超次元ゲイムネプテューヌ Origins Relay   作:シモツキ

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今回の話は『コラボエピソード 繋がる次元・繋がる思い』終了後の時間軸となっており、OIでのコラボ同様今後はコラボエピソードを踏まえた言葉が出てくる事があります。…が、そちらを読まなくては話が全く分からない…という事にはなりませんので、ご安心下さい。


第九話 監査と検査

有事の際、女神は国と国民の守護者として戦い、指揮し、平和への先導を行う。それが女神の務めであり、同時に女神の願い。人々の望む、安全で安心な世界を叶えたいという女神の望み。

だけど守護者であり指導者でもある女神は、何も有事の際にだけ動く訳でも、平時は楽な訳でもない。平時は平時で平和の維持を、社会の繁栄を進める事が女神の務めで……って、これは今更言う事でもないよね。

 

「おはようございます、イリゼちゃん」

「おはよう、コンパ」

 

なんて事ない、普通の朝。朝食を終えて廊下を歩いていた私は、そこでコンパと遭遇した。

 

「早いね…っていうか、今日もこっちに泊まったの?」

「はいです。このところ、ちょっと忙しくて…」

 

早朝…って訳じゃないけど、まだ今は早い時間帯。なのにコンパがいるって事は、朝早くから来ていたか、プラネタワーにある私室に泊まったかの二択で……やっぱり、後者だったらしい。…うーん……。

 

「…あんまり仕事抱え過ぎちゃ駄目だよ?身体にも悪いし、教会の仕事環境がクリーンじゃないっていうのも問題だからね」

「大丈夫ですよ、お仕事以外にも色々していて忙しくなっちゃっただけですから。それに、ねぷねぷ達とすぐに会えるですから、ここに泊まるのは嫌いじゃないです」

「それならいいけど…っていうか、コンパに健康について言うのは釈迦に説法だったかな?」

「ふふっ、心配してくれるのは嬉しいですよ」

 

にこりと笑うコンパの顔は、元気そのもの。それを見て私は、完全に杞憂だったかなと思うのだった。…私も、皆とすぐに会える場所に泊まりたくなる気持ちは分かるしね。

 

「イリゼちゃんも、今からお仕事ですか?」

「うん。今日は通常業務と…一つ、大事な仕事がね」

「大事な…あぁ、そういう事ですか」

「そういう事だよ。じゃ、今日もお互い頑張ろっか」

 

コンパの返答に頷いて、私の言葉にコンパも頷いて、私達はそれぞれの目的地へ。

女神は平時にも務めがある。それは国を持たない私も同じ事。その務めは、他の皆とは違うものだけど…大切な事には変わりない。だから……今日も一日、頑張らなきゃね。

 

 

 

 

プラネテューヌ特別技術開発部。教会に所属する部署の一つで、その目的は名前の通り新技術の模索と開発。民間や通常の開発部とは違う、独自の形式で活動を行うその部署、プラネタワーの近くに専用の建物を備えている。

 

「失礼します」

 

廊下でコンパと別れてから数時間後。私はその一角、事務所の中へと訪れていた。

 

「ふーむ…やっぱり設計レベルの問題か…?」

「あの資料は…っと、これだこれだ」

「ネプギア様、NP粒子の圧縮実験準備、完了しました」

「分かりました。じゃあ、早速実験を……」

 

入った途端に感じたのは、活気と熱意。事務所っていうのは大概、ある程度落ち着いた雰囲気があるものだけど…ここはそういう感じがあんまりしない。デスクワークをする場ですら活気熱意を感じる訳だから、現場はもっとやる気に溢れている事が容易に想像出来て……その中心にいたのは、生き生きとした表情で頷くネプギア。

 

「あ、イリゼさん。どうしたんですか…って、言うかすみません!わたし達の誰もイリゼさんに気付かないなんて……」

「ううん、気にしないで。でも来客の存在そのものは気にした方が良いと思うよ」

「は、はい…」

「わ、我々も申し訳ありません…事もあろうに、女神様を無視してしまうなど……」

 

私が入ってから数秒して気付いたネプギアは、周りの職員と共に申し訳なさそうな顔を浮かべる。そんなネプギアに対し、私は一応注意を口にしておいた。来客に気付かないっていうのは職場としても、防犯上の観点でも宜しくない事だからね。

