超次元ゲイムネプテューヌ Origins Relay 作:シモツキ
友好条約の改定。その主題となったのは、各国の軍備に関する制限の緩和…即ち、軍拡だった。
女神が如何に強大であろうと、戦略兵器に匹敵…或いは凌駕しうる力を有していようと、一つの国に片手の指ですら余ってしまう程度にしか存在しない以上は、次元の存続すら脅かす規模の脅威に対して、国や国民を守り切るのは難しいという判断の下、軍は再編された。しかし条約締結時に規定された規模では対応し切れない、又は一部に負担が集中してしまうという事が、犯罪組織との戦いでは少なからずあった。
その結果の、友好条約改定。それを受けての、軍備拡張。無論、全ての者が手放しに賛成という訳ではないが、四ヶ国全てで軍拡は概ね受け入れられ……各国は、国防軍の強化に努めている。
「お姉様、彼が到着したとの事ですわ」
「えぇ、時間通りですわね」
とある日のリーンボックス、教会の一角であるベールの私室。そこでは落ち着いた様子で椅子に腰掛けるベールと、給仕の様に立つチカが来客を待っていた。
「…本当に、お会いになるのですか?」
「本当にも何も、教会にまで来て頂いて『やっぱり帰ってくれ』では、失礼にも程がありますでしょう?」
「それはそうですけど…正直申しますと、アタクシ…彼を信用出来ませんわ…」
ベールが落ち着いている一方、チカは少々浮かない様子。するとベールは、肩を竦めて苦笑する。
「まぁ、その気持ちは分かる…というか、当然の事ですわ。人を見た目で判断するべきではありませんけれど、それは外見から受ける印象を一切無視しろという意味ではありませんもの」
「…つまり、お姉様も信用はしていないと?」
「それについてはノーコメントですわ。さて、そろそろ……」
回答をはぐらかしたベールが扉の方を向いた瞬間、その向こうから聞こえてきたのはノックの音。続けて発された職員の言葉にベールが返すと、扉は静かに開かれる。
まず見えてきたのは、扉を開く職員の姿。そして、その開かれた扉より中へと入ってきたのは……
「失礼します、女神様。まずはお招き頂いた事に関する感謝を」
「…………」
──黒衣に身を包み、特徴的な仮面を被った男性と、感情の読めない表情を浮かべる女性の一組だった。
「ようこそいらっしゃいましたわ。…えぇと……」
「ニル、とお呼び下さい。無論、本名を名乗らない事で不快さを感じさせてしまったのであれば、謝罪しこの仮面も外しますが…」
「いえ、そのままで構いませんわ。無礼である事を理解した上で、その姿を取っているのでしょう?……さ、座って下さいな」
表情の変わらない女性と、そもそも表情どころか顔自体が見えない男性に対し、ベールは椅子と用意された茶菓子を勧める。それを受けた二人は、迷う様子もなく腰を下ろし……女性は早速茶菓子を一口。
「……美味いな…」
「…………」
躊躇いゼロで口にし呟いた女性の行動には、流石のベールも一瞬ぽかんとした表情を浮かべる。一方、隣の男性はと言えば……顔は見えないながらも、呆れているような雰囲気だった。
「…一応訊いておきますけれど、彼女は……」
「私の従……協力者です。この通り自由奔放な性格ですので、無視してくれて構いません」
「そ、そうですのね……(従者と言いかけた瞬間、何か起きましたわね…机の下で足でも踏んだのかしら…)」
二人のよく分からない関係に内心で再びぽかんとするベール。しかしそこで丁度淹れた紅茶をチカが起き、それを一口飲んだベールは気持ちを引き締め直す。
「さて、貴方も多忙な事と思いますし、早速本題に入ると致しますわ」
「はい、どうぞ」
「では……ニルさん、貴方はわたくしの…リーンボックスの力となって下さる気はありまして?」
ニルの姿を正面から見据え、ベールが口にした要件。それを聞いたニルは、数秒沈黙し……先程までと変わらない声音で返す。
「…それは教会、或いは軍に所属してほしい、という事ですか?」
「その通りですわ。わたくしは貴方の卓越した戦術眼、策謀、指揮能力…その他諸々の才覚を、お借りしたいんですの」
「…私に、そのような能力があると?」
「お噂はかねがね聞いておりますわ。巷で噂の勝負師として、一部界隈を賑わしているのでしょう?」
「はは…それはまた、随分と愉快な噂を流す者がいるものですね」
