電磁のヒーローアカデミア〜Unlimited Evolution〜 作:オクトリアン
今回は第二話の前編となります。
第二話の構成をすると、合計二万文字以上行くという計算にたどりつき、長すぎると視聴者様が飽きてしまうと思い、二話構成にさせていただきます。ご了承の程よろしくお願いします。
さて今回は前回、突如としてデパートに現れたヴィランを前に電磁達はどうするのかという所で終わりましたが、電磁はどうするのでしょうか?
最後に、UAが1000回を超えていることに驚きました!更に感想を頂き、共感してもらえて良かったです!
不定期ですがこれからも頑張って投稿したいと思っています!
後、意見や感想などは最低限のマナーを守ってお書き下
パァンと乾いた音がデパート中に広がった。
「動くな!!ここにいるやつは全員一階に降りてこい!!!」
ぼくと梅雨ちゃんは音と声がする方向に向き、三階の渡り廊下から下を覗いた。
そこに居たのは、覆面をした場違いな男達四人だった。しかし、男達の手には銃や斧などを持っていた。
それを見たぼくは反射的に梅雨ちゃんの手を引いて三階にあるベンチの下に隠れた。
しばらくするとしたから男達の言葉が聞こえてきた。
「···これで全員か?なら全員、ここに携帯電話と財布を置け。もし逆らったら···」
そう言って三階のガラスに銃口を向け、
パァンと音がなり、三階のガラスに穴を開けた。
そのガラスの近くにぼく達はいた。
梅雨ちゃんを見ると、今にも泣きそうな顔をしていた。
「ケ···ケロォ···」
「つ、梅雨ちゃん···落ち着いて···」
そう言って慰めるが、ぼくも泣きそうな顔をしているはずだ。
梅雨ちゃんを慰めながらぼくは再び下を見た。
「どうなるかは賢いお前達なら十分に理解出来たはずだ。さあ、早くここに置け!」
その言葉が言われ、集められた人達は怯え、震えながら指定された場所に財布と携帯電話を置いていく。
「お、お前達の目的はなんだ!何故こんな!」
携帯電話と財布を入れていく途中に、一人の男性が覆面の男に聞く。
三度銃声が響き、男達に理由を聞こうとした男性の足に銃弾が通過した。
「グァァ···ァァァ···!!」
「ごちゃごちゃうるせえ、さっさと財布と携帯電話を入れて戻れ。」
そう冷酷に言い、その男性に銃口を向ける。
十二分後くらいにはそこに集められた全員が財布と携帯電話を入れ終わった。
「···良し、ここにいるやつ全員は携帯電話と財布を置いたな?なら先程の質問、俺達の目標を教えてやるよ。」
そう言いながら集められた老若男女を見渡す。
「まあ言うなれば···
小遣い稼ぎって言うのが正しいな。俺達も女と遊んだり色々したりするのには金が必要だからよ、だからお前達の携帯電話を売っぱらって金にしたり、お前達の電子マネーでお前達と同じように買い物をするだけだ。」
ヘラヘラとそう言いながら集められた人達の周りを歩く。
「あと、お前達は俺達がサツやヒーロー共から逃げるための人質として有効活用させてもらうぜ。
まあ安心しろ、俺達が逃げ切ったら解放してやるよ。まあ、解放するのは魂だけだがなぁ〜はーっはっはっはっー!!」
男達はリーダー格の男の高笑いにつられて一人、また一人と高笑いをしていく。
その様子を見ていた集められた人達は青ざめたり、泣きわめいたり、怒ったりしていた。
しかし、誰も男達に立ち向かおうとはしなかった···。
その様子を三階でぼくと梅雨ちゃんは見ていた。
ぼくは恐怖で足がガクガクして、目から大粒の涙を流していた。
その状態のまま梅雨ちゃんの方に向くと、梅雨ちゃんも大粒の涙を流し、「パパ···ママ···」と言っている···。
ぼくはその状態の梅雨ちゃんを見て更に恐怖が湧き···震えながらの声で「梅雨ちゃん···」と言った。
その声に反応して梅雨ちゃんはぼくの方に向く···
「梅雨ちゃん···逃げよう···?裏口から逃げれば···ヒーローを呼んで···何とかなるから···ね?」
ボロボロと涙を流しながらそう言った。
「ケ···ケロォ···でも···私達が逃げれたとして···あの人達は···?」
「き、きっと大丈夫だよ···!ぼく達がヒーローを呼んで···助けて貰えば···それでいいんだよ···それで···。」
「電磁ちゃん···」
大粒の涙を流しながらぼくは自分の両手を見た。
(とうさん···これで···いいんだよね···?ぼくはまだ子供なんだから···逃げても···許して···くれるよね···?)
