超次元ゲイムネプテューヌ Origins Relay   作:シモツキ

45 / 57
第十五話 一度はやってみたい事

『第一回、プレプラネタワーかくれんぼ!』

 

いつも通りの、わたしとネプギアの共用部屋。わたしの部屋とネプギアの部屋の間にある、どっちの部屋とも繋がってる、わたし達の部屋。そこには今日、見慣れない壁面看板がかけられていた。…って言っても、それはわたしが用意した物なんだけどね。

 

「ええっと…これは……」

「第一回、プレプラネタワーかくれんぼだよ!」

 

目をぱちくりとさせているのは、わたしの誘いを受けてくれた鉄拳ちゃん。同じように都合の付いたマベちゃん、サイバーコネクトツー、REDの三人もきょとーんとした顔をしていて…だからわたしは、取り敢えず企画タイトルを読み上げてみた。

 

「あ、うん…それは分かるんだけど…プレプラネタワーかくれんぼ……?」

「あー、やっぱりサイバーコネクトツーも気になる?やっぱ、プレとプラネでプ被りしてるのは良くなかったかなぁ…」

「わ、わたし達が気になってるのはそこじゃないよねぷちゃん…」

「でも、楽しそうな感じはあるよね!」

 

えーっと…みたいな反応をしてる三人と、目をキラキラとさせる一人。うんうん、REDは分かり易くて助かるな〜。……え、同族だろって?…まぁ、REDとは結構気が合うんだけど…同族に見える?

 

「いや、面白そうなのはわたしも同意だけど…ねぷちゃん、取り敢えず説明してもらえるかな?」

「いいよー。じゃあまずは、どういう経緯で思い付いたかなんだけど……皆もさ、考えた事ない?デパートとか学校とかで、かくれんぼや鬼ごっこをやってみたいな〜って」

「あー…うん、それはあるよ。誰でも一回はやりたくなるよね」

「そう!だからやっちゃおうというのです!」

『えぇー……』

 

あー…から「分かる分かる」の意思を感じ取ったわたしは、つまりそういう事だよ!…とばかりに高らかに宣言。だけどRED以外から返ってきたのは、またもや微妙な反応。

 

「あれ?皆乗り気じゃない?」

「の、乗り気じゃないっていうか…それは、ここでやって大丈夫なの…?」

「だいじょーぶだよ鉄拳ちゃん!なんたってわたし、守護女神だからね!」

「だ、大丈夫なのかな…職員さんに迷惑はかからない?」

「そこは本当に大丈夫だよ。プラネタワー全域じゃ流石に広過ぎるって事も踏まえて、範囲はわたしやネプギア、いーすん達のプライベートエリアであるこの階限定にするつもりだからさ」

「あ、そうなんだ…じゃあ、プレっていうのは?」

「そのままの意味だよ。今日は試しにやってみて、その結果を参考に範囲とかルールの設定をもっと詰めて、最終的には定期的なイベントに持っていくのが目標なんだ」

 

鉄拳ちゃん、マベちゃん、サイバーコネクトツーの質問にそれぞれ答えていくと、段々三人からも「楽しそう」って雰囲気が伝わってくる。だよねだよね、屋内かくれんぼ(&鬼ごっこ)は某逃走ゲームと同レベルの、『やってみたいけど普通はやれない』遊びだもんね!

 

「という訳で、早速やりたいんだけど…どうかな?」

「アタシは勿論OKだよ!だって凄く面白そうだもん!」

「ちゃんと許可…って言うのは変か、ネプテューヌさんは国のトップなんだから…こほん。許可もといイストワールさん達の同意を得てるなら、わたしも参加するよ。わたしだって、これには興味があるからね」

「わたしもだよ、ネプちゃん。それに、隠れるのはわたしの得意分野の一つだもん」

「元々、何かで遊ぶのかなぁって思って来たからね。…やる以上は、負けないよ?」

 

興味津々だったり、既に闘志を燃やし始めたり。それぞれの反応を見せながら、プレプラネタワーかくれんぼへの参加を表明してくれる皆。それを受けたわたしは大きく頷いて、ルールを説明して……かくれんぼは、スタートした。

