電磁のヒーローアカデミア〜Unlimited Evolution〜 作:オクトリアン
そして、遅れてしまい申し訳ございません!新型コロナウイルスの影響で学校がバタついてしまい、小説を書く時間が取れませんでした。
(まあ、本当は時間があったけどドラクエ11と6をやってたから徹夜で作る羽目になってしまっただけなんですg((殴)
さ、さて今回は、自分の父親であるダイナが逃したヴィラン、クリミニセスウォリーが登場!そして梅雨ちゃんが決意!!更に電磁は別の
『選ばれし子供達』の一人と出会う!!!
続きは小説をどうぞ!
後、新しく書いた小説、「東方龍獣伝 〜神獣と龍神と幻想郷〜」も見てくれたら嬉しいです。
最後に、質問や感想コメントは、最低限のマナーを守って、お書きください。
『クリミニセスウォリー』
電磁は自分の親が追っていた敵が目の前にいる···驚きで目を見開いたまま、電磁は言葉を失った。
「ク、クリミニセスウォリー···何で、こんな所に···。」
電磁は頭に浮かんだ単語を一語一語を喋るように、そう言った。
「僕も有名になったものだな···こんなガキにまで名前が知られるなんて。それに···サツにも感謝してることが二つある。
一つはこの名前のことだ。僕はこの名前をとても気に入っている、超人社会になってからよく聞くだろ?『名は体をあらわす』って。
もう一つは、公に罪を出してくれたおかげで!僕に捕まった女共がより絶望の表情を浮かべてくれるようになった!
そこまでは感謝してるさ···だがな、今、一つだけ不満があるとすれば···。」
そう言って電磁の体を再び触手で上に持ち上げる。
「『クリミニセスウォリー様』と···そう呼べぇ!!」
そう言って再び電磁を床に叩きつける。
「ぐあ···!うぅ······!」
電磁が叩きつけられた痛みで、苦痛の声を上げる。
「電磁ちゃん!」
梅雨の悲鳴がフロアに響く。
「チッ!近頃のガキ共は教育がなってねぇな!目上の奴には敬語を使いやがれってんだ。
···にしても、」
そう愚痴を漏らしながら、顔を梅雨の方へと向ける。
「こんな所に上玉なガキがいるとは思わなかったな。丁度いい、最近はクソヒーロー共から逃げるのに必死だったからな、ここでこいつを使って発散するのも悪くは無ねぇな。」
ニヤニヤとしながら、梅雨の方へと歩を進める。
「ひっ···!いや···、来ないで···!」
梅雨の顔は恐怖に震え、目には涙が浮かび、震えていた。
「っ!やめろっ!梅雨ちゃんに手をだすな!!
『ベビーフレーイム!!』」
しかし、その火球はクリミニセスウォリーに当たる寸前、クリミニセスウォリーが操る触手によって、防がれてしまった。
「···僕の自慢の触手を焦がしやがって···何をするんだこのガキィィィィ!!!」
そう叫び、電磁を床、壁、地面へと何度も叩きつける。
「ぐぅ!あぐ!うあぁ!」」
叩きつけられる度に、電磁は苦痛の声を上げる。
「電磁ちゃん!やめて!これ以上電磁ちゃんを傷つけないで!!」
梅雨は涙を流し、クリミニセスウォリーに向けて悲痛な叫び声を上げる。
すると電磁を床に叩きつけて動きを止めた。そして首を梅雨の方に向け、
「···止めて欲しいか、だったら止めてやるよ。代わりに···君の大切なものを全て貰うけどね!」
そう言って梅雨の方へと歩み、梅雨の肩を掴む。
「ひっ···いや···いや···!」
梅雨は恐怖で涙を流し、体を震わす。
「良いねぇ、その表情!思わず襲いたくなってしまうよ!」
そう言って梅雨の涙を舌で舐めとる。
「ひっ!嫌ぁ···」
梅雨は体をビクッとさせ、目を瞑る。
「ああ、最高だ!これまでヤってきた奴らより素晴らしい!これはゆっくり楽しまなければそんぎゃああ!」
光悦の表情を浮かべてたクリミニセスウォリーが急に苦痛の叫び声を上げた。そして怒りの表情を浮かべ、痛みの原因がある方へと顔を向ける。
梅雨はゆっくり目を開き、クリミニセスウォリーが向いている方へと顔を向ける。そこには···
「はあ···はぁ···
クリミニセスウォリーの触手に噛み付き、肩で息をしているアグモンの姿があった。
「しつこいんだよこのガキャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」
クリミニセスウォリーは怒りの雄叫びを上げ、電磁を持ち上げて勢いよく地面へと何度も叩きつける。
「電磁ちゃん!!」
梅雨は何度目か分からない親友の名前を叫ぶ。
(私···どうすればいいの?誰か教えて···誰か電磁ちゃんを···助けて···!)