両手に涙を流しながらぼくはそう思った。
その時に、右腕に巻いてあるベルトに気がついた。
ぼくはそのベルトを見ると···そこにはぼくの手のひら位のデバイスがついていた。
(逃げても···良いの···?)
〜二年前〜
ぼくの個性が発覚して二日経ったあの日、ぼくととうさんとかあさんと一緒にデビットさんの研究室に来ていた。
「ようデイブ!それでどうだ?あの形が変わったデバイスのことは?」
とうさんはそうデビットさんに聞いた。
「やあダイナ、それがさっぱりなんだ。ブレインにも手伝って貰ってこのデバイスの電波の発生源を調べてもらったが···あの時と一緒で全く分からないんだ。」
あの時···ぼくの個性『デジモン』が発生した日だ。あの時にパソコンに出た『ゲートセンサー』の発生源を調べようとしたけど分からなかった時のことだろう。
「しかも···ダイナ、これを付けてくれないか?」
そう言ってあの形が変わった『ブイヴァイス』を手そうと渡した。
「何!?···大丈夫なのか、俺もあの時の電磁と同じようにならないのか?」
そう言って付けることを渋る。
「大丈夫だダイナ、一つ仮説が出来たんだ。もしそれが本当だったら···頼む、やってくれないか?」
「···たくっ、俺が友人に助けを頼まれたら断れないことを知って言いやがって···」
そう言いなから『ブイヴァイス』を手に取り、腕に付けた。
「ありがとうダイナ、恩に着るよ。」
「分かっているよ···ただし、何かあったら許さないからな。」
そうデビットさんと言いながら『ブイヴァイス』についてあるボタンを押そうとする。
「じゃあ···行くぞ!」
気合いを入れながらとうさんは『ブイヴァイス』についてあるボタンを押した。
「···何も起こらないじゃないか、デイブ?」
そう言いながら他のボタンを押すが、何の反応を示さない。
「やっぱりあの仮説は···」
そう言いながら、デビットさんは深く考え出した。
「パパ、考えるのはやることを全部やってからしてよ!」
デビットさんの横にいたメリッサお姉ちゃんがデビットさんを揺さぶる。
「!ああすまない、続いてだが···電磁くん、これを付けてくれないか?」
デビットさんはそう言ってぼくに『ブイヴァイス』を渡してきた。
「うん、分かった!」
そう言ってぼくは右腕に『ブイヴァイス』を付けようとしたが···
「あれ?ベルトってこうやって···あれぇ?」
上手くベルトを付けることが出来ずにいた。
「もう、何やっているのデンジ?ベルトはこうやってね···こうするの、分かった?」
メリッサお姉ちゃんがベルトの付け方を教えながら、ぼくはベルトを腕に付けることが出来た。
「出来た!ありがとう、メリッサお姉ちゃん!」
「どういたしまして!さあ、ボタンを押してみて!」
メリッサお姉ちゃんにそう言われたからぼくは『ブイヴァイス』の方に視線を向け···ボタンを押した。
すると、あの時と同じように強い光を放ち、光がぼくを包み込んだ。
そして光がやみ···メリッサお姉ちゃんに鏡を手渡された。
その鏡を見ると···
あの時と同じように、『アグモン』がそこに映っていた。
「やはりあの仮説は間違っては···」
「おいデイブ、さっきから言っている仮説ってのは何なんだ?」
「ああ、すまないダイナ。」
そう言ってデスクの上にあるパソコンを起動し、とうさんに見せる。
「電磁くんの個性が発生した時を覚えているか?あの時に変化したのは電磁くんだけではなく、この『ブイヴァイス』も変化していたことも。」
「ああ覚えている、だがそれがお前の考えた仮説となにか関係でも?」