 

 

 

 

「…よし、時間だね」

 

開始してから十五分後。時間を知らせる端末のアラームを切って、漫画を置いて、ソファから立ち上がる。

今回の鬼は、フロアの構造をきちんと把握してるって事と、今後の為に色々情報を集めたいって目的がある事からわたしが担当。それに、四人には言わなかったけど…隠れる側になっちゃった場合、物語としての動きが無さ過ぎて最悪視点担当役を降ろされちゃう危険性があるからね!主人公として、ここは譲れないよ!

 

「さーてそれじゃ…全員華麗に見付けて、ねぷ子さんの実力見せちゃうんだからねー!」

 

びしぃっ!と天井の監視カメラ(勿論かくれんぼじゃ使わないよ)に決めポーズをして、わたしは共用部屋の外へ。…っと、そういえば皆にはルール説明してなかったね。じゃ、手近な部屋を探しつつルール説明しよっかな。

 

「わたし参上!ほらほら〜、部屋の中に居るなら出てこないと不敬罪で捕まえちゃうぞー?なんちゃって〜!」

 

まずはさっきも言ったけど、範囲は今いるフロアだけ。その中なら部屋の中でも廊下でもOKだけど、外に出たり天井裏に潜んだりするのはアウト。後、鍵もかけちゃ駄目なんだよね。中を確認出来なくなっちゃうし。

で、もう終わってるけど、取り敢えず鬼の待つ時間は十五分。時間になったら即スタートになるから、全員時計とか携帯とかのタイマーをセットする必要があるね。

更に重要なルールとして、スタートしたら隠れる側はもう動いちゃ駄目。勿論ちょっと姿勢を変えるとかは有りだけど、別の場所に隠れるのはNG。だって見通しが効かない(壁あるもん)以上、一度探した場所に隠れられちゃったら延々と各部屋を回り続ける事になっちゃうからね。

 

「取り敢えずルールはこんな感じかな〜…って、これは地の文で出す文章だった……」

 

とまぁ簡単にルール説明をしたところで、わたしとネプギアの部屋周辺の捜索も終了。今のところ、まだ誰も見付けられていない。

 

「うーん、このまま地道に探してもいいけど…それじゃあわたしも皆も詰まんないよね。という訳で、ふーむ……」

 

そういえば、「推理の基本は足」って言ってイリゼと情報収集した事もあったなぁ…なんて思いつつ、わたしは考える。皆はどこに隠れているのか、どこに隠れようと思うかを。そうすれば自ずと隠れている場所は……まぁ分かるかどうかは分からないけど、何も考えず探すよりはずっといいよね。

って訳で、探索は続けながらも考えるわたし。一人一人、思い浮かべて考えて……

 

「んー…まぁ、行ってみよっかな」

 

思い付いた中で一番ありそうな可能性を確かめるべく、わたしはリビングルームに向かった。

 

「とうちゃーく、っと。……ほほーぅ…」

 

リビングに着いたわたしは、部屋の中をぐるりと一瞥。当然それだけで見つかるような場所には、誰もいないんだけど……わたしが目を止めたのは、漫画とかゲームの攻略本が置かれた本棚の一角。そこを見た事で、わたしは推理が正しかった事を確信して……

 

「RED、見ー付けたっ!」

「わわっ!?…うぅ、見付かったぁ……」

 

その数十秒後、カーテンの裏に隠れていたREDを発見した。ふっふーん、これで一人目確保、だね!