梅雨は目をギュッと瞑り、心でそう叫ぶ。
「梅雨···ちゃん···。」
電磁の声が聞こえ、目をゆっくりと開き、電磁と目が合った。
「はあ···はあ···
···
その言葉に、目を開く。
ーぐすっ···えへへ···モーマンタイ!
電磁の言葉で、梅雨の古い記憶が呼び覚まされた。
「ぐすっ···ひっぐ···うぇぇぇん···」
ある時、公園の隅っこで一人の女の子が泣いていた。
「どうしたの?」
するとそこに女の子へ問かける声が聞こえた。
女の子が横を見ると、そこには同じ身長位の男の子がそこに立っていた。
「ぐすっ···だいじな···ひっく···かみかざり···ねこちゃんに···とられちゃったの···とりかえそうと···したけど···こわくて···うぇぇぇん···。」
女の子は泣きながら何が起きたかを説明した。
男の子は「そのねこちゃんはどこにいるの?」と聞くと、女の子は公園の真ん中に生えている木を指さした。
男の子はその木の下に行き、木を見上げると、そこには二匹の黒と白色の猫が座っていた。更によく見ると、白猫が何かを咥えているのが見えた。
男の子が見上げていると、女の子が涙を拭きながら近づいてきた。
そして男の子は···、
「よし!ぼくがとりかえしてくるよ!」
女の子へそう言った。
「···えっ?」
女の子はポカンとした表情をした。
そして女の子は男の子の言葉に疑問をもった。
「···どうして?どうして···たすけてくれるの?」
女の子はそう聞いた。
女の子にとって今近くにいる男の子はさっき出会ったばかりの他人だ。
なのに何故助けてくれるのかが理解できなかった。
すると男の子は、
「『お節介はヒーローの本質』、
とーさんからそう教わったんだ!」
男の子は笑顔でそう言って、木に登り始めた。
男の子は必死に木に引っ付き、数分後には猫がいる枝の近くまで来ていた。
「ねえ、それ···返して!」
男の子は猫に向けて、そう言った。
猫はフーッと鳴き、威嚇をしながら徐々に後ろに下がっていく。
そして、ヒラリと二匹とも下に降りようとした。
「ええええい!!!」
降りようとした猫に向けて男の子は、落ちないように枝で体を支え、両手を猫に伸ばした。
そして両手は、白猫をがっしりと捕まえることが出来た。
捕まえた白猫は、びっくりして咥えていた女の子の髪飾りを落とした。
そしてその髪飾りは女の子のそばに落ち、女の子は髪飾りを拾い、握りしめていた。
男の子はこれで大丈夫と思い、猫を枝に下ろした。
しかし、猫はゆっくりと男の子の方へジリジリと近づき···
男の子へ飛びかかった。
男の子は全く反応できず、白猫に左頬を引っ掻かれた。
「痛い!」
引っ掻かれた頬を抑えた。
引っ掻いた猫はヒラリと枝に降り、再び男の子へ飛びかかった。
「ひいっ!」
男の子の声が公園に響き、男の子の鼻が引っ掻かれた···。
「ぐすっ···ひっぐ···いたいよぉ···」
男の子は泣きながら、木の上から降りてきた。
「あ、あの···大丈夫···?」
女の子は男の子に近寄り、そう言った。
男の子はハッとしたような表情をし、右手で涙をグシグシと消し···
「ぐすっ···えへへ···モーマンタイ!」
笑顔でそう言った。
その時の女の子は、男の子が誰よりも『ヒーロー』に見えた。
これが、門屋電磁と、蛙吹梅雨が初めて出会った出来事だ。
梅雨は幼少期の出来事を思い出し、目を瞑った。
(···助けなきゃ、あの時に決めたの···今度、電磁ちゃんが困っている時には、必ず助けるって···。だから···!