「あの後この街にいる異形系の個性のヒーローにこれを付けてもらい、ダイナと同じように作動させて貰ったんだ。」
そう言いながらパソコンに表を画面に映し出す。
「だがどのヒーローもダイナと同じく、『ブイヴァイス』が全く反応を示さなかった。そこでひとつの仮説を立てた、もしかしたらこの『ブイヴァイス』は電磁くんしか反応しないのではないかと。そしたら···」
「本当に電磁しか変わらなかったと言う訳だな。」
「その通りだ、私が考えるにこの『ブイヴァイス』は、もう『ブイヴァイス』ではない別の物になってしまったというのが私の考えだ。」
「なるほどな···それでこのことはお前が言っていた個性についての会議に出すのか?」
「···いや、まだデジモンについてもこの機械についても分からないことが沢山あるからな。それに···」
「それに···何だ?」
「前に電磁くんからデジモンの話を聞いた時に、電磁くんは『選ばれし子供たち』の一人と言うのを聞いたんだ。つまり、電磁くんの他に『選ばれし子供たち』···つまり電磁くんと同じ『デジモン』の個性を持っている人がいる可能性があるという事だ。」
「電磁と同じ『個性』の子供たちがいる可能性があるというのか···」
そう言ってとうさんもデビットさんも難しい顔をする。
「パーパ!今日ダイナおじ様達を呼んだのはこのことだけじゃないでしょ!ダイナおじ様も難しい顔をしないで!」
その空気を変えようとメリッサお姉ちゃんが大声でデビットさんととうさんに呼びかける。
「!ああ、すまないメリッサ。今日来てもらったのはこの仮説を聞いてもらうためだけじゃないんだ。
このデバイス···『ブイヴァイス』を電磁くんにあげようと思うんだ。」
「何!?大事な発明品なのに構わないのか?」
「ああ、構わないよ。自分が作った発明品を使ってもらえるのは発明家にとってはこれ以上嬉しいことはないからな。」
「俺は構わないが···決めるのは電磁だ。どうする、電磁?」
ぼくはアグモンから元の姿に戻り、じっと『ブイヴァイス』を見つめ···
「うん!欲しい!」
そうデビットさんの目を見て言った。
「うん、電磁くんならそう言ってくれると思っていたよ。」
そうデビットさんは微笑んで言った。
「それで『ブイヴァイス』はめでたく電磁くんの物になったのはいいのだが···ひとつ考えがあるんだ。」
「何だ、デイブ?」
「これからはその機械のことを『ブイヴァイス』と呼ばずに別の名前で呼ぼうと思っているのだが···なにか意見はないか?」
そうデビットさんが言った。
「そうか、これはもう『ブイヴァイス』ではないのか。うーむ···なら、デジモンから取って『DーVICE《ディーヴァイス》』なんでどうだ!?」
とうさんが自信満々にそう言ったけど···
「ダイナ···私も考えたが普通すぎてその名前はボツにしたよ。」
そうデビットさんがスパッと切り捨てる。
「なにィ!?良い名前だと思ったのだが···」
そう言ってとうさんは肩を落とす。
するとさっきまで考えるような仕草をしていたメリッサお姉ちゃんが何かを思いついたように目を開け、
「ダイナおじ様!そのデジモンからとる案を採用して
『デジヴァイス』···なんてどうでしょう?」
そうメリッサお姉ちゃんが言った。
「『デジヴァイス』···カッコイイ!ぼくその名前が良い!」
ぼくはその名前が最初からその名前が決まっていたかのような思いを感じた···でも、その時に感じた物が何だったのかは分からなかった。
「電磁とメリッサちゃんが気に入ったなら···その名前で良いだろう、デイブ?」
