ロスト・オア・ゲット~失うか求めるか~   作:茅倉 遊

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友達に薦められて読んでみた所、めっちゃハマりましたよ『アブソリュート・デュオ』!!
こうなったら二次小説を書いてやるぜッ! ・・・・と、書いたのがこの作品です(笑)


プロローグ~開式の言葉~

 ---晃陵《こうりょう》学園。

 一般の高校と違い、特殊技術訓練校という面がある。

 この学校で教わる特殊技術とは---戦闘技術。 平和な日本において、日常必要としない術を教えるという非常に特異な学校だ。

 

 

 

「学費無料で全寮制。三食メシ付きの上、生活費まで出るっていう至れり尽くせりな学校なんて今時考えられねぇーよ。そうは思わなかったのか、当学園 理事長 さん?」

「あら? 貴方達の『出身校』も同じような所だったと聞いておりますわよ?」

「『あそこ』と一緒にすんな。あれは、『この世の地獄』だぜ」

「まぁ、素敵な響きですわね」

 理事長。その役職から受けるイメージとは違い、十に達したかどうかという年端のいかない少女が微笑みを浮かべる。二つに結った闇色の髪、漆黒の衣装《ゴシックドレス》に身を包んだその姿は、魔性めいたものを感じさせる。しかしこの人物こそ、この晃陵学園理事長、九十九朔夜なのだ。

「はは! やっぱイカれてるもんだな、こういった学園の頭《トップ》ってヤツらわ!」

 その時、俺の左隣りに立っている 少年 が声を上げる。

「ちょっと! 言い過ぎよ邦弘《くにひろ》!」

 その声に続いたのは、俺の右隣に立っている 少女 だ。

「別に良いだろ、佐紀《さき》。事実、この学園だって『あそこ』とほとんど変わらねぇーと思うぞ。なぁ、悠也《ゆうや》」

 左隣りの少年、邦弘から話を振られたが、ここは無視する。

「それで、俺たちはこれからどうすればいい?」

 俺、悠也が晃陵学園理事長に問いかける。

「貴方達は、推薦入学という扱いなので 入学試験 は免除して置きましたわ。このまま貴方達の教室に向かって下さいな」

「は? 何言ってんだ、入学試験? 今日は 入学式 だろ?」

 邦弘が理事長の話であった不可解な部分に触れると、理事長はまたも微笑みながら口を開く。

「それが当学園の伝統行事《資格の儀》ですわ」

「《資格の儀》? この学園も『あそこ』と同じような事をするんですね」

 佐紀が小さく呟くと、理事長はさっきよりも笑みを深くして口を開く。

「貴方達の『出身校』に比べれば、とても簡単な試験ですのよ。・・・・ 死者 も出ませんわ」

「死者まで出す『あそこ』が狂ってんだよ。それが普通だ」

 最後に悠也が理事長の言葉にツッコんでから、悠也たち三人は部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 この晃陵学園は東京湾北部、懸垂型モノレールでのみ立ち入ることの出来る埋め立て地に存在する。

 周囲を巨大な石壁に覆われ、そのサイズに見合った門が唯一の入口となっていて、敷地の中央には学外からも望むことの出来る巨大な時計塔がそびえ立っていた。

 校舎や学生寮など内部の建造物は馴染みのない西欧風で、学校と言われると少々違和感を覚えてしまう。無論、内装も同様であり、まるで洋館を思わせる内装の廊下を悠也たち三人は並んで歩いていた。

 

「・・・・ここだな」

 悠也が目的地である教室の前で立ち止まった。教室の中を覗くと、まだ生徒は一人も来ていない。先ほど理事長の言っていた 資格の儀 と言うのが長引いているのだろう。

「とりあえず、入って待っとこうぜ」

 邦弘の意見に賛成し、教室の中に入る。室内に並んだ机は小中学校で使っていたような個人用ではなく、二人で使用する横幅が広い形のものだった。理科室や視聴覚室に在りそうなヤツだ。

 悠也たちは入口から離れた窓側の適当な空席(と言っても教室内全ての席が空席だが)に腰掛ける。横に並ぶのもどうかと思い、悠也が一番端の机の席に、邦弘がその後ろに、佐紀は悠也の机から一つ隣の机の席に座ることにした。

 

 

 

 少しの間待っていると、続々と生徒たちが教室に入って来た。どうやら 資格の儀 が終わったらしい。

「おいおい。ほとんど一般人と変わらねェー様な奴らばっかだぞ! 大丈夫か、この学園?」

「あのな~、邦弘。人は見かけに・・・・よらな・・・・い・・・・ぞ?」

 邦弘に忠告しようとした悠也の言葉が途中から不明瞭になったのは、教室の入口に視線を向けたからだ。恐らくこの瞬間、教室にいる全員が視線を向けたであろうこの教室の入口には 二人 の銀色の少女が立っていたのだ。

 一目見れば記憶から決して失われることは無い---そう言わしめるだろう容姿の少女が 二人も 教室の入口に立っていた。

 透き通るような雪色の肌《スノーホワイト》、故に際立つ深紅の瞳《ルビーアイ》は、一目で異国の少女だとわかる。まるで名高い人形職人がその技量を余すことなく使い、長い年月をかけて作った最高傑作の西洋人形《ビスク・ドール》のようだ。端整な顔立ちをしていて、まさに人形のようにその顔には表情というものが一切見て取れない。幼さを残す顔まで ほとんど同じ の二人の少女。

 恐らく 双子 であろう二人の唯一の違いは、その髪型だ。美しい銀色の髪《シルバーブロンド》と言う点では同じだが、一人は腰まで届くくらいの長さで、もう一人は肩に触れるか触れないかくらいの長さで切り揃えていた。

 チリン、チリンとほとんど同時に聞こえた二つの音色の違う鈴の音と共に、二人の少女が歩き出す。髪の長い方が入口付近の片方だけ空いた空席(もう片方には男子生徒が座っている)に座った。

 髪の短い方はもう少し歩いて窓側の列まで行くと、ぺこりと頭を下げてイスへ座る。

 ---俺の隣の席へ。

 空いている席はまだ多いのに、わざわざ俺の隣へ、だ。

(・・・・・・偶然か?)

