超次元ゲイムネプテューヌ Origins Relay   作:シモツキ

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既に読んで下さった方には申し訳ないのですが、第二話を全体的に見直し改定致しました。流れや展開は殆ど変わっていないので、読まない事によって今後のストーリーが分からなくなるという事はありませんが、気になった方は改めて読んで頂けると幸いです。


第三話 力では解決出来ない?

ここに来てまず思ったのが、「あれ、私死んだ?」…だった。…だって状況が状況だったし、気付いたらここにいたし、どこを見ても真っ白だったんだから。

でも取り敢えず、死んだとかそういう世界の戦線だとか、とにかく私が思ったようなものじゃない事は分かった。……安心した、とてもとても安心した。

だけどかなり理不尽に試練を受ける羽目になったし、一つ目の試練が『自己紹介』だし、これは良いのか悪いのか分からないけど随所でげんなりする展開があったりするし、正直色んな意味で先行きが不安。で、私はといえば…「うぅ、とんでもない事になっちゃった…」とか思いながら、皆の後を着いていっている。

 

「ここまで全面が白いとは…一周回って逆に凝ってるッスよ、ここ」

《え、そう?そう言われると照れるな〜》

「褒めてないッスけどね」

 

開いた扉を潜ると、そこにあったのは次の部屋…じゃなくて上り階段。疲れない程度に長い階段を、私達は進行中。

 

「しかし、上るって事は…ここは塔みたいな建物なのか?」

「かもしれないね…さっき外出た時は、あんまりにも全部が白過ぎてここの外観がよく分からなかったけど……」

「塔かぁ…じゃ、最上階が最終試練兼ゴールかな?」

 

カイトさん、イリゼさん、茜さんの三人がこの建物について言葉を交わす。私もそんな感じなのかなぁ…とか思いながら聞いていると、小さいのにしっかりしてる感じの子、ディールさんが天井を見上げながらぼそっと一言。

 

「…そういえば、某MMORPGは確か全百層……」

『…………』

「……あ…す、すみません縁起でもない事言って…!」

《あ、だ、大丈夫だよ?流石に百層なんてないから大丈夫!っていうか百層なんてわたしも疲れちゃうしね!》

 

小さいだけあって見てるとほっこりしそうなディールさんの口から発された、冷や汗が吹き出そうな発言に戦慄する私達。本人はそんなつもりじゃない…というか、ほんとに思い出してただけだったみたいでわたわたと否定するけど、驚く事にぬいぐるみ…じゃなくてワンガルーが戦慄の空気を散らしてくれる。…百層もない理由はちょっとしょうもないけど。

 

「ほ、ほんとにすみません…」

「お気になさらずディール様。むしろ今ので、どんなに多くとも九十九階までという事が判明したのですから」

《うっ、しまった確かに…まあいいけどね、これ位バレても》

 

一度は戦慄した訳だけど、ワイトさんの言う通り、ディールさんの発言はちょっぴりだけど情報を引き出す事に繋がった。見方を変えれば、ってやつだね。

…と、そんな話をしていたところで階段が終了。皆と共に私も少し不安を抱きながら二階に出ると、そこも下と同じように広い部屋。でも、見回してみればちらほらと置物みたいな物もあって、何より目を引くのは……

 

「……剣…?」

 

部屋の中央に位置する台座と、そこに刺さった一本の剣。さも、「引き抜いて下さい」と言わんばかりの存在が、この部屋の中央に配置されていた。

 

《はい皆ちゅーもーく!もしかしたら察した人がいるかもしれないけど、第二の試練はこの剣を抜く事だよ!分かり易くていいね!》

『…はぁ……』

 

台座に刺さった剣を抜く。確かにそれは分かり易いし、さっきの自己紹介と違って達成条件が曖昧だったりもしない。試練っていうより選定って感じがするけど、それを言ったら自己紹介だって試練感は全然ない。

でも、私も皆も空返事。カイトさんはちょっと面白そうにしてるけど、逆にワイトさんは「またぬいぐるみが意味の不明な事を…」みたいな顔をしている。

 

「よし、じゃあ早速俺が…」

「待ったカイトくん。こういう事は取り敢えず試してみた方がいい、というなら同意だけど…その前にあれ等の確認をしようじゃないか」

「…っと、そうですね。すみません」

 

やっぱりカイトさんはこの試練に興味を示しているみたいで、軽く腕を回しながら数歩前へ。そのカイトさんをワイトさんが呼びかけ、部屋の一角……幾つか配置されている箱らしき物へ指を差す。