 

「…それで、本日はどのようなご用件で……?」

「うん、まずは確認なんだけど…例のあれ、予定は明々後日だったよね?」

「はい、そうですね」

「でもネプギアの事だから、準備はもう終わらせてるよね?」

「……?そうですけど…」

「なら良かった。じゃあ……全員、その場を動かないでもらえる?」

 

何だろう?と不思議そうな顔のネプギアに向けて、まず私は微笑みを浮かべ……それからネプギアに、この場にいる全員に対して言い放った。

その瞬間、活気の漂っていた事務所の中に緊張が走る。でも、それも当然の事。いつも通りの声音のまま言いはしたけど、今の言葉は『特務監査官』としてのものであり……仮にそれが分からなかったとしても、形の上では要求だとしても、実質的には『女神の命令』なんだから。

 

「…イリゼさん、それって……」

「そう、今から監査をさせてもらうよ。別に何か疑念があってする訳じゃなくて、公正な業務が成されている事を確認する為のものだから、そこは心配しないで」

 

職員さん達と同様、緊張した面持ちを見せるネプギア。これが守護女神の皆なら、雰囲気が変わりつつも余裕は失わないところなんだけど…そこはやっぱり守護女神と女神候補生の差。後はまぁ、私との関係性もあるだろうけど。

立場上仕方なくはあるけど、必要以上に緊張はさせたくない。その思いでネプギアを見つつも全員に聞こえるよう声を発した私は、早速業務に取り掛かる。

 

「現場にも監査の事は伝えてもらえる?それと……大変だとは思うけど、もうちょっと落ち着いた態度をしてあげて。その方が、皆も安心出来ると思うからさ」

「は、はい……分かりました。連絡はお願い出来ますか?」

「りょ、了解です」

 

前半の言葉は普通に、後半は耳元で囁く形でネプギアへと伝える。それを受けて肩の力を抜いたネプギアが職員の一人に声をかけて、その人は連絡すべく端末を手に。さて、じゃあ現場の方は一先ず協力を頼んだ教会の監査部の人に任せるとして……

 

「まずは紙媒体から見せてもらうよ。…あ、動くなとは言いましたけど、座ったり飲食したりは構いませんからね?」

 

そうして私は監査開始。政治関連ならまだしも、機械工学なんて完全に専門外だから、正直見てもさっぱりな書類やデータも多いんだけど……私が見定めるのは、ここで不正や違法が行われていないかどうか。それが特務監査官の仕事であって、それは何も保管されているデータだけを見て判断する訳じゃない。

 

(殆ど全員緊張はしてる…けど、この様子だと意識して不正してる人はいない、かな)

 

書類に目を通しつつも、悟られないように私は見回し職員さん達の顔を見る。

引け目がないなら堂々としていればいい、冷静でいられないのは自分が悪い事をしている自覚があるからだ…なんて言われたりもするけど、私はそうは思わない。例え清廉潔白だったとしても「何か不味い事があったかもしれない」と不安になるのが人ってものだし、それがあらぬ疑いを掛けられている状況だったとしたら、不満や怒りを覚えたって何にもおかしな事はない。むしろこういう場合、変に冷静な人の方が疑わしかったりする訳だから(不正に慣れてるとか、監査を受ける事を想定してる可能性が出てくるからね)、職員さん達の反応に私は安心していた。…まぁ、流石にそれだけで判断はしないけどね。

 

「…研究費用、毎回結構かかってるね」

「それは…仕方ない事なんです。機械というのは、何度も試作と実験、調整と改修を繰り返して生み出されるものですから。その為の費用を惜しんでいたら、良い技術は…独自の技術は生まれないんです」

「うん、それは分かってるよ。でもそれを理解した上で、如何に掛けた費用以上の効果を出すか、その判断を下すかが責任者ってもの……」

「それにですねイリゼさん。機械って、リソースを…いえ、愛情を注げば注ぐ程輝いてくれるんです。可能性をわたし達に見せてくれるんです。機械はもっと出来るって、もっと頑張りたいってわたし達に語りかけてくれるから、その思いを叶えてあげる為にも出来る限りの事をしたいんです!」

 

