ロスト・オア・ゲット~失うか求めるか~   作:茅倉 遊

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どうも、茅倉 遊です。
最近だんだん暖かくなってきましたが、風が強いですね。
そういえば、今日は ホワイトデー だとか・・・・。
「―――――ふっ。俺は 無駄な出費 をしなくて済むんだよ(ドヤ顔)」
・・・・すいません、嘘です。強がってました。どうせチョコ貰えなかった非リアですよ。
はぁ、世間はまだまだ僕に冷たいですorz ---前置きはこれくらいで!
 それでは、どうぞ!


初めての集団会合

 『国立・私的目的兵器育成校・トワイライト学院』---

 

 通称、『トワイライト学院』・・・・・・

 ここは世界中から集められた≪特殊な力≫を持つ人間たちが通う、日本の本土に世界的規模の支援を受けて造られた学校だ。表沙汰に為る事のない裏世界で行われる国家の戦争で使用される兵器を育成するための学校でもある。

 この世界には約70億もの人間たちが存在しているのだ。そのため、探せば普通とは懸け離れた人種くらい幾らでもいる。この学校では毎年生まれてくる≪特殊な力≫を持つ人間たちを監視し、その中でもさらに選抜された≪人間離れした人間すら、超越した者たち≫を100人だけ入学させる。それも日本で云う小学一年生と変わらない、六歳という段階で。

 こうして入学した『トワイライト学院』の生徒たちは≪超越者(イクシエーター)≫と呼ばれ、『トワイライト学院』で戦闘技術や自分たちが持つ能力についてなどを学んで行くのだ。

 ---しかし、ここは兵器を育成する学校である。

 そのため、中学生に上がる年、年齢で言えば 十二歳 という時≪とある試験≫が行われる。

 人間を兵器にするために必要な事は、何も感情まで殺す必要はない。単純に、非情になるだけで良いのだ。

 つまり、この≪とある試験≫とは---≪今まで共に過ごして来た、友人を殺す≫というモノ。

 六年間もの日々を共に過ごして来た友人を、その手で殺すのだ。同じ部屋で学び、同じ部屋で眠った。一緒に泣いたり笑ったり、悲しんだり喜んだりしてきた。そんな友人同士で殺し合いをさせるという非人道的な試験。

 中学校の入学式当日、二人一組(ツーマンセル)に振り分けられた生徒たちは、真新しい中学の制服を身に纏い殺し合いを始める。そして、入学式の会場から生きたまま出ることの出来る生徒の数は、100人いた生徒の内生き残った50人の生徒たちのみ。もう半分は、死体として入学式の会場から姿を消す。会場に入る前の生徒たちが着ていた制服は、会場を出る時には血塗れた物に変わっているのだった。

 ---感情を殺さずとも共に過ごした友人を殺すことで、人は非情に成れる。

 こうして製造された兵器のみが『トワイライト学院』に残り、戦闘技術や自分たちが持つ能力について、さらに奥深く学んで行く。初等部との違いは依頼(クエスト)を受ける事が出来るようになり、国家のために働ける事だ。さらに私闘も許可され、自分より優れた超越者(イクシエーター)に挑むことが出来る。

 『トワイライト学院』では≪全校生徒総合順位(ランキング)≫というモノがあり、初等部から高等部まで全校生徒をまとめての順位が存在する。全校生徒の数が950人という中で、自分の順位が分かるのだ。

 『トワイライト学院』での順位は、順位三桁(ランクサード)順位二桁(ランクセカンド)順位一桁(ランクファースト)と呼ばれる順位ごとの呼称も存在する。初等部の生徒が高等部の生徒より順位が上という事例も少なくない。『トワイライト学院』は 徹底的な『実力主義の学校』なのだから。

 そして、『トワイライト学院』にも≪首席≫は存在する。

 ---≪首席≫には学院からの支援、国家からの支援、さらに世界政府からも優遇される。

 学院内での数々の試験も免除され、ただ強くなる事を考えていれば良い。そんな学校生活を送る事が出来る。まさに夢のような学校生活を過ごす事が出来るのだった。

 

(・・・・・・けど、俺はそんな生活が堪らなく嫌だったんだ・・・・っ!)