箱は箱でも、宝箱。置いてあるのはそんな感じの箱で…私もちょっと、箱の中身が気になっていた。

 

「あ、でもトラップって可能性もあるんじゃないッスか?特に複数配置されてる場合、一つはトラップモンスターだったりするのが王道ッスよね?」

「それはゲームの……と言いたいところですが、それを言うならこの試練自体がゲームのイベントのようでしたね…では、アイ様の言う通り……」

《そう!あの箱は何が入っているか分からない、謂わばドキドキボックスなのだ!自力で抜くのを試してもいいし、箱の中身に期待してもいいし、達成方法は皆の自由だよ〜!じゃ、皆頑張ってね!》

 

箱は手助けアイテムが入っているかもしれないし、それを期待した人を嵌める罠かもしれない。なら結局、開けてみた方がいいのかスルーするべきなのか。…そう私は思っていたけど、勿論それをワンガルーが答えてくれる訳もなくて、ワンガルーはそのまま消えてしまった。…元々単純な内容とはいえ、さっきも今も説明が雑じゃない…?

 

『…………』

 

ほらやっぱり、半端な事しか言わないから変な沈黙が生まれちゃった。私も説明が上手な方ではないと思うけど、ワンガルーよりは上手くやれると思うもん。

…と、そこで私はこの状況が自己紹介の時にもあった事、さっきカイトさんが積極的だった事を思い出す。って事は、もしや……

 

「…箱の方も何があるか分からないなら、まずはとにかく剣の方を試してみる方がいい。…だよな?」

「そうだね。試すなら考えながらでも出来るし、私も同感だよ」

「なら、私も賛成するよ。けど私は最後でいいかな?ちょっと調べたい事があるから」

 

拳を軽く握ってそう問いかけるカイトさん。すぐにイリゼさんがそれに頷いて、続けて茜さんもこくんと頷く。そうして賛成意見が増えていき……この試練における最初の方向が、決定した。

 

「……よし…ッ!」

 

調べたい事、というものの為に茜さんが離れていく中、カイトさんが脚を肩幅に開いて、両手でしっかり剣を掴む。そしてカイトさんは小さく呟いて、刺さった剣を引き抜きにかかった。

 

「く……ッ!固い…ッ!」

 

カイトさんは見たところ…っていうか絶対に、私より力がある。大剣を使うって言っていたから、力には自信がある筈。でも剣はほんの僅かに上へとズレただけで、抜ける様子は見せてくれない。

それでもカイトさんは剣と奮戦。頑張って、力を込めて、それが数十秒間続いて……

 

「……っ…あー…駄目だ、抜けねぇ…」

 

止めていた息を吐き出すようにして、カイトさんは数歩後ろに後退った。肩を落とすその姿からは、残念だって気持ちが伝わってくる。

 

「お疲れ様、カイトくん。…何か、感じた事は?」

「…ない、ですね…見た目よりずっと動きませんよ、これ……」

「ふむ、なら純粋な力の問題じゃないのかもしれないね…次は私が試しても宜しいですか?」

 

そんなカイトさんへ落ち着いた物腰で質問したワイトさんは、思案を巡らせつつ二番目に立候補。そこから一人一人試していくけど……結果から言えば、男の人の力でも、女神の力(女神化してはいないんだけど)でも引き抜きには失敗。ディールさんは「いや、わたしが抜ける訳ないですし…」と最初から期待してなかったみたいだけど、他の皆は少なからず残念そうだった。

…で、順番は回り……遂に私の番がくる。私の後に残るのは、まだ調べてる最中の茜さんだけ。

 

「頑張って、ルナ」

「はい、ありがとうございますイリゼさん」

 

これまでの皆と同じように、前に立った私は力を込め易い体勢を取って柄を握る。その間思い浮かぶのは、ここにはいない私の相棒と出会った瞬間の事。

実を言うと、私には引き抜けるような予感があった。もしかしたら、私ならって感覚が。だって私は一度、同じように剣を引き抜いた事があるから。……なんて言っておいて引き抜けなかったら物凄く恥ずかしいから、誰にもこの事は言ってないけど。

 

(…あの時の感覚を思い出せば、きっと…いける……!)

