超次元ゲイムネプテューヌ Origins Relay   作:シモツキ

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第四話 最後の最後はやはり力

試練達成に役に立つ物が入っていると思っていた箱の中にあったのは、揃いも揃って凡そ役には立ちそうにない物。勿論達成に…剣を引き抜く事に直結する物が出てくるとは思ってなかったとはいえ、ここまで使えそうにない物が出てくるなんて予想外。特に最後の一つなんてどう考えても用意した側のミス、或いはタチの悪い悪戯で、これなら蹴っ飛ばした衝撃で抜けるのに期待する方がまだ良いレベル。

じゃあ、そんな物を用意されたらどうするか。……そんなの、用意した側引っ張り出すに決まってるッスよね。

 

「全然役に立たなそうなアイテムばっかりなんスけど?」

 

現れたワンガルーに早速問い質すウチ達。こういう時、意外な物が意外な形で役に立つのは謎解きゲームの定番ではあるッスけど、生憎これはゲームじゃない。ましてや準備側に落ち度があるなら、ウチ達が文句をつけるのは当然の権利。

そう思って呼び出したウチ達に、ワンガルーはなんと言ったか。それは……

 

《え?いやいや、わたし箱の中のアイテムが役に立つとも、便利な物が入ってるとも言ってないよ?もー、勝手に勘違いして怒らないでよ〜》

 

悪びれもなく、軽い調子でそう言ってのけるワンガルーの返答。ほうほう、これはウチ等の落ち度って言いたいんスか。

 

…………。

 

「……締めるか」

「締めよっか」

「うん、今回は私も協力するよ」

《怖ッ!?お、女の子がそんな物騒な事言っちゃ駄目だよ!?》

 

ふざけたぬいぐるみに制裁を加えようとするウチ等に対し、ワンガルーは慌てて天井付近まで逃走。ならばと女神化して追おうとすると、《待って待って!せめて理由を聞いてからにして!》と泡を食って言ってくる。…理由も何も、こんなのまともな答えが得られるとは到底思えないッスけど……。

 

「…なら、聞くだけ聞かせてもらおうか」

「い、一応聞いた方がいいかと…もしかしたら、ひょっとしたら納得出来る理由かもしれないですし……多分…」

 

冷静なワイト、心優しいルナの発言で一先ずウチ等三人は締める事を保留にした。…命拾いしたッスね、ワンガルー。

 

「では、話してもらおうか」

《あ、うん。まぁぶっちゃけ、鏡と本以外はジョークだよ?洗剤と輪ゴムはちょっと位は役に立つかもだけど》

「やっぱ締めた方が良さそうッスね」

《だから待っ……うわ増えてる!?全員わたしを締める気になってる!?ちょっ、待っ……わぁぁすみません!すみませんでしたぁぁぁぁ!》

 

怒りという気持ちを一つにワンガルーを追い掛け回す事数十秒。この問題は、ワンガルーの土下座によって一応の決着を見るのだった。…ぬいぐるみの土下座って、シュールッスね…。

 

「はぁ…こんなのに期待したわたし達が馬鹿だった訳ですね…」

《うぐっ…そこまで言わなくてもいいじゃん……》

「もう少しまともな物が入っていれば、俺達もそんなものかと思えたんだけどな」

《うぅ……でも、ちょっとは喜んでくれてもいいじゃん…さっき鏡があった方がって言ってたから、急いで用意したのに……》

「あぁ、確かに私言ったね。そっか、それなら一概には怒れな……いやだからって箱の中に入れられても困るんだけど!?」

 

…という訳で結局、五つのアイテムはどれも本当に役に立たない、無関係の道具であった事が判明した訳ッス。……なんなんスかね、ほんと…。

そんなこんなで箱を開け終わってから約十分。期待していた対象が役立たずだと分かった事で、一気にウチ等は手詰まりに。

 

「どうしたものかな…茜、お前の能力で剣から何かヒントを得られたりは出来ないか?」

「うーん…さっきちょっと調べてみたけど、その時分かったのはただ引っ張れば抜けるような物じゃない、って事位かな」

「じゃあ、やっぱり何か道具が必要なんでしょうか…」

「……あのさ、なら…一つ試してみてもいいかな?」

「……?何する気ッスか?」

 

次の手を考えて話す中、軽く手を挙げたのはイリゼ。ルナと同じように別の、本当に役立つアイテムがあるんじゃ…?と考えていたウチが訊き返すと、イリゼは頷きながら剣の方へ。