とはいえ、目的は公正不正を見定める事とはいえ、私だって全く帳簿が分からない訳じゃないし、費用が嵩んでいたらそれはまぁ気になるところ。

…と、思って何気なく言ったんだけど…うっかりしていた。失念していた。ネプギアが、重度の機械オタクであった事を。

 

「分かりますよねイリゼさん!未熟だったわたし達女神候補生を信じて、女神として導いてくれたイリゼさんなら!」

「う、うん…そう言われると理解出来そうな気がしなくもないけど……それだとネプギア達と機械が同列って事にならない…?」

「本望です!」

「本望なの!?」

 

真剣な、大真面目な顔のまま瞳をキラッキラさせて熱弁するネプギアに、思いっ切り私は翻弄されてしまった。…い、いけないいけない。監査を遂行するだけの余裕は確保しておかないと…。

 

「…ネプギア、予算を決める権利はネプギアにあるし、不正使用してない限りはどれだけ予算を増やそうと問題ないけど、節度は守った方が良いからね…?」

「大丈夫ですよ、イリゼさん。候補生とはいえわたしも女神。責任ある立場としての心構えは守っているつもりです」

「それならまぁ、良いけど……」

「…それに、ここで働く皆さんの願いを叶える事も女神の務めの一つですからね…!」

(…ほんとに大丈夫かなぁ……)

 

前は無垢でまっさらな女の子だった筈なのに、今やネプギアも立派な(癖のある)女神。そしてそんなネプギア直属の部署が、この特別技術開発部な訳で……監査の結果とは別に、ネプギアの暴走には気を付けるようイストワールさんとネプテューヌに伝える事を心に決める私だった。…開発部の人達の願いを叶える、というのが純粋な思いであって、決してそれを口実に予算を増やすとかではないと信じたい。

 

「……さて、と…次は電子上のデータを……うん?」

「はい?」

「…………」

「…イリゼさん?」

「あ、ごめん何でもないよ」

 

それから時間をかけて一通り書類に目を通した私は、紙からデータへと作業を移行……しかけて、ふと私の感覚が違和感を捉えた。その違和感の正体を確かめるべく、私は手元の書類はもう一度視線を向けて…次の作業へと移行した。

データ資料にも目を通し、気になった点はその場で訊いて、反応から真偽も推測して、開発部の監査を進める私。この作業も終了すれば、次は現場。

 

「…書類上じゃそれっぽく思えても、実際に見てみると…やっぱり独創性が凄いよね、ここで開発されるものは特に……」

「それが、今は無い何かを創り出す事がここの存在意義なんです。例えるなら、機械とのまだここにない出会いを……」

「うん、それだと某サービス業者みたいになっちゃうから例えるのは止めようか。後今回ネプギアは徹頭徹尾ボケ役で行くの?」

「い、いえそういうつもりではなくて…そもそもわたし、別にボケてる訳じゃないです……」

「だよね…はは……」

 

またもや熱弁を振るいそうになったネプギアにストップをかけて、私は幾つかの機械の稼働を見させてもらう。勿論一つ残らずあるものは全て確認するのがベストではあるけど、それをしていたら流石に何日もかかってしまうし、そうなれば開発部の業務に大きな支障が出てしまう。だから私は幾つか選んで、現場での監査はそれで完了とする事にした。要は、製品テストをする時製造した物全てでテストを行う訳じゃないのと同じ理由だね。

 

(…割と軍事的な開発も多いけど、友好条約に抵触するような物はないし、そこは技術発展における宿命ってところかな。…それよりも……)

 

現場の監査も終えた私は、ネプギアと共にここにある彼女の個室へと訪れた。この段階ともなるとネプギアももう落ち着いていて、表情も普段通りに戻っている。

 

「お疲れ様です、イリゼさん。…あの、どうでした?」

「そうだね、もう少し纏めたものを精査する必要はあるけど……告発すべき点はない、ってのが今の私の評価かな」

「それは良かったです。…あ、いや勿論これは『不正がバレなくて良かった』的な意味じゃないですよ?」

「ふふっ、それは分かってるから大丈夫」

 

誰だって痛くもないお腹は探られたくないもの。だからネプギアの心境は分かるし、逆の立場なら私だって安堵の感情は抱いていたと思う。

 

「…それは、分かってるからね」

「えと、はい……どうして、二度も同じ事を…?」

 