 

深呼吸をし、あの時の感じ…と言ってもあの時はすんなり抜けちゃった訳だけど…を思い浮かべながら、私は剣を引き抜きにかかる。

まず一息。剣はこれまでと同じく少し上に動いただけ。でも勝負はここから。きっと出来るって思って、私ならって信じて、力の全てを注ぎ込む。本気で、全力で、一心に力を込めて、そして私は剣を引き抜ッ──

 

引き抜──

 

 

引き、抜……

 

 

…ひ、引き…抜…………

 

 

「…………」

「……ルナ?どしたッスか?」

「…………」

「……?ルナさーん?」

 

剣の柄から手を離し、無言で歩き出す私。向かう先はこの部屋の隅っこ。なんか微妙に視線を集めてる気もするけど、私は構わず……叫ぶ。

 

(……うわ私恥ずかしッ!ここまでの私、嘗てないまでに恥ずかしいんだけどッ!?)

 

全力で壁に頭をぶつけ…るのはちょっと怖かったから軽くぶつけて、物理的ではなく心の中で私は悶える。わぁぁ恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!完全に引き抜ける流れで、っていうか自分でその流れ作っておきながら、結果はご覧の通りの惨敗だよ!?ただ抜けないだけなら皆と同じってだけで済むのに、散々「私なら出来るかも…!」みたいな雰囲気作っちゃったものだから、もうどうしようもなく赤っ恥!…こ、これでもしも思ってた事全部口に出してたら……

 

「…ぷしゅうぅぅぅぅ……」

「えぇぇ!?ルナ!?急にどうしたの!?でぃ、ディールちゃん回復させてあげられる!?」

「い、いや…あれ多分精神的なものですし、これは流石にわたしでも……」

 

……という訳で私は、ここから暫く戦闘不能になってしまうのでした。…こんな酷い自爆、経験したくなかった……。

 

 

 

 

状況は私のこれまでの経験の中でもトップクラスで意味不明。一応状況を読む事にはそれなりに自信があったつもりだけど、読むとか把握とかそういう域じゃないのが今の私を取り巻く環境。そして私と同じ境遇の人が、ここには六人。

だけどそこで手をこまねく私じゃない。分からないなら分からないなりに出来る事があるし、動く事で見えてくるものもある。それに何より…彼ならどんな未知の状況でも、考えを巡らせてきっと動く筈。だから私も……出来る事を、尽くしたい。

 

「これで最後、か……」

 

…って言っても、今私がやってる事はすっごく地味なんだけどね〜。……こほん。

皆が剣の引き抜きを試している間、私はある事を調べる為に単独行動をしていた。と言っても同じ部屋の中だし、単独行動って程でもないけど。

 

「…………」

 

目の前の箱に手を当て、それに意識を集中させる。最初はどうやろうか少し迷いもしたけれど、今はもう慣れたもの。これまでの箱と同じように私は感覚を研ぎ澄まし……数十秒後、最後の箱も完了させた。…うん、首尾は上々…かな。

 

「皆ー、調子はどう?」

「残念ながら、誰も引き抜く事は出来なかったよ。君こそ、調べ事は済んだのかい?」

「はい、それはもうばっちりと」

 

小走りで皆の輪に合流すると、ワイトさんが肩を竦めつつ答えてくれる。…うーん、これは残念って思った方がいいのかな?でも引き抜けちゃってたら私が完全に意味のない事してた訳になるし…。

 

「調べ事って、何してたんだ?箱を触ってたみたいだが…」

「ふふっ、それは今から説明してあげよう」

「茜は試さなくていいんッスか?」

「あー…じゃ、ちょっと試してみよっかな」

 

という訳で剣の前に立つ私。そこから掴んで頑張ってみるけど、抜ける様子は全くない。そして……その最中に軽く調べてみたら、完全には分からなかったものの、少なくとも力技で引き抜くのはかなり厳しいものだって分かった。

 

「あはは、やっぱり無理かぁ…ところでルナちゃんはどーしたの?」

「あ、えぇと…何やらショックな事があったらしく……」

「そ、そうなんだ…」

 

もし引き抜けたらカッコ良いかな〜と思ったけど、ある意味ここまでは想定通り。だから私は調査の結果を伝えようと思って、皆の方を振り返る。…ディールちゃんはショックな事、って言ったけど…ほんとに何があったんだろう…。

そんな事を思っていると、皆も私の意図を理解してか私の方へ集まってくる。うんうん、察してくれると助かるよね。それじゃ……

 

「えー、こほん。結論から言っちゃうと……ここにある箱は全部、罠じゃないよ。それは私が保証する」

「保証って…私もしっかり見てた訳じゃないけど、茜は一度も開けてなかったよね?…透視能力がある、とか…?」

「ううん、私の能力は透視じゃなくて把握だよ。…固有能力、領域捕捉(エリアチェイサー)…って言って、ピンとくる人はいる?」

 