 

「むむぅ…こんなに早く見つかるなんて……」

「わたしにかかればこんなものだよ!ドヤァ!」

「わたしにかかれば……はっ、それはつまり、アタシを深く理解してるって事だよね!さっすがアタシの嫁候補!」

「あー…うん、それはそうなのかもね…はは……」

 

早期(って言ってももう数十分は経ってるんだけどね)に見つかり気を落とすRED…と思いきや、物凄いポジティブ思考であっという間に上機嫌に。いやぁ、今日も出たね嫁発言…この子本気でわたし含む皆を嫁にしたいのかな…だとしたら凄いハーレム思考だよね…。

 

「……?違うの?」

「違うっていうか…いやでも、全く違うって事もないかな。わたし思ったんだよ。REDなら、ただ隠れてる事に途中から飽きて、暇潰しの道具を用意するんだろうな〜って。で、ここに来たら本棚の漫画が一冊無くなってたから……」

「うっ……しまった、近くにあったからって漫画を取るんじゃなかったよ…」

 

持ったままだった漫画本を見て、今度こそしょげるRED。これが漫画を持って別の部屋に…とかだったらむしろブラフになってたんだろうけど、REDはそういう事考えるタイプじゃないもんね。

 

「残念だったね、でも…こういう手掛かりから探す事が出来るのも、屋内かくれんぼの魅力だと思わない?」

「それは…うん、言われてみるとそうかも!」

「でしょー?じゃ、わたしは残り三人を探しに行くけどど「アタシも行くよっ!」…うする、なんて言うまでもなかったね…はは……」

 

協力するのは駄目だけど、付いていくだけなら見つかった人は鬼と一緒にいても良い、ってのもルールの一つ。という訳でわたしはREDをお供に、未探索エリアへと歩みを進める。

 

(次は……鉄拳ちゃんとサイバーコネクトツー、かな。二人なら…安全第一の場所は選ばないよね)

 

二人の性格を考えながら、わたしは頭の中にフロアの見取り図を思い浮かべる。どっちも隠れるのに飽きてヘマをする…なんて事はないだろうけど、多分絶対に見つからない、穏やかに隠れていられるような場所なんて選ばない筈。だって鉄拳ちゃんはちょっとマ…特殊な性癖の混じったガチの格闘家で、サイバーコネクトツーは造詣の深いガチゲーマーなんだから。だからきっと…鉄拳ちゃんは肉体的に、サイバーコネクトツーはスリル的な意味でリスキーな場所を選ぶ筈……!

 

「ねーねー、どこを探す気なの?ノイズがチラついてる場所?」

「ぷ、プラネタワーにノイズウェーブはないよ……多分」

「え、多分…?」

「いや、ほら……このわたしとあのネプギアが統治する、科学技術に長けたプラネテューヌだからね…」

 

我ながら否定し切れないのはアレだなぁ…と思いつつも、予想を元に数ヶ所探索。そうしてやってきたのは、別の階へと繋がるエレベーター前。

 

「……?範囲はこのフロアだけじゃないの?」

「そうだよ?…あ、違う違う。ここは単なる通過点であって、別の階に行こうとした訳じゃないよ」

「そっか、だよねー」

 

描写する必要もなさそうな会話をしながら、エレベーター前を通るわたし達。いやほんと、別の階って事はないでしょ。だってそれはもう単なるルール違反だし、遊びはあくまでルールの範囲内で色々やるのが楽し……

 

(……うん?…ルールの、中で……?)

「…ネプテューヌ?」

 

その瞬間、わたしの中に走る『気付き』。もしかしたらという可能性。まさかとは思うけど、わたしだったらまず隠れ場所になんて選ばないけど……確かめなくちゃ、分からない。

足を止め、わたしは反転。急に振り返ったわたしにREDがきょとんとする中、わたしは手を伸ばして……ボタンを押す。

 

「あっ……」

 

わたしが押したのは、エレベーターの下ボタン。すると、このフロアで止まっていたらしいエレベーターはすぐに開いて……わたしはサイバーコネクトツーと対面した。

 

「え!?」

「…わぉ、本当に居た……」

「うーん、見つかっちゃったかぁ…」

 

後頭部を軽く掻きながら、エレベーターの中から出てくるサイバーコネクトツー。その表情は、若干の悔しさも感じさせる苦笑いで……だけどふと、驚いたような表情に変わる。

 

「…って、あれ?本当に、って事は…もしや……」

「うん。サイバーコネクトツーならここにいるかも…って思ったんだ。普通は思い付かない、思い付いても隠れない場所…別のフロアでボタンを押されたら、自動的に失格になっちゃうようなリスクを持った場所である、エレベーターの中にね」