 

「うん。ちょっと思ったんだ、もしかしたら私達は勘違いをしてるのかも…って」

『勘違い…?』

「確かだよ?確かだけど……ワンガルー、台座から抜けとは言ってなかったよね?」

「……イリゼさん?言ってなかったよねも何も、台座以外にどこから抜けと……」

 

イリゼの言う事は一理ある。実際ウチ達は箱に関して勘違いをしていた訳だから、他にも勘違いがあってもおかしくはない。…けど、イリゼは何を言いたいのか。ディールの言う通り、どこから抜けと言うつもりなのか。

……と、ウチが思う中、何か策がある様子のイリゼは剣の前に立ち…その姿が、光に包まれる。

 

(……あの、姿は…)

 

光を散らすようにして現れたのは、ノワール…ブラックハートの煌めくような髪とは異なる、深い白とでも言うべき髪の女神。

彼女は…イリゼは自己紹介の時、原初の女神の複製体と言った。それはつまり、イリゼはイリゼの次元における、『最古の女神』と同一の存在であるという事。……けれど、今現れた女神は…ウチの知る女神じゃない。

 

「…まぁ、見ててよ皆」

 

柄を掴んだイリゼの声で、ウチの思考は現実に戻る。…こっちも気になるッスけど…まずはイリゼが何をしようとしているのか、ッスね。

 

「ふ……ッ!」

 

皆が視線を送る中、イリゼは剣と格闘開始。と言っても女神化したからといってやる事が変わる訳もなく、一見すればただ力を込めているだけの光景。

でも、女神であるウチには分かる。イリゼの腕の下へ、シェアエナジー…それも圧縮された状態の物が集まっていってる事が。

 

(…圧縮状態のシェア…腕の下…それに、あの立ち方…まさか……!)

 

更に力を込めるイリゼ。イリゼは他の誰よりも脚を広めに開き、且つほんの僅かに剣から離れた位置で力を込めている。

不思議な行為に、剣を抜くだけなら非効率にも思える体勢は何なのか。それを考えるウチの耳に、ピシリ…という小さな音が聞こえ、その音で目の前の情報全てが繋がった次の瞬間……イリゼはシェアを爆発させ、その勢いでもって引き抜いた。

 

 

 

 

──剣を、台座ごと。

 

「…マジか……」

 

勢い余って軽くよろける中、カイトが驚きを込めた声で呟く。驚きだったり呆れだったり、様々な視線を受ける中、イリゼは台座に刺さったままの剣を掲げて…にっと一言。

 

「…抜くってのは、台座からじゃなくてこの床から…そういう事なんじゃないかな?」

『…………』

「…………」

 

 

「…かもな!」

『いや、それは流石に違う(んじゃ・かと)……』

「え、あ、あれ…?…肯定意見、カイト君だけ……?」

 

いやそりゃそうッスよ…ウチも結構強引な手を使う事はあるッスけど、これはもう脳筋の域じゃないッスか……。

…というのがウチの感想。そして全体としても概ね意見はそんな感じ。うーん…ちょっとズレた面があるのかもしれないッスね、イリゼは…。

 

「…あー…俺は悪くない考えだったと思ってるぞ?いや、ほんとに」

「うぅ、ありがとカイト君……でもまだ分からないんだから…もしかしたらこれが、私の考えた通り正しい捉え方という可能性も……」

《え、違うよ?》

「ガーン!即座に否定された!?」

 

ここまでの「柔和ながらも落ち着きを感じられる少女」という印象に綻びが生まれる中、イリゼは逆転を賭けた言葉を口に……するも、それを即座に否定されて回復どころかむしろダメージ。…しかも、そんなイリゼに不幸は続く。

 

「はぁ…違ったんだ……よいしょ、っと…」

「だ、大丈夫ですよイリゼさん…これだ!…と思った事が外れる事って、誰しもありますから…(か、軽い感じで台座を穴に戻した…女神のパワーって、やっぱり重機クラス……?)」

「ルナもありがと…でもそっか、これは違ったけど…女神化出来たって事は、ここはただの別次元じゃ……うわっ!?」

『へ?』

 

しょげながらも何か推理を口にするイリゼは、何やら軽い悲鳴を上げたと思った次の瞬間ウチ達の視界から消失。…もしこれが本当に『消えた』のなら、ウチ等は絶句していただろうッスけど……実際の反応はご覧の通り。え、何故かッスか?…そりゃ……