 

 だから逃げ出した。この強過ぎる力を失うために。

 強過ぎる力は、性質の悪い≪呪い≫でしかないのだから―――――。

 

 ―――――そして、そんな俺に声を掛けてきた≪魔女≫がいた。

「・・・・私が≪貴方の力≫を頂きますわ」

「俺の≪この力≫を・・・・?」

「えぇ、汝はすでに絶対へ至たった者。---私が貴方の力を有効活用致しますわ♪」

「おいこら。人の力をガラクタ用品扱いするなよ」

 俺が≪魔女≫を半眼で睨みながら口を開く。

「この力はガラクタより不良品だ。この力と同じなんて、ガラクタに失礼だろ」

「貴方・・・・。自分で言ってて悲しくない?」

 ≪魔女≫は小さく息を吐くと、言葉を続ける。

「それでは、私の 学園 にいらして下さい。―――――倉峰悠也(くらみね ゆうや)

「・・・・学園?」

「 晃陵(こうりょう)学園 。それが私の学園ですわ」

 ≪魔女≫---十に達したかどうかという年端のいかない少女。二つに結った闇色の髪、漆黒の衣装(ゴシックドレス)に身を包んだその姿は、魔性めいたものを感じてしまう。

 

「願わくば、我が道が≪絶対双刃(アブソリュート・デュオ)≫へと至らんことを」

 

 少女が呟いたその言葉に、俺・・・・倉峰 悠也は、

「はぁ、面倒だぜ・・・・」

 ただ一言呟くだけだった。

 

 

 

 

 ≪絆双刃(デュオ)≫の登録を済ませ、夕食も終えた悠也は風呂に入っていた。

「思い返すと、いろいろな事が遭ったな」

「ユーヤ。背中を流しましょうか?」

「ん? いや、自分でやるよ。・・・ありがと、ユミエ」

 気持ちだけ受け取って置こう。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

 あれ? 何かおかしくないか? どうして---

「ユミエが此処に居るんだよっ!?」

「ユーヤと一緒にお風呂に入っています」

「だ、だから、どうしてっ!?」

 悠也は湯船から出て頭を洗っていたのだが、湯船の方から聞こえるユミエの声に動揺を隠せない。

「≪絆双刃≫を組んだ後はお互いをより深く知り、絆を強くするためにもできる限り一緒の時間を過ごすこと、と校則にありますので・・・・」

 そう言えば、そんなこと言われましたね!

 学園が 勝手に決めた とは言え、悠也とユミエは正式な≪絆双刃≫になったのだ。そのため、前と同じように 同居 することになっている。

「あのなぁ~、いくら校則でもそこまで厳密に守らなくていいって!」

「そうなのですか?」

「規則やルールは守るためにあるが、校則なんて破るための物だろ?」

「・・・・それは違うと思います」

 ユミエが呆れたような声を上げるが、その表情は悠也に見えない。

 なぜなら、頭を洗っていたシャンプーが、だんだん顔に垂れて来ているためだ。

「だ、だいたい男と一緒に風呂って、イヤじゃないのか?」

 悠也の問い掛けに、ユミエは恥ずかしそうに俯き加減となった。

 逡巡した後、上目遣いで悠也を見つめてくる。

(・・・・シャンプーのせいでまったく目を開けられない、俺には見えないけどね!)

「恥ずかしくはありますが、悠也は 特別 ですから・・・・」

「―――――っ!?」

 その一言に激しく動揺する。

 ・・・・・・・・・・・・だが、

「ユ、ユミエ!」

「ヤー。何ですか?」

「シャワーのスイッチを押してくれないか?」

 悠也はシャンプーが目に入りかけ、もう限界なのだった。

 

「それではユーヤ。そろそろ寝ましょう」

「あっれれー、おっかしいーぞぉー♪」

「ユーヤ?」

 小首を傾げるユミエ。

 風呂から上がった後、決して悠也が可笑しくなった訳ではない。

 某名探偵のように、大きな疑問を感じたからだ。

 何故かユミエが≪俺の布団≫に入っているために。

「寝ないのですか?」

「いや、寝るけど・・・・」

 ユミエは上段、俺は下段のベッドを使うと半強制的に決めたのだが。

 なのに今、ユミエは見紛うことなく下段ベッド、その布団へと潜り込んでいた。

「なぁユミエ。まさかと思うけど、一緒に寝るつもりか・・・・?」

「ヤー。≪絆双刃≫ですから」

「い、一応聞くけど、俺と一緒に寝ることについてどう思ってるのかを聞かせてくれ」

「家ではいつもママとユリエと一緒でしたから、お恥ずかしい話ですが実のところ一人で寝るのは寂しかったです」

 ユミエの表情が、少ししょんぼりとしたものから、小さな微笑みへと変わる。

「だから、≪絆双刃≫ということは置いておいても、一緒に寝ることができるのは嬉しいです」

「そ、そうか・・・・」

 その笑みに、悠也は力無く答えるばかり。

 しかし、悠也は揺らぎ掛けた思考を慌てて正常に戻す。

「や、やっぱりダメだって。いくら≪絆双刃≫だからって、俺たちは男と女なんだし・・・・」

 と、伝えはしたものの、悠也は気付く。

 じ――――――――――――――――――――――――――――――――――――っ。

 まるで捨てられた子犬のような目で、じっと見つめられていることに。

「き、今日だけだぞ・・・・」

「ヤー♪」

 