電磁ちゃんは···私が守る!!だって···友達だもの!)
そう決心し、目を開いた。
その目は恐怖で怯えた目ではあるが、瞳の奥には勇気の炎が燃えていた。
そして梅雨は、何度も深呼吸をし、この状況を打開する策を考え始めた。
(今、ヴィランは電磁ちゃんに意識を全て向けている。もし、私が電磁ちゃんと同じようにこの触手に噛み付いたとして、電磁ちゃんへの意識は私に向けられて、電磁ちゃんは一時的とはいえ休むことが出来る···でも、電磁ちゃんは優しいから、また直ぐにヴィランの意識を自分に向けようとしちゃう···だから、私がやれることは···電磁ちゃんを助けて、ヒーローを外から呼ぶこと!その為には、あの非常用ボタンを押さなきゃダメ···でも、今私たちはボタンから離されて、仮に手が抜けたとしても届かない···でも、私には···!)
考えが纏まり、梅雨は体をなるべくボタンの方へと向け、息を吸う。そして···、
「はぁ···はぁ···思い知ったかクソガキがぁぁぁ···いい加減に諦めろよぉぉぉ···僕は早くあのガキをたのしみたいんだよぉ!!!」
クリミニセスウォリーは激昂し、電磁に向けて殺意を向ける。
「ぜぇ····はぁ···まも···るんだ···ボクが···梅雨ちゃん···を···!」
しかし、
「チッ!その目がムカつくんだよ!!さっさと死ねぇぇぇ!!!」
そう叫び、電磁を地面へと頭から落とす···。
ージリリリリリリリリリリ!!!!!
急に鳴り出したベルの音で頭が床に当たる直前にピタリと止まり、叩きつけられることはなかった。
「うし、完了っと。」
ヴィランを押さえ付け、警察に身柄を渡したばかりのプロヒーロー、
『古代ヒーロー ダイナ』は体をうえにググッと伸ばしていた。
ービーッ!ビーッ!
突如、彼が頭に付けているゴーグルからアラームがなった。
「っ!どうした、ブレイン?」
ゴーグルを目まで下げ、そう自分のサイドキック件、自分の妻のである
『電脳ヒーロー ブレイン』の通信を開始する。
「大輔くん!○○デパートでヴィランの襲撃が発生したの!そして···
電磁もそこにいるの!!」
「っ!何だと!?」
ブレインはデパートにヴィランが襲撃した事だけでなく、二人の愛する息子がそのデパートにいることをダイナに伝えた。
「ごめんなさい···私が···一人で···行かせたから···電磁は···!」
ブレインは、一人でデパートへ買い物を向かわせたことを後悔していた。
「···落ち着け、光。電磁なら大丈夫だ。アイツは···、
絶対に無事だ、俺たちの自慢の息子だからな。
信じろ、俺たちの息子を···!
俺もデパートへ向かう、ブレインもコスチュームを着てからデパートに向かってくれ!」
ダイナは電磁を信じ、冷静にブレインへと指示を出す。
「分かったわ、気をつけてね···大輔くん。」
そう言って通信が切れた。
「···待ってろよ、電磁!!」
そう言うと、ダイナの両腕が巨大な翼へと変わった。そして、翼を羽ばたかせ、空へ飛び上がり、デパートがある方へと飛んで行った。
ージリリリリリリリリリリ!!!!!
「チッ!しくじりやがったかあの変態野郎!!」
デパートの一階には、ヴィラン達の手によって電磁と梅雨以外のデパートにいる人達は人質として、一箇所に集められていた。
ー今の音は···?
ーもしかして···非常用ボタンが押されたの···?
ーそれじゃあ何れ···ヒーローと警察が来るのね!
ーやった!助かるんだ俺たち!!