 

「……ぷはっ!お、落とし穴…!?」

《あ、言い忘れてたけどこの階以降は床のどこかに一ヶ所落とし穴仕掛けてあるから、気を付けておこうね》

((何故そんなものを……))

 

……抜けた床に落ちる姿が見えていれば、驚きはしても絶句まではしないッスよ…(後から覗き込んでみたら、下はクッション素材且つ戻る為の梯子が設置されてたッス。それと落とし穴の側面は、イリゼ曰く牢屋っぽくなってるとか。…恥ずいッスね、そんな所に落ちるのは…)。

という訳で、ウチ等からすれば面白くもないジョークを仕掛けられて不愉快気味だった雰囲気は、イリゼのもたらした意図しない結果によって、ある程度回復したのだった。……イリゼの精神的ダメージは、別として。

 

 

 

 

それからまた数十分。策も期待も見当違いで降り出しに戻ってしまったウチ等が取った行動は、主に『改めて試してみる』事。

イリゼ、ディール、ルナ、カイトの四人は、手に入った道具が本当に何の役にも立たないのか検証中。茜は、中身ではなく箱そのものに何かあるのではないかと再調査。そして、ウチはと言えば……。

 

「ちょっとお話いいッスか?近衛隊長」

「…何でしょう、アイ様」

 

後ろからすっ、と横に出てワイトへと話しかける。気配を察知していたのか、この程度では動じないのか、それとも驚き過ぎて逆に反応が表れないのか…とにかくウチは視界の外から現れると同時に話しかけたのに、驚いた様子は特にない。

 

「言葉通りの事ッスよ。ただぼーっと剣の差し込み口に洗剤流し込んだり、柄に輪ゴム巻いたりするのを見てた訳じゃないでしょう?」

「えぇ、まぁ…。…何故、私に?」

「それはワイトが何か考えていそうだったからってのが半分、ブランちゃんの近衛隊長だからってのが半分…ってとこッスかね」

「ブランちゃん…?……あぁ、そういう事ですか」

 

呼び捨てではなく、さん付けでもなく、ブランちゃん。その呼び方でウチとブランちゃんの関係を察したようで、ワイトは合点のいった表情を浮かべる。そうそう、ウチとブランちゃんはマブダチなんッスよ〜。

 

「…で、何か思い付いていたりはするんッスか?」

「…残念ながら、今のところは何も。ですが……」

「…ですが?」

「結論はともかく、イリゼ様の視点は恐らく間違っていないのでしょう。勘違い、思い違い、或いは先入観による誤解。…どこかにこれ等があり、それが達成の糸口になるかと思います」

「ははぁ、やっぱりそう思うんスね。ウチもそんな気はするんッスけど……」

 

うんうん、と頷きつつも、ウチは頭を軽く掻く。…っと、指が髪に引っかかったッス…鏡が手に入った事だし、これが済んだらイリゼと茜に改めて頼むッスかね…。……じゃなくて…こほん。

何かを間違えているから、達成方法がきちんと見えていないから剣が抜けない。けれど、ならそれは何なのか。ウチ等は何を間違えていて、どこに先入観を抱いているのか。……それが分かれば、苦労はしない。

 

「…一つ思ったのですが、無理やり引き抜くのは不可能でしょうか?アイ様、それにイリゼ様の二人掛かりでなら、何らかの仕掛けがあったとしてもそれを無視して抜けるのでは?」

「あ、ディールは含まないんッスね」

「あ、いえ…ディール様は魔法による中・長距離戦が主体のようですし、三人となると流石に抜き辛いかと…」

「別に問い詰めた訳じゃないッスから大丈夫ッスよ。…けど、それは難しいと思うッス。イリゼ一人でも台座ごと引っこ抜けちゃった以上、仮に台座を踏んでやったとしても台座が欠けて剣周辺は残ったまま取れるんじゃないッスかね」

 

そんな感じで意見と質問を出し合う事数分。この数分でワイトの性格は多少分かったものの、肝心の糸口は見つからない。…ふーむ…これはひょっとすると、長丁場になるかもしれないッスね……。

 

「カイト君、これで引っ張ってみてもらっていい?」

「あいよ。……ぐ、ぬぬ…!…うーん…やっぱまだ無理っぽい…」

「これでも無理ってなると、ただ洗剤流すだけじゃ駄目そうですね…もう大分溢れてますし……」

「…というかそもそも、洗剤って量増やせば増やす程滑り易くなるものでしたっけ…?」

『あっ……』

 