話を切り出しつつも、一つ確認を入れてみる。すると良いのか悪いのかは分からないけど…私の言葉には、全員が不思議そうな顔をしていた。

今ので分かった。ここにいる皆の元居た次元には、私や私の元居た次元にとっての普通が普通じゃないって。アイちゃんの『後天的な女神』発言から気にはなっていたけど、ここまでの話を聞く限り、私の知る女神とここにいる女神は明らかに成り立ちが違う。

なら、特殊能力全般はどうなのか?そう思って訊いた結果……少なくとも、私の知る特殊能力は皆の次元にはない、或いは周知されるレベルじゃないって理解した。

 

「そっか…うん、これは余計な話だし話を戻すね。今言った通り私には対象の状態を把握する力があって、それで罠がないって読み取ったの。…まあ、あらゆる物を完璧に読み取るなんて事は無理だから、結局開けなきゃいけないんだけどね」

「…凄い能力だね。派手さはなくとも、今の説明だけで汎用性の高さが伝わってくる」

「私が思ったのより数段便利そうだった…でも、それなら安心だね。早速開けてみる?」

「…え?…あ、うん。でも保証するって言っても万が一の事があるし、開けるのは私がしてもだいじょーぶかな?」

 

簡単な説明だけして言葉を区切ると、返ってきたのは感心と安心の言葉。そこからとんとん拍子で、じゃあ開けようかという流れになる。

…驚いた。皆からすればこれは未知の能力で得られた答えで、しかもそれを言う私とは数時間前に会ったばかりの薄い関係。なのに、私が嘘を言っている可能性を口にせず、すんなり信じてくれるなんて……。

 

(…これは、尚更私以外に開けさせる訳にはいかないかな)

 

元々私は自分で開けるつもりだった。まだ私や私の言葉を信用出来ない人だっていると思っていたから。けれど今、私を疑う人はいなかった。いたとしても、それを言動に出す人は誰もいなかった。…それはきっと、この人達が皆温かな思いを持つ人達だから。私を受け入れてくれた私の友達や恩人と同じように、この人達も。

だからこそ私は、私の手で開けようと思う。それが私の、信用してくれた事に対する責任だから。

 

「…じゃ、開けるね?」

 

この部屋にある箱は五つ。その内の一つに手をかけた私は、異論はないかもう一度訊く。それに皆は頷いてくれたから、私は視線を箱の方へ。

一体この中に入ってるのは何なのか。罠への不安ではなく、何が入っているのだろうという興味から私はほんのちょっぴり緊張しつつ……蓋を、開ける。

 

「……これは…」

『…鏡?』

 

開いて覗き込んだ私が目にしたのは、きょとんとした私の顔……が映る、ちょっと大きめの手鏡。何の変哲もない、普通の鏡。

 

「……どうして、鏡…?」

『さ、さぁ……』

「…どっかで使う、又は他のアイテムと組み合わせる…とかか?」

「それは一理あるね…次も開けてみよっか」

 

皆の気持ちを代弁するように、小首を傾げて呟いたルナちゃん。当然何故かなんて誰にも分からないんだけど、カイト君がそれっぽい事を口に。…ゲームとかなら、そういう事って確かにあるよね。

という訳で一先ず手鏡を回収し、私達は次の箱へ。手鏡と合わせて使えそうな物か、それとももっと直接的に役立つものなのか。そう思いながら開けてみると…入っていたのは、これまた何の変哲もない……洗剤。

 

「……どうして、洗剤…?」

「ルナ、反応がさっきと一緒になってるッスよ…気持ちは分かるッスけど……」

「…しかし、手鏡以上に使用用途が分からないな…ここで洗剤の使い道など……」

 

手鏡はまだ、抜けない剣っていう『謎』を解く為の道具と思えない事もなかったけど、洗剤じゃ流石に思えない。完全に意味の分からない道具に私達が頭を悩ませる中……

 

「……あっ、洗剤って確か…挟まった物を抜く時に便利だったりしましたよね…?…まさか……」

((生活の知恵……!?))

 

そんなバカな。ディールちゃんの発言にある種の驚きの空気が流れるけど、いやいやそんな訳……とは思うけど、洗剤だけただポンと置かれるとその可能性を否定し切れない。で、でも…そんな解決方法ってある……?