一見すれば単なる雑談のように、ベールは微笑みを絶やさず、彼もまた苦笑いと共に肩を竦める。…が、その一方でベールは気付いていた。自身の問いに対し、ニルは否定をしなかった事を。
「どうでして?わざわざこちらから頼み込むんですもの、それなりの待遇は約束しますわ」
「それは魅力的ですね。加えて女神様から直々の申し出となれば、とても無下になどは出来ません」
「では……と、言いたいところですけれど、返答ではなく感想を先に述べたという事はつまり……」
「えぇ。申し訳ありませんが、その件は丁重にお断りさせて頂きます。…私には、やらねばならない事がありますから」
返答の先を読んだベールに頷き、きっぱりとニルは申し出を断る。そして彼は席を立とうとしたが……
「むぅ、それは困りましたわね…既に貴方が受けて下さる前提で色々と事を進めていましたのに……」
伏し目がちに、言葉通りの困ったような声音で、ベールは呟いた。彼にも聞こえる、明らかに聞かせる事を目的とした声量で。
「…………」
「どうしたものかしら…このままでは予定に大きな穴が空いてしまいますし、代役を立てるにしても、ニルさんの代わりとなる人材など、そうそういる訳がありませんわ……」
「…情に訴えかけるおつもりですか?」
「情で折れてくれれば御の字、そうでなくとも反応を伺う意味はありますのよ?」
「では、その意には沿えない…とだけお返しします」
「ふーむ……しかしニルさん、全くもってその気はない…というか、絶対に嫌だという訳ではないのでしょう?そもそも貴方であれば呼ばれた時点で薄々予想はしていたでしょうし、その気がないのでしたら召喚自体を断っている筈ですもの」
若干のわざとらしさも含ませた独り言を発した後、真面目な表情に戻ってベールは推測を口に。その変化の滑らかさと自らを見透かすような口振りに、ニルは仮面の裏で僅かに目を見開いていたが…その変化は、勿論ベールには伝わらない。
「…そこまでお見通しとは…しかし女神様。私と貴女は、実際に会うのはこれが初めての筈では?」
「ですから、何割かは根拠の薄い想像ですわ。…まぁ、そう簡単に気が変わる訳ではないからこその拒否でしょうし……ここは一つ、わたくしと勝負しませんこと?」
「勝負…?」
自身の推測が全くの見当違いではないと分かったベールは、再び笑みを…しかし今回はやや含みを持たせた形で口角を上げて勝負を提案。ニルがその言葉に反応すると、ベールは続ける。
「わたくしが勝ったら、最大限の譲歩をして下さいな。代わりに貴方が勝てば、どんな願いでも……とまではいかずとも、わたくしに可能な範囲で叶える事をお約束しますわ」
「ほぅ……所属しろ、とは言わないのですね?」
「勿論。強制するのは不本意ですもの」
「……いいでしょう。先ほど申した通り、私も女神様からの申し出を無下にはしたくありませんし…その勝負、お受けしようと思います。…して、勝負内容は?」
数秒の思考、或いは思考しているように思える時間の後、勝負を受けるとニルは回答。続けて彼が勝負の内容を問うと……ベールの目配せを受けたチカが、棚の引き出しの中からある物をテーブルに。
「ふふっ、最近少しやっているんですの。…勝負の内容は、これでどうでして?」
「…これは……」
ここまでほぼ、目に見える変化を見せてこなかったニル。そんな彼が、ぴくり、肩を震わせたそれは……チェスのボードと駒だった。
*
ガラス製のチェス盤に同じくガラス製の駒が置かれる軽い音が、断続的に部屋へ響く。ニルが提案を飲んだ事で始まったチェスの勝負は、開始から数十分が経過していた。
「女神は、多趣味なのですね」
「あら、そう思いまして?」
「このもてなしも含め、部屋の中を見れば分かります」
穏やかに、雑談を交えてチェスを行うベールとニル。一見すればそれは、楽しんでいるようにも見える勝負だが……その実ニルは、不可解を感じていた。
(…心理戦は、語るまでもない。技術も、最近始めてここまで出来るなら大したもの。だが……)
ニルが読んだ通りの場所に、ベールが駒を移動させる。それを受けてニルが動かすと、再びベールの駒は予想した通りの場所へ。既に何十手と両者は交わしていたが……今のところ、ニルの予想を超える動きは殆どない。
(……どういう、事だ…?)