 一人で寝るには申し分ないが、二人で寝るには少々手狭なベッドに入る。

 隣にはもちろんユミエが。

「おやすみなさい、ユーヤ」

「お、おやすみ、ユミエ・・・・」

 緊張から声が震えてしまう。

 ドキドキドキドキと、早鐘のように心臓が打ち鳴らされる。

 わかっている。ユミエに他意なんて無いことくらい。

 もちろん悠也だって何かをしようという気は無い。

 ---しかし次の瞬間、その考えは打ち破られる。

 ぴとっ。

「!?」

 ユミエが悠也の服の袖をぎゅっと握り、肩へ頭を触れさせたために。

「ユユ、ユミエ!?」

「ユーヤ・・・・。このまま寝てもいいですか?」

「えっ、ちょ、それは、いや、何か当たって、うわっ・・・・!?」

 暗闇の中、慌てる悠也の声とは対照的にユミエの声は落ち着いていた。いや―――――

「こうしていると昔に戻ったみたいな気がして・・・・」

 どこか寂しげなトーンで呟くように言葉を続ける。

「パパが帰ってきたような感じがするのです・・・・」

「・・・・その、ユミエのお父さんは?」

「・・・・・・。何年も前に亡くなりました」

「そうか・・・・。悪い・・・・」

「ナイ。気にしないで下さい」

 どうしてユミエが悠也と父親を重ねることになったのかはわからない。

 ただ、悠也の中で少しだけ考えが変わる。

「あのさ、ユミエ。俺はユミエのお父さんじゃないけど・・・・それでもよかったら、またこうして一緒に・・・・ね、寝ないか?」

「あ・・・・。ユーヤ・・・・」

「た、ただし毎日じゃないぞ。ユミエがすごく寂しいって思ったときだけだからな?」

「ヤー・・・・!」

 暗闇の中でも、ユミエがこくこくと頷いているのがわかる。

 声の調子から、喜んでいることも。

「ありがとうございます、ユーヤ」

 その喜びを表すように―――――

 ぎゅっ。

 ユミエが悠也の腕へ抱きついてきた。

「!?」

「とてもとても嬉しいです」

(~~~~~~~~~~っ!!)

 つつましくも柔らかい胸が押しつけられ、密着することでより甘くなった香りに、悠也は今にも叫び出しそうになる口を慌てて押さえる。

 この夜―――――

 眠りに就いた後もユミエが腕に抱きついたままで、悠也は緊張から目が冴えてしまって眠ることなく朝を迎えることとなるのだった。

 

 

 

 週が明け、月曜日の朝。

「おっハロー♡ みーんな無事に≪絆双刃≫が決まってよかったねー♪ うんうんっ☆ さてさて、パートナーが決まったことで今日から心機一転、席も≪絆双刃≫同士の並びに変更しよっか♪ ・・・・ん? おやおやぁ? 仮同居のときとパートナーが変わって無い人もいるみたいねー♪」

「学園が決めましたからね」

「それは、君たちが悪いんだよ☆」

 月見先生が視線を向けた先には、悠也とユミエ、透流とユリエ、トラと邦弘 がいた。

「すっごい偶然だねっ! 男女のペアがデキちゃうなんて♪」

 どうせ楽しんでるんだろうな・・・・。この学園。

「さてさて話を続けるけど、≪絆双刃≫も決まったことだし、早速来週に≪焔牙(ブレイズ)≫の使用を許可した模擬戦―――――≪新刃戦(しんじんせん)≫を行っちゃうよー♪」