人質となった人達が、非常用ボタンが押されたことに喜びを隠せずにいた。
刹那、再び大きな銃声が響き、放たれた銃弾は、一人の女性の足を貫いた。
「ううぅ···。」
「誰が喋っていいと言った。」
そのことを主犯格の男は良しとせず、足を撃ち抜かれた女性の苦悶の声を聞きながらそう言った。
「おいクロス、この中の誰でもいいから一人を連れて正面玄関の外で人質に銃口を向けて待機、もし怪しい動きをしている場合、直ぐに人質を殺せ。」
「了解、オラこいガキ!」
主犯格の男に指示されたクロスと呼ばれた男は、小さい男の子の手を掴み、乱暴に正面玄関へと連れていこうとする。
「助けてママ!ママーーー!!!」
「陽介!お願いします···!私が人質になりますのでこの子だけは···!」
その男の子の母親の女性が連れていかれるのを嫌がる男の子の手を掴み、ヴィランの男にそう懇願する。
すると男は女に近づき···、
「···分かったよ、人質をお前に変えてやるよ。」
そう言って、男の子の手を離す。
手を離された男の子は母親の元へと走り出す。
「代わりに···おじさんと行こうな!」
そう言って別の男が、男の子の手を掴む。
混乱する母親に向けて、
「確かに俺は願いは叶えたぜ?だが、他のやつは別だ。自ら人質になってくれて、ありがとうな?」
男は残酷にそう言った。
「ライオ、お前はそのガキを連れて南門へ行け。」
「了解、ボス。」
ライオと呼ばれた男は返事をし、男の子を連れて南門へと歩き始めた。
「助けてママ!!ママーーー!!!!」
「嫌···!
嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
親子の悲鳴が響き渡り、人質として別々に連れていかれた。
その様子を見ていた主犯格の男は携帯を取り出し、通話を始める。
「···ドラグ、もし空からヒーローが来た場合、直ぐに伝えろ。
『そっちが何かをした場合、人質を皆殺しにする』···とな。」
『了解。』
そう言って通話を終え、電話を切る。
「さあ堕落したヒーロー共···、
人質全員、無事に守ることが出来るかな?」
主犯格の男は笑ってそう言った。
ージリリリリリリリリリリ!!!
「ど、どういうことだ!?どうして鳴り出したんだ!?今ここには満身創痍のクソガキと僕、そしてあの上玉のガキしかいない筈なのに···!?」
クリミニセスウォリーが非常用ボタンがある方へと目を向ける、そこにはちその場から動いていない梅雨がいた。
梅雨の『舌』が約十メートルの距離伸びて、非常用ボタンを押していた。
それが蛙吹梅雨の個性、『蛙』の力の一つだ。
「な、なにぃぃぃぃぃィィィィィィィィ!!??
あのガキ、まさか『異形型』の個性だったのかぁぁぁぁぁ!!!」
個性は、梅雨のような『異形型』、No.2 フレイムヒーロー『エンデヴァー』のような『発動型』、そして、電磁の父 古代ヒーロー 『ダイナ』のような『変異型』の三種に分類される。
「はぁ···はぁ···梅雨···ちゃん···?」
電磁は肩で息をしながら、梅雨の方へと顔を向ける。
「電磁ちゃん、もう大丈夫よ。きっとすぐ、ヒーローが来てくれるから。」
梅雨は笑って電磁を安心させるようにそう言った。
「な·····
なんてことをしてくれたんだこのクソガキャァァァァァァァァァ!!!」
フロア全体にクリミニセスウォリーの叫び声が響き渡り、梅雨を捕まえている触手を持ち上げ、今度は梅雨を地面へと叩きつけた。
「あぐっ!」
そしてクリミニセスウォリーは梅雨へと近づき、何度も何度も顔を殴り始めた。
「このクソガキィ!!ほっといたからって調子に乗りやがってぇぇぇ!!!もう許さねぇ!!徹底的にお前から全て奪ってやる!!覚悟しろ!!!」
そう言いながら、何度も何度も梅雨を殴り続ける。
「や···やめろ···!梅雨ちゃんに···手を···出すな···!『ベビー···』」
「お前もいい加減しつこいんだよぉぉぉ!!!」
「さっさと···くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
そう言って、電磁を柱へと叩きつけた。
「ぎっ···」
アグモンは一言だけを発し、ガクッと頭を垂れた。
そしてアグモンは光に包まれ、光が無くなると···、