ウチのいる場所と四人のいる場所は然程離れていないから、会話も普通に聞こえてくる。…あっちは緩い感じッスねぇ…というか、ウチも本来あっちサイドッスよね…?な、何故ウチがこんな参謀ポジみたいな事を……。

…と、これまでの流れとはあんまり関係のない事を考え始めた、その時だった。

 

「え、あ……す、すみません!効率云々じゃなくて、試す事が大切ですもんね!よ、よーし…!」

「あ…危ないですよルナさん…!この台座、今は洗剤のせいで滑り易い上イリゼさんが一度引き抜いた事で安定感も……」

「へっ?わっ……あうぅっ!?」

『ルナ(さん)!?』

『……──っ!』

 

発言を取り戻そうと動いたルナは、ディールの忠告も間に合わずにつるんと転倒。しかも運の悪い事に剣へ向かって倒れ込み、ルナは鍔におでこを強打してしまう。

ゴンッ!…とそこそこ大きな音が鳴る程の勢いでぶつけたルナの姿を見て、揃って声を上げる三人。勿論ウチとワイトも驚いた。……けれど、ウチ達が見たのは…そこじゃない。

 

「…今、見たッスか……?」

「えぇ、見ました…沈み、ましたね……」

 

はっとした顔で、ウチとワイトは顔を見合わせる。あの瞬間あの場で起こった、予想外の展開に。

ルナがおでこをぶつけたあの時、剣に上からの衝撃が走ったあの時……確かに剣は、台座の側へ沈み込んだ。今はもう、そんな事などなかったかのように元通り。けれど間違いなく、あの時剣は動いていた。

 

(これはひょっとしたら、ひょっとするかもしれないッス……!)

 

沈んだ剣、抜こうとすると少しだけ動く剣、力技では全く抜ける気配のない剣。そして何より……抜くという目的に対する、方法に対する先入観。それ等が全て繋がったウチは、興奮を覚えながら走り出す。

 

「お手柄ッス…お手柄ッスよルナ!」

「御見逸れしたよ、ルナさん。この試練、君が突破口となったかもしれない」

「ひぅぅ……ふぇ…?え、私……え…?」

 

涙目で額を押さえ、ディールから治癒魔法を受けるルナは何が何だか分からないと言った顔。ふっ、無自覚に可能性を引き当てるなんて、中々の大物じゃないッスかルナ…。

 

「え、なになに?…まさか私が一人箱と睨めっこしてた間に、抜く方法が分かっちゃったの…?」

「さ、さぁ…でもアイとワイトさんが、何かに気付いたみたいで……」

 

ちょっとした騒ぎになった事もあってか、箱の調査を続けていた茜も帰還。一体どういう事?…という視線を受ける中、ウチとワイトは軽く視線を交わし……あ、譲られたッス。謙虚ッスねぇ、そっちのブランちゃんの近衛隊長は。…じゃあ、ごほん。

 

「えーっと…最初に言っておくと、まだ確信を持てた訳じゃないッス。だから、違ってる可能性も頭に入れておいてほしいッス」

「違ってる可能性、か…まぁ間違ってても構わないよ。どっちにしろ俺等も何か見付けられた訳じゃないしな」

「そう言ってくれると助かるッス。…で、ウチ等が何を見付けたかと言うと……」

 

一応前置きをしつつ、ウチは最初に試して以降接近しなかった剣の前へ。近くで見てみると、確かに台座が少しぐらつく上に、表面は洗剤で所々てかてかしている。…もしさっきの転倒が洗剤だけじゃなく、台座のぐらつきも関係してたなら…イリゼは影の功労者、ッスね…。

 

『…………』

「…こういう事、ッスよ…!」

『おぉぉ……!』

 

皆に見えるよう反対に回り、柄を掴んでぐっと一押し。これまでの上へ向けた力とは逆の、台座側である下へ向けた剣への圧力。前傾姿勢で体重もかけた押し付けはしっかりと剣に伝わり、ほんの一瞬止まるような抵抗を感じ……次の瞬間、ずぶりと剣が沈み込んだ。

 

「……ご覧の通り、押して駄目なら引いてみろならぬ、引いて駄目なら押してみろ…っと、と……!」

「…シノちゃん?」

「これ、力を抜くと押し戻されるみたいッス…そこそこ、力のいる作業になりそうッスね…!」

 