……だけど私には、一つだけ確かめたい事があった。良くも悪くも『女神』に染まって、だけどネプギアらしさは無くしていない今のネプギアだからこそ……私はネプギアの目を見て、真っ直ぐに言う。

 

「……ねぇネプギア、さっき言った事…女神としての心構えは守っているつもりだって言葉と、皆さんの願いを叶える事も女神の務めだって言葉…この二つを、もう一度ここで自信を持って言える?」

「……?言えますけど…どうしてですか?」

「…そっか…うん、ならいいかな。これにて監査は終了だよ」

「え?え?い、いやあのイリゼさん?今の問いは何だったんですか?」

「さ、ネプギア。監査から引き続きになっちゃって悪いけど、検査の方もお願い出来る?イストワールさんにはもう話通してあるからさ」

「何故わたしの言葉を無視して話を進めようとするんです!?ちょっ、イリゼさーん!?」

 

意味深な問いかけと、それに関するやり取りが完結していないにも関わらず別の話を持ち出した私に混乱するネプギア。勿論私はネプギアの混乱も、その原因が私にある事も分かっていたけど…敢えて何も言わなかった。取り敢えず今は、『何だかよく分からない内に終わった』…という認識でも良いと思ったから。

 

(…ネプギアの言葉にも表情にも、淀みや陰りはなかった。……なら、それで十分だよね)

 

次の目的地へと率先して歩く私の脳裏に浮かぶのは、さっきの違和感。結局違和感の正体は分からなかったけど…それこそが一番の問題。理由が見えてこないのに違和感があるっていうのは、それだけで疑わしいと思えるだけの要素になるから。

単なる記入ミスかもしれないし、今この場になかった資料で違和感の正体が掴めるかもしれないし、或いは……本当に何らかの不正があるのかもしれない。違和感の正体が分からないっていうのは、そういう事。

だけどネプギアは、躊躇う事なく言葉を返した。だから私は、それを『ここまで監査してきた者』として信じようと思う。当然、分からない限りは頭の片隅に置いておくつもりだけど、私の務めは調べる事、判断する事であって……決して疑う事なんかじゃ、ないんだから。

 

 

 

 

当たり前だけど、プラネテューヌ特別技術開発部はプラネテューヌの為の組織で、最先端技術の研究もしている関係上他国には公開していない部分も多い。

だけどある一ヶ所のみ、そこで行われている研究と開発のみは、他国の教会に完全公開且つ他国からも積極的な協力を得ている。何故かといえば、その研究開発は信次元全体で進めるべき、情報共有を行うべき……別次元への移動に関するものだから。

 

「…………」

 

私が横になったベット状の機械が稼働し、円状の機械の中を通っていく。例えるならそれはCTやMRI検査で、実際やっているのは似たような事。…尤も、確かめているのは私の健康状態ではないんだけど。

 

「……はい、もう大丈夫ですイリゼさん」

「うん。…で、何か分かった?」

 

機械の位置が元に戻り、操作室からネプギアの声が聞こえてくる。起き上がった私が早速結果を聞いてみるけど、ネプギアはふるふると首を横に。

 

「そっか…やっぱり私の身体には、力の残滓…的なものが残ったりはしないのかなぁ…」

「うーん…次元移動に関しては、わたしもさっぱりなので何とも言えませんが…いーすんさん、そっちはどうですか?」

「こちらは前回同様、中々有益な情報が得られそうです。…まだまだ不明な部分も多いので、表層を読み取れたという程度ですが……(´-ω-`)」

 

操作室に戻って私も結果の画像を見てみるけど、私の身体には女神の…というか、シェアエナジーという特異なエネルギーの存在しか写っていない。…後今は関係ないけど、そのシェアエナジーも完全に解析出来ている訳じゃなくて、プラネテューヌの最新技術を持ってしても「凄いエネルギーに満ちている」としか分からなかったりするのが現状。

 

「じゃあ、次元移動技術の確立は……」

「それはまだ難しいですね。わたしがゲートを開く際、多少の負担軽減や安定性向上の補助装置位でしたら出来そうですが……( ̄^ ̄)」

「そうですか…いやでも、それでも前進は前進だよね……」

「それとイリゼさん、こちらの写真は何の変哲もない、単なる写真のようですよ

(´・ω・`)」

 

