Faker and Black   作:茶々丸さん

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PROLOGUE & EXTRA EDITION
正体不明 ーunknownー


ーⅠ正体不明ー

 

空にぽっかりと空いた穴からとめどなく溢れてニューヨークの街を飛び回り荒らす宇宙人をたったの6人が屠っていた。

超人的な身体能力と巧みに扱う円盾で蹴散らす男、赤いパワードスーツで宙を飛び回り敵を翻弄する男、ハンマーを振るい雷の力で敵を葬る男、緑色の巨体に驚異的なパワーで蹴散らす男、巧妙な弓さばきで敵を射抜く男、その技術力と特殊な武器で敵を着実に屠る女。

 

優位に立っていた彼らも数の暴力の前に体力を削られ、確実に劣勢に立たされていた。

仲間達と分断され、それぞれが敵に囲まれ諦めの色が見え始めた頃、戦況は劇的に変化した。

彼らを囲んで今にもトドメをさそうとしていた宇宙人達を細い剣が深々と貫き絶命させたからだ。

そんな不可解な状況にヒーロー達は再び変わろうとしている流れに戸惑いを隠せずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナターシャ・ロマノフは優秀なスパイだ。

幼少の頃から鍛え上げられたスパイとしての技術によってこれまで様々な仕事をこなしてきた。

仕事によっては人を殺すこともあった。

そんなナターシャでも、最新鋭の装備を身にまとった宇宙人と戦うのは容易なことではなかった。相手する事は可能だがキャプテン・アメリカやソー、ハルクのような飛び抜けた力があるわけでも無ければトニー・スタークのようなパワードスーツを持っている訳でもない。

 

故に仲間達と分断されこうして数十体の宇宙人達を相手する事は厳しいのだ。言わば絶体絶命だ。

そんなナターシャの思いとは裏腹に宇宙人達は早く殺せと言わんばかりの迫力で迫りその手に持った武器をこちらに向けた。

ここで終わるのか……こんな所で死にたくない……そう思った瞬間だ。

身体からごっそりと力が抜けたと思ったらいつの間にかナターシャを囲っていた宇宙人達は屍と化していた。

 

「な、何が……」

 

「ふむ……どうやら、とんでもないタイミングで呼ばれたようだ。無事かね?マスター」

 

 

 

 

 

 

 

―――◼◼◼◼◼side

 

暗い空間の中で1人佇んでいるといつもの慣れた感覚に襲われた。

何かに引っ張られるような感覚……すなわち英霊召喚だ。

 

私のようなハズレサーヴァントを引き当てるとは……さて、今回はどのようなマスターかな

 

そんな私の前に広がっていた光景は燃え崩れるビルと空を飛び交う未確認生物だった。

 

「なんでさ……」

 

とにかくマスターを探そうと当たりを見回すと今し方見かけた未確認生物に囲まれていた女性を見つけた。

 

「彼女か」

 

絶体絶命と言わんばかりの状況に立たされていた赤髪の女性に未確認生物達が武器を構えた瞬間、私は未確認生物達に矢を放った。

放った矢は未確認生物達のその頭を穿ち、瞬く間に絶命させた。

 

「ふむ……どうやら、とんでもないタイミングで呼ばれたようだ。無事かね?マスター」

 

マスターであろう女性は何事か分からないと言った様子でただ呆然としていたが我に返ったのか鋭い目付きで睨みながら一言放った。

 

「あなたは敵?」

 

「ふむ……君の味方だ。マスター」

 

「なら、お願いがあるの」

 

「聞こう」

 

「私以外にもさっきの奴らと戦っている仲間がいるの。」

 

「了解した。彼らの援護をすればいいのだな」

 

「え、ええ。」

 

「では行くとするか」

 

「え……?嘘でしょ?」

 

私はマスターを担ぐとマスターはわけも分からず声を漏らすがそれも次の瞬間には苦い表情に変わった。

マスターを抱えたままビルを駆け上がったからである。ビルの屋上に到着するとマスターを降ろす。

 

「あなた……何者?」

 

「ふ、なに……しがない弓兵だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マスターを戦場から引き離し別のビルの屋上に立つと戦場を一瞥する。

 

「5人か……しかし、厄介な世界に呼ばれたものだ」

 

ハンマーを振り回していた男はそこまで困っている様子は無かったが……まぁいい。

マスターの指示を遂行するだけだ。

 

投影、開始(トレース・オン)

 

標的は5人を囲む宇宙人。

投影するのは黒塗りの大弓……そこに1本の剣を構えた。集中していて動きのないモノなど敵にはなり得ない。

 

放たれた1本の矢……剣は無数の閃光となり戦場に降り注いだ。

放たれた矢は寸分違わず宇宙人を射抜くとその生命を刈り取っていく。

襲われていた5人はどうやら困惑していたようだが気を取り直し再び宇宙人に対する攻撃を開始した。

 

確実に流れが変わった戦場を高みの見物を決め込む私は標的を私にした宇宙人達に向け再び弓を構える。

 

「宇宙人……ふむ、君達の存在に興味は湧くが……ここで絶えて貰うぞ」

 

放たれた矢は呆気なく宇宙人達の生命を奪っていく。

すると人型の宇宙人ではなくビルを破壊しながら飛んできた巨大な生物が現れる。

 

「あんなものまでいるのか……しかしやりようはある。」

 

ニヤリと笑うと正面から矢を放ちそれからビルを飛び出すと縦横無尽に駆けながら矢を放つ。

無数の矢がその身に刺さっているがあまりダメージは通っていないようだ。

しかし、そんな事は関係ない。

 

「これで終わりだ……壊れた幻想(ブロークンファンタズム)

 

宇宙人に突き刺さった矢はその身を光らせると神秘の爆発を巻き起こした。

神秘の爆発をその身に受けた宇宙人はその身体の半数を消し飛ばされ墜落した。

 

次の瞬間だった。

ミサイルを背負った赤いパワードスーツの男が空の穴に入って行った。

 

「終わったか……」

 

狭まっていく穴から衝撃波と赤い男が降ってきた所で宇宙人達の動きが停止した。

こうして召喚されてからの初戦は終わった。

霊体化するとそのままマスターの元へ向かった。

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