 その宣言に教室内がざわめく。

 もちろん、驚きと戸惑いによって。

 ≪焔牙≫の使用を許可される模擬戦があるとは聞いていたが、これほど早く行うとは誰一人思っていなかったからだ。

「それじゃあ≪新刃戦≫のルールを説明するから、耳を立てて聞いておくんだよー☆」

 そう言って頭の上で手を立て、うさぎの耳っぽいアクションを取る月見先生。

「まず日程だけど、来週の土曜日―――――つまりGWの前日ね。誰かが病院送りになってもいいように休み前にやるってわけ♪」

 縁起でもない一言だ。

「開始は十七時、終了は十九時までの二時間ってことで、時計塔の鐘が合図だからねー。場所は北区画一帯になるよー」

「北区画ってことは、ここ―――――校舎の中も有りってことですか?」

「答えはイエス♡ ≪焔牙≫にはそれぞれ特性があるわけだし、それに合わせて正面から闘うも良し、戦略を練るのも良し。地形を考慮して、いかに自分が有利な状況で闘うかも重要ってわけ♪」

 どうやらかなり実戦的な内容のようだ。

「さーてさてさて、お楽しみの対戦相手について・・・・ななななんとー♪」

 月見先生は満面の笑みを浮かべ、指を立てて楽しそうに言った。

 

   「全員、敵♡」

 

 

 

 その日の昼休み。

 悠也と透流、ユミエとユリエ、邦弘とトラ、佐紀、橘と穂高、計九人とともに学食で昼食を食べていたのだが―――――

 ≪新刃戦≫の話題が出ると、穂高は牛乳の入ったコップを手にしたまま、憂鬱そうにため息をついた。

「はぁ・・・・。まだ≪絆双刃≫が決まったばかりなのに・・・・」

「決まったばかりだからだと私は思うぞ、みやび」

「俺も橘と同じだな。この時期だからこそ、意味があるんだと思う」

 橘の言葉に透流が同意すると、その場にいた穂高以外の全員が頷く。

「どういうことなの?」

「なるべく早い内から実戦形式の戦闘を経験させておきたいのだろう。確かにこれからの授業で≪絆双刃≫としての動き方や心構えは教わったとしても、それは知識でしかない。経験として蓄積させることで知識は真に身につくものだ」

「習うより慣れろということね」

 橘の説明に、佐紀が頷く。

「ふんっ。時間帯や範囲の広さ、それにバトルロワイヤルというルールからしても、不確定要素を高くし、より実戦的な状況を用意してくれているしな」

「時間帯? そういえばずいぶん遅くにやるよね。それはどうして?」

 トラの発言に、穂高が質問する。

「開始から三十分も経てば夕暮れですし、終了三十分前ともなれば日没となって非常に視界が悪くなるからです、みやび」

「視界の悪さは戦況へ大きな影響を及ぼします。それも経験させておこうということなのでしょう」

 その質問には、ユミエとユリエが順番に答えた。

「その点、悠也の≪焔牙≫は便利だよな! 確か暗闇の中で 光る だろ、あれ!」

「人の能力を ホタル電球 みたいに言うなよ・・・・」

 邦弘の笑いながらの発言に、悠也がツッコむと場に笑顔が見れる。

「そっかぁ、いろいろ理由があるんだね・・・・」

「みやび、今回は入試と違って負けても終わりというわけでは無いから、背伸びをせずにいけばいい。今日の放課後からは≪焔牙≫を使えるのだから地道に慣れていこうじゃないか」

 いま橘が口にしたように、今日から≪新刃戦≫までの間は申請さえ出せば、放課後、学園内のみという条件で≪焔牙≫の使用許可が下りることとなった。

 おそらく、いやほぼ確実にクラスメイト全員が、今日の放課後から≪焔牙≫の訓練を始めることだろう。

 ここで重要なのは、他の≪絆双刃≫の訓練を 無許可で見学 しても構わないとも伝えられたことだ。

 いわゆる 間諜行為(スパイ) を学校側が容認している。

「俺の 得意分野 だな。---≪情報戦≫なら任せろってんだ!」

 邦弘が高らかと声を上げる。

(・・・・だから、そんな 大声で宣言 したら意味無いだろうに)

 だが、これは≪情報戦≫に他ならない。≪新刃戦≫はすでに始まっていると言っても、過言ではないのだ。

 ―――――まぁ、のんびり過ごしていいだろう。

 俺、倉峰 悠也にとって≪新刃戦≫はどうでもいいモノなのだから・・・・。

 その後も、この場にいる全員でいろいろ話したが、全員ともに少しは打ち解けあえたようだった。

 これからもこういった 集団会合 の機会が多くあるかも知れないので、いい練習になっただろう。

 さて、どうすっかな。これからの≪新刃戦≫までの間。

 

 ・・・・悠也は遠く感じているが、≪新刃戦≫は近い―――――

 

 

 

 

    See you next again!!!

 

 




どうでしたか?
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それでは、次回も早めに投稿できるよう祈りつつ―――のしのし(笑)
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