そこには人の姿の門屋電磁へと戻ってしまった。
そして、電磁は頭を垂れたまま、ピクリとも動かなくなってしまった。
「電磁···ちゃん···?電磁ちゃん···!電磁ちゃん!!電磁ちゃん!!!」
梅雨が何度も親友の名前を呼んでも、電磁は一切、反応を見せなかった。
「はぁ、はぁ、ようやくくたばったか···。僕に反抗するからこうなるんだ。さてと···、」
電磁の方から梅雨の方へ向き、
「もう邪魔するものは何も無い。じっくりと楽しませて貰うよ!」
そう言って梅雨の服の襟を掴み、
「ふんっ!」
その掛け声と同時に手を下げ、梅雨の服を破る。
「いっ···、いやぁぁぁぁぁ!!!助けて電磁ちゃん!!電磁ちゃぁぁぁん!!!」
梅雨は涙を流し、電磁へ助けを呼ぶが···、電磁はピクリとも反応を示すことは無かった。
「もう諦めろよ、これから君は僕の玩具になって、一生を過ごすんだから。こんなに光栄なことはないぞぉ?」
そう梅雨へと下衆な笑いを浮かべながらそう言った。
「いや···いやぁ···いやぁぁぁぁぁぁぁぁーー!!!」
梅雨の悲鳴がフロア全体に広がるが、誰も、助けにはこなかった···。
暗い空間に、電磁は寝ていた。
そして電磁は、夢を見ていた···。
「とーさん、どうしてぼくをとーさんのサイドキックにしてくれないの?」
これは、電磁が五歳の時の記憶。
サイドキックとは、ヒーローの相棒や親友を意味する言葉である。
「うーん···電磁が強くなって、勉強が出来るようになったら考えても···。」
電磁の父、大輔が少し困った顔をして、電磁にそう言うと···、
「とーさんずっとそればっかりじゃない。ぼくだってもうアグモンのちからを十分使えるし、それにもう足し算や引き算だけじゃなくて、掛け算や割り算も出来るようになったんだよ?なのになんでダメなの?」
自分はもうこんなに出来るようになったと伝える膨れっ面の電磁を見て、大輔は困り、助けるを求めるように光の方へと顔を向けるが···、
(頑張れ、大輔くん♪)
そう言わんばかりに顔の横に拳を持ってきてグッ、と握った。
はぁ···とため息をつき、電磁の方へと向き···、
「···分かったよ。」
そう言った。電磁は顔をパァっと明るくした。
「ただし!俺が最後に出す三つの条件を達成出来たらな?この条件を達成したなら、電磁、お前を俺のサイドキックと認めてやる。それで良いか?」
しかし、大輔からの新しい条件を言われ、電磁は少し考える素振りを見せ、
「うん!」
電磁は元気よく返事をした。
「良し、いい子だ!それじゃあ条件を言うぞ?俺がだす最後の条件は···、
一つ、自分の強さ、弱さを認めること!
二つ、自分の強さと弱さを知って、これからどう改善するかを考えること!
そして三つ、自分がどんなヒーローになりたいか考えること!
この三つの条件をを達成出来たなら俺に言いに来い。
できるか?」
大輔は三つの条件を出し、電磁へ聞く。
「···うん!ぼく、がんばって三つのじょーけんをたっせーして、とーさんのサイドキックになってみせる!」
電磁は両手を上げ、そう言った。
「良し、いい子だ」
そう言って、電磁の頭を撫でた。
そしてその傍で、光は笑っていた。
そしてその夢が終わると、再び黒い空間へと戻った。
「···ダメダメじゃないか···、何が選ばれし子供達の一人だよ···、何が···アグモンのチカラを使えるだよ···、何が···賢くなっただよ···、何が···、とうさんのサイドキックになってみせるだよ···。」
電磁は自暴自棄になったように、自分の情けなさを口にする。
「ぼくが考えた作戦だって、全部失敗したじゃないか···、成功したのは、梅雨ちゃんが考えた作戦じゃないか···非常用ボタンを押したのも梅雨ちゃんだし···ぼく···全くヒーローらしいこと、全然出来てないじゃないか···。」
電磁は自分の不甲斐なさを悔やんでいる。そして気付かぬうちに、黒い空間へと徐々に体が沈んでいっているのだ。
「梅雨ちゃんの方が、よっぽどヒーローに向いているじゃないか···ぼくなんて···、ぼくなんて···、
ヒーローに·なんて··なれやしないんだ···。」
そう言って、もう全てがどうでも良いと感じ、電磁は抵抗せずに黒い空間へと沈み、電磁は···闇へと消えた···。
(本当に···お前には守れないのか?)