「ああ、最終的に決めるのは電磁くんだ。電磁くんが気に入ったならそれで構わないだろう。」
そんなとうさんとデビットさんの話の横でぼくは『ブイヴァイス』改め、『デジヴァイス』を見てニコニコしていた。
「にっひひ〜!これでとうさんみたいなヒーローになれるようになれれば良いな〜!」
「フフっ、デンジって本当にダイナおじ様のことが好きなのね。」
「うん!だってぼくの憧れがとうさんだもん!いつか必ずとうさんみたいなヒーローになってみせるんだ!」
「デンジならなれるわ、ダイナおじ様みたいなヒーローに。」
「ありがとう、メリッサお姉ちゃん!それでメリッサお姉ちゃんはどんなヒーローになるの?ぼくのかあさんみたいなヒーローになるの?」
「私は···ダイナおじ様や、ブレインおば様のようなヒーローにはなれないわ。」
「え、どうして?」
「だって私···『無個性』だから。」
「えっ···メリッサお姉ちゃん、『無個性』···なの?」
ぼくはそうメリッサお姉ちゃんに聞き直すと、メリッサお姉ちゃんはコクリと頷いた。
『個性』というのは昔に中国で光る赤ちゃんが産まれてからどんどん世界に似たような現象が起こって、いつの日かその現象が当たり前のようになり、その超常現象のことを、『個性』と呼ぶようになった。
今じゃこの『個性』を持つ人は世界総人口の約八割が『個性』を持っている。
けれど···現実は平等じゃなかった。中には『個性』が発生しない子も中にはいた。残りの世界総人口の約二割がその人達、いつの日かその人たちのことを、『無個性』と呼ばれるようになった。
『個性』が現れてから、社会は変わってしまった。『個性』がある人が評価され、『無個性』の人は逆に評価されなくなった。
わかりやすく言うと···『無個性の天才』より、『個性持ちの凡人』の方が評価されてしまうという事だ。
「だから私···デンジみたいに立派なヒーローになるって目標は叶えられないんだ。」
「そんなぁ···」
「でも···、私は別の方法でヒーローになることに決めたの。」
「別の···方法で?」
「私は、ヒーローが使うサポートグッズを作って、ヒーローの手助けをしたいの!それはまた別のヒーローのあり方だと私は思うの!」
「ヒーローの···別のあり方···」
「それに、目標ならずっと傍にいるから。」
「それは···誰なの?」
「パパよ!デンジがダイナおじ様なら、私はパパが目標なの!確かに私は『無個性』で、やれることなんて限られていると思う···でも、それでも私は、私にしか出来ないことをやってヒーローである皆を助けたいの!私はそれも、ヒーローだと思うの!」
その時のぼくは、メリッサお姉ちゃんが言っていることは少ししか理解出来なかった。でも、メリッサお姉ちゃんが凄く立派なことを考えていたことは理解出来たんだ。
「メリッサお姉ちゃん、凄いね!ぼくもメリッサお姉ちゃんに負けないように頑張らなきゃ!」
「フフっ···そうだ!ねえデンジ!いつかデンジが立派なヒーローになったら、私の作ったサポートグッズを使ってくれないかしら?」
「ええっ!良いの!?」
「ええ、デンジだからこそ使って欲しいの!」
「···うん、分かった!ぼくが立派なヒーローになったら、必ずメリッサお姉ちゃんのサポートグッズを使うよ!」
「本当?ありがとう、デンジ!なら約束をしましょう!」
「うん、約束!」
そう言ってぼくとメリッサお姉ちゃんは小指を出す。
そして小指を絡め···
「私は立派な発明家になって、デンジをサポートることを約束するわ!」