それが、ニルには不可解だった。彼にとってチェスは十八番であり、自分の事をよく知っている様子のベールならばそれも分かっている筈。そのチェスを勝負に出してきたのだから、さぞベールも強いのだろうと思っていたが……蓋を開けてみれば、ベールの実力は取るに足らない程度。先に挙げた通り、決して弱い訳ではないものの、ニルと比較すればその腕には雲泥の差があった。
にも関わらず、自らチェスを仕掛けてきた事に、一体どんな意図があるのか。もしや、何か秘策があるのか。ニルがそう思案を巡らせる中……ベールは言う。
「時にニルさん。貴方のやらねばならない事とは、一体なんですの?」
「…気になりますか?」
「なりますわ。囁かれている噂を纏める限り、貴方には何か、強い意思の様なものを感じますもの」
自身の駒でニルの駒を撃破し、顔を上げたベールはニルを見やる。仮面で分からない筈の目を、正確に見据えているような瞳で。
その時ベールが動かした駒は、キング。討たれてはならない、最優先で守るべき駒。無論、状況によってはキングで攻撃をする必要もあるが…今のベールは、そうではなかった。
(…どこまで俺の事を把握しているんだ、彼女は…。いや、それともまさか……何も把握せず、ここまでのやり取りだけで…?)
開始以降、自身の番になる度淡々と動き続けていたニルの腕が、そこで初めて動きを止める。
彼の抱く不可解さはその言葉と選択によって勢いを増し、理解出来ないという感情へ変わっていた。筋道の見えない、合理性に欠ける、目の前の人物。女神という、統治者としての立場を約束された超常的存在に対する、疑念の渦。
だがしかし、理解は出来ずとも可能性はあった。もしやという、可能性を感じていた。そしてそれを確かめるべく、彼は止めていた腕を動かし……問う。
「…私からも一つ、お訊きしても宜しいですか?」
「構いませんわ」
「では…女神様、貴方の行いからは理想を重視する…というよりも、安易な妥協をしないという意思を感じます。それは大変良い事です、国の長たる貴女が率先して高みを目指すその姿勢には、敬意を抱かずにはいられません」
「うふふ、ありがとうございます。けれど、褒めても多少のものしか出ませんわよ?」
「…しかし、理想を追求するのは容易な事ではありません。女神といえど、出来ない事や届かないものはあるでしょう。ほんの些細なミスで、その理想から遠ざかってしまう事もあるでしょう。何より……理想を追い求めるその姿は、貴女がこれまでに取り零した側にいる者にとって、不都合からは目を逸らす独善のようにも見えるでしょう。…国の長が理想を目指すというのは…つまり、そういう事です」
質問、賞賛……提言。ニルもまた、ベールを見据えて言う。ベールの掲げる道に、待ったをかける。
その言葉を、ベールは静かに聞いていた。女性はカップを唇に付けたまま、チカはトレイを抱えたまま、それぞれニルとベールを見つめていた。
そうしてニルは訊く。真意を確かめる為に。ベールの掲げる、理想への覚悟を問い質し、見定める為に。
「…お聞かせ下さい、女神様。理想を追い求めながらも取り零してしまった者がいる前でも、進めば進む程より多くの者を取り零す事になったとしても、それでも貴女は理想を「当然ですわ」追いも……はい…?」
気の抜けたような声を出し、固まるニル。しかし、それも当然の事だろう。ベールがさも当たり前であるかのような顔で、言い切るのも待たずに一言で返答したのだから。
「ですから、当然ですわよ?」
「い、いえ、返答そのものは聞こえています…しかし、えらく簡単に答えるのですね…」
「えぇ、だって考えるまでもありませんもの」
「考えるまでもない…?」
事も無げに答えるベールに、ニルは困惑。想像を遥かに超える返しを受けてニルが聞き返す中、ベールは柔らかな…しかしその中に芯の強さを感じさせる雰囲気を纏って、回答を重ねる。
「確かに、貴方の言う事は正しいですわ。取り零しが無いなどとは言えませんし、独善的に見えるのも致し方ない事。ですが…だからと言って理想を降ろしてしまうのは、それを理由に諦めるのは、それこそ妥協ではありませんこと?」
「…………」
「少なくとも、わたくしはそう思いますわ。…自分で言う事ではありませんけれど、わたくしは現実から目を逸らして理想を掲げているのではなく、現実を直視した上で、それでも尚理想を掲げているんですの。国の長だとしても、人々の思いで生まれた女神だからこそ、わたくしは絶対に理想を貫きますわ。……でなければ、つまらないじゃありませんの」
「…つまらないで、締めますか」
「つまらないで、締めますわ」