「…そ、っか…はは、ネプテューヌさんはわたしの行動をお見通しだったんだね…」

 

こくんと頷き、わたしはREDの時と同じように推理を説明。それを聞いたサイバーコネクトツーは、浮かべていた驚きを強めて……それからまた、頬を緩めて苦笑いになった。…やられちゃったなぁ、って苦笑いを。

 

「とーぜんだね!だってネプテューヌはアタシの嫁候補なんだから!…あ、勿論サイバーコネクトツーも嫁候補だぞっ!」

「えーっと……どうしようネプテューヌさん、突っ込み方が分からない…」

「大丈夫だよサイバーコネクトツー。これはわたしも分からないから…」

 

最後はもうボケと呼んでいいのかも分からないREDの発言に二人で軽く頭を抱える展開になっちゃったけど、とにかくサイバーコネクトツーも見ーつけた成功。…それはそうと、なんか前回のわたしパートから引き続いて、今回もわたし突っ込み役になってない…?

 

「…それで、まだ二人は見つかってない感じ?」

「そうそう。…でも、鉄拳ちゃんの目星はもう付いてるんだよね。付いてるっていうか、ここにサイバーコネクトツーがいた事で連鎖的に閃いた感じだけど」

『連鎖的に…?』

 

どういう事?…と小首を傾げる二人を引き連れて、またまたわたしは移動開始。でも今度は最初から目的が決まっていて、道中探す事はしない。

 

「…やっぱ、居そうなのはここだよね」

「ここって…物置き?」

 

とある部屋に到着して扉を開けると、そこはちょっと薄暗い感じ。それは他の部屋より窓が小さいからで、わたしはREDの言葉に首肯する。

そう、ここは物置き部屋。わたしが衝動買いしちゃったゲームとか、ネプギアが衝動買いしちゃったジャンクパーツとか、後まぁなんか色々置いてあるごちゃごちゃの部屋。…そういえば、いーすんに整理整頓しろって言われてたなぁ……。

 

「物置きに、二人の内どっちかが隠れてるって事?」

「うーんと、多分鉄拳ちゃんがいる……と、思ったんだけど…あっれぇ…?」

 

今度はサイバーコネクトツーの質問に答えながら、わたしは部屋を見回す……けど、ぱっと見鉄拳ちゃんの姿はない。一応まだ置いてある物の裏とかは見てないけれど、わたしの推理が合っているなら、多分そんな所にはいない筈。でもそうなると、いないにしても物の裏だったとしてもわたしの推理は外れてる訳で……

 

「…って待った!こういう時の定番は…後ろかぁっ!」

「ふぇぇっ!?…あっ、わぁぁッ!」

『えぇぇぇぇっ!?』

 

いない又は消えたと思った時は、大概後ろに回られているのがお約束。それを思い出したわたしがばっと振り返りながら声を上げると、出入り口の壁と天井の端っこが接する部分の片側から、何かが……ううん、鉄拳ちゃんが落ちてきた。

その落下と突然の声に、驚いて飛び退く二人。ある意味予想通りだったとはいえ、実はわたしもびっくり中。

 

「痛た……び、びっくりしたぁ…」

「そ、それはこっちの台詞だよ……まさか、そんなトンデモスタイルで隠れようとする人が某みさえさん以外にいるとはね……」

 

ぶつけた場所をさすりながら立ち上がる鉄拳ちゃんだけど、鉄拳ちゃんが落ちてきた場所に台なんてないし、ここの壁はボルダリング仕様になってたりもしない。つまり、わたしの見立て通り鉄拳ちゃんは手足を突っ張る事で壁と天井の境の位置にいたって訳で……うーん、やっぱり無茶苦茶だね!これもうギャグ展開の域だよねっ!