三分の一程押し込んだところで、最初の勢いがなくなったせいかほんの少し押し返される。けれど押し戻しがあるという事は、見立て通り何らかのギミックがあるという事。だからウチは「手伝おうか?」という視線にふるふると首を横に振り、少しずつ剣を沈めていく。

 

「…どんどん沈んでいくね…まさか、刀身全部入っちゃうの…?」

「かも、ね…。…仕掛けがあったのは、もしや台座の方…?なら、剣を調べてもこれが分からない訳だけど……」

 

洗剤を少しずつ溢れさせながら、作業を続行。沈み具合に応じて反発力も増しているけど、まだ今の姿のままで力は足りる。それに、後少し…後少し沈めば……よし…ッ!

剣の鍔の位置はウチの膝を下回り、刀身が見えなくなるまで後一歩。そこまで至ったところでウチはにっと笑みを浮かべ、右脚を振り上げると同時に両手を離し……

 

「よ……っとぉッ!」

 

我ながらあんまり女の子らしくない(まぁ別にいいんスけど)掛け声共に、踏み付けで剣を押し込んだ。

何でも一般的に脚力は腕力の数倍の力があるとか。勿論体勢や状況によって引き出せる力は違う訳ッスし、さっきも腕の力だけで押してた訳じゃないッスけど、ウチと言えばやっぱり足技。そのウチが締めて鍔を踏み付けたとなれば……そりゃもう、最後までいくに決まってるッスよね。

 

「ふぅ〜…いい仕事したっス」

「ご、豪快でしたね最後…でも、ほんとに全部沈んじゃった……」

「後は、これがどうなるか……」

 

これまで若干動く以外はうんともすんとも言わなかった…いや、剣なんだから当たり前ッスけど…当たり前ッスよね?……剣が沈み切った事に目を丸くするルナと、既に先の事を考えるワイト。そんな中、剣はカタカタと震え出し、そして……

 

「わわッ!?」

 

ウチが直感的に後ろへ下がった次の瞬間、間欠泉が吹き上がるように、土管から某配管工が跳び上がるように、剣が一直線に飛び出した。台座がガタガタと揺れる程の勢いで飛び出した剣は、驚き目で追うウチ等の視線を受けながらぐんぐんと飛び…かつーんと音を立てながら天井に激突。上がっていたウチ等の視線も、今度は下へと落ちていく。

 

『…………』

 

乾いた音を立てて跳ね返された剣を見続ける事数秒。落下した剣は、今度はからんからんと音を立て……止まった。

 

「……落ち、ましたね…」

「呆気なく落ちたな……」

 

ぼそりと呟いたのはディールとカイトの二人。…なんというか、確かに拍子抜け。緑の勇者が謎を解いた時のような音もなく、屋内で紙飛行機を飛ばしたら速攻で天井に当たって落ちたような、そんな気分。

けれどそんな中、不意に重苦しい、それでいて先程も聞いた音が大部屋の中を響き渡る。はっとしたウチ等がそちらへ振り向くとそこにあったのは開かれた扉。またいつの間にか扉が出来ており、更にその近くにはぬいぐるみの腕で器用に拍手なんてしているワンガルー。…つまり、この光景が表す意味は……

 

「……これにて第二の試練、無事完了ッスね!」

 

びしり、とサムズアップを突き出し笑うウチ。まさか本当に、バネの様な構造で剣が抜けるとは思わなかった。分かってしまえばなんて事ない、これまでの思案やトライ&エラーは何だったんッスか…と思ってしまう程に単純な、だからこそ思いもよらなかった達成方。『抜く=引っ張る』という決めつけのままでは、クリア出来なかった第二の試練。……けれど確かに、剣は抜けた。剣を抜くという、条件通りの仕組みだった。

全く、自己紹介といいこれといい、どうも全力を尽くしての達成って感じがないというか何というか…でも、達成は達成ッス。この調子で次の試練もその次の試練も達成して、こんなしょうもない事をウチ等にさせてる奴の鼻を明かしてやるッスよ!




今回のパロディ解説

・某配管工
マリオシリーズの主人公、マリオの事。ジャンプで飛び出てくる…というと、本編シリーズよりスマブラのPVやキャラクター紹介の方を連想しますね。

・緑の勇者が謎を解いた時のような音
ゼルダの伝説シリーズのメイン主人公、リンクとこのシリーズにおける謎解き解決音の事。もしあの音がなったら…途端にゲームの中の世界っぽくなってしまいますね。
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