転生特典?んなもん、ユウキ生存に決まってんだろ?   作:島夢

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 今回は妹ちゃんが対人戦に興味を持ちました。
 という話です。


 ではごゆっくり…。


第14話

 キリトの剣が水色に輝く。

 俺の両手が青く輝く。

 

 完全にソードスキルが立ち上がるのを感じながらそれを解放する。

 

 

「シッ!」

 

「ふッ!」

 

 

 キリトの剣が四度水色の軌跡を描きながら振るわれる、それを迎撃するように俺の両手が右手で三発、左手で一発、拳を放つ。

 ソードスキルはお互いがぶつかり合いながら打ち消し合う。

 

 キリトのソードスキルの名前はホリゾンタル・スクエア、俺の撃ったソードスキルは完閃光(カンセンコウ)

 どちらも四連撃ソードスキル、俺がキリトのホリゾンタル・スクエアに合わせて迎撃するように撃ったから打消しあった。

 まぁ、正しいソードスキルの防ぎ方、的な奴だな。

 

 なんで俺とキリトがこんなことをしているかと言うと…。

 

 

「みたいな感じでソードスキルは防ぐんだよ、わかった?」

 

 

 アスナがハートにそう教えている。

 というわけで、とうとう対人のやり方教えて! と言い出した俺の可愛い妹ことハートさんの英才教育中だ。

 もう正直このままじゃハートは俺より強くなる可能性が…。

 というか、現実世界じゃ身体能力は男である俺とほぼ同格のハートさん。

 

 最近かなりの速度で走っている電車の中から一瞬で通り過ぎる看板の文字見て「へぇ~、そんなレストランあるんだぁ」とか言ってた心さん。

 ちなみに俺はその看板の文字がほぼ一切見えなかった、と言うか、レストランの看板だったのかあれ、ってレベルだった。

 動体視力が大分おかしい…。

 

 

「質問でーす!」

 

「はい、どうしたのかなハート君」

 

 

 キリトが教師にでもなったつもりなのか、ハートの質問に答えようとする。

 

 

「ソードスキルにソードスキルをぶつけるのはわかったんですけど、どういうソードスキルなのか、何連撃なのかはどうやって判断して合わせるんですかー? あと、どこまでの後出しなら迎撃に間に合いますかー?」

 

「まずはどういうソードスキルなのかを見極める方法だけど…。こればっかりは覚える、しかないよな」

 

「そうだね」

 

 

 アスナとキリトが教えるからもう俺は見てるだけでいいんじゃないかな?

 そうこうしているうちに説明が進む。

 

 

「例えば、さっき、俺はホリゾンタル・スクエアを撃ったけど、どの時点でホリゾンタル・スクエアだと思った? ソウム」

 

 

 お? ないと思ってた出番が来た!

 少しテンションが上がりつつ応える。

 

 

「ほいほい、お答えしましょう! キリトが剣を構えて体制をとったとき、つまりソードスキルが立ち上がり始める前だな」

 

「つまり、大体構えを覚えればいいわけだ。ここから繋げて説明すると、後出しでの迎撃、防御目的のソードスキルは後出しだから、出が速いソードスキルじゃないとダメなわけだ。まぁ、同じくらいでもギリギリ間に合うけどな」

 

「ふむふむ」

 

 

 要は、相手がソードスキルを撃って、自分に当たるまでに相手のソードスキルを弾ければいい、けど間に合わずに一発目を受けると、連撃系だった場合、ダメージディレイでそのまま次の攻撃を受けるわけだ。

 

 出が速いソードスキルならかなり遅れても間に合うこともある。

 

 

「体術のスキルは基本的に出が速いから後出しでも結構間に合う。しかも攻撃が当たればスタンをかけれるスキルもちょくちょくあるから対人向きではあるんだ。ハートは片手直剣の盾なしスタイルだから牽制とかに使えるぞ、サブウェポンみたいな認識でOKだ」

 

 

 キリトはそこまで説明してチラッと俺とみてからハートに向き直り…。

 

 

「でもだからって誰かさんみたいにメインウェポンを自分の体にしちゃダメだぞ、かなりバカげてるから」

 

「おい、聞こえてるぞー。バカげてるとはなんだバカげてるとは!」

 

「実際、体術オンリーの人は少ないからねー」

 

 

 アスナまで少し苦笑しながら同意した!?