 

「す、凄いね色々と……他の部屋じゃなく、ここに隠れてたのは…」

「うん、それはここが薄暗いからだよぉ。幾ら意外と見ない位置だっていっても、明るかったらすぐに気付かれちゃうからね」

「アタシはこんな隠れ方無理かなぁ…でも、これで三人目だねネプテューヌ!しかも全員、推理で当ててるし!」

 

わたしが脳内で解説をしている間、三人は三人で会話中。さっきは推理が外れたのかも…って思ったけど、今の鉄拳ちゃんの言葉を聞いた事でむしろ100%当たっていた事が判明。…REDも言ってるけど…何気にわたし、ここまで全て狙って見つけてるじゃん。あれ、案外わたし…かくれんぼに強い?

 

「……って、浮かれてる場合じゃないよね…だって大ボスが、まだ残ってるんだから…」

『……?』

 

こういう時、いつものわたしなら自慢の一つや二つはする。今だって、したいところだった。でも今回は…わたしはわたしを説き伏せる。

そう、まだもう一人…マベちゃんが残ってる。忍者という、隠れる事や出し抜く事を大の得意とする実力者が、まだ残っている。だからまだ、浮かれてなんかいられない。

 

(まあまず、闇雲に探しても見つかる訳はないよね。さっきも考えたけど…忍者だったら、考え付く限りで一番見つかり辛い場所を選ぶ?…いや、でもそれ位誰でも思い付くし…そもそもこれは遊びなんだから、何か遊び心を加えてくる可能性もあるのかも…?)

 

上がっては消え、消えては上がる可能性と想像。取り敢えず動いてみよう、って思いもなくはないけど…正直ここまで推理で当ててきた以上、最後までこの方向性で探してみたい。…やり方にだって拘りたいじゃん、遊びだもん。

 

「…ネプテューヌさん?どうしたの…?」

「ネプテューヌ は 黙々と推理している!」

「あぁっ、何故かネプテューヌさんが返答のない対象へ話しかけた時みたいな反応を!」

「…はっ…ごめんね皆、うっかりゲーム的反応をしちゃったよ……」

 

思考に意識を割いていたわたしは、鉄拳ちゃんの言葉に思わず擬人化が解けたみたいな反応をしてしまった(いや解けてないけどね)。うーん、戦闘モードに意識が切り替わってもいないのに熟考するのは良くないなぁ…でもやっと爽快感のある突っ込みを貰えたし、その点だけは良いっていうかサイバーコネクトツーに感謝……って、

 

「…今更だけどさ、名前の長いマベちゃんは愛称なのに同じく長いサイバーコネクトツーが愛称じゃないのは不公平だよね」

「え、そ、そう?」

「そーだよ。って訳でこれからは愛称で呼ぶね!サイバーコネクトツー、なんて呼んでほしい?やっぱ女の子っぽくサーちゃんとかコネクトちゃん?」

「うーん……呼び方は何でも良いけど…自分で略す場合は、CC2って書いたりするかな」

「へぇ、じゃあそれに合わせてサイコツー…だと可変MAっぽくなっちゃうし、一個抜いてシーツーにすると完全に別の人だから…サイコネちゃんで!」

 

…という訳で、意外な流れからサイバーコネクトツーの愛称が決定したよ!これもこれでキミと心をつなぐRPGっぽいけど、そんなの言い出したらキリないもんね!さーて、これからこの愛称も皆に浸透させていかなきゃ!

 

「…って違う違う、それも大事だけど今はかくれんぼ中なんだって……マベちゃんはノリも良いし、案外『これぞ忍者!』って所に隠れてたり…?」

「えっとね、アタシは…」

「わっ、駄目だよREDさん」

「あ…そうだったね、ありがと鉄拳!」

 

そんなこんなで目的を思い出し、わたしは最後の探索を開始。残念ながら今回は明確に「ここかも!」って思える場所が思い付かなかったから、隠れ身の術で潜んでるかも…と思って壁を触りながら進んだり、水遁の術を使ってるかも…と思ってお風呂を覗いてみたりしたけど、マベちゃんの姿はどこにもなし。いやほんと、姿どころか痕跡も一切無くて……気付けば制限時間は残り十分にまでなっていた。

