みがユニちゃんの口から飛び出した。

 

「え、まだその段階じゃ死んでないよ?」

「死の間際には変わりないでしょうが!な、なんでアタシだけ女神化のタイミングで言える台詞じゃないのよ!?なんで最後を飾る台詞なのよ!確かにアタシはこの人の別の決め台詞時々言ってるけど!でもこんなの却下よ却下!」

『えー、合ってるのにー?』

「合ってるのにー?…じゃない!ま、まさか死ねっての!?だとしたら流石に傷付くんですけど!?」

 

なんかもうライフル取り出しそうな剣幕のユニちゃんによる、全力全開の却下宣言。見てるわたし達からすればほんとによく合ってる感じだったから、そう言われちゃうのは惜しいんだけど……勿論遠回しに死ねって言ってる訳じゃないし、傷付いちゃうならわたし達も喰い下がる事は出来ない。

 

「…はぁ…ほんと、なんでアタシだけ……」

「…そうは言うけどさ、内心ユニちゃんもノってなかった?わたしやロムちゃん、ラムちゃんと同じく指定してない筈の手振りとか入れてたし…」

「うぐっ……」

「…右手で銃の形、作ってたよね…?」

「…の、ノったのとこれとは別の問題よ、別の……」

((やっぱりノってたんだ……))

 

最後まで憤慨していたユニちゃんだけど、わたしが手振りについて指摘してみると、ユニちゃんは目を逸らしてごにょごにょと返答。…やっぱ内容はともあれ、合ってそうな台詞だと気分乗っちゃうよね。

…という訳で、わたし達の決め台詞発表は終了した。これはいいね!これ採用!…みたいな事は誰も言わなかったけど、本当に皆ばっちり合っていたと思うし、ゲーム感覚にしてみた結果、予想以上に楽しむ事が出来た。そういう意味では、狙い通りじゃなくても成功だと思う。

 

「あー、楽しかった。ふふん、かっこ良く決められたよね、ロムちゃん!」

「うん。わたしも、たのしかった(にこにこ)」

「…アタシのは決め台詞ってより名台詞よね…まぁもういいけど…」

「ふふっ、これは偶にやると面白いかもね。…って、もうこんな時間なんだ…皆、予定してた時間は過ぎたし今日はこれでお終いにしない?終わったら食べようと思って、部屋におやつ用意してあるんだ〜」

「そうなの?じゃあおわりにしましょ!いいわよね、みんな!」

 

おやつと聞いて目を輝かせたラムちゃんの問いに、ユニちゃんとロムちゃんが首肯。提案したわたしも勿論良くて、わたし達は今日の会を締め括る。

わたし達女神候補生は、犯罪神や犯罪組織との戦いの中で成長した。でもまだ女神としての成熟には程遠いと思うし、戦闘以外の事となれば尚の事まだまだなのが、今のわたし達四人。だけど、まだまだなら成長すればいいだけの事。成長の鍵はどこにあるか分からないし、平和になった今はじっくりと成長する事も出来る。…さっきの決め台詞じゃないけど、わたし達にはきっと沢山の可能性があるんだから、これからも今に満足せず進み続けたい。今日お姉ちゃん達とやった会談や、四人でやった反省会を振り返って、わたしはそう思うのだった。

 

 

 

 

 

 

「…ねぇ、ラムちゃん、ネプギアちゃん、ユニちゃん」

「うん?どうしたの、ロムちゃん」

「……今日の決めぜりふで、おねえちゃんたちに…近づけそう…?」

「…………」

「…………」

「…………」

 

 

『……それはないかな…』

「…そ、そっか……」

 

──ロムちゃんに対しては強い否定を基本出来ないわたし達だけど…まぁ、その限りじゃない事もあるよね……。

 




今回のパロディ解説

・イロモネア
バラエティ番組、ウンナン極限ネタバトル! ザ・イロモネア 笑わせたら100万円の事。ラムがやったのはモノボケですね。今回のラムは大分はっちゃけています。

・「……エムジーに〜〜かえれ」
エヴァンゲリオンシリーズの登場キャラ、碇ゲンドウの台詞の一つのパロディ。勿論この時にラムがしているのも例のポーズです。

・某ハーミットさん
デート・ア・ライブのヒロインの一人、四糸乃の事。ラムが単独でボケた場合、ロムは突っ込むか物凄く笑うかの二択なんじゃないかなぁと勝手に思っています。

・「コンパクト〜〜」〜〜『ばくたんっ!』
Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤにおける、変身時の台詞のパロディ。作中ではロムラムが言っていますが、原作でこれを言っているのはルビーの方ですね。

・「い……今こそ〜〜ジェネレーションッ!」
ヴァンガードにおける、Gシリーズの主人公新導クロノの代名詞的な台詞及び、一部のユニットのフレーバーテキストのパロディ。多分ネプギアは超越バンクもしています。

超越(ストライド)超越共鳴(ストライド・フュージョン)、クロノパープル・ギアネクス(ト)
上記と同じくヴァンガードシリーズの用語及び、ユニットの内の一つのパロディ。他にも声優にも若干の関連があったりと、ほんとネプギアはこのネタと合っていますね。

・「…ネプギア〜〜嫌ね……」
機動戦士ガンダム00の登場キャラ、ロックオン・ストラトス(ニール・ディランディ)の名台詞の一つのパロディ。この人の別の名台詞は…言うまでもありませんよね。
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