「ぼくは立派なヒーローになって、メリッサお姉ちゃんが作ったサポートグッズを使うことを約束するよ!」
ぼく達はそうお互いの目を見て言い···
『ゆ〜びきりげんまん、嘘ついたら針千本の〜ます!』
そう約束をした。
〜現在·デパート内〜
ぼくは右手に付けられた『デジヴァイス』を見ている内に、メリッサお姉ちゃんとした約束のことを思い出していた。
(もしかしてぼくは···今最もヒーローに遠い行動をしてるんじゃ···)
ぼくはさっきまでの自分が恥ずかしかった。
ヒーローというのは人を守るために動く仕事で決して人を置いて逃げない仕事だっていうことをとうさんから教えられていたはずなのに、自分からそれをないがしろにしようとしていたのだ。
気づけばぼくは先程までの震えが弱くなっていた。
そしてぼくは再び「梅雨ちゃん」と声をかけた。
「梅雨ちゃん、警察に呼びかける非常用ベルって···どこにあったっけ?」
「ケロォ···確か各階に必ず三個はベルがあったはずよ···でもどうして?」
「うん···分かった。ぼくは、今からそのベルを押しに行ってくるよ。」
「ケロォ···!?ダメよ電磁ちゃん!もし見つかったら···」
「それでも、ぼくは行くんだよ。あの人達は助けを求めてるんだ、困っている人を助けるのが、ヒーローだ。ぼくはその事を、とうさんやかあさんから学んだんだ。だから···ぼくは行くんだ。」
「電磁ちゃん···」
そう言ってぼくはゆっくりと立ち上がり、しゃがみながらその場を見渡した。
(一番近いベルは···あそこだね!)
ぼく達がいる三階にあるベルで一番近いのは渡り廊下を渡った先にある柱についてあるベルだ。
そこに向かおうとしたら、後ろから梅雨ちゃんが着いてこようとしていた。
「電磁ちゃん···私は電磁ちゃん一人で行かせないわ。」
「梅雨ちゃん···ぼくは大丈夫だから、あそこにある非常用階段から外に逃げて欲しいんだ。それで外にいるヒーローに···」
「だって電磁ちゃんは···いつも一人でやろうとしているじゃない。もしバレたらどうするの?」
「それは···『私が後ろにいたら、電磁ちゃんの後ろは見ることは出来るし···それに私にしか出来ないことがあるかもしれないじゃない。それに···私は、電磁ちゃんを一人にさせたくないの、お願い、電磁ちゃん。』···分かったよ、梅雨ちゃん。でも、危険だと思ったら直ぐにぼくを置いて逃げてね。」
「ケロォ···分かったわ。でも電磁ちゃんもいざとなったら、私を置いて逃げてね。」
「···うん。」
ぼくは梅雨ちゃんの言葉に弱く返すことしか出来なかった。
ぼくと梅雨ちゃんは渡り廊下の手前までつき、周りを見渡していた。
(梅雨ちゃん、あの敵《ヴィラン》達は?)
(···ここにはいないわね、多分大丈夫よ。)
お互いに小声で情報を確認し合い、しゃがみながらゆっくりと渡り廊下を歩き出す。
見つからないように歩き、ベルまで残り数メートルの所までは来れた。
(良し、ベルの近くにはあの敵はいない···行こう。)
そう思って音を立てないようにゆっくりとベルの方に足を進めようとする。
すると、後ろから服を掴まれた。
(つ、梅雨ちゃん···どうしたの···?)
ぼくは小声で梅雨ちゃんに何故服を引っ張ったのかを聞いた。
すると梅雨ちゃんは下の階をを指さす。
ぼくと梅雨ちゃんは再び下を見る。
そこには一人の敵が上に上がって来ていた。
(電磁ちゃん、このまま行ったら鳴らせたかもしれないけど···確実に捕まってしまうわ。)
(ありがとう梅雨ちゃん、教えてくれて。でも···どうして急に上の階に来るように···?)