「···えっ?」
不意に頭の中に声が聞こえ、電磁は素っ頓狂な声を出してしまった。
そしてゆっくり目を開けると、上からゆっくりと、橙色の光が降りてきていた。
(お前は本当にそこで夢を諦めるのか?随分簡単に諦めるんだな。
そんなのは夢じゃなくて、単なる妄想だな。)
光から聞こえる声に電磁はムッとする。
「あなたに何が分かるんですか!?ぼくはぼくなりに頑張ったんですよ!?それなのに···それなのに···負けて···アグモンのちからだって···ぼくには···もう···。」
電磁は顔に悔しさを滲ませる。
(···お前、本当に一人で戦っていると思っているのか?)
「えっ?だって···梅雨ちゃんやデパートにいた人が捕まってしまったんだもの、満足に戦えるのはぼくしか···。」
(そういう意味じゃない、本当に···アグモンは···デジモンは、ただの個性か?)
「···違う。」
光から急に、質問を投げかけられる。しかし、電磁は自然と返答していた。
(アグモンの力は、お前が操ってると思っているのか?)
「違う。」
(お前は、アグモンが嫌いか?)
「違う!」
(じゃあ、お前にとってアグモンは何だ?言ってみろ、電磁!)
「アグモンは···、
ぼくにとって!大切な友達の一人だ!!!!」
黒い空間で、ぼくの大声が響き渡る。
しばらくの間、静寂が訪れる···。
(良く言った!電磁なら、アグモンを任せても大丈夫だな。)
静寂を破ったのは、光からの喜びの言葉だった。
「アグモンを任せるって···どういうことですか?それに、最初から疑問でしたが、何故アグモンのことだけじゃなく、デジモンのことや、ぼくのことまでも知っているんですか?」
電磁は光に向けて、自分が感じた疑問を聞こうとする。
(いっぺんに質問してきたな···。えーっと、まず俺はな、電磁と同じ『選ばれし子供達』のうちの一人だったんだ。それで···ん?)
光かが質問に答えようとした時、黒い空間の上の方から光が溢れ、橙色の光がゆっくりと上にあがり出した。
(ちょっ!ちょっと待ってくれ!もう時間か!?)
慌てるように橙色の光は暴れるが、抵抗虚しくゆっくりと上へと上がってゆく。
(ああもう!電磁!!アグモンと会ったらこれを渡しといてくれ!!)
そう言うと橙色の光から小さな光が出てきた。
光は電磁の方へと向かい、ゆっくりと電磁の中へと入っていった。
(頑張れよ!俺たちの遺志を継ぐ新たな選ばれし子供!期待しているぜ!!)
そう言って徐々に橙の光が消えていく。
「ちょっ、ちょっと待ってください!せめて!せめて名前だけでも聞かせてください!」
電磁は立ち上がり、その光に向けて手を伸ばした。
(俺の名前?俺は···
そう言って、光は消えた。
それと同時に、黒い空間は光に包まれた。
「うわぁぁぁぁーー!!!」
そして電磁も、光に包まれていった。
(電磁···決してお前は···ひとりじゃない!
意識が遠のく直前に、そんな声が聞こえた気がしたーー。
次回予告
八神太一との会話を終え、目を覚ます電磁。
今度は、アグモンとの会話を始める。
梅雨を助けるために、ヴィランを倒すために電磁が勇気を出す時、アグモンの、『新たな力』が呼び覚まされる!!
次回『電磁のヒーローアカデミア 〜Unlimited Evolution〜』
「門屋電磁:オリジン 〜爆裂進化!グレイモン 後編〜 その下」
今、冒険が、更に向こうへと進化する。