 

 

「少ないっていうか、こいつ以外見たことないんだけど…。ネタで使うやつは何人かいるけどさ」

 

「そんなことはどうでもいい! 今日はハートに対人教えるためにここにいるんだろ? というわけでハート、負けて覚えるのが一番! 取りあえず数をこなせば強くなれる」

 

 

 これが俺の考え、数をこなせばいつか上手くなる。

 上手くなるためには極力無駄を省いてそれだけを全力でやればいいのさ!

 

 

「デスペナ…」

 

 

 なんだ、デスペナの心配か?そんなん大丈夫!

 

 

「取りあえず、はじめは初撃決着でやればいい、それなら死ぬことはほぼない」

 

「なるほど! でも…」

 

「ん?」

 

 

 ハートが俺、キリト、アスナを順番にゆっくり見て行って…。

 もう一度俺に視線を戻した。

 

 

「はぁ…。ここにいる人たちじゃ強すぎて経験にならないよ?」

 

「大丈夫だ、やってれば上手くなるはずだ! さて! 全然タイプの違う三人がここにいる! ハートは誰と戦いたい?」

 

 

 俺はアスナとキリトに順番に指をさして、自分に指をさす!

 ハートはむむむと言いながら考えはじめた。

 

 

「まずはSAO事件を解決した英雄黒の剣士ことキリト!」

 

「英雄とかやめてくれよ…というか、あの本の印税、少しくらい貰ってもよくないか? 俺」

 

 

 キリトは少し恥ずかしがっている。

 ちなみにキリトが言ったあの本というのはSAOクリア後にキリトを主人公としてとあるSAO生還者が執筆した本だ。

 色々脚色されてはいるが、大本は一緒で更に面白い。結構売れているらしい。

 SAO時代のキリトは本当にチートの如き強さだったので脚色とは言ってもそこまではずれているわけじゃない。

 読んでみるとかなり荒唐無稽にも思える物語だが、キリトが実際にやったこととそこまでの差異がないのでキリトがどれだけすごいプレイヤーなのかわかる本だ。

 

 

「戦闘スタイルがハートと似通っているから学べる点は多いだろう。ALO最強の剣士…ではないかもしれないけど間違いなく最強の一角だ!」

 

「うーん、キリト君より強い剣士っているかな…?」

 

 

 俺の言った言葉にアスナがそんな疑問を口にするが…。

 俺も最強の剣士と言ったはいいが、キリトに勝てそうな少女が思い浮かんだので言いなおしたのだ。

 SAO時代のキリトならともかく、今のキリトじゃユウキには勝てない。と思われる。

 

 俺の中じゃSAOキリト≧ユウキ>今キリト≧俺って感じだ。

 恐らく、俺はアスナには負けない…と思う。

 でも…SAOキリトとユウキが戦ったらユウキが強くなる気がしてならない、理由? 直感とユウキだから。 

 

 

 

「あー、うん。俺は一人知ってるかもしれないんだよな…」

 

 

 俺は小声で思わず呟いてしまい、少し慌てて強引に話を進める。

 

 

「次にSAOの攻略組トップギルドだった、血盟騎士団(KOB)の元副団長! 閃光兼狂乱の癒し手(バーサークヒーラー)ことアスナ!」

 

「バーサークヒーラーはやめてって! あと変なルビふり考えなくていいから!」

 

 

 アスナが何か言ってるがスルーだ。

 ヒーラーなのに前衛で馬鹿げた戦果を叩き出すから悪いのだ!

 

 

「戦闘スタイルはキリトやハートとはまた違ったスピード重視、正確さ重視の細剣! ALOトッププレイヤーだ!」

 

「バーサークヒーラーって、いつになったら消えるんだろうなぁ…その呼び名…」

 

 

 うん、無理だと思います。

 かなり定着してますから…。仕方ないと思う。

 もうバーサークヒーラーか閃光かのどっちかでしか呼ばれてないもんな。アスナ。

 

 

「そして最後に、お前の兄貴、俺だ」

 

「説明短い!?」

 

 

 俺の説明を少しわくわくしながら待っている様子だったハートから鋭いツッコミ。

 いや、だって、俺…キリトやアスナ見たいにすごい立場だったわけでもすごいことしたわけでも、強いわけでもないんだもの…。

 

 

「んじゃあ、俺からこいつの説明をしようか。元SAOプレイヤーで攻略組で唯一最後までソロプレイヤーを貫いた人物、戦闘スタイルは無手で大変目立っていた。こと対人戦においてはSAO時代、KOB団長以外に勝てるものはいないと言われていた。二つ名は儚い刃と書いて儚刃(ぼうじん)

 

 

 恥ずかしー!誰だよそんな二つ名考えたやつ!