ぼくと梅雨ちゃんが柱の死角に隠れ、やり過ごそうと考えていた時···
(···?何かしら?)
ぼくと梅雨ちゃんの上から降り注いでいた日光が梅雨ちゃんだけ一瞬遮られた。
それが気になり、上を見た。
昼近くだからか太陽は真上に輝き、日光を振りまいている。
本当に、それだけならどれだけ良かったか。
(···!!)
梅雨ちゃんは気づいた、日光の中に何かがあることに···。
そして、気づいてしまった···。
それは、肩から手首までに龍のような翼を生やした男がこっちを見ていた。
(···ッ!電磁ちゃん···!電磁ちゃん!)
ぼくに向けて梅雨ちゃんは急いで声をかける。
(?どうしたの、梅雨ちゃん?)
ぼくは静かに梅雨ちゃんのほうに向くと、梅雨ちゃんは上を指さす。
(上?···!!)
上を見ると梅雨ちゃんが見た男がこちらを見ていて、携帯電話に向けてなにか話している。
(間違いない···僕達は誘い込まれていたんだ···。わざと気づいていないフリをして、僕達をここに誘い込んだんだ···!)
ぼくは順調すぎることに疑問を持って少し考えればわかることだったのに考えなかったことが悔しかった。
(電磁ちゃん···どうするの?)
梅雨ちゃんがぼくの顔を覗き込んでくる。
(···梅雨ちゃん、四階に行こう。四階にある子供洋服売り場には非常階段と非常用ベルがある。あそこに行ってそこのベルを押しに行こう!)
(···分かったわ。)
お互いに頷き合い、四階に続く階段をのぼりだす。
敵が人質をとり監視をしている時、一人の敵の電話から着信音がなる。
「あ?どうした?」
そう電話をかけた人物に向けてそう言葉かえす。
「あのガキ二人が動き出した、おそらく見られていることに気づいた。」
電話をかけたのは電磁と梅雨ちゃんを見ていたあの男だった。
「···バレないようにしろって俺は言ったよな?」
男は上を見上げそう言う。
「悪い、この時間帯だとガラスに陽の光が当たって見えにくくなるから体を前に出さないと見にくいんだよ。」
電話でそう言葉を言われ、少しだけ怒りわ感じる顔をするが直ぐに戻す。
「まぁいい···上がって行ったガキ共は?」
「ああ、あのガキ共は四階に上がって子供洋服売り場の方へ行きやがった。あそこにも非常用ベルがあるのを知ってやがるな、あのガキ共は。」
「だから賢いガキは嫌いなんだ···おい、二階にいる奴にも言っておけ。四階に上がって非常用ベルを押しに来るガキ二人を捕まえろってな。」
「分かった。」
そう言って電話は切れた。
「おい、四階にいる奴って···まさかアイツのことか?」
電話を切った男に別の男が話しかけてくる。
「ああ···アイツなら喜んでやるだろうな。何せ俺たちの中で一番イカれているのはアイツだからな。」
そう男は笑いながら言った。
「俺はアイツの思考がまっったく理解できないんだよな···
あのイカレ性犯罪者はよ···。」
デパートに突如現れたヴィランを前に、捕まった人たちを助けるために門屋電磁と蛙吹梅雨は行動を始めた。
しかし二人は既にヴィランの手の中にあった···。
それに気づき再び動き出した二人に、ヴィランの魔の手が忍び寄る···。
そして、魔の手を払うために電磁は、『勇気』を振り絞る···!
果たして、二人は捕まった人たちを助けることは出来るのか···!?
次回、《電磁のヒーローアカデミア》
『門屋電磁:オリジン〜爆裂進化!グレイモン 後編〜』
今、冒険が更に向こうへと進化する