技術の確立はまだまだ先。その言葉に一旦は気を落とす私だけど、何も収穫が無かった訳じゃないし、初めての次元移動からは知識も技術も確かに進んでいる。そう考えれば、何も悲観する事はない。

そんな事を思いながら、差し出された写真を受け取る私。そこに写っているのは……勿論、あの時撮った皆と私の姿。

 

「…今回は、色んな人と出会ったんですね」

「うん。再会もしたし、人とも女神とも…何ならぬいぐるみとも出会ったし、こうして最後には…じゃないね、今回は割と早い内から皆と仲良くなる事も出来た。…住む次元が違っても、全然違う経験をしてきても…仲良くなれるんだよ。仲良くなりたいって気持ちが、そこにあればね」

 

写真を覗き込んできたネプギアに答えながら、自然と私の頬は緩む。

何故私がこれを頼んだか。そんなの、また会いたいから…自らの意思で会えるようになりたいからに決まってる。勿論、次元移動技術確立による信次元の更なる発展や、可能性としてあり得る別次元からの脅威への対策も理由の内にはあるけれど、元々の理由は私個人の願いによるもの。…だから、私は感謝している。そんな私の願いに協力してくれる、皆の思いに。

 

「…ですよね。わたしもそう思います。わたし達が旅の中で仲良くなったのも、同じように違う場所で生まれて、違う経験をしてきた人達なんですから」

「あ、言われてみればそうだったね。……あれ、じゃあ私…今かなり恥ずかしい事になってない…?」

「いえ、そんな事はないですよ。それに、そのような事を言うのは…イリゼさんらしいですもんね(⌒▽⌒)」

「ふふっ、わたしもそう思います」

「そ、そう?…それなら、いいけど……って、イストワールさんはともかくネプギアまで温かい目してない…?」

「あはは、してませんよ〜」

「いやしてるよね!?その言い方はわたしに対してほっこりとしてる感情からくるものだよね!?ちょっ、まさかさっきのお返しのつもり!?」

「あ、いーすんさん。さっき言ってた補助装置、うちで作ってみてもいいですか?未知の技術の機械なんて、わたしわくわくするんです…!」

「無視しないでよ!?そういうのは止めてよね…って、割とほんとに作りたい目をしてる!?」

 

…と、折角穏やかな気持ちになっていたのに、気付けばよくある不服な流れ。しかも今回はネプギアにほっこりされた訳で、これじゃ私の立つ瀬がない。しかも目をキラキラさせ始めた今のネプギアには言葉も届かず、結局私は……って、よく考えたらこれが『よくある』流れである事が一番不服だよ!向こうでもちょくちょく弄られたし、ほんとに何でこうなるの!?私女神だよ!?うぅぅ……

 

「こ……これで勝ったと思うなよぉー!」

「えぇぇ!?い、イリゼさんどうしました!?いーすんさん、イリゼさんに何が!?」

「え、本気で言ってます…?(・_・;」

「へ?…そ、そうですけど……」

「そ、そうですか……無自覚って、怖いですね…(-_-;)」

 

行き場のない思いを暴発させた私は、捨て台詞を吐きながら全力で逃走。そんな中で背後から聞こえたのは、きょとーんとしたネプギアの声。つまり、ネプギアは本当に無自覚であの視線を向けていたという訳で……なんていうかもう、いたたまれないにも程があった。

そうして建物のロビーまで走った私。そこで荷物や渡したままになってる本の存在を思い出し、戻るか否か迷う事数秒。そこで不意に持ったままの写真が視界に入って、その写真に勇気を貰っ……

 

…………。

 

「…って、だからそっちでも私弄られたんだよぉぉぉぉっ!うわーん!」

 

──という訳で、その日プラネテューヌの街中では喚きながら駆け抜ける私の姿が多くの人に確認されるのだった。…ぐすん……。




今回のパロディ解説

・「〜〜まだここにない出会いを〜〜」
リクルート社のキャッチフレーズの事。どこのキャッチフレーズかは忘れていたのですが、このフレーズ自体は何故か私の頭に残っていたんですよね。

「こ……これで勝ったと思うなよぉー!」
まちカドまぞくの主人公、シャミ子こと吉田優子の代名詞的な台詞の一つのパロディ。台詞そのものもそうですが、捨て台詞として言って逃げる展開自体もパロディですね。
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