 超恥ずかしい!

 あと対人戦で勝てる者はいないっていうけどキリトには負けてたからな! ヒースクリフ、つまり茅場にも負けると思うけどさ!

 

 

「ちなみに儚刃の由来は武器が素手だから、普通の刃なんかよりも儚いって意味と、対人や対MOBにおいて体術を使っているのにも関わらずダメージをほとんど受けなかったからってことで防刃って意味とかけてあるらしい」

 

 

 恥ずかしいぃぃぃいいいいいいいいいいい!!

 中二病かな?この二つ名考えた奴絶対患ってるだろ!

 

 

「さーて、ソウムが真っ赤になって俯いたところで、誰と戦いたい? ハート」

 

「うーん、じゃあ、やっぱり…はじめての相手はお兄ちゃんがいい…かな」

 

 

 少し恥ずかしそうにもじもじしながら言った。

 その姿を見れば同年代なら一発で惚れ込んでもおかしくない。

 大変可愛いがそれが演技だとわかっている俺は死んだ魚のような目をしているのだろう。

 

 マイシスター、何故あなたはいつもそういうとき誤解を招く言い回ししかしないんだい?

 おかげでほら、キリトとアスナの顔がすごいことになってるじゃないか…。どうしてくれるんだい?

 少し硬直した後、キリトが言う。

 

 

「お、おう…。流石に妹にフラグたてるのはちょっと…」

 

「お前が言うなよ!」

 

 

 思わずツッコミを入れた俺は悪くない。

 確かに血は繋がっていないらしいが、妹であるリーファにフラグを建てたこいつにだけは言われたくない!

 

 

「とはいえ、んじゃあ、まぁ…やるか、ハート」

 

「うん!」

 

 

 俺はハートにデュエルの申し込みをする。

 ハートはそれを承諾、俺とハートは距離を取る、その間に残り60秒からカウントが開始される。

 

 

「ハート、手加減なしだぜ?」

 

「当たり前じゃん! 手加減なんてしたらリアルでぶつよ?」

 

「こ、こえぇ…」

 

 

 一応手加減なしと言っておこうと思ったらまさかの手加減したら殴る宣言。

 俺の妹、怖すぎる…。

 

 

「喧嘩…とは違うけど、こういう感じで戦うのははじめてかもな」

 

「そうだね~。ん~、普通にやるのもつまんないし、賭けをしようよ」

 

「へぇ、どんなかけをするつもりだ?」

 

「私がお兄ちゃんに一発攻撃を通したら、つまり、初撃決着だから私が勝ったら、今度何か奢ってよ! どんな高いものでも一つだけね!」

 

 

 何を要求されるかわかったもんじゃない…。

 本当にとんでもないものを要求される可能性が高い…。

 でもハートが欲しいものなんてあるのか?

 あっ…こいつぬいぐるみを集めるのが趣味だったな。ぬいぐるみってかなり高いし…。

 多分それだな。

 

 

「んで、俺が勝ったら?」

 

「私がなんでも一つ言うこと聞いちゃう!」

 

「………」

 

 

 それは果たして俺にとって得なのだろうか?

 

 

「恋愛相談、パシリ、何かを買わせる、一日メイド服で過ごせ、裸エプロンで過ごせ、一緒にお風呂、一日恋人ごっこ、なんでもだよ!」

 

 

 どうしよう、俺の妹の頭が逝っちゃってる可能性が高いんだけど…。

 まともなのが最初の三つだけだし、そもそもお前はどんだけ自分を大切にしてないんだとかお前に羞恥心はないのかだとか聞きたいことはたくさんあるけど取り合えず言っておこう、これは酷い…。

 でも、そうだな、なんでも一つ言うことを聞いてくれるんならもう今後こんな自分を安売りするようなこと言わせないようにしようそうしよう。

 

 

「お前なぁ…」

 

 

 俺が呆れていると、ハートは心底楽しそうに笑っている。

 

 

「だいじょーぶ! お兄ちゃん以外にはこんなこと言わないから!」

 

「はぁ…。キリト、アスナ、俺に向けるそのすごい鬼畜外道を見るような目をやめなさい今すぐに」

 

 

 取りあえず俺の精神衛生上キリトとアスナからの視線をどうにかすることにした。

 

 

「OKだ、ハート。お前が負けたら今後自分を安売りするような賭けは二度とするな! お兄ちゃんぶちギレマスヨ?」

 

 

 多分、ハートはからかってみただけなんだろうけど…もう二度とそんなことを言わないように…。

 これでも結構シスコンだと思ってるから、もし何かあったら大変だ。いや、ほぼ確実にないけどさ。

 だから、ちょっと本気で行くぞ…!