堂々と、余裕と自信に満ちた声で思いを語ったベールの締め括りは、『つまらない』という俗な言葉。聞き返されても変える事なく、そのまま返したベールの瞳は、清らかな湖の様に澄み切っていた。
それがベールの思い。それがベールの答え。真正面から、真っ直ぐにそれを受け取ったニルは、再び問う。
「…具体性のない、漠然とした答えですね」
「えぇ」
「取り零した側にどうこう、とは言わないんですね」
「えぇ」
「結局は主観でしかない、個人的な思いで理想を貫くと言うんですね」
「えぇ」
「ならば……もうこれ以上のやり取りは、必要ありません」
「えぇ……え?ちょっ、えぇっ!?」
三度の問いと、三度の回答。一貫した答えを得たニルは、すくっと席から立ち上がる。
それに驚いたのはベール。この反応は予想外だったらしく、彼女の顔は自信に満ちた表情から慌てた様子へと一気に変化してしまう。
「い、今のは理解をしてもらえる流れではなくて!?そういう展開ではないんですの!?」
「お、落ち着いて下さいお姉様…後、チェスは……」
「あ、あぁそうですわ!まだチェスも終わっていませんわよ!?」
「何を慌てているのですか女神様。申し上げましたでしょう?もうこれ以上のやり取りは、必要ないと」
「うっ……つ、つまりそれは…」
「えぇ。実際にどう私が手を貸すかは、また後日話すとしましょう」
「うぅ、やっぱりそうですのね……って、え?…手を貸して、くれるんですの…?」
わたわたと慌てるベールを尻目に、女性と共にニルは扉の方へ。そこから振り向いたニルは、失敗したと早とちりするベールへ一言。対するベールはといえば…慌てた顔から更に変わり、結果きょとんとした表情に。
「そうですよ女神様。何か問題でも?」
「い、いえ…何も問題ありませんけれど……」
「ならばいいでしょう。それではまた、次の機会に。…あぁ、それと……既にチェックメイトですよ、女神様」
「へ?……あ…」
少しばかり含みを持たせた声音と共に、再びニルは背を向ける。指摘されたベールが反射的にチェス盤を見やり、彼の言う通りチェックメイト状態であったと気付いた時……扉の閉まる音が聞こえ、部屋にはベールとチカの二人だけになっていた。
「……はぁ、最後の最後でしてやられましたわ…」
「い、いえお姉様。最終的にお姉様は目的を達成しているのですし、十分勝ったと思いますわ」
「気分的な問題ですわ、チカ…。…まぁ、これで一安心ですけれどね」
上手くいったにはいったものの…と肩を落とすベールと、すぐさまフォローを入れるチカ。そこでふと視線を落とすと、女性に大分食べられてしまった茶菓子と、自身の飲んだティーカップ。それに……
「…あ…あぁぁっ!?」
「ど、どうしましたお姉様!?奴に何かされまして!?」
「……減っていますわ…」
「へ……?」
「彼に出された紅茶が減っているんですの!か、仮面は被ったままだったのに一体どうやって…!…ま、まさか彼は、某コピー忍者と同じ類いの……!?」
「…お、お姉様……」
…確かに気になる、だがここまでしてきた事からすればあまりにもどうでもいい事で大声を上げたベールに対し、チカは思わず呆れてしまうのだった。
*
「完全に丸め込まれていたじゃないか。流石のお前も、女神が相手では分が悪かったか?」
教会の外、人気のない道。ベールの部屋を出た後、そこまで移動したところで、おもむろに女性は口を開いた。にやりと意地の悪い笑みを浮かべ、振り向くと同時に長い緑の髪を揺らめかせて。
「ふん、別に俺は丸め込まれた訳じゃない」
「ほぅ、だが彼女の要求に乗るつもりでもなかったんだろう?」
「陳腐な要求ならば、拒否するつもりだっただけだ」
それに答えるニルの声音は、先程よりも荒っぽい。しかし女性はそれにも慣れた様子で、特に表情を変える事なく話を続行。
「では、あの要求は陳腐ではなかったと?」
「予想の範疇の要求だったが、な」
「で、その結果予想内の要求を飲んだ訳か」
「……何が言いたい」
言葉を続ける女性に対し、ニルは若干語気を強めて問う。その詰問の裏にあるのは、怪訝の感情。
彼女は元々、饒舌なタイプではない。その彼女が、妙に次々と…しかも試すような口調で言う事が、彼の心に引っかかっていた。
しかしそれは、彼女にとって予想通りの返しだったのだろう。それを示すように、女性はニルへ向き直って言う。
「なに、気になっただけさ。お前の嫌いな…
静かな、それでいて心に響くような、女性の言葉。彼にとっての行動原理に、原動力に触れる、鋭い問い掛け。