 まぁ、考えていても仕方がない。とりあえず学校のパンフレットでも・・・・

「ハロハロー♪ あーんど試験お疲れさまー☆ あーんど入学おっめでとー!」

 突然、ガラガラッと大きな音を立てて 窓が 開いたかと思うと、そこから女の子が教室へ入って来た。

「はっじめましてぇ、月見璃兎《つきみりと》でーす♡ みんなの担任だから一年間よっろしくー! 親しみを込めて、うさセンセって呼んでねーっ☆」

「・・・・どこが担任、いや、教師だよ・・・・」

 悠也が思ったことは恐らく、この教室の全員が思ったことだろう。どこからどう見ても メイド服 を着込んでおり、あまつさえ ウサギ耳のヘアバンド まで着けているのだから。

「月見先生、あまり新入生を不安にさせないで下さい」

 するともう一人(今度は普通に扉から)教室へと入ってきた二十代後半の男性---背が高く、整った顔立ちをしていて、黒いスーツをしっかりと着こなしている。

(・・・・こっちの方が教師向いてるだろ、絶対)

「あっれー? 三國《みくに》センセってば、どーしてここにいるんですか?」

「新人教師の監督です。あなたは今年の春、我が校を卒業したばかりですから」

(・・・・おい? それってこの変態教師は、まだ 十八歳 ってことか? ホントに大丈夫なのかよ)

「月見先生は昨年の卒業生の中でも特に優秀な成績を修め、本年度の特別教員として抜擢されました。人格はともかく、技術や能力に関しては申し分ありませんのでご安心を」

「何かすごくトゲのある言い方だったけど、まずは 『焔牙《ブレイズ》』 の注意事項からねー! えーっと『焔牙《ブレイズ》』は学園側の許可無く具現化しちゃダメだよ? 勝手に出したらすーっごく怒られるからね。以上っ☆ それじゃあ定番の自己紹介を始めるよー♪」

 

 クラスでは初日のHRが動き出す中---

 悠也はさっきの話しに出てきた ある単語 の事を考えていた。

 ---『焔牙《ブレイズ》』

 それは《魂》を具現化させた武器のことを指す。

 そして『焔牙《ブレイズ》』を扱う者は『超えし者《イクシード》』と呼ばれている。

 『超えし者《イクシード》』--- 

 それは、数年前にドーン機関と呼ばれる組織が開発した《ルキフル》という名の生体 超化 ナノマシンを投与された者のことを指す。

 千人に一人と言われる『適正《アプト》』を持った者へ投与すると、人間の限界を遙かに超えた身体能力を得ることができ、同様に超化された精神力によって、《魂》を『焔牙《ブレイズ》』と呼ばれる武器として具現化させる能力も得るのだ。

 

「---ミ」

 けど《魂の具現化》なんて、考えてみれば 奥深いモノ だな。

「---してるキミ」

 だって相手の『焔牙《ブレイズ》』を見れば、ソイツの《魂の形》が解るんだから・・・・

「そこで考え事をしてる窓側列の一番前のキミッ! 黒髪で中肉中背で 普通 の男子高校生って感じのキミだってば!」

 おや? どうやら考え事をしている内に俺の番が来たようだ。とりあえず、自己紹介か・・・・。

「良かったじゃねぇーか、悠也。お前の事 普通 だってよ! そんなこと言われるの、 何年 振りだ?」

「もう忘れちまったよ」

 自分の席から立とうとした悠也に、邦弘が話しかけてくる。そして、邦弘の言葉に思わず笑みがこぼれてしまう。悠也本人は素っ気なく返したつもりだが、表情は嘘を付けていなかった。

 確かに、『普通』って言われたのはいつ以来だろうか? 中学生、小学生時代は言われなかったから、もっと前だ。六歳、五歳、四歳・・・・もっともっと前 この世に生まれたその日 まで遡るが、普通と呼ばれていた時代は・・・・・・『一度もなかった』。

(・・・・まぁ、仕方ねぇーけどな)

 そう、悠也はとっくの昔に理解していた。自分が 普通じゃない者 だって。・・・・だからこそ、

「・・・・倉峰悠也《くらみねゆうや》です。よろしくお願いします」

「倉峰くんそれだけ~? もっと他に言う事無いのかな♪ この学園に来た理由 とかさ~☆」

 月見先生が笑顔でこちらを見てくる。まるで俺が この学園に来た理由 を知っているかのように。

「この晃陵《こうりょう》学園に来た理由ですか?」

 まぁ、別に隠すような事でもないし言って置くか。

「先生の質問に対しての答えですが・・・・・・」

 悠也はそこで、少し息を吐いてから口を開いた。

 

 

 

  「---俺は、自分の力を 失うために 此処に来た・・・・」

 

 

 

    See you next again!!!

 

 

 

 




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