 目を瞑って自分の意識をハートにのみ向ける。

 周りなんて必要ない、ハートをたたき伏せるのに必要な情報だけに絞るように精神を研ぎ澄ませる。

 

 

「ッ!? お、お兄ちゃん? こ、怖いんだけど…」

 

「そんな自分を大切にしない悪い子はぁ…! 仕置きだ」

 

 

 カウントが0になり、スタートを告げるその瞬間に俺は目をカッ!と開く。

 そしてスタートを告げた直後、自分の脳が焼き切れんばかりの速度で体に命令を出しながら一気に距離を詰める。

 

 

「すごい、速い…!」

 

「というかあんな鬼気せまるソウムをはじめて見た…! 結構シスコンなのな!」

 

 

 距離がほぼ0になった瞬間、ハートは完璧にタイミングを合わせてディレイの少ない4連続ソードスキルを発動させる。

 はじめての対人でそのソードスキルのチョイスと反応速度、タイミングは見事!

 でも素直すぎる!

 

 俺はハートがそのソードスキルを使うことは構えから判断していたので、それに合わせやすい体術のソードスキル、五連撃のソードスキルを選んでいた。

 

 次の瞬間、ハートの剣が淡い黄色の残光を残しながら高速で振るわれると同時に俺の両手が薄い緑の軌跡を残しながら淡い黄色の光に溶け合うようにぶつかり合う。

 

 ハートは俺のソードスキルが五連撃だということを見抜いていたようで、ソードスキルを撃ちながら、俺の最後の一撃が当たるであろう軌道から体を捻ってかわそうとする。

 驚いたことに、ソードスキルが中断されないギリギリの範囲で体を動かしていた。

 

 そして、四つの光がぶつかりあったあと、薄い緑色の閃光がハートの脇腹を掠める形で通過していった。

 

 

「! すごい…はじめてでよくかわせたね、あれ」

 

「ああ…」

 

 

 確かにすごい、というかむしろ天才の域だろう…。

 ソードスキルを崩さずに相手のソードスキルを回避する。神業だ。

 

 

「だがなぁ! 甘いわ!! その程度で凌ぎ切ったつもりか!! まったくもって仕方のない妹よぉおおおおおおおお!!」

 

 

 俺のソードスキルの方が僅かにソードスキルのディレイが短い!

 俺のディレイが解けた瞬間、元々体の後ろ気味の位置にあった左手をもう少しだけ引き絞る。

 

 

「ッ!!」

 

 

 そして、ハートがディレイから解き放たれる直前でソードスキルが発動。

 体術スキルの基本中の基本、閃打がハートの腹部を貫くような勢いで突き刺さった。

 

 

「俺の勝ちだ」

 

「お兄ちゃんが鬼いちゃんだったよ…」

 

「確かに、あれはまさしく鬼いちゃんだったな、勝てる気しなかった」

 

「鬼気せまるって言うか、口調かわってたもんね」

 

「な、なんだよ、ハートが悪いんだぞ、あんなこと言うから」

 

「だから冗談だしお兄ちゃん以外には言わないって!」

 

 

 その言葉を聞いて安心した。

 これで我が妹の変態化が止まってくれるといいのだが…。

 

 

「今日は練習にならなかったな…主にソウムのせいで」

 

「うぐっ…ま、まぁ、期限とかあるわけじゃないからな、いいんじゃないかな?」

 

「まぁ、別にいいけどさ」

 

「ほら、そろそろ夕飯の時間だろ? 今日は解散! はいログアウト!」

 

 

 俺はそう言いながらログアウトボタンを押す。

 ハートもログアウトボタンを押し、キリト、アスナも同じように押している。

 

 うん、実はハートとデュエルしたとき五連撃だけでも終わったって確信してたんだけど、反応されちまってびっくりした。

 というか普通は反応できないんだけどな…。念を入れてディレイが少なく次に繋げやすいソードスキルを選んでよかったぜ…。

 

 そう思いながら俺はログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
 鬼いちゃん降臨、ちなみに鬼いちゃんは悪い虫が妹に手を出したら出てくる可能性大ですね。

 鬼いちゃん状態のときは戦闘力が五十倍に跳ね上がります(嘘)

 このままではソウム君は妹ちゃんに主人公の座を奪われそうですが気にしない!

 感想待ってます。

 次回も頑張ります。
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