…あ、ごめん言ってなかったね。これ指定しなきゃ隠れる側の勝利はいつまで経っても訪れないって事で、制限時間も設定したんだよ。

 

「うぅ、最初から強敵になるとは思ってたけど…これはちょっと手強過ぎるよぉ…!」

 

廊下を歩きながら、肩を落として嘆くわたし。三人はと言えば苦笑いしていて、折角わたし含めて四人もいるのに一切助言を得られないというのは想像以上にもどかしいところ。…いや、協力しちゃ駄目ってルールもわたしが考えたんだけどさ…。

 

「どうするの、ネプテューヌさん。もう時間的に、調べられても後一ヶ所位だよね?」

「どうしよう鉄拳ちゃん……こうなったらあれかな、泣いて誘き出すしかないかな…」

「えー、っと…うん、それ泣き声が聞こえない距離にいたら無意味じゃないかな…」

 

共用部屋に戻ってきちゃったわたし達は、扉に手をかけたところでそんなやり取りを交わす。…まぁ、泣いて誘き出すっていうのは冗談だけど…サイコネちゃんの言う通り、声の届かないような距離にいるならもう思い付いても発見は困難だよね…ほんとにどうしよう……。

 

(はぁ…負けても何か失う訳じゃないけど、やっぱり負けるのは悔しいなぁ…何か、何かまだ逆転のチャンスはないのかな……)

 

遊びは最後まで、本気でやってこそ楽しいもの。だから最後までは諦めたくはないんだけど……流石に命がかかってるとか、皆で笑い合える未来の為とかレベルの闘志や覚悟は出てこない訳で、もっと言えば「まぁ、楽しめたしいいかな…」…って思っちゃってるわたしもいる。だからこそ、色んな意味でどうしたものかなぁ…って感じで……

 

 

……あっ、そうだ…どうせなら、あれやってみよっかな。

 

「あー…こほん」

「ほぇ?どしたのネプテューヌ」

 

特に調子が悪い訳じゃないけど何となく喉の調子を整えて、ゆっくりと扉を開けるわたし。そんなわたしにREDが不思議そうにする中、わたしは女神としての顔をして……告げる。

 

「──流石は忍者、卓越した潜伏技術だよね。でも……そこにいるのは、分かってるんだよ?」

 

……なんちゃってー!いやぁ、一回これ言ってみたかったんだよね!ほら、強キャラが振り返る事もなく潜んでる相手にこんな台詞言うシーンってあるでしょ?わたしも立場的に一度か二度位は暗殺を狙われるんじゃないかなーとか思ってたけど、ありがたい事に今までそういう事はなくてさー。だから今さっきまで忘れてたけど、実は機会さえあればこのかくれんぼの内に言ってみたいと思ってて──

 

「…うっそぉ…女神化状態じゃ厳しいとは思ってたけど、まさかこっちの姿でもバレるなんて……」

「えぇぇぇぇええええッ!?居たぁああああああッ!?」

「えぇぇぇぇええええッ!?気付かれてなかったぁああああああッ!?」

 

──うん、まぁ…結果ご覧の通りになっちゃったよ。まさかの共用部屋のソファ下、つまりわたしが待ってる間ずっと座ってた場所の下に隠れてた訳だよ、マベちゃん。完全に灯台下暗しだったし、見てなかったとはいえわたしがいる中隠れて潜み続けたマベちゃんは物凄く凄いんだけど……偶然って、恐ろしいよね……。

 

 

 

 

なんだかんだあったけど、プレプラネタワーかくれんぼは鬼のわたしの勝利で終了。ほんとに最後の一人であるマベちゃんを見つけられたのは、偶然っていうかちょっとした奇跡なんだけど……発見は発見。だから勿論、今のわたしは上機嫌なのさー!