更に語気が荒くなるか、答えをぼかすか、或いはそもそも答えようとしないか。女性は、ニルの反応がこの辺りになるだろうと考えていた。だが…実際に返ってきた答えは、そのどれでもない。
「…そうだな、確かに俺は女神が嫌いだ。お前と同じように、得体が知れないからな」
「なら……」
「だから、同じ道を歩もうとは思っていない。…ただ、面白いと思っただけだ。あんなにも具体性のない言葉でありながら、不思議と深みを、重みを感じさせられる彼女の心が、目指そうとしている理想の先がな」
女性と同じように、落ち着いた声でニルは返した。そして彼は仮面に手をかけ、最後にもう一言付け加える。
「…見させてもらうさ。彼女の理想が途中で折れ、腐っていくか…それとも本当に、理想を貫いてしまうのか」
外され、頭から右手へと移った仮面。そうして露わになったのは……若い少年、或いは青年の素顔だった。
*
時は流れ、犯罪組織との戦いからの復興がかなり進んだ信次元。その日、ラステイションの一角には、各国の女神と軍の人間が訪れていた。
「まだかな…まだかな……」
「アンタさっきからそればっかりね…ゲームの画面右下に出てくる『NOW LOADING』みたいになってるわよ」
「ネプギアちゃん、すっごくわくわくしてる…」
「ネプギアってば、ほんとにメカがすきよねー」
集まった彼女達がいるのは、幾つもの大画面モニターが設置された大きな部屋。軍人達は各国に分かれて座っている一方、女神達は各々で場所を選んで腰を下ろしている。
「そろそろ時間ね…お手並み拝見ってところかしら」
「見せてもらおうか!リーンボックスとルウィーの……ってあれ?このネタ、シリーズの中でもう出てたりする?」
「それ気にするんだ……私もじっくりと見させてもらうよ。特務監査官として、見定めなきゃいけない部分もあるしね」
三者三様の形で興味を口にするイリゼ達。その言葉を向けられたのは、それぞれほんのりと自信を感じさせるベールとブラン。三人からの言葉を受けると、二人は小さく頷きを返す。
「あ、ところで二人はどっちが勝つと思う?」
「それベールとブランがいる前で訊く…?…けど、そうね…ルウィーには例の人物がいるでしょ?彼が戦局に影響を与えるのは間違い無いと思うわ」
「確かにね。でもそれを言うなら…っと、あんまり色々話しちゃうのは不味いのかな?私は知ってても、ベールやブラン同士じゃ知らないって事もあるかもしれないし」
「…そうね。一応黙っておいて頂戴」
「ですわね。わたくし達が指揮を取る訳ではないとはいえ、出来る限りフェアにいきたいですもの」
イリゼの言葉へ二人が返答したところで、部屋のスピーカーから流れる合図のブザー。その瞬間部屋の中は一気に静まり返り、モニター全てに光が灯る。
映し出されたのは、所謂電子空間の様な映像と、その中で存在感を放つ四隻の艦。そして更にその三分後、電子空間は白銀の雪原…ルウィーのある地域を再現した空間へと変貌を遂げ、次の瞬間四隻の艦は動き出す。
『……っ!』
戦いの始まりに走る緊張感。起動した艦のカタパルトからはそれぞれ機体が射出され、緑を基調としたMG部隊と、白を基調としたMG部隊が空と雪原へその身を投じる。
それは、リーンボックスとルウィーによる勝負。舞台はラステイション…ではなく、その軍事施設の中に設置された、大型シュミレーター内の電子空間。そしてその内容は……建造された戦闘艦及び、リーンボックスとルウィーでも正式な実用化がなされたMGによる模擬戦だった。
今回のパロディ解説
・某コピー忍者
NARUTOシリーズに登場するキャラの一人、はたけカカシの事。目を離した一瞬の隙に、食事を全て平らげてしまう…ある意味カカシ最大の謎ですね。
・「見せて〜〜ルウィーの〜〜」
ガンダムシリーズに登場するキャラの一人、シャア・アズナブルの代名詞的な台詞の一つのパロディ。もう何百話、何年と書いてますしパロ被りもあるんですよね。
今回明らかにとある作品のキャラを思わせる人物が登場していますが、一応アズナ=ルブやメイジン・タカナシ同様、ネプテューヌシリーズにも登場しているキャラです。……最も、クエストの依頼文上の人物なので、ほぼ元ネタのパロディキャラという状態ですが。
そして、フェルデルトさんの書く『再編世界の特異点』コラボが遂に完結しました!本当に、本当に良いコラボでした!何せ私自身が、イリゼをより好きになりましたからね!
という訳で、もしまだ読んでいない方は是非読んでみて下さい!勿論本編の方も、ですよー!
そしてそして、私の方でもコラボのエピローグを書こうと思っています!近日中(半月位?)に公開する予定なので、お楽しみにっ!