 

「…それで抜けたら、なんか逆に悲しいな……」

「…まぁ、全部開ける事で見えてくる物があるかもしれない。…いや、そうでなくては困る…」

 

二つ目にして、既に何とも微妙な雰囲気。けれど残り三つは、全部開けたその時には何か繋がってくるものがある筈。そう信じて開いた三つ目には……腕輪が一つ。

 

「……?これは何の……へ?」

 

【ごうけつのうでわ を 手に入れた!】

 

「はい!?」

 

【しかし、茜には装備出来なかった!】

【カイトには装備出来なかった!】

【ワイトには装備出来なかった!】

【アイには装備出来なかった!】

【イリゼには装備出来なかった!】

【ルナには装備出来なかった!】

【ディールには似合わなかった!】

 

『────!?』

 

えぇぇ今の何!?て、テキストウィンドウみたいなのが出てきたよ!?腕輪を手に取った瞬間突然出てきたよ!?しかも装備出来ないって……誰からの情報!?

 

「な、何なの今の…しかも、全員装備出来ないって……」

「というか、どうしてわたしだけ似合う似合わないの問題に……確かに似合う気はしないけど…」

 

予想の斜め上を行く展開に唖然とする私達。地味に変な展開が続いてるからか、ルナちゃんが調子を取り戻しつつあるようにも見えるけど、一体この誰も装備出来ない腕輪でどうしたらいいというのか。…いや、うん、ほんと…今のところ、役に立ちそうな道具は一個も出てきてないよ……?

そして、悪い流れって何故か意外と続いちゃうもの。そう言わんばかりに……

 

「……太い、輪ゴム…。…輪ゴムって、滑り止めとして使う事で硬い蓋開けたり出来るけど……」

((生活の知恵part2……!?))

 

…もう、意味が分からない。多分某武装探偵社の乱歩さん辺りを呼ばなきゃ答えが出ないんじゃないかなって位、全然全く分からない。……あかねぇの能力は理解する事であって、推理まで出来る訳じゃないのです…。

 

「…いいや…まだ、まだ一箱あるよ…!まだ諦める段階じゃないよ皆……!」

「イリゼ…そッスね、さっきワイトが言った通り、判断は全部開けてからするべきッス……!」

 

そんな中、「もうこれ、役に立つ道具なんてないんじゃない…?」みたいな空気を切り裂く女神二人。…ちょっとテンションがおかしいっていうか、追い詰められた人の思考になってる気がしないでもないけど……それに私は頷いて、最後の箱の前へと向かった。

流れ的には、期待出来ない。でも残り物には福があるって言うし、何よりまだ中身を見た訳じゃない。だったら…だったらまず開けてみなきゃ、話はそれからだよ。

そう心の中で呟いて、もしかしたら…という期待を信じて、最後に残った箱を開ける。皆が私を見つめる中、私は静かに中身を手にして振り返る。…そして、一言。

 

「……『これで貴方も人気者!新生活に役立つ、自己紹介テクニック集』…」

『…………』

「…………」

『…………』

 

 

 

 

『……これはさっきの試練で役立つアイテムだよッ!?』

 

……その瞬間、私含め何人かの突っ込みが見事にハモった。私はどっちかって言うとボケる側の人間だけど、これには突っ込まざるを得なかった。それ位に、最後の最後に出てきたこの本は、ギャグとしては百点満点で花丸をあげちゃう位の、状況的には0点で呼び出しをしたくなる位の……とにかく酷いものだった。

 

『…………』

 

何に使うのか不明な手鏡に、生活の知恵かと思われる洗剤に、装備出来ない腕輪に、生活の知恵かと思われる輪ゴムに、タイミングを間違えた本。私達が手に入れた道具は……以上。

……あっはっはー、何だかクリア出来ない気がしてきたぞ〜。…骨折り損のくたびれもうけ、ってこういう事を言うのかな…はぁ……。




今回のパロディ解説

・某MMORPG
ソードアート・オンラインシリーズにおける作中ゲーム、SAOの事。…百層もあったら、確実にOA以上の話数になってしまいますね、コラボ企画だというのに……。

・トラップモンスター
ゲームにおける、文字通り罠として配置されたモンスターの事。代表的なのは人食い箱やミミックですね。この面子なら余裕で返り討ちにしそうな気もしますが。

・ごうけつのうでわ
ドラクエシリーズに登場する装備(装飾品)の事。基本的には攻撃力が上がる道具です。…何人か装備出来そうな人も一応いますが…まぁ、ドラクエ世界の装備ですからね。

・某武装探偵社の乱歩さん
文豪ストレイドッグスに登場するキャラの一人、江戸川乱歩の事。彼の超推理ならどう使うかも判明させられる…かは分かりません。何故かは…次回をお楽しみという事で。
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