 

「〜〜♪んー!勝利のプリンは格別美味し〜♪」

「嬉しそうだねぇ、ネプちゃん」

「勝利の美酒ならぬ、勝利の美プリン…って感じなのかな」

「嫁候補が幸せそうな顔をしている…うんうん、アタシも嬉しいよネプテューヌ!」

「ふふっ…でも、ネプテューヌさんの笑顔は見てるこっちも笑顔にしてくれるよね」

 

かくれんぼを終えたわたし達は、五人で仲良くプリンタイム。冷蔵庫で冷やされたプリンはひんやりとした爽快感と安定の甘さを与えてくれて、もう本当に…幸せだなぁ。我ながら単純だとは思うけど、わたしはプリンを食べている時が一番……じゃないけど、トップクラスに幸せだよ…。

 

「…でも、ほんとに凄いよねネプテューヌさんは。推理でわたし達三人の隠れ場所を探し出すなんて、そんなのわたし達の事をよく理解してなきゃ出来ないし」

「あ、それはアタシも思ったなー!三人よりアタシはネプテューヌと出会うのがずっと遅いのに、一番最初に見つけちゃうんだもん」

「…それが、ネプテューヌさんの魅力だよね」

「うんうん、それにわたしに関しても、深層心理で理解からの気付きがあってあの瞬間思い付いたのかもしれないよ?」

 

…と思っていたら、何やらわたしはべた褒め(られ)状態。…えっ、どうしよう…凄い嬉しいんだけど!褒められるだけでも嬉しいのに、その内容が「わたしは友達の事をよく分かってる」なんてものになったら、わたし嬉し過ぎて恥ずかしくなっちゃうよ!?逆にきゃっきゃとはしゃげないよ!?

 

「…ネプちゃん?」

「…え、えへへ…もう、褒め過ぎだよ皆……そ、それよりプレプラネタワーかくれんぼ自体に対しての感想とか改善案とかはあったりする?あるならじゃんじゃん言っちゃってくれないかな?」

 

ほんとに恥ずかしくなってきちゃったわたしは、誤魔化すように本来の目的へ話を切り替える。その瞬間、四人はちょっとにやにやしてたようにも見えたけど…き、気のせいだよ気のせい!それよりこれをちゃんと聞いておかなきゃ、何が『プレ』なのさって話になっちゃうもんね、うん!

 

「感想、改善案かぁ…」

「うーん、色々感想はあるし…」

「改善案も、思い付くと言えば思い付くけど…」

「やっぱり一番は……」

 

RED、サイコネちゃん、鉄拳ちゃん、マベちゃんと見つかった順に声を上げていく四人。そう言いながら四人は真面目な、本気で考えているような表情に変わっていって、わたしもごくりと唾を飲み込む。

一体どんな回答が来るのか、四人はこれをどう思ったか。それを緊張の面持ちで待つ中、四人は顔を見合わせ、そして……言った。

 

『……隠れてる間は、ちょっと暇過ぎるかな…』

「あー……」

 

──次にやる時は、もっと隠れている間も自由度が高いルールにしよう。……その思いを胸に刻んで、第一回プレプラネタワーかくれんぼは終了を迎えるのだった。




今回のパロディ解説

・某逃走ゲーム
逃走中シリーズの事。小学校や中学校では、保護者も参加して逃走中ゲームをするところもあるらしいですね。やはり誰しもやってみたくなるものです。

・ノイズウェーブ
流星のロックマン3に登場する、特殊なエリアの事。超次元『ゲイム』ですし、今後実際にノイズが次元の脅威として登場する事は、原作シリーズでもあるかもしれません。

・某みさえさん
クレヨンしんちゃんシリーズに登場するキャラの一人、野原みさえの事。これは野原一家が家の中でかくれんぼをするお話の中であったネタです。

・可変MA
ガンダムシリーズに登場するMAの一つ、サイコガンダムMk-2の事。サイコガンダムMk-2、略してサイコツー……上手くはないですが、それっぽいかなとは思います。

・シーツー
コードギアスシリーズに登場するキャラの一人、CCの事。CC2と書いた場合、本当に一瞬彼女を連想する人はいそうですよね。後は…CO2とも見間違えそうです。

・キミと心をつなぐRPG
プリンセスコネクト!のキャッチフレーズの事。プリコネとサイコネ、ほんとに語呂が似てるなぁとは思います。…単なる